『惠 淫花のしたたり』
 
                    Shyrock:作
第8話

 (あぁっ・・だめぇ・・・あぁん・・・いやぁ~・・・あぁぁぁぁぁ)

惠は不思議な快楽の波間をさまよっていた。
その感覚は性交時に酷似している。

 だけど植物に捕獲された今、男根を挿入されているとは考えにくい。
では一体何が惠をそのような感覚に陥れているのであろうか。
惠は困惑した。
仮に、自分を捕えた『植物X』が肉食であれば、すでに自分は食されているであろう。

 ところが、現在手足などの自由は利かないが、生きていることは確かだ。
では『植物X』は何の目的で自分を捕らえたのであろうか。
そしてこの性的な興奮は何によるものであろうか。
歓喜の波が押し寄せて、冷静な思考が途切れ途切れになってしまう。

 肉道を硬い海面体のようなものが激しくこすりつけている。
(あぁ・・あああっ・・・はぁあああああ~~~・・・)

 その動きは実に規則正しく機械的だ。
機械的ではあるが、性感を確実に捉え攻めて来る。

 (ズン、ズン、ズン、ズン、ズン・・・)
(いやぁ~・・・だめ!感じる~感じちゃう~!そんなにこすらないで~!いやぁぁ
ぁぁぁ~~~!)

 (ズン、ズン、ズン、ズン、ズン・・・)
惠を責め苛むものの正体は『植物X』の蔓であった。

 『植物X』は糖分を摂取することにより生命を維持している。
虫や植物にも糖分は微量含まれてはいるが、それよりももっと効率的に摂取できるも
のがあった。

 それは女性の膣液である。
膣液の成分は血液の成分でもある血漿が主体であるが、その中にはタンパク質や糖分
などが多く含まれている。

 つまり『植物X』は惠を食するために丸呑みにしたのではなく、惠が放出する愛液
を欲していた。
そのため蔓が男性のペニスの役目を果たし、惠の膣に食込みピストン運動を開始した
のであった。

 蔓は海綿体でできており、適度な硬さがあり、先端が亀頭のように膨らんでいた。
そのためこれを受入れた女性は男根を挿入されたものと錯覚を起こしても無理はなか
った。

 惠の膣壁からは大量の膣液が溢れ、それが潤滑油となって蔓の挿入を容易にしてい
た。
蔓の先端には無数の触手が生えており、滲み出た膣液を絡めとる役割を担っていた。

 女性の身体は感じさえすれば、膣液をおびただしく放出させることのできる仕組み
になっている。
少々蔓が膣液をすくい取っても、潤滑油が尽きることはなかった。

 (ズン、ズン、ズン、ズン、ズン・・・)
「あぁぁぁぁぁ~~~・・・はぁぁぁぁぁ~~~・・・」

 その頃、山田教授と学生たちは温室に駆け込み、『植物X』へと向かっていた。
「きょ、教授、説明してください!『植物X』と行方不明になった女性とどんな関係
があるのですか!?」

 途中、4年生の米田が山田教授に尋ねた。
山田教授は真剣な表情でつぶやいた。

 「まだはっきりとは言えないが、あの『植物X』はとんでもない花かも知れない。
今からそれを解明する」
「とんでもない花とはどう言うことですか!?」

 「もしかしたら、肉食花かも知れないと言うことだ」
「に、肉食花!?つ、つまり『植物X』が人間や猫を食べたと言うのですか!?」
「その可能性はある。しかし今の段階では何とも言えない。とにかく調べてみないと」

 山田教授の驚くべき説明に他の学生たちもざわめき立った。
由紀は真っ青な顔をしている。
「せ、先輩が食べられてしまったと言うことですか・・・?そんな酷いこと・・・」
由紀は声を詰まらせた。

 「いや、まだそうと決まったわけじゃないから。とにかく急ごう」
まもなく山田教授たちは『植物X』が保存されている場所に到着した。


                

   この作品は「愛と官能の美学
」Shyrock様から投稿していただきました