「恥辱の投薬ミス」

                    赤星直也:作

第5話 下着の買い物

 駅を出て、暫く歩くと商店街があり、そこを歩いて行くが、人通りはパラパラだ。
「こっちよ!」香奈は裏通りに向かうが、人影はほとんどない。
それに、やたらと風俗店の看板が、目に付く。
(いやらしいわ。あんな看板が!)女性の全裸の看板もある。

 そんな看板を通り抜け、歩いていくとポルノショップがあった。
「ここよ」香奈と真澄は笑顔だが「ポルノショップよ。恥ずかしくて入れない!」真
っ赤な顔になっていく直美だ。
「平気よ、私はなじみだから」直美は、引きずられるように中に入ると「いらっしゃ
いませ!」まだ若い女性の店員が声を掛けてくる。

 「ねえ。エッチな下着が欲しいのよ」香奈が言うと「いっぱい、持ってるんじゃな
いの?」店員が言う。
「違うのよ、お客を連れてきたのよ」店員は直美を見つめて「暫くお待ち下さい」と
奥に入って行く。

 そして「これが基本です。どれに、なさいますか?」店員が差し出した下着を見て
真っ赤な顔になっていく直美だ。
ブラジャーは、乳房のカップがなかったり、カップの部分が透明やスケスケの物だ。
パンティも、紐の物や膣の部分がくり抜かれたり、スケスケでまともの物は一つもな
く、どれも見せるようになっている。

 「私は、これが似合うと思うな!」香奈は、カップのないブラジャーを選んだ。
(そんなの、恥ずかしくて着れないわよ)乳房を下から持ち上げ、乳房が丸出しのタ
イプだ。

 「私は、これがいいと思うの…」真澄が選んだのは、穴から乳房を出すタイプだ。
(どっちも、いやよ。せめて、スケスケにして!)選択権のない直美は、真っ赤な顔
で見ていた。

 「それだったら、2つ買おうよ。交代で着れるし…」
「そうね、それがいいわ」ブラジャーが決まり(着る身になって。恥ずかしくて、着
れないわよ)黙ったままの直美だ。

 「次はパンティね!」香奈と真澄は選んでいく。
「これがいい!」香奈が選んだのは股間の部分がくり抜かれ、恥丘や性器が丸だしに
なってるタイプだが(いや。それだけは、いやよ!)目を伏せる直美だ。

 「私はこれ!」真澄が選んだのは、最小の布を紐で結ぶパンティだ。
しかも、スケスケの布だから(どっちも、いやよ。着たくないわよ)黙ったままの直
美だ。

 「ありがとうございます。色は何色になさいますか?」香奈と真澄は、サイズも知
っていたから、勝手に注文した。
「お買いあげ、ありがとうございます」店員は下着を紙袋に入れて行く。

 「忘れてた。黒いストッキングとガーターベルトも入れて!」真澄と香奈は楽しそ
うだが(娼婦じゃないのよ。私は、女医なの!)顔をこわばらせている直美だ。
店員は言われた物を、詰め込んでいくが「これ、なあに?」香奈はガラスで飾られた
中から、吸盤の付いたのを見つけた。

 「女性のオッパイを刺激して、大きくする器具です」
「これで、オナニーできる?」
「乳首が吸われるから、いいかもしれません…」
「それも、入れて!」真澄が注文し、全てを詰め込むと、ポルノショップから出た。

 「先生。これで色っぽくなるわよ」
「そうね、楽しみだわ」直美を尻目に、香奈と真澄は微笑んでいるが(人の気も知ら
ないで!)憂鬱な直美だ。

 香奈と真澄は裏通りを歩き、カラオケ店に入り、直美も続いて入った。
2人は早速、カモフラージュの音楽を掛けていく。
「先生、着てみてよ」それには「ここで、着るの?」戸惑う直美だ。
「そうよ、ここで着て。素っ裸だから直ぐ着れるわ」
「見られてしまう!」
「平気よ。鍵を掛けておくから」真澄は内側から鍵を掛けたが「恥ずかしくて、でき
ない!」あくまで、拒む直美だ。

 「やらないなら、公開してもいいのね?」写真をちらつかせる真澄に「わかったわ
よ…」仕方なく袋をあけて、下着を取り出した。
「最初はこれ!」香奈が命令し、震える手で直美は衣服を脱いでいく。
シャツとスカートを脱ぐと、もう生まれたままの姿になった。

 直美は香奈と真澄が見守る中、先ほど買い込んだ下着を着込んでいく。
ブラジャーを着けるが、乳房の下を布で隠すだけで、豊満な乳房が丸だしだ。
「いいわね。これも!」露になっている乳房を、香奈は満足そうに撫でていく。

 直美は恥ずかしさを堪え、パンティを履いたが、恥丘が丸だしになっている。
店内にも鏡があるので、その様子が直美にもわかり(恥ずかしいわ。これじゃあ、素
っ裸の方がましよ)乳房と絨毛が丸見えの上、黒い布が卑猥さを引き立たせていた。

