「十字架のある学園」
               
 赤星直也:作
第19話 懺悔室

 東京に戻った翌日、直美がアパートでくつろいでいると電話が鳴った。
「もしもし、岡崎ですが…」電話の相手は近藤だ。
「わかりました、これから伺います」受話器を置くと「行きたくないけど…」溜息を
つきながら学園へと向かうと、校舎の工事が行われている。

 「何をやるのかしら?」横目で見ながら校長室に入った。
「待っていたぞ。実は頼みがあって呼んだんだ」笑顔の近藤だが、側には項垂れた早
苗と陽子がいる。
(もしかしてヌードを…)一瞬に顔が強ばった。

 「なにも、そんなに怖い顔しなくていいと。今やっている工事の事なんだ」
「工事がどうかしましたか?」
「あれは、懺悔室を作っている。その完成祝いにぜひ、岡崎先生に一肌脱いで貰おう
と思って!」
「私が一肌脱ぐってどういう事でしょう?」
「これだよ、こんな風にやって貰いたいんだ」近藤は美術部員が描いたデッサンを見
せた。
 
 それは、直美が十字架に縛られ、早苗と陽子が足下で膝を立てたポーズだ。
3人は全裸で、淫裂も描かれてあった。
「まさか、ヌードでこれをやれと…」デッサンを見るなり震えだした。

 「当然だよ、キリストだって裸じゃないか!」
「でも、生徒達がいます。ですからヌードはイヤです」直美は泣き出した。
「心配するな、オ○ンコと乳首は隠すから。胸の膨らみは見せて貰うからな」強い口
調の近藤に直美も返す言葉がない。
直美は黙ったままだが「休み明けまでにはできるそうだから、その時にやって貰おう
と思ってな」近藤はなおも言った。

 近藤の話を聞き終えると3人は職員室に入って行くが、元気がない。
(ヌード同然を生徒に晒すなんて…)
しかし、そんな事ばかりは言っておれず、授業の準備もした。

 そして、長かった夏休みが終わり授受業が再開される事になったが、直美達3人は
憂鬱だ。
始業式が始まると、近藤が新しくできた懺悔室のお祝いを放課後にやると告げる。
生徒達は不満そうな顔で聞いているが、直美達3人は項垂れて聞いていた。
始業式は30分ほどで終わり、授業が始まったが直美は十字架に縛られた姿を想像し
てか、ミスが目立っていた。

 それでも、どうにか全ての授業を終えて職員室に戻ると昼食時間だ。
直美も一息ついていると「岡崎先生、ちょっと」近藤が呼びに来て、一緒に校長室に
入っていくと水谷もいる。
「お披露目にやるんだってな。それなら、剃っておかないと」服を脱ぐよう言われる。

 「剃らないで。これ以上変態の真似事はしたくないです!」
「剃らなかったら、透けてしまうぞ。黒は白を透かすから…」
(そうか、白い服で隠すのか。それならヘアを剃らないと…)勝手に思い込むと服を
脱いで、全裸になった。

 直美は絨毛を剃られていたから1ミリ程度の絨毛しか生えてない。
その絨毛も、水谷の持ったカミソリで消されて少女の淫裂に戻された。
「これで良しと、衣装はこれを着て貰うぞ」
「それが、衣装ですか?」直美が驚きの声をあげた。

 直美が驚くのも無理はない。
近藤は3本のロープを帯状に繋いだのを見せたからだ。
「これだけあれば隠せる!」乳房に当てて背中で縛るが「解けたら困ります…」心配
だ。
「解けないように、結んでいく」結び目を細い紐で縛った。

 「どうだ、これなら見えないぞ!」確かに、乳首は隠しているが、乳房の膨らみは
露わになっている。
「次はオ○ンコだな」褌のようにTの字に巻き付けた。
「恥ずかしい。割れ目は見えそう…」ロープがかろうじて淫裂を隠している。
(イヤよ、これじゃ、ヌードと同じよ…)逃げ出したが、逃げる訳には行かず、脱い
だ服を畳むとタオルを巻き付けていく。

 「準備はいいな、行くぞ!」近藤と一緒に廊下に出たが、異様な姿に生徒達が驚い
ている。
「岡崎先生、もしかしてヌードでは…」
「まさか、そんな事ないよ。でも、それなら嬉しいな」廊下を歩く2人を見つめなが
らヒソヒソ話すと、直美にも聞こえるが無視して懺悔室に入った。

