『もえもえ おいしい話』
 
                    Shyrock:作

第5話「スリーサイズ測定、そして」

 乳首にメジャーが当たり、少しくすぐったい。
豊かな乳房の頂上に両端の金具がピッタリと張りついた。

 「トップ……86」
細田が反応する。
「トップバストが86ですね。かなりでかいですね。カップは『E』ってとこですか」

 「細田くん、余計なことは言わなくていいです」
トップバストとアンダーバストの差を即座に計算し、嬉々としている細田に対して、
中村社長が注意をした。

 メジャーがバストから腹部へと移行した。
「う~ん、ウェストは56。かなり細いですね」
「……」
「次はヒップ」

 計測がヒップへと移った。
ヒップサイズは、尻が一番突き出している部分、一番高い部分を測る。
「ヒップ84。よく引き締まったよいお尻をしているね」
車山医師がもえもえの肉体を褒めたたえた。

 「どうもありがとうございます。あ、先生、測定はもう終わりですか?」
「うん、スリーサイズは終わったけど、まだ計らなければならない場所があるんだ…
…」
「え?まだ計る場所があるのですか?」
「うん……」

 もえもえの質問に対して、車山医師は口ごもった。
何やら妙な空気が流れる中、中村社長が重い口を開いた。
「え~とね……ちょっと辛いかも知れませんが、女優になるためにはこれもひとつの
通過点だと思って我慢して欲しいのです。あなたははきっと大成する人だと思うので。
できますね? いいですね?」

 結局、中村社長も遠回しにしか言わない。
「えっ? え……? どういうことですか? 我慢するって……一体どこを測るので
すか?」
身長と体重はすでに履歴書に記入済みだし、スリーサイズだってたったいま計測した
ばかりだ。

 測定場所がまったく想像できず、もえもえは困惑するばかりであった。
まもなく中村社長がアイコンタクトを送り、車山医師が真顔で語り始めた。

「はい、では今から陰部を測定しますので、パンツを脱いでソファに仰向けに寝てく
ださい」

 「えええ~~~!? うそ~~~っ! そんなぁ~~~! 陰部って……もしか
して『アソコ』のことですか?」
「はい、そうです」

 車山の落ち着き払ったような態度に、もえもえは腹立たしく思えた。
(いやばい……なんでアソコば計らないかんとか……)

 「どうしてですか? どうして女優になるためにアソコのサイズを測らなくてはな
らないのですか?」
「それはですね……」

 「車山先生、それはプロダクションの責任者として私から草木さんにご説明しまし
ょう。草木さん、よく聞いてくださいね。さきほども言いましたとおり、私どものプ
ロダクションでは所属する女優さんの魅力を最大限に発揮していただきたいと常々考
えています。そのためにはその女優さんの詳細なデータを管理しておく必要があるの
です。なお、情報を外部に漏らすようなことは絶対にありませんのでどうかご安心く
ださい。

 いかがですか? ご協力いただけますか? どうしても嫌だとおっしゃるなら仕方
がありませんが……強制はできませんので。ただしその場合は、今回の出演の件は見
合わせていただきますので、あしからずご了承ください」

 もえもえは困惑した。
(困ったなあ……。あげん恥かしい場所ば測らる~なんて嫌ばい。ばってんギャラが
魅力的やし、ばり女優になる~かも知れんし……どうしようかなぁ……)

 決断に迷っているもえもえに、車山はやさしく語りかけた。
「草木さん、恥かしくてためらう気持ちは十分に理解できます。でもこれら一連の検
査はこちらの事務所の方針ですし、それに他の女優さんだってみんな同じ道を辿って
来たのですよ。決してあなただけじゃないのです。測定は今回1回限りのことですし、
勇気を振りしぼってみませんか? せっかくのチャンスを棒に振ることはないと思い
ますよ。どうですか?草木さん……」

 (そうか、ほかん女優さんも同じような検査ばしと~ったい。それに計るんは今回
だけやし。やさしそうな車山先生もそう言いよ~しね。よし、では思い切るとするか
!)

 なかなか決心がつかないもえもえであったが、ようやく決断した。
「では……測ってください。私、やっぱり映画に出たいです」
きびしい表情をしていた中村社長であったが、一瞬にして穏やかになった。

 「おお、了解してくれますか? それはよかった。じゃあ、車山先生引続きよろし
くお願いします」
「はい、分かりました。では草木さん、パンツを脱いでそこのソファに仰向けに寝て
ください」

 「はい……でも恥かしいなぁ……」
もじもじしてなかなか脱がないもえもえに中村社長が促した。
「草木さん、車山先生はこの後、医師会の会議に出席される予定なんです。急かせて
悪いけど、少し迅速にしてくれませんか?」
「あっ、はい! 分かりました!」

 もえもえはついに覚悟を決めて水色のショーツに手をかけ膝下まで一気にずり下げ
た。
男たちの視線は一斉に薄めの黒い翳りに注がれた。
恥丘がなだらかに膨らんでおり、実に美しい曲線を描いている。
陰毛の面積が少なめなので、縦に走る筋がはっきりと窺える。


                

   この作品は「愛と官能の美学
」Shyrock様から投稿していただきました