「濡れた下着」 沼 隆:作 第4回 (16) 義弘は、慶鳳大学付属病院の大橋内科部長の部屋を訪れる。 気持ちが落ち込んでしまう相手だ。 ひとを、「サカキバラ」と呼び捨てにする。 看護婦や事務職員はもちろん、若い医師も呼び捨てだ。 周囲に誰がいようと、お構いなしだ。 「おい、サカキバラ!」なにが、おい、だ!傲慢で、横柄な男。 還暦を過ぎて、研究意欲などとっくに衰え、本業とはまったく関係のない時事評論めいたものを 週刊誌に連載している。 政権党を批判することで、世間に進歩的な人間だと思わせたいらしい。 辛口批評を組み立てるために、「進歩的」評論家の文章をつぎはぎして、自分の文体で書き直す。 その実、ごりごりの保守派なのだ。 一番熱心なのが、お金儲けなのだから。 普通の患者は、弟子たちに任せきりにして、内科部長室に閉じこもる。 ソファーにふんぞり返って、新聞・週刊誌を読みふけっている。 小遣い稼ぎのネタを仕込むために。 ふてぶてしい丸顔を見るたびに、義弘は不愉快になるのだった。 大橋教授に面会する用件は、簡単なことだった。 競合する桶田薬品を蹴落として全日本製薬の薬を使ってもらえるようになった、御礼の挨拶だっ た。 会社の上層部が、きちんとご挨拶する手はずになっていた。 今夜、赤坂で宴席が設けられ、日曜日には、ゴルフに案内する約束をキャンセルさせていただく お詫びでもあった。 「今夜から週末にかけて、天気が荒れ模様でございますから、宴席とゴルフは、日を改めまして …」今夜の宴会をキャンセルされて、露骨に不快感を表す。 差し出した現金の入った封筒を、大橋教授はにこりともせずに胸ポケットに納める。 傲慢不遜な大橋に何度も頭を下げるといういやな仕事を終えて、通路に出た。 空調が効いていても、ねっとりと肌にまとわりつくいやな湿気に、気が滅入る。 職員用通用口で、守衛に挨拶をして、外に出る。 軒先にたたずんだ。 雨が、一段と激しくなっていた。 風も強くなっている。 アスファルトに降り注ぐ雨が、水しぶきを上げている。 駐車場に停めてある会社の車に行き着くまでに、ズボンのすそがぐしょ濡れになりそうだ。 勤務を終えた職員たちが、義弘の脇をすり抜けていく。 疲労感からか、義弘は、駐車場のほうに視線を向けたまま、ぼんやりとしていた。 日本橋にある本社まで、たいした距離ではないのだが、帰社が面倒だった。 アスファルトを打つ雨音が、バシャバシャと耳障りだ。 何で、こんなにいら立つんだろう… 「どうしたの? 榊原さん」 「ん?」振り向くと、花井りん子が立っていた。 内科の看護婦だ。微笑みかけるりん子の表情が、鬱陶しい気持ちに一条の光をさしこむ。 内科の看護婦の中で、ひときわ気になる存在だった。 付属病院行きを命じられると、義弘は、気持ちが浮き立つのだった。 りん子に夫がいることを知ってがっかりした。 それでも、内科のナースステーションに顔を出すたびに、りん子の姿を探してしまう。 そういう義弘に、ほかの看護婦たちも気がついて、冷やかされる。 顔を出すたびに、言葉を交わす、ただ、それだけの間柄だった。 それで十分だった。結局義弘は、志帆と結婚することにしたのだった。 それから、5月の連休明けに、りん子の離婚を知った。 コンピュータ・プログラマーの夫とすれ違いの夫婦生活が続くうちに、夫に愛人ができ、子供が でき、離婚に至ったらしい。 「どうしたの? ぼんやりして…」 「いや…ちょっとね」 「お疲れ気味なのかな?」 「ん? まあ…ちょっとね」 「榊原さん、生真面目だから」 それから「部長のお相手して、気疲れしたんでしょ?」義弘の耳元でささやいた。 雨の匂いに混じって、化粧直しをしたばかりのりん子の匂いがする。 見つめたりん子の屈託のないまなざしに、義弘は口づけをしたくてたまらない。 