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『球 脱獄(推敲版)』
Shyrock:作
第3話 食欲と性欲
「おまえは高校生か?」
「はい」
「何年生だ?」
「3年……」
「どうして家で制服を着てるんだ?」
「ピアノコンクールが近くて、着替える前に練習したくて……」
「ふうん、ピアノが弾けるのか?」
「うん」
原口は調理中の球の斜め後方から、制服姿をなめるような視線で見つめている。
そして突然球に襲いかかった。
「きゃあ~~~!」
「制服姿を見ていると急にムラムラしてきたぜ! 少しぐらいいいだろう? な?
触らせろよ」
「やめて~~~!」
「おい! 大声を出すな!」
球は手を振りまわし抵抗したが、包丁で脅されあえなく諦めた。
「おとなしくした方が身のためだぜ。今度暴れると承知しねえからな。冗談じゃね
えぜ」
「……分かった」
「分かったならいい」
原口はにやりと笑って、球のスカートを捲くりあげた。
「いやっ! やめて!」
「えへへへ、かわいいパンツを穿いてるじゃねえか」
スカートを捲りあげられ、純白の木綿ショーツが完全に露出してしまった。
ごつごつと節くれだった手が、よく引き締まった臀部に伸びる。
「やめてっ!」
「へっへっへ、久しぶりの感触だぜ」
「いやぁ……やめて……お願い……やめて……」
「ふん、何を言ってやがる。触ったって減るもんじゃねえし。仲良くしようじゃ
ねえか。俺もムショ暮らしが長かったものでこの感触は久しぶりだぜ。へっへっへ、
それにしていいケツしてやがるじゃねえか?プリプリして最高だぜ。おまえ、歳は
いくつだ?」
「18です……」
「ほほう、18か。18と言えばもう大人だ。もちろんセックスの経験はあるん
だろう?」
「そ、そんなこと……言えません!」
「ちゃんと答えろよ」
原口は節くれだった指で球の尻肉を揉みながら、耳元ですごんでみせた。
恐怖感と不快感が球を支配する。
小声ではあっても、前科を重ねてきた男の凄みのようなものが感じられる。
突然不法に侵入して来た見ず知らずの男に対して、答える必要のない私事であった
が、今は正直に答える方が安全と考えた球は喉の奥から声を絞りだした。
「あるわ」
「やっぱりな。最近もやったのか?」
「そ、そんなこと……」
「答えなよ」
「先週、土曜日にしたわ……」
「へっへっへ、まだ最近じゃねえか? この可愛いケツをたっぷりと可愛がっても
らったんだな?」
「……」
「どうなんだ?」
原口は球の尻をギュッとつねった。
「痛い! 乱暴はやめてください!」
「じゃあ、ちゃんと答えろ」
「そうよ」
「なるほど、このケツをたっぷりと可愛がってもらったんだな? だけど尻だけじ
ゃねえだろう?」
「……」
「どうなんだ?」
「ううっ! 他もたくさん可愛がってもらったわ」
「そうか、妬けるじゃねえか。じゃあ、俺も同じことをしてやるぜ」
「冗談を言わないで」
「冗談かどうかすぐに分かる」
原口はそうつぶやくと、突然、球の股間に指を伸ばした。
(グニュ……)
「いやっ!」
ショーツの上からではあったが、生地が薄いため秘密の花園の形状は手に取るよ
うに分かる。
無骨な指はその形状を探るようになぞった。
「あぁ……やめて……許して……」
「ぐっふっふっ」
原口は口元に卑猥な笑みを浮かべながら、球の最も恥ずかしい箇所を蹂躙しつづ
けた。
「あっ、炒飯が焦げちゃう。ねえ? 炒飯が焦げるよ……」
「火を消せ。飯は後でいい。こっちが先だ」
球は空腹の原口に食事を提供することで、自分への注目から逃れようと考えたが、
原口の興味はすでに球本人へと移行してしまっていた。
人間には『三大欲求』と言うものがある。
それは、睡眠欲、食欲、性欲を三大欲求と言う。
人はみんなこの三つの欲をもっていて、どの欲も抑えることはできないと言われて
いる。
しかし、睡眠、食、性、どの欲求を満たすことが一番大切か、そしてその順位は、
人によってみんな異なる。
一般的には性欲よりも、食欲が優先されることは言うまでもないだろう。
ところが、時として性欲が食欲よりも優先されることがある。
飢餓状態であれば食欲が優先されるだろうが、原口の場合、刑務所では三度三度の
食事が提供されていた。
脱獄してから数時間が経過し、空腹であることは確かだったが、耐えられないほ
どのものではなかった。
人一倍女好きな男が長い刑務所暮らしにより激しく性に渇望している状況を考慮す
ると、秀麗な女子高生が突然目前に現れたわけだから、食事を差し置いてでも性を
優先するのは火を見るより明らかであった。
原口の激しい息遣いが球の耳に届いた。
鼻息がかなり荒くなっている。
男が野獣化している証だ。
球はおびえた。
逃げ出せるものならば、この場から逃げ出したかった。
だが野獣のような男に包丁を突きつけられては、逆らうことなどできなかった。
「スカートを押さえていろ」
原口は捲りあげたミニスカートを球自身に押さえさせた。
そして一気に白いショーツを引き摺り下ろした。
「きゃぁ~~~!」
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