「薄倖の星の下に」

                               赤星直也:作 
第5話 盗みの疑い

 数ヶ月後、秀樹と瑞穂は田舎の町に新居を構えていた。
夫婦としての住民登録も済ませ「あなた、ごはんできたわよ!」瑞穂は養父を「あな
た」と呼んでいる。
「瑞穂、欲しいよ。いいだろう?」起こしに来た瑞穂の手を掴んだ。

 「だって、昨日したばかりよ。あなたは平気なの?」
「大丈夫だよ。瑞穂がいる限りがんばるよ」
「だめ、だめよ!」瑞穂は布団の中に引き込まれ「わかったわ、軽くよ。昨日やった
から痛いかも知れないし…」自らスカートを引き下げていく。

 「オッパイは俺にやらせてくれ」秀樹は瑞穂のシャツを捲り上げ「綺麗だよ、瑞穂」
乳房を露わにすると「あなた、こそ元気で良いわよ」パンティを脱いで秀樹の勃起し
た肉竿を撫でていく。

 「いくよ!」覆い被さった秀樹は乳房を掴んで、腰を振りだし「いいわ。あなた、
感じる!」
「早くできればいいのにね」
「私もあなたの子が産みたい…」体を開いて肉竿を迎え入れ「あ、あ、あ!」体が反
っていく。

 秀樹は腰の動きを早めて登りつめ「暖かい。あなたのが暖かい!」射精を終えた秀
樹を抱きしめていく。
「よかったよ、瑞穂…」
「私もよかった…」暫く抱き合ってから、布団から出た。

 そんな生活が数年続き、2人はいつものように朝食を済ますと家を出て行く。
瑞穂は旅館のパートとして働き、秀樹は運転手として働いている。
「あなた、気を付けてね」
「わかっているよ」秀樹は瑞穂を旅館まで送り届けると、勤務先に向かう。

 瑞穂は「いつも仲がいいのね。親子みたいな夫婦なのに…」同僚にからかわれなが
らも仕事をし、客の布団を畳んでいく。
「おはようございます、お布団を片づけます」挨拶しながら布団をかたづけていく。
それが済むと、お客を見送り、部屋の掃除を始めた。
「ふー。楽じゃないわね」きつい仕事だが、幸せを味わいながら仕事をしている。

 瑞穂の仕事は3時前で終わり、後は自宅でくつろいでいると「プルプルプル!」電
話が鳴った。
「もしもし、諸星ですが?」それは警察からで「えっ、事故をおこしたんですね。怪
我の具合はどうなんですか…。はい、わかりました。これより伺います」瑞穂は急い
で秀樹が運ばれた病院に向かった。

 「諸星です。主人の具合はどうでしょうか?」
「重傷です。直っても後遺症が残るでしょう」酸素マスクを付けた秀樹を見ながら医
師が言う。
「命には、別状はないんですね?」
「はい、命にはかかわりませんが…」それだけしか言わない。
「よかった、安心したわ」ホッとする瑞穂だが、秀樹が致命的損傷を受けていたのを
知らされてない。

 瑞穂は秀樹の介護をしながらパートを続けている。
入院費は保険でまかなわれるが、全額出るわけではなく蓄えを使っており、収入が途
絶えて蓄えも徐々に減っていった。
「大変ね。旦那さんが…」
「でも、何となりますから」それでも瑞穂は笑顔で仕事をしている。

 「おはようございます、お布団をかたづけます」いつものように客に挨拶してから
布団を畳んでいく。
布団を片付け終わり、従業員室に戻ると知代から呼び指された。

 「来て、瑞穂さん!」知代は何も言わず、瑞穂の手を引いて客室に連れて行き「こ
の人よ、間違いないわ。あたが盗ったんでしょう?」客が指差す。
「盗ったって、なにをですか?」
「指輪よ、ダイヤが付いた指輪よ、100万はするのよ」

 「盗っていません。そんな事していません!」
「嘘おっしゃい。調べればわかるのよ」
「調べてください。本当に盗ってなんかいませんから」
「女将さん、どうしますか。この人こんな事言ってるわよ」

 「わかりました。旅館のメンツもありますから調べます。瑞穂さん、服を脱いで裸
になりなさい!」
「イヤ、ヌードなんてイヤです!」首を振って拒む瑞穂に「やっぱり盗ったのね。だ
から服を脱ぎたくないのでしょう?」執拗に言う。

