『もえもえ おいしい話』
 
                    Shyrock:作

第6話「羞恥の測定」

 片方ずつ足を抜き小さく丸まったショーツを先程脱いだ衣服の下に潜り込ませる。
その仕草を舐めるように見つめる男たち。
もえもえは体温が一気に上昇したような錯覚を覚え、恥ずかしさのあまり両手で顔を
覆った。

 中村社長がポツリとつぶやく。
「そんなに恥ずかしがることはないよ。とてもきれいで魅力的な身体をしているじゃ
ないか」
「……あ、ありがとうございます……」

 全裸になったもえもえは恥かしそうに男たちの前に立っている。
まもなく中村社長からソファに横になるよう促された。
もえもえは不安な表情を隠し切れないまま、無言でソファにゆっくりと仰向けになる。

 車山医師が細田に指示をした。
「細田くん、そのアイマスクを草木さんに着けてくれますか?」

 車山医師の言葉にもえもえは驚いた。
「先生、どうしてアイマスクなんか着けるのですか? なくても大丈夫なんですけど」
「見えるとドキドキして血圧が上がりやすくなります。精神を安定させるため着ける
だけなので、安心してください」

 「そうですか……」
もえもえとしてはアイマスクを着ける方がむしろ不安であったが、これ以上の発言を
自重した。
現時点で出演のチャンスはかなり濃厚といってよいだろう。

 余分な発言から中村社長らの心証を害することになって、機会を逃しては元も子も
ないではないか。
もえもえは言われるがままに従おうと思った。

 「ではアイマスクを着けますよ」
細田がもえもえに声を掛けると、パッケージから取り出したアイマスクでもえもえの
視界を覆った。

 ふだんからアイマスクなどしないもえもえにとっては、暗闇にはすぐに慣れない。
馴染みのない男たちの目前で全裸になり、ソファに寝かされ、視覚まで遮られ、平然
としていられる女性などまずいないだろう。

 心臓が激しく鼓動する。

 「はい、それでは脚を広げてください」
車山が事もなげにいう。
医師にとってはふつうの言葉。もえもえにとっては過酷な言葉。

 (うわあ、いやばい……ばってん開かおらんと測れんもんね)
ためらいがちにわずかに太腿を広げるもえもえ。
すらりと伸びた美しい脚が、緊張のせいでかすかに震えている。

 「う~ん、それじゃ測れませんね。もっと広げてくれないと……」
落ち着いた声で淡々と語りかける車山医師。
(え~?もっと開かないかんと?いやばい……)

 もえもえはようやく観念してもう少し脚を開いた。
「う~ん、もう少しかな? もう少し開けますか? そうそう、もう少し、もう少し
……」

 車山医師はもえもえの両膝に手を当てて、少しずつ脚を割開いていく。
「いいですよ。そのまま動かないでくださいね」
さきほどまではわずかにしか見えなかった女の河川は、脚を広げたことによって完全
にその姿を現した。

 川を支える左右の土手はこんもりと隆起しており、いわゆる『ドテ高』と呼ばれる
名器の形状を呈していた。
もえもえからは見えないことを良いことに、男たちは股間に顔を近づけ食い入るよう
に覗き込んだ。
細田や横山にいたっては、今にもよだれを垂らしそうな表情で目を爛々と輝かせている。

 そんな中、車山医師が事務的に告げた。
「では、今から陰部のサイズを測定します」
「……」

 もえもえの緊張が高まり、口の中がカラカラになっている。
さらには、身体がこわばり無意識のうちに手はソファをつかんでいた。

 やがて股間に冷たい器具が触れた。
もえもえからはまったく見えないので、不安ばかりが募る。

 測定には医療用ノギスが使われた。
肉貝の亀裂に沿ってノギスがあてられ、車山医師が真剣なまなざしで陰裂の長さを測
定している。

 金属器具の冷ややかな感触が、もえもえの敏感な個所に伝わってくる。
測定のためとはいえ、ときおり微妙な部分に指が触れ、もえもえはその都度びくりと
した。

 車山医師がサイズを読み上げる。
「陰裂 78ミリ……」
(ふへ~、割れ目ん長さってそげんあるったい! あぁ、早く終わんなかかにゃあ…
…)

 「はい、陰裂78ミリですね」
性器のサイズを声に出して発表され、もえもえは恥ずかしくて消え入りたい思いであ
った。

 測定は続く。
(あぁん……くすぐったか。あんまり触れなかで欲しいなあ)
「陰唇幅左辺24ミリ。陰唇幅右辺、23ミリ。ほう~、なかなかふくよかな良い大
陰唇をしていますね」
 
 車山医師が性器について所見を述べた。
(確かにうちん大陰唇はふっくらとした感じだばってん、それってよかね?)

「陰唇高12ミリ。ふむふむ、因みに成人女性の平均が8ミリくらいなので、かなり
高い方ですね」
「……」

 そこへ中村社長が口をはさんできた。
「先生、つまりは『モリマン』ってことですか? 男性間では名器ともてはやされて
おりますが」
「はい、そのとおりです。ただし医学上は『モリマン』とは言いませんがね。ははは
はは」

 「はい、では陰核の大きさを調べます」
(ひぇっ! 陰核って、もしかしたらクリトリスんことやなかと!? やばか~!)
「そんなところまで測るんですか!?」
「はい、測ります」

 車山医師は人差し指と中指をV字にして、そのままの形で、クリトリスの周りの皮
をはさみ、そのまま左右の包皮を広げる。
その瞬間、思わずもえもえは声をあげてしまった。
車山医師の態度は相変わらずクールだ。


                

   この作品は「愛と官能の美学
」Shyrock様から投稿していただきました