 懺悔室にはいると早苗と陽子がいた。
2人は乳首にハート型のテープを貼り、股間にはV型のテープを貼り淫裂を隠してい
る。
「校長先生、これならいいでしょう、見えないし」水谷は自慢げに陽子の股間を触る
が「う、う、う~!」と嗚咽をあげる陽子だ。

 「そんなに嬉しいのか。それなら、ここにもやってやるぞ!」乳房も揉みだすと
「もう充分です…」泣き声で手を押さえる。
「何だ、もういいのか。それより準備だな」直美はタオルを解くと十字架に背中を押
し付け、両手を広げると水谷に腕を縛られていく。

 「これでいいな、2人はここで…」直美の足下に、立ち膝で座らせ「大丈夫だな、
オ○ンコはここまでだし」テープの上から触って確認した。
「そのようだな、早速、放送してくれ」水谷が出てからすぐに校内放送で懺悔室のお
披露目が伝えられた。
 
 すると、嫌々ながら生徒達が洗われたが「岡崎先生がヌードだ!」声をあげていく。
「見ろよ、渋井先生や倉橋先生もヌードだよ!」指さしながら股間の部分と乳房の部
分を見つめている。
(恥ずかしい、こんな姿を生徒に晒すなんて…)3人は下を向いたまま顔を上げられ
ない。

 しかし、3人が全裸同然でいるのは、あっという間に生徒に知れ渡り、次々と懺悔
室を訪れている。
「以外と、大きいオッパイだな」
「ヘアがないよ、パイパンかな」3人の乳房と股間に目が行っている。
(お願いだから、ここから出ていってよ)そう願うが、生徒達は代わる代わる訪れて
いる。

 訪れたのは生徒ばかりではなく、同僚の教師も訪れていた。
「あら、以外にいい体してたんだ…」3人の体を触る女教師もいれば「自慢したかっ
たら、素っ裸になればいいのよ」体に自身がないから言い捨てる教師もいた。

 3人は1時間ほど、懺悔室でポーズを取らされたが、学園では見なかった者はいな
い。
「もういいよ、ご苦労だった」近藤は直美を解くと、一緒に校長室に戻り、服を着込
んでいく。
「もうこんな事はさせないで下さい…」泣き声で頼んだ。
「そうしたいが、どうなる事やら」近藤は即答を避けている。

 「私は教師なんです!」
「言われなくたってわかっている。それに、オ○ンコ好きな事も」
その言葉には「う、う、う!」声をあげて泣き出した。
「泣いたってダメだ。服を着たら戻るんだ!」近藤に一括され職員室に戻ったが、皆
が白いめで見ている。
同じように、早苗と陽子も戻ったが、やはり、白い目で見られて口を聞かない。

 3人は項垂れ、黙り込んでいるが「どうして、あんな事をしたんですか?」渡辺が
声を掛た。
「校長先生から、やれと言われましたから…」
「やはりそうでしたか。ここは問題ですな、校長の横暴をこれ以上許せませんから、
組合として突き上げます」そう言うと職員室から出ていった。

 すると「よく、校長のせいにできたな。自分が淫乱のくせに!」
「そうだよ、オ○ンコしたくて仕方ないのにな」3人を犯した教師達は聞こえるよう
に言う。
「そう言う言い方はないぞ。校長が悪いんだから」
「そうよ、謝りなさいよ」反校長派達が、ここぞとばかりに声をあげると、校長派の
教師は黙り込んだ。

 一方、職員室から出た渡辺は近藤と話している。
「こんな、封建的なやり方では、委員長として見過ごせません」強い口調に近藤もタ
ジタジしている。
「まあ、今回だけは多めに。この通りです」以外にも頭を下げている。
「やった事は仕方ありませんから、次から改めて下さいよ」
渡辺もそれ以上は追求せず、校長室から出ていく。

 近藤が「やれやれ、今度は組合か…」独り言を言ってると水谷が入ってきた。
「校長、どうかしましたか?」
「委員長だよ、困った事になりそうだ」
「それでしたら、私にいい考えがありますが…」
「どんな考えだ?」

 「確か、娘がここの生徒でしたよね?」
「そうだ、それが…。そうか、奴らにやらせるのか!」
「それ以上は、私はなにも知りません。校長も、何も知らないですよね?」
笑いながら言う水谷に「そうだ、わしらは何も知らないぞ」近藤も笑顔になっていた。