「駅まで送るよ。車とって来る。ここで待ってて」信濃町の駅まで、以前乗せたことがあった。 「駐車場まで、一緒に歩こ?」 「いいのかい?」 「うん」車に乗り込んだとき、ふたりの足元はずぶ濡れになっていた。 携帯で、大橋教授に挨拶をした報告を会社に入れる。 「天気、荒れるからな、帰社しなくていいぞ」 「ありがとうございます」車を出す。 「会社に戻らなくていいそうだ。うちまで、送るよ」 「ありがとう…でも、荻窪だから…」 「そっか…いいよ、おくるよ。まっすぐうちに帰る気がしないんだ」 「ん? 奥さんと喧嘩でもしたの?」 「いや、そういうわけじゃないんだけど…」義弘は、花井りん子の部屋にいる。 結局、すすめられるままに、あがりこんでしまった。 手早く普段着に着替えたりん子は台所に立つ。 黒いタンクトップに白のミニスカート。 「テレビでも見てて」後姿を見つめられていることに気恥ずかしくなって、りん子はテレビのス イッチを入れる。 気象情報は、台風の接近を告げる。 「何にもないけど」手早く作った、焼きそばと餃子が食卓に並ぶ。 「飲むでしょ?」 「ああ、そうしたいけど…」 「帰るころには、醒めるよ」 「じゃあ、いただこうかな」向かい合わせに座り、ビールで乾杯をする。 「美味いよ」 「ほんと? 嬉しいな」 「雨も風もひどくなってきたなあ」ベランダの窓から、外の暗闇を見る。 りん子が、そばに来る。 強風に、雨粒がベランダの窓ガラスを激しく打つ。ときおり、突風が吹いて、ゴーという音を立 てる。 「怖い!……奥さん、心配ね」 「ん? ああ…大丈夫だよ。弟が一緒だ」 「弟さん?」「うん、予備校の講習受けに来てるんだ」 「そうなんだ……じゃあ、安心ね」 「ああ…」 でも、その妻が、おかしい……オレを愛してると、思えない……窓ガラスに映ったりん子が見つ めている。 義弘は、りん子を抱き寄せた。 顔を近づけるとりん子は目を閉じ、義弘の口づけに応えた。 舌が絡まりあう。 りん子の腕が、義弘の腰を抱く。 腕の中のりん子が、とても可愛らしい。 義弘は、りん子を抱きしめている指を背中から腰へと這わせる。 濃密な口づけを続けながら。 指が尻を撫でると、りん子はそこをぴくりとさせる。 はぁっ…りん子の口から漏れる甘い吐息が、義弘の口に注ぎ込まれる。 パンティは、しっとり濡れて、義弘の指先を濡らした。 「ああ…あああんんん…ああんんん…」 義弘の胸元に顔を押し付けているりん子の唇から、切ないあえぎ声が漏れる。 義弘はりん子を抱きかかえると、ベッドに運んだ。 「シャワー、浴びなくていい?」 「いいよ…りん子の匂い、好きだよ」パンティの脇から指を入れる。 淫裂をなぞると、そこは蜜でぐっしょり濡れていた。 りん子の感度がいいことを、義弘を求めていることをはっきり示している。 義弘は嬉しくなった。 抱き起こすようにしてタンクトップを脱がせ、ブラジャーを剥ぎ取る。 形のいい乳房がこぼれだす。 左の乳房をもみながら、右の乳房に口をつける。 右の乳首のそばに、ほくろがある。ほくろを舐め、それから乳首を吸った。 「んん…んん…んん…」りん子は、義弘の腕の中で、気持ちよさそうにしている。 スカートを脱がせる。 フロント部分にレースをあしらった、白いパンティ。 うっすらとヘアの翳。 勤務中のりん子の後姿を思い出す。 白いブラとパンティがくっきり浮かび上がる制服姿。 腰のゴムに指をかけ、パンティを引きおろす。 指を差し入れる。 淫裂の奥、秘穴に指が触れると、秘肉がぴくんとうごめき、とろりと蜜があふれ出す。 「すごく濡れるんだね」 「いやん…恥ずかしい…言わないで…」 前戯らしい前戯をしていないのに…恥ずかしがるりん子に足を開かせて覗き込む。 秘穴の入り口にたまった蜜をジュルッとすする。 