 「盗っていません。本当です」泣きながら言うと「だったら裸になって、無実を証
明しなさい!」女将の知代も強い口調だ。
(脱ぐしかないわ、裸になって無実を晴らさないと…)「わかりました。裸になりま
す!」覚悟を決めた瑞穂は、知代と客が見守る中で帯を解いていく。

 「よく調べてください」解き終えた帯を客に手渡すと「調べるわ」客は帯を触り、
調べてから「ここじゃないわ、服に隠したんでしょう、早く脱ぎなさいよ」なおも言
い(酷いわ。盗人扱いなんて…)紐を解くと服が開き「これも調べてください」紐も
渡して調べさせた。
「ないわ、次よ!」服も脱いで襦袢姿になってしまった。

 「ないわ。次よ!」真っ白な襦袢も脱いで下着姿になった。
「ないわね。どこに隠したのよ、言いなさいよ!」
「信じてください。盗っていませんから」
「じゃ、勝手に指輪が歩いていったとでも言うの。素っ裸よ、その中に隠したんでし
ょう!」あくまでも瑞穂を疑っている。

 「脱ぎなさい、素っ裸になって証明しなさい!」知代も強い口調で「そんな、素っ
裸だなんて!」顔が強ばった。
「やらないと言う事は、盗んだと認めるのね?」
「盗んでいません、見てください!」泣き顔の瑞穂はパンティを掴み、引き下げてい
く。

 恥丘が露わになり、膝まで引き下げて背中を丸め、片足ずつ上げてパンティから抜
いて「確かめてください!」下半身を覆う物は何もなく、真っ黒な絨毛に覆われた股
間が露わになっている。
(恥ずかしい、こんな姿になるなんて!)温もりのあるパンティを客に手渡した。

 「ないわ、ブラに隠したんでしょう」
「そんな事してません!」ブラジャーも脱いで全裸になると「ないわ。もしかして?」
客は「足を広げて!」(ま、まさか膣の中を調べというの?)怯えながら足を開いた。
「動かないでよ!」予想した通りに膣の中に指が入って(やめて、膣には何も入って
いないわよ!)唇を噛み目を閉じ、その目から涙がポロポロと落ちていく。

 「ないわね、どこに隠したのよ、言いなさい!」今度は両乳房を鷲づかみして爪を
立てた。
「ヒー、盗っていません。信じてください!」瑞穂は顔を歪めている。
「どこに隠したのよ、言いなさい!」ヒステリックになったお客は、更に指に力を入
れ「ヒー!」悲鳴を上げる瑞穂だ。

 「お客様、冷静になって下さい。指輪を外した事はありませんか?」
「外した事…。お風呂にはいる時だけよ。その時は外したわ」
「それを、どこに置きましたか?」
「洗面台よ。その後、確かテーブルに置いたはずよ」
「調べてみましょう、洗面台を!」知代とお客は洗面台を調べた。

 「あら、こんなとこにあったわ。よかったわ、ご免ね、疑って!」
「それより、指輪があってよかったですね」
「悪い事したわね。もう服を着ていいわよ」お客と知代が見ている前でパンティを履
いていく。

 「それにしても良いからだわ。勿体ないわね」お尻や乳房を撫でるが(触らないで
よ。あんな事までして!)黙ったままブラジャーも着け、襦袢も着ていく。
そして、服を着て元に戻った。
「もう、いいでしょうか?」
「いいわよ。戻っても」瑞穂が部屋から出ようとすると「待って、これお詫びよ」客
は10万程の札を手渡そうとし「要りません。そんなの貰えません!」瑞穂は拒んだ。

 「そうは行かないわ。あなたを素っ裸にしたんだから受け取って!」無理に手渡そ
うとし「受け取ったら。あなただって、旦那さんが入院しているから物入りだし」知
代は受け取るように言う。
「でも、そんな大金を…」
「私からのお見舞いよ、それなら良いでしょう」客は襟に押し込んでしまった。

 「わかりました、頂きます」瑞穂は戻るなり、悔し泣きしている。
「何かあったの?」
「疑われたのよ。泥棒したって!」泣きながら言うと「そうなんだ…」同僚達は気の
毒そうに言うが、ただ傍観しているだけだ。

 そこに「瑞穂さん、いつまで泣いているのよ、仕事があるでしょう!」知代が現れ
「申し訳ありません」涙を手で拭いて仕事を始めて、仕事が終わるといつものように
秀樹の世話をしていく。

