『もえもえ おいしい話』
 
                    Shyrock:作

第7話「膣鏡と潤滑油」

 包皮がめくられクリトリスが剥き出しにされると、ゆるやかな空気の動きが粘膜に
伝わって来た。
女性にとってクリトリスは、微風が吹いても分かるほど鋭敏なもの。

 そんなクリトリスにノギスが触れそっと挟まれた。
(ひゃあ~~~! そげんところ、挟んだらダメ~~~!)

 「はい、陰核4ミリ……」
「陰核が4ミリですね」
(ふ~、やっと終わりかな?)

 「検査はまだありますよ」
(そげん! なんで心が読まる~と!?)

 「会唇 35ミリ……」
「陰部から肛門までの長さですね。35ミリと……」
(会唇!? ひぃ~!)

 病院や保健室でもいまだかつて測ったことのない箇所の計測に、もえもえは震撼し
た。
それだけではない。
性器だけで終わると思ったら、さらに恥ずかしい穴まで測りたいという。

 「腰をくの字に折り曲げてもらえますか」
 仰向けに寝て腰をくの字に折り曲げると、性体位で言うところの『屈曲位』のよう
な姿勢になってしまう。

 陰裂も完全に露出してしまうだろう。
耐えがたい姿勢だが、ここまで来て断るわけにはいかない。
もえもえは懸命に屈辱に耐えながら、腰を丸めてくの字にした。

 目隠しをしていても男たちの強い視線を禁じ得ない。
肛門に熱がこもりヒクヒクと収縮する。
ノギスがあてられた。

 「肛門 12ミリ……」
(いやだぁ……肛門サイズまで測る必要あると……?)
「肛門 12ミリ」
測定結果を細田が熱心に入力していく。

 「では肛門の皺の数を測ります。草木さん、少しくすぐったいかもしれませんが、
じっとしててくださいね」
(げっ! 肛門ん皺ん数ば測るって!? 冗談やろう!?)

 車山医師は器具をあてて皺の数を数えているようだ。
もえもえは愕然とした。
「肛門の皺 16本……」
「肛門の皺 16本」

 車山医師も記録係の細田も事務的であるところから、検査は極めて真摯に行なわれ
ているようだ。

 「疲れたでしょう? 次が最後ですよ」
(ふぅ~、やっと終わりだ~。最後ん検査って何やろう?)
ホッとしたのもつかの間、もえもえは驚愕の通告を受けた。

 「では最後の検査項目は『膣長測定』です」
「ええ~っ?まさか! アソコの深さも測るんですか?」
「もちろんですよ。じゃあ、今から膣鏡を挿し込みますので、しばらく動かないでく
ださいね。少しだけ痛いかも知れませんが」
「は、はい……」

 膣鏡の素材はポリサルフォン樹脂でできており、直径が約15ミリ、長さが100
ミリの計測器であった。
目盛りはミリ単位で刻み込んであり、膣検診に使用されるクスコとは異なる。

 もしも、もえもえがアイマスクを着けていなければ、器具挿入を拒んでいたかもし
れない。
「では、入れます」

 車山医師は亀裂の左右に指をあてがうと少し広げて、膣鏡を構えた。
もえもえは緊張に包まれ、身体がコチコチに硬くなっている。
膣鏡が膣口に触れた。

 (ググッ……)
「あっ、ちょっと痛いです……」
いくら男性のシンボルより細いと言っても、潤滑油がないと女性にとっては辛いもの。

 「う~ん、かなり狭いですね。性交渉は3か月ほどしてないと言ってましたね?」
「はい……」
「女性はセックスから少し遠ざかり、男性器以外であっても久しぶりに挿入されると
痛い場合があります。でもご心配なく、少しだけでも潤滑油を滲ませるとスムーズに
入りますので」

 「潤滑油を滲ませるって? もしかして……」
「はい、潤滑油を滲ませるために、少しだけ器具を使いますが、危険性はありません
ので安心してくださいね」

 「器具って何を使うんですか? 変なことしないでくださいね」
「ええ、大丈夫ですよ。それじゃ最初に軽くマッサージをしますのでね」
「マッサージって……どこを……」
「ここです」
「……」

 車山が触れたのは恥骨であった。
茂みの上を円を描くようにクルクルと撫でる。
もえもえは愛撫と言っても過言ではないような車山医師の指さばきに息を潜めた。

 もう一方の手が加わり大陰唇に触れた。
「あっ……」
「心配しないでくださいね。マッサージをするだけですから」
「はい……」

 車山医師は肉厚な大陰唇をギュッギュッとつまみあげ指圧を始めた。
同時に恥丘に乗った指にも力が加わった。
(やだあ~、アソコばマッサージされるのって初めて~。なんか変な気分だな~)

 (キュッキュッキュッ……)
(あぁん……ちょこっと感じて来よるかも……や~ん……)
もえもえは身体の奥の方からかすかに熱いものが滲み出てくるのを感じた。

 「草木さん、『もみまん』と言う言葉を知ってますか?」
突然車山医師がもえもえに尋ねてきた。
「え……もみまん?『紅葉饅頭』のことですか?」

 「違いますよ。今、やってる指圧を俗にそう呼ぶんです。女性はこの大陰唇を揉ま
れると、血流がよくなり疲労が取れるんですよ」
「え? あぁ……そうなんですか……」
(クイックイックイッ……)

 恥骨に加わっていた圧力がゆっくりと下方に向かう。
同時に、大陰唇を触れていた指が上方へと向かう。
二方向からの指圧がもえもえの身体の最もデリケートな箇所で合流した。

 (うそ! そこはいけんばい!)
そろりと陰核包皮が拡げられ、クリトリスが剥き出しにされてしまった。
車山医師が二本の指でやさしく摘まむ。

 突然の刺激に身体をビクンとさせるもえもえ。
「先生、そこは弄っちゃダメですぅ……あ~、こまりますぅ……」


                

   この作品は「愛と官能の美学
」Shyrock様から投稿していただきました