「んんんん……」右の太ももの付け根にも、ほくろがある。 りん子に寄り添い、口づけをしながら、淫裂をまさぐる。 クリトリスのほかに、もう1箇所、左の陰唇に特に感じやすい場所があるのを探り当てる。 「ああん…ああん…あん…あん…あん…」 「ここ、そんなに感じるんだ」 「……うん、あ…そこぉ…すごくっ…き、もち、いいっ…」覗き込むと、そこは周囲に比べて、 一段と充血して真っ赤になっている。 2本の指で秘穴を開くと、蜜がこぼれだし、滴り落ちて、シーツを濡らす。 その指を肉の通路にさしこむと、クイクイと締め付けられる。 「ああ…いい…いいっ…」りん子の尻が、わなわなと震える。 「ねえ」 「ん?」 「いれて」義弘は、いきり立つ肉棒を、りん子に挿し込んだ。 「ああああああああああっ」 亀頭が押し広げるとき、りん子は喜悦の悲鳴を上げ、腰をヒクつかせた。 それから義弘の肉棒に肉壷を満たされると、義弘の背中にしがみつきながら、すすり泣いていた。 「セックスって、相性が大事かもな」 「奥さん、うまくいってないの?」 「ああ…」 「そうなんだ…」 「この話、よそう」 「うん…ごめん」 「いいんだよ…」 「今夜、泊まっていく?」 「いいの?」 「あたし、いいけど」りん子がシャワーを浴びているあいだに、義弘は自宅に電話をする。 呼び出し音を鳴らし続けても、志帆は出なかった。 嵐の音が、電話のベルをかき消しているのかも…りん子と入れ替わりに、シャワーを浴びる。 肉棒のヌルヌルを洗い流す。 志帆、シャワーかな…このとき、志帆はタツヒロの部屋にいた。 義弘の弟、タツヒロとひとつにつながって。 (17) 港区**にある都内有数の億ションの一室である。 ここでは、外の嵐は、何も関係がない。 機密性の高い室内では、吹きすさぶ風の音も、ガーデンバーティが開けるほどのテラスに降りし きる雨音も、かすかに聞こえるばかり。 40畳ほどのリビング、16畳ほどの寝室が2つ……そのリビングで、2組の男女が、全裸で絡 み合っている。 女たちのあえぎ声。 男たちの荒い息づかい。 静かな部屋に、空調の音が聞こえる。 この200平米ほどのマンションは、梶原竜成の所有で、一人娘、沙智が、独りで住んでいる。 沙智が慶鳳大学に推薦で合格すると、父親が溺愛する沙智に買い与えた。 梶原竜成は、**県の工業都市**市の中核企業である梶原化学工業を経営している。 市長を一族から出し、公共事業も一族の梶原建設が一手に握っている。 まちのボスといってもいい。 母親の美しさと父親の気の強さを備えた娘を、わがままいっぱいに育てた。 中学3年のときに家庭教師を誘惑して初体験をすませた。 それから、その男の友人たち、テニスのインストラクター、などと、次々に相手を変えながら、 性体験を重ねていった。 早熟な沙智が妖しい美しさを増していく様子を、父親は、「美しさは女の財産」と喜んだ。 娘の妊娠を気にして訊ねると、高2の娘は、「パパ、安心して。あたし、子供じゃないんだから」 そう答える娘の口元は、父親をかすかに冷笑していた。 家政婦から、ベッドサイドテーブルの引き出しに、コンドームの箱が入っている、と聞いて、安 心した。 それから、まもなくして、コンドームの箱が、ピルケースに代わった。 やがてはいいムコを見つけてやらねば…いくら気が強いといっても、梶原化学を継がせるわけに はいかない… メインバンクである東陽銀行の経営陣に入り込める男を… 結婚までに、せいぜい男というものを勉強しておくんだ… 慶鳳進学が決まると、それまで遊んでいた男たちとはきっぱり縁を切った娘を見て、父親は安心 した。 全裸の4人とは、沙智、沙智の男友だちのノブ、その友人の一平、一平のカノジョ、由香である。 