 「ホントに、いいわね」真澄も絨毛の生えた股間を撫で「やめて下さい!」両手で
香奈と真澄の手を押さえた。
「わかったわよ。次よ!」遮られた真澄は、着替えるように指示し、直美は再び全裸
になって、別なブラジャーとパンティを着けた。

 今度のブラジャーは、カップのが無く、乳房を突き出す代物で、豊満な乳房が釣り
鐘のように、先に突き出している。
「いやらしいけど、これもいいわね」真澄は突き出している、両乳房を掴んで揉んで
いく。

 「やめて下さい!」股間を丸出しのまま、直美は両手で真澄の手を押さえた。
「真澄、パンティが先よ。それからにしようよ!」
「わかったわ、香奈!」真澄は手を退け、直美は小さな布を股間に押し当て、紐を結
んでいく。

 しかし、布はスケスケで、股間の絨毛が丸見えになっている。
「これもいいわね。お尻に紐が食い込んでいるし…」
「見ないで下さい!」慌てて、両手でお尻を隠していく。
「あら、これもいいわね」真澄は股間を撫で「オッパイも、いいわよ」香奈と真澄に
乳房を揉まれ、淫裂を布の上から撫でられていく。

 「今度はストッキングよ。どんな姿かしら?」「わくわくするわ」2人が見つめる
前で、直美は下着を脱いでいく。
パンティ、ブラジャーも脱いで、全裸になった。
(恥ずかしいわ。こんなの、履く何て!)全裸のままソファーに座ると、レザーの冷
たさがお尻に伝わってくる。

 
それでも、足を伸ばし、ストッキングを着け、伸ばしていく。
「先生の性器が見えているわよ。綺麗ね」
「そんな事、言わないで!」恥ずかしさを堪え、もう片足にもストッキングを被せた。
 履き終えると、立ち上がってガーターベルトを腰に巻き付けていく。
「凄いわ。黒いストッキングって、こんなにセクシーになるんだ…」
「そうね。アソコが、卑猥み見えていく…」直美はガーターベルトで、ストッキング
を留めると、両手を後ろで組んだ。
(娼婦よ。これじゃ、娼婦だわ)黒いストッキングに、同じ色のガーターベルトを付
けた直美は、呆然と鏡を見つめ、乳房が小刻みに震えている。

 「先生。今夜の当直は、それを着てよ」
「いや。こんなの娼婦と同じよ。絶対に着ないからね!」直美は拒んでいる。
「だったら、仕方ないわね。この写真を公開するしかないわ」
そう言われると「着ますが、黒はいやです。せめて、白にさせて下さい…」承知する
しかない。

「仕方ないわ。白だったら、ランジェリーショップにもあるし…」
「その代わり、今日はその姿になって貰うからね」
「わかってます。ヌードになりますから、公開だけはしないで下さい」うなだれる直
美だ。

 「そうと決まれば、白を買わないと」
「そうよ、先生早く服を着てよ」
直美は、黒いストッキングとガーターベルトだけの姿の上に、シャツとスカートを着
込んだ。

 直美が着終えると、カラオケ店を出て、ランジェリーショップのドアを押した。
「いらっしゃおませ!」店員が出迎え、直美は白いストッキングとガーターベルトを
注文していく。

 すると「私も買おうかな!」香奈は白いレースのパンティを買い込んだ。
(私には、卑猥なのを買わせたくせに)黙ってみている直美だ。
真澄もブラジャーを買ったが、おとなしい品物だ。
「これは、仕事用なの」言い訳をするかのように、香奈と真澄が直美に言い、3人は
買い物を済ませると、レストランで食事をしていく。

 「先生、今日の当直でしたよね。香奈と私も当直なの」真澄が話しかけた。
(そんな~。今夜は辱める気ね…)楽しい食事も、一瞬にして不安になってしまった。
「先生。今夜は楽しく、当直をしましょうね」香奈も笑顔になっている。
2人の目が輝いていたのが、直美にもわかり、躊躇していると「ほら、早く食べない
と!」香奈から催促された。

 レストランで食事を済ますと、直美と香奈達は別れていく。
住まいが違うからだ。
直美は病院の近くのマンションだが、香奈と真澄は離れた寮に住んでおり、直美は一
人でマンションに向かって歩いて行く。

  マンションに入り、エレベーターを待っていると「あ、裸のお姉ちゃんだ!」あの
子供が走り寄ってくる。
(黙っていて。お願いだから)直美は赤い顔になっている。
「違うよ、裸のお姉ちゃんじゃないよ」もう一人が言う。

 「そうかな、違うのかな?」2人の子供は去って「よかったわ。見られたのが子供
で!」ホッと、胸をなで下ろしていくと「ポーン!」チャイムが鳴った。
直美は開いたドアからに入り、エレベーターで自分の部屋に向かった。