『恵 快楽出張』
 
                    Shyrock:作
第4話


 「はい、実は子宮の働きを促進させる効果があるんです」
「え……?子宮の働きを……?」
「はい」

 そう言われれば確かに、背骨の両側に潜む腰のツボを指圧されることで、刺激が下
半身に伝わり、下半身自体がだんだん熱くなっていくような感じがする、惠は思っ
た。
 
 だが、惠としてはその感覚を言葉にするにはためらいがあった。

 「いかがですか?」
「は、はい……気持ちいいです……」
「そうですか」

 背骨の両側へのマッサージが終わると、指圧は足先へと移った。
三谷は惠の足首を持って、足指の間に指を一本ずついれて入念にマッサージを施した。

 「あぁ~……」
「いいですか?」
「はい……すごくいいですぅ……」

 次に、指圧は土踏まずへと移った。
三谷は土踏まずを中心に足裏を親指で入念に指圧しながら、ふくらはぎを膝裏まで揉
み始めた。

 「い、いたっ……」
「痛いですか?」
「ええ、でも、痛いけど気持ちいいような……」

 その動作が10分ほど続いた。
初めのうちは、時折顔をしかめていた惠であったが、身体がほぐれていくに連れ、次
第にうっとりとした表情へと変わっていった。

 惠は身体が癒されていく快感とともに、別の快感が芽生え始めていることをすでに
気づいていた。

 「どうしたのですか?顔が少し紅いようですが?」
「え?そうですか・・・?身体が温もってきたからじゃないかしら……?」
「もしかして、感じてきたとか?」
「そ、そんなこと……」
「感じてきたとしても全然恥ずかしいことじゃないですよ。」
「いやだわぁ……あはは……」

 女性はバストやヴァギナといった超敏感ポイントでは、性感度が容易に高まるもの
だが、手足などのパーツ部はなかなか高まらない。
ところが、そんな高まらない遅い先端部分をゆっくりと揉みほぐし性感度を先に高め
ることが、実は、より激しい性感度を求めるための隠し技であったが、当然、惠がそ
れに気づくはずもなかった。

 また、遠い先端部分からの指圧はまことしやかであり、相手に安心感を与える効果
もあった。

 三谷は足指と同様に、腕や手の指も一本ずつ丁寧にほぐした後、付け根から二の腕
まで爪をやさしくあてて撫で上げていった。

 「あぁ……」

 撫で下ろす時は、腕の裏側や側面を指使いを変えて刺激した。
三谷はその延長で、意外な行動に移った。
突然、揉んでいた指を自分の口に咥え、一本ずつしゃぶり始めたのだ。

 これには惠も驚き、思わず声を荒げてしまった。

 「きゃっ!いやっ!そんなこと!」
「驚かせてすみません。でも、だいじょうぶですよ。これも指圧の一環ですので」

 三谷はそういうと、悪びれることなく、再度惠の指を口に咥えた。
(ちゅっ……ちゅっ……)

 「あぁ……」
(ちゅっ……ちゅっ……)

 「いかがですか?満更でもないでしょう?」
「……」

 まるで愛撫とも言える指へのマッサージは終了した。
その頃、ショーツの中はぐっしょりと湿ってしまっていた。

 「どうも失礼しました。では次はローションを使ってマッサージをしましょう」

 三谷はそうつぶやくと、惠の肩や膝といった丸みの有る部分にはローションを塗り
始めた。

                

   この作品は「愛と官能の美学
」Shyrock様から投稿していただきました