ノブの父親は、帝都大学医学部教授で、双子の兄は帝大医学部に合格したが、高校時代に遊びす ぎた自分は、慶鳳に来たのだ、と言う。 「我が家じゃ、落ちこぼれサ」遊びなれたノブが、沙智は面白かった。 美しいカノジョ(沙智自身のことだが)を連れて遊びまわるのを楽しんでいるし、楽しい仲間を 連れてくるし、いつも沙智を遊びの中心にしてくれる。 先月、一平は、新しいカノジョを連れてきた。 由香である。由香は、慶鳳病院の看護婦である。 そして、先週、由香は、来客用の寝室のベッドで一平とセックスをした。 一平は、寝室のドアを開けておいた。 廊下を挟んだ向かいの寝室から、沙智とノブの性行為の音が筒抜けである。 沙智のあえぎ声、ベッドのきしむ音、由香は、興奮した。 そして今夜、2組のカップルは、同じ部屋で、リビングで、互いに見える場所で交わったのだ。 間接照明を落として薄暗くした部屋で。 由香は、沙智のあえぎ声、ノブの荒い息遣いを手が届きそうな場所で聞いて、一平の男根に突き 上げられながら、激しくイッた。 まるで沙智に張り合うかのように、のどの奥から絞り上げるようなうめき声を上げて。 由香は、流れ出したものを始末しに起き上がる。 沙智の声。 「ねえ、一平クン、日曜日、ここでパーティ開くんだけど、あたしの誕生パーティなんだ、来て くれるよね…面白い子、呼んでるんだ…」 「どんな子?」 「うふふ・・・」 「ねえ、どんな子なの?」 「エッチが大好きな子?」 「ふふ…そう…エッチが、大好きな子…」 「へえ、面白そうジャン」「いやだ、一平くん、その子どうにかするつもり?」 「な、なに言ってるんだよ…由香」 「一平は、由香ちゃん一筋だもんな…ふふふ」ノブがそういうのを、由香はうれしく思った。 一平が由香を愛撫し始めた。 一平の指が、由香の淫裂から肉壷にかけて這い回るくちゅくちゅという音が聞こえる。 「ねえ、ノブぅ、見学しちゃおうよぉ」 「ああ、そうだね…一平が、由香ちゃん、イカセルとこ、見せてもらおう」 「いやぁん…」由香は、恥ずかしかったが、もう後戻りできない状態にまで進んでいた。 一平が欲しかった。 一平と愛し合っているところを、沙智とノブに見せつけたい気がした。 一平に抱き起こされて、床にべったり尻をついた一平の腰の上に抱え上げられ、背後からブッス リと挿入される。 「ああ…ああああん…」一平が腰を突き上げる。 ちゅぷちゅぷ肉のこすれる音。 目の前に、沙智を抱いたノブがいて、ふたりの視線が、由香と一平の結合部に注がれている。 ふたりの熱い視線に、由香の情欲は掻き立てられ、羞恥心が薄れ、快感がいつにも増して大きく なり、身悶えしながら一平のペニスをしごき上げる。 「沙智、由香のおっぱい、揉んでやってよ」 「うん」「あっ…いやぁ…」 見られるのはいい、でも…しかし、その乳房は、由香の自慢だった。 整った形をしている。 Cカップにおさまる大きさのそれが、誇らしげにつんと突き出している。 先端に、ピンク色をした小さな乳首が、吸ってもらいたがっているように、ついているのだ。 「きれいね」左の乳房に口を近づけると、沙智は、はじめ乳首に軽く口づけをし、それから、チ ロチロと嘗め回した。 「ああん…」 「きもち、いい?」 「ん…ん…」 「うふ…膨れてきた…」 「いやあ…」沙智は、由香の乳首を舌の上で転がす。 唇ではさむと、強く吸った。 「ああ…あああん…あああん…」一平の男根が埋め込まれた肉壷から、淫水が流れ出る。 一平は、腰をゆっくり動かし続ける。 男根が、ずるり、ずるりと出入りする。 沙智は、乳首を甘く噛んだ。 「あはぁ…」由香が身をよじったとき、一平の男根が肉壷の粘膜をぐぐぐっ、とこすり上げる。 「うううっ」一平は、男根をねじられて、思わずうめくが、亀頭が子宮頸とこすれて、イキそう になる。 