『ありさ 土蔵の濡れ人形  第二章』
 
                    Shyrock:作

第五話「女悦丸」

 どうにも我慢ができないほどの強烈な痒みが肉芽を襲ってきた。
その部分を掻きむしって欲しくてしょうがない。
肉芽を中心に、全身が燃えるように熱い。
無意識のうちに腰がガクガクと痙攣する。

 九左衛門は顔を歪めるありさを見て口元をほころばせている。
「どないしてん?腰をもじもじさせてからに。もしかしたらどっかいじくって欲しい
んちゃうか?」

 たまらなく性器が、とりわけ陰核が痒くて仕方がないのだが、そんなことは言える
はずがない。
頭の中も真っ白になっていき、もう肉芽の痒みを収めることしか考えられなくなって
いた。

 同時に肉裂の奥も熱く疼き、片足吊りをされて丸見えの亀裂から止め処なく愛液が
あふれ出す。
それはまるで岩の裂目から天然水が溢れ出る光景に酷似している。

 「ほう、あわいさからたんと蜜を垂らしてるやないか。まだ弄ってもないのに、な
んでそんな興奮してんねん?」
「知りません……」
「もしかしてはよ穴を弄って欲しいと言う催促かいな」
「そんなこと思ってません……」

 「せやけど、さねはえらい大きゅうなってるで」
九左衛門の言葉どおり、陰核は硬く大きく勃起して包皮から顔を覗かせていた。
「ああ……つらい……もうだめです……」

 陰核の掻痒感は高まるばかりで、我慢は限界に近づいていた。
そして、ありさはついに降伏した。
「だんさん……お願いです……何とかしてください……」

 九左衛門がありさの顔を覗き込む。
「何とかしてくださいて、どこをどないして欲しいのんか、はっきり言わんと分から
へんがな」
「……」
「はっきり言わへんかったら、何もでけまへんなあ」

 九左衛門はありさの耳元でわざと意地悪な言葉をささやく。
ありさは顔を紅色に染めて、瞳を閉じそっとつぶやいた。
「あそこが……すごく痒いんです……助けてください……」
「あそこてどこやねん?」
「お、おそそです……」

 ありさは消え入りそうな声でつぶやいた。
「えっ?おそそがどないしたて?もっと大きな声で言わんと聞こえへん」
「おそそが痒いんです……特に上の方が痒いんです……お願いします、助けてくださ
い……」

 そうつぶやくと同時にありさの目から悔し涙がこぼれた。
九左衛門がありさの屈辱に追い打ちをかける。
「ありさ。おまえは傷薬を塗られただけやのにこんなに興奮しとる。おまえは他のお
なごよりも、すけべで、いやらしいおなごちゅうこっちゃ。がははははは~」
「そ、そんな……」

 薬を塗られて高ぶってしまっていることは事実なので、ありさは九左衛門に対し言
い返すことができなかった。
しかし、九左衛門がありさに用いた塗り薬は傷薬ではなく、実は『女悦丸(にょえつが
ん)』という名前の媚薬であった。

 『女悦丸』は江戸時代から使われている有名な媚薬で 昔の文献には、『女悦丸を
ひとすくい、女の陰門のうちへつけて様子をうかがうべし。たちまちにして情を催し、
泣くがごとく、笑うがごとく、訴えるがごとく、いかなる女といえども飴のごとくに
なる奇剤なり。』と記録されている。

 少量付けるだけで膣やその周辺がむず痒くなり、何かで擦って欲しくて堪らなくな
るという恐ろしい秘薬であった。
主成分は明らかではないが、おそらく「とろろ芋」であろう。
性に長けた熟女であっても骨抜きになってしまうほどの媚薬を、まだ性に疎い小娘に
使用した場合はたしてどうなるのか。

 ありさは不自由な体勢にも関わらず腰と尻をくねくねよじらせ、にわかに息が荒く
なっていた。
秘部が激しい痒みに苛まれ、股間を擦りつけて凌ぎたいのだが、右足を吊り上げられ
ているため股間を閉じ合わせることができず、自ら痒みを拭い去るすべが無かった。

 「あっ……あぁっっ……か、かゆいっ……!」

 痒みを訴え苦しそうに腰をくねらせ悶えるありさ。
辛そうなありさの表情を見て、九左衛門の中の加虐心が煽られていく。
「そんなにかい(痒い)んか?しゃあないな、ほんなら掻いたるわ」

 九左衛門の指はきれいに剃りあげて毛の無くなった恥丘を掻きはじめた。
「あああっ!そこでは……そこでは無いんです……!」
「こことちゃうんか?どこやろなあ?」
「違うんです……もう少し下の方なんです……」

 九左衛門はわざと秘部を外し、その周辺に指の先端を這わせた。
痒みが限界に達してきたのか、ありさは額から玉のような汗を滲ませ苦悶の表情を浮
かべている。

 「ぐふふふ、あんまりいじめても可哀想やから、ぼちぼち望んでる場所を掻いたる
わ」
「ああっ、辛いです!だんさん、お願いです!助けてください!」
「ただし、指は一切使わへん」
「……!?」

 九左衛門は小箱から奇妙な形のものを取り出してきた。
それは男性器を擬した張形で長さは五寸ほどあった。
初めて目にしたありさにも、それがどういう風に使われるかは凡その見当がついた。

 「いや……いやです……そんな恐ろしいものは嫌です!」
「何が嫌やねん。これやったら奥の方まで掻けるで。へへへへへ」

 
                

   この作品は「愛と官能の美学」Shyrock様から投稿していただきました