『加奈子 悪夢の証書』
 
                 Shyrock:作
第4話


 「え?なぜ吊るされるんですか!?そんなこと絶対に嫌です!お金は
必ず返しますから、乱暴なことはやめてください!」
「奥さん、心配せんでもええ、大人しくしてたら怪我はさせへん。わし
らは奥さんの処遇を委任された訳やから何をしようと勝手なんや。ぐひ
ひひひ」

 「そんな無茶な……」
「無茶とちゃうで。契約書に書いてあるとおり実行してるだけや。ごち
ゃごちゃ言うてても始まらへん。園木、奥さんをはよ吊るしてあげなさ
い!」
「やめてください!」

 園木はパイプ椅子を踏み台にして天井に向かい、頑丈そうな梁にロー
プを引っ掛けた。
一方、園木が準備をしている間、阿久原はキョロキョロと室内を見回し
ている。

 「ほほう、さすがに社長宅の造作はちゃいまんなぁ。ヒノキなどごっ
つうええ建築資材をつこてはるなあ。さぞかし奥さんの身体の資材も上
物なんやろなぁ」
「変なこと言わないでください!」
「まあ、そう怒らんでもええがな。どれ?」

 阿久原はブラウスの襟元を広げ中を覗き込んだ。
「ひぃ~!やめてください!」
加奈子は拘束されている手首を振りまわし抵抗した。

 その瞬間、加奈子の平手が阿久原の頬に命中してしまった。
「いたっ!何すんねん!」
「ごめんなさい……」
「ちょっと覗いただけやのに、どつかんでもええやろう」

 「ぶつつもりはなかったんです」
「まあ、ええ。後からこのお返しはたっぷりさせてもらうさかいに覚悟
しときや。ぐふふふ。おい、園木、どうや、準備はでけたか?」
「はい、この通り梁にしっかりと括りつけたので大丈夫です。あとは奥
さんの手首と連結すれば完了です」

 「よっしゃ、ほんなら早速、奥さんを縛ったげてくれるか。この奥さ
ん放っておくと私を叩きよるさかいなあ。あ~いたぁ、まだほっぺた痛
いわ。」

 まもなく天井から垂れ下がったロープが加奈子の手首と連結し、文字
通り加奈子は『吊るし』の状態にされてしまった。
ただし映画等の拷問シーンで見かけるような、足が床や地面から完全に
離れてしまうような『宙吊り』ではなく、爪先を床に着けることが出来
た。

 それでも両手を真上に伸ばす姿勢は、加奈子にとってかなりつらいも
のがあった。
「どや、奥さん。しんどいか?」
「・・・・・・」
加奈子は返事をしなかった。

 「それにしても、奥さんて色白やなあ。それに肌もきれいそうやし。」
阿久原は嫌らしい目つきで加奈子をしげしげと眺めた。

 「服着たまま吊り下げられたら窮屈でしんどいやろ?おい、園木、奥
さんの服、脱がせてあげないさい。」
「はい。」
「や、やめてください!」

 園木はブラウスのボタンを外しにかかった。
「いや、やめてっ・・・お願いです、やめてください・・・」
加奈子は半泣きになって園木に哀訴した。
「それは無理な注文ですね。」

 園木は冷徹に突き放した。
ボタンを外すのに園木が意外と手間取っているのを見て、阿久原は催促
をした。

 「う~む、辛気臭いなあ。1つ1つボタン外さんでもええんや。服を
裂いても構わんから、はよ脱がしてあげなさい。奥さんもはよ脱がされ
たくてウズウズしたはるやろし。」
「そ、そんなことありません!や、やめてぇ~~~!」

 (ビリビリビリ~!)
園木は加奈子の着ているブラウスの胸元から、力ずくで引き裂いてしま
った。
見るも無残にブラウスは引き裂かれ、ボタンが飛び散り床に転がった。
「ひどいわ・・・」