「うううううっ…」由香も、頂点に達しようとしている。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」沙智は、由香の乳首をきゅっと噛んだ。 「ああああああああああ!!!」 「痛い?」 「ううん…いい…」沙智は我慢できなくなって、くわえていた由香の乳首を離すと、自分の淫裂 に指を這わせる。 淫水でぐっしょり濡れていた。 よこ座りの姿勢のまま、指を秘穴に挿し込んで、ゆっくり出し入れする。 「んんんんん…」 「由香、見て、ほら、沙智、オナニー始めたよ」 「ふふ…沙智も、したがってるよ」 「ノブ、してやれよ」 「いや、オレ、由香ちゃんにして欲しいことがあるんだ」 「ん、なんだ?」ノブは立ち上がると、右手でしごき続けている肉棒を、由香の前に突き出した。 「由香ちゃんに、しゃぶってもらいたいんだ」 「えっ…いやっ…」由香は、沙智を見る。 オナニーに悶えながら由香を見返す沙智の目は、とろんとしている。 「沙智さん…に、悪い…」 「ううん…」沙智の返事は、由香には意外なものだった。 「ねえ、由香、してあげて…」 「でも…」 「あたしなら、いいよ…ノブに、気持ちよくなって欲しいんだ…あんたたちにも」 「由香、ノブにフェラしてやってくれよ」背後から、愛する一平に促される。 由香は、差し出されたノブの肉棒をくわえた。 ノブは、由香の後頭部を自分の腰に引き寄せる。 思いがけない展開に、由香は戸惑っていた。 沙智が由香に寄り添うと、耳元でささやいた。 「由香、一緒に、気持ちよくなりたいよ」 「んぐぅ…んぐっ…」 「4人で、一緒に…ね」沙智は、由香の耳たぶを軽く噛んで、それから耳に息を吹き込んだ。 ふっ…沙智の指が、ノブのタマ袋をいじっている。 「一平、おまえが動くと、由香ちゃんの歯があたって…」 「あ、ああ…そうだな」 一平は、いったん、由香のからだから男根を抜くと、あおむけに床に転がる。 「来いよ」由香は、一平の腰にまたがる。 指を添えて、一平の男根を自分の淫裂に導く。 ぷちゅ由香の淫水でヌルヌルになっているそれは、するりと由香の体内に収まる。 「あんっ…」ノブは、由香の口に肉棒をくわえさせた。 「由香、おまえのテクで、ノブをイカセテやれよ」 「ああ、そうして欲しいよ、由香ちゃん」由香は、ノブの腰に手を回して、その尻を抱きかかえ るようにして、すわぶる。 「ん…んん…ああん…」沙智のあえぐ声。 ノブのからだの陰になって、沙智の様子が見えない。 猫が、ミルクをなめるような、ぴちゃぴちゃという音。 気になる…もしかしたら…(いや…いやぁ…やめて…!)ノブの肉棒に口をふさがれて、声が出 せない。 仰向けに寝た一平の顔に覆いかぶさるように、沙智は立てひざになっている。 一平が、沙智の淫裂をなめている音だった。 後頭部をノブにがっちりと押さえ込まれて、由香はどうしようもなかった。 由香は、いきなりノブに抱き上げられ、うつぶせに押し倒されたソファーの上で、背後から犯さ れた。 「いや…いや…いやぁ…!」一平は、ノブをやめさせる気配がなかった。 涙があふれる目で、床を見ると、愛する一平が、沙智を組み敷いて、交接していた。 「ああ…いい…いい…一平、気持ち、いいっ!」沙智の声が響く。 (18) トイレに立ったまま戻ってこない由香の様子を見に、一平はバスルームに入る。 由香は、便座に座り、うつむいて泣いていた。 「だいじょうぶ?」一平の指が、由香の後頭部をそっと撫でる。 一平の好みに合わせて、ショートカットにし、栗色に染めた髪。 (優しくしてやれば、機嫌を直すさ…)流れる涙で顔をくしゃくしゃにした由香が一平を見上げ る。 「どうして…?」 「……」 「ね、どうして…?」 「う、うん…」 「なんで…!」