『恵 快楽出張』
 
                    Shyrock:作
第9話


 (ズンズンズン!ズンズンズン!ズンズンズン!)

 騎乗位は女が垂直になる時に最も深く結合する。
女が前屈すれば、結合は浅くなってしまう。
だけど、男が自分の膝を少しもたげるだけで深さは十分に確保できる。
三谷は膝を立て腰を押し出すような姿勢で突きまくった。
惠は何か言葉を発したようだが、喘ぎ声と混在してすでに呂律が回っていない。

 「あぁ~そこっ……ふぁ~……いい……あっ……いやっ……すご!……はふぅ~、
あぁぁ~……そこぉ~……あぁ、いい~……はぁ~ん~……」

 (ズンズンズン、グリュグリュグリュ~……ズンズンズン!グリュグリュグリュ~
……!)

 三谷は肉棒を深く押し込んだあと、引き戻さず、円を描くように回転させている。
そのため、奥の方で肉と肉とが激しくこすれ合う。

 「あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁ~~~~~そこはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁ~~~~~~~~~~……」
「はぁはぁはぁ、ここ、いいの?」
「いい、いい、いい~……あぁぁぁぁぁ……あぁぁぁぁぁ~~~……」

 (グリュングリュングリュン……グリュングリュングリュン……)

 「あっ、あっ、あっ、あっ……あっ、すごく……いい~~~~~~!!」

 (グリュングリュングリュン……グリュングリュングリュン……)

 惠はこの歳になるまで何人かの男性と肌を重ね合わせたが、これほど奥地で快感を
与えてくれる男はいなかった。
奥地で味わう快感は、クリトリスやGスポットとはまったく違う。
『身体の芯』が覚醒していくような不思議な感覚に酔いしれる。
 初めて経験する甘美な旋律とスパイシーな響き……

 惠が絶頂への階段を駆け上がるのに、多くの時間を要しなかった。
高波はついに防波堤を突き破ってしまった。
「あぁ、だめぇ……あっ、だめっ! イクっ!イクっ!イクっ! あぁぁぁぁぁ……
イクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ………………!!!!!」


 ベッドに備え付けてある目覚ましが、けたたましく鳴り響いた。
「ううむ……」
惠はゆっくりと眼を覚ました。

 「ふぁ~……」

 惠の脳裏に昨夜のマッサージ師がぼんやりと浮かんだ。

「あぁ……昨夜はすごいことしちゃったぁ……まさかあんなことになるなんて……」
よいセックスをした翌朝は、普段とは違う『心地よい疲れ』が残っている。
 
「はぁ……」

 めくるめく悦楽の昨夜……
歓喜にむせび激しく乱れてしまった……
思い出すだけで顔が赤くなる・・・

 惠はベッドの中でまどろみながら、昨夜のことを回想していた。

 「あっ、だめだわ。今日大事な仕事なのに……」

 昨夜の余韻を振り切るかのように、惠はベッドから飛び起きた。

「ん?あら、ちゃんとパジャマ着てるじゃん。あはは、案外行儀の良い私。あははは
は……ん?でも、おかしいなぁ。昨夜エッチしたあと寝ちゃったと思うんだけど。い
つパジャマ着たのかしら。もしかして、あの優しい彼が着せてくれたとか……。でも、
まさかねえ……。まぁ、いいや、起きよっと」

 惠は化粧ポーチからリングレットを取り出し、髪を後で束ねた。
ふだん滅多にポニーテールにはしない惠だが、洗顔時は例外だ。

 惠は洗面所に行こうとした時、床に何か落ちているのを見つけた。
それは黒っぽくて皮紐のようなものだった。

 「ん?何これ……?携帯用のストラップじゃないの……」
それはシンプルなレザー製でメンズライクなものだった。


                

   この作品は「愛と官能の美学
」Shyrock様から投稿していただきました