 その後、水谷は高田と佐藤と話し込んでいる。
「やってくれるよな」
「裸を撮るだけじゃ、つまんないな…」

 「そう言うな。お前の好きな倉橋とやらせてやるから」
「それならやるよ。それに、岡崎先生ともやらせて」
「僕もだよ、2人とやらせてくれるならやるよ」
「わかった、やらせてやるよ」ヒソヒソと話していた。

 それから数週間が過ぎて、直美のアパートに水谷と佐藤達が訪ねてきた。
直美は顔を見るなり「もう許して、これ以上体を汚したくないの」泣き声になってい
る。
「そっちがそうでも、こっちはこうなんだ!」佐藤と高田の肉竿がカチカチになって
いる。
「そう言うわけだ。やらせてやるんだよ」水谷が言うからには逆らえず、泣きながら
服を脱いでいく。

 「先生、俺から先だよ」直美は四つん這いにされ後から淫裂を突かれて「あ、あ、
あ~!」呻くような声をあげている。
「どれ、口は俺が受け持つぞ」水谷もズボンを引き下げ、肉竿を直美の口に押し込む。
「ウグ、ウグ!」首を振って拒むが、頭を押さえられ逃れられない。

 やがて、若い佐藤の肉竿が先に噴射し、精液が淫裂の中を漂ってから、外に漏れて
いく。
「今度は俺だ」高田も後から押し込んでいく。
(やめて、これ以上虐めないでよ)涙を流しながら、淫裂と口の中に噴射された。
同じように、翌日には早苗が3人辱められた。

 そして、10月に入ると3年生だけでなく、2年生も受験準備で目つきが変わって
いるが、その中に、一際元気のない女生徒がいた。
その生徒は美術部に所属し、昌子も異変には気づいた。

 昌子はその子と一緒に懺悔室に入り話を聞いていく。
「最近元気ないけど、何かあったの?」
それには黙ったままだが「辛い事があったら言いなさい、同じ仲間でしょう」その子
も、白百合会のメンバーだった。

 「撮られたんです。…無理矢理に…」それだけ言うと泣き出した。
「撮られたって、まさか、ヌードを?」それには声をあげて泣き出した。
「誰なの、相手は誰?」

 「わかりません、顔を隠していましたから…」
「思い当たる事はないかしら?」
「なにもありません」

 「そう、相手側からないんだ。それで、どんなのを撮られたの?」
「全部脱がされました。…パンツも、ブラも…」また泣き出した。
「ヘアも、性器も撮られたのね?」それには頷いた。

 「卑劣な事をするわね。この事をお父さんには言ったの?」
「言えない、お父さんに言ったら怒られるから」
「無理矢理脱がされたんだから言わないと。レイプはされなかったの?」
「触ったけど、それはなかった…」それを聞いて昌美は思い当たる節がある。

 「この事は、私からお父さんに言っておくからね」
「言わないで、それだけは言わないで!」
「ダメよ。相手はもっと、卑劣な事をやるから、前もって準備しておかないとダメな
の」その言葉に納得したようだ。

 その後2人は懺悔室から出て、昌美は渡辺の元へと向かった。
「先生、お話が…」
「北野先生、私にですか?」
「はい、ちょっとこちらへ」2人は懺悔室に入った。
「北野さん、落ち着いて聞いて下さい。実は、娘さんが何者かに、裸にされて写真を
撮られました」

 「娘が、裸にされた?」
「そうです、レイプはされていませんが、性器も撮られたそうです」
「相手は誰ですか?」
「残念ながら、顔を隠していたからわからないそうです」

 「レイプが目的じゃないとすると、私への嫌がらせですね」
「私もそう思います。最近の校長は強引ですから気を付けた方がいいですよ」
「わかっています。この前、校長に釘を刺しましたから、相手は校長一派に間違いな
いと思います」
「そうなんだ。そんな事をしたから、娘さんが狙われたのよ」

 「いつから、こんな学園になったんでしょうかね。できた当時は教育の理想に燃え
ていたのに…」
「残念ですが、今は、そんな理想は消えてしまいました…」
「そうですよね。北野先生に愚痴っても仕方ありませんし。とにかく、娘は転校させ
ます」
「悔しいけど、それが最善です」昌美も渡辺もその後は黙り込んでしまった。
 
 暫く沈黙していたが何時までもいるわけには行かず、2人は出た職員室に戻った。
それから数日が過ぎて、渡辺の娘が隣町の高校に転校したが「こんな事許されるはず
がないわ。必ず天罰を下さないと…」懺悔室にあるキリストの前で祈っている女性が
いた。