 「あなた、元気でいた?」
「ああ、元気だよ」力無く言う秀樹に「早くよくなってね。で、ないと私寂しいし…」
話し掛ける。
「わかっているよ、必ず直るよ」不自由な腕を動かそうとして「まだ無理よ、じっく
り直さないとね」手を握り励ましている。

 その甲斐あって3ヶ月後に退院したが、秀樹は歩けず、車いすに乗ったままの生活
をしなければならない。
リハビリにも金がかかり、収入が途絶えた今は、生活苦に陥っている。

 「瑞穂。ご免よ、俺のせいで…」
「何言っているの、夫婦でしょう。それより、体を洗わないと」秀樹の体を綺麗に洗
って行くと、瑞穂の手が股間を触った。
「欲しいよ、瑞穂!」手が動かないのに、瑞穂に触られた肉竿が一気に膨らんでいる。

 「あなた、久しぶりにしましょうか。私も欲しいし…」瑞穂は秀樹の体を洗い終え
ると、ベッドに寝かせ、その後、服を脱いで全裸になると馬乗りになった。
「行くわよ。あなた」肉竿を掴み、淫裂に導き「久しぶりで良いわ、あなた…」肩を
押さえて腰を振っていく。

 「いいよ、瑞穂!」
「私もいいわ。あなたのがいいの」淫裂からは乳白色の蜜が流れ出ている。
「うー!」「あなた、出したのね、わかるわよ」乳房を秀樹の胸に押しつけ、結合し
たまま唇を合わせた。

 そんな生活をしていたある日、帰ろうとする瑞穂に女将の知代から「アルバイトし
てみない?」と声を掛けられた。
「したいのですが、ありますか?」
「あるのよ、瑞穂さんなら、お似合いの仕事が…」
「どんな仕事でしょう?」

 「簡単よ。ちょっと、裸になるだけで良いの」
「イヤです、ヌードになるなってイヤです!」
「アルバイト代は弾むわ、1時間7千円払うわよ、パートの10倍よ」
「それでもイヤです。ヌードになるなんて、夫を裏切るようなものです!」

 「ヌードだけよ。体を売る訳じゃないから良いでしょう?」
「ヌードは、絶対にイヤです!」あくまでも拒む瑞穂に「いいわ、ここまで言っても
聞かないなら、やめて貰う!」言い出す。

 「それは許して下さい。真面目に働いて来ましたし…」
「そんなの関係ないわ。内だって大変なのよ、ヌードで客寄せしようと考えていたの
に…」暫く沈黙が続いた。

 「とにかく、明日からは来なくていいからね」
「ここに置いて下さい。女将さん、置いて下さい!」
「だから、裸になるなら雇うと、言っているでしょう!」あくまでも瑞穂を裸にさせ
る気だ。

 「わかりました、ヌードになります。でも胸だけにして下さい…」瑞穂が泣きなが
ら言うと「やってくれるのね。嬉しいわ。これで客寄せになるし」笑顔の知代だ。
「それから、この事は夫に言わないで下さい」
「わかっているわよ。勤務時間は6時からに10時迄でいいわよ」

 「わかりました。やってみます」ヌードになるのを決めた瑞穂は、夫の元に戻って
説明した。
「あなた、明日からは夜のパートにしたわ。宴会の世話係なの」
「大丈夫かい。体は?」
「10時迄でいいって言うし。それにお金も5割り増しになるの」
「すまないね、俺がこんな体になったばかりに」泣きそうな顔をする秀樹に「何言っ
ているのよ、私達は夫婦よ。泣かないのよ、あなた!」優しく口づけをするが(ご免
なさい。これからは人前でヌードになる事になったの。許して…)秀樹には言わない。

 翌日、瑞穂は夕方に家を出た。
「今日からは、オッパイを晒さなければいけないんだ…」不安を抱えながら旅館に入
ると「待っていたわよ、早速お願いするわ。とにかく着替えないと」知代は瑞穂を連
れて部屋に入った。

 「早く脱いで!」言われた通りにシャツ、スカートを脱ぎ、そして、ブラジャーも
脱ぐと「良いわね、こんな綺麗だもの」乳房を見ながら服を渡した。
瑞穂は渡された服を見て「イヤです、これならやりません!」泣き出してしまった。
渡された服は黒いレザーの服だ。