一平に愛されていると思っていた。 一平に愛されていることをしあわせに思っていた。 「何で、こんなひどいこと…」 「あ、ああ…」 「由香のこと、愛してくれてるって思ってた」 「あ、愛してるよ、由香を愛してるって」 「うそだよ」 「ほんとだ、ほんとに愛してる」 「信じらんないよ」 「わるかったよ」 「ううう…」 「ごめんよ、ほんとに、ごめん」 「ひどいよ…」 「悪かった、オレ、由香にひどいことした…ごめんよ」一平は、由香にひたすら謝り続ける。 一平は、友人のノブこと御厨孝信と、パートナーを交換してセックスする計画だった。 それは、ノブのカノジョ、梶原沙智が言い出したことだ。 沙智は、由香が憎らしかった。 由香の、一平と一緒にいることが、うれしくてたまらないという様子が、気に入らなかった。 由香を傷つけたかった。 どうやって…ノブに由香を犯させよう…そうだ、由香の目の前で、一平とセックスするんだ…由 香がどうするか…うふふ…なんだか、興奮してくる…由香は、激しく抵抗しなかった。 ノブが由香を抱えあげ、ソファーに押し倒し、背後から男根をあてがったとき、想像もしていな かった事態に、由香は驚き「いやあ…やめて…」と、小さく悲鳴を上げ、腰をよじって逃げよう としたが、今しがたまで一平の男根をくわえ込んでいた肉穴が、まだたっぷりと潤っていて、ノ ブの男根をスルリと受け入れてしまっていた。 上半身をノブにがっしりと押さえ込まれて、由香は犯された。 助けを求めようと、一平を見ると、沙智を組み敷いて、腰を動かしていた。 涙が、とめどなく溢れ出す。 沙智は、由香が抵抗しないのにがっかりしていた。 泣き叫び、必死に抵抗すると思っていた。 暴れる由香をノブが力ずくで犯すところを見たかったのだ。 それに、一平と一緒にイクところを、由香に見せつけたかった。 由香の反応は期待はずれだったが、沙智自身のからだは、激しく反応した。 射精に向かって高まっていく一平の顔を見つめる。 真剣そのものだ。 沙智も、一平の動きに合わせて、腰を使う。快感が強まり、気持ちが高ぶっていく。 「ああ…いい…いい…一平、気持ち、いいっ!」久しぶりの絶頂感に、沙智の尻は、ひくひくと 震える。 ノブが離れると由香は起き上がり、バスルームに駆け込んだ。 一平は、由香をなだめながら、来客用寝室のっベッドに寝かせる。 「由香、愛してるよ」 「ううう…」 「2度としないからさ」 「ほんと?」 「ほんとだよ」 「…」 「約束する」一平の胸に顔を摺り寄せ、いつの間にか、由香は寝息を立てていた。 抱き合って、何時間か眠ったころ、向かいの部屋から、沙智のあえぐ声が聞こえて、由香が目を 覚ます。 気配に、一平も目覚める。 「あいつら、また始めてる」 「うふ」ゆうべ、あんなひどいことをした一平を、由香は許していた。 一平が、優しい目をして、自分を見つめていた。 「俺たちも…」「うん」一平の指が、由香の肉に悦びを取り戻させ、濡らし、あふれさせる。 「アナル、いいだろ?」 「うん…」初め、いやだったその場所が、何度か重ねるうちに、それほどでもなくなって、一平 がしたいなら…、由香はそういう気持ちになっていた。 一平は、ローションをたっぷりと塗りつけて、肛門をもみほぐす。 「ん…」うつぶせに寝た由香が、甘い吐息を漏らす。 「んんんん…」 「気持ち、いい?」 「うん」 「入れるよ」 「うん…」 「ああっ…」一平は、しばらく出し入れを繰り返したのち、体位を入れ替えた。 由香を抱きかかえたまま、仰向けになる。 無防備に裸身をさらす由香。 肛門に埋め込まれた一平の男根が、由香の内部を突き上げる。 肛門が、一平に肉棒をグイグイ締め付ける。 「由香…いい…気持ち、いいよ」 「うん…由香も…」蜜つぼから、淫水がこんこんと湧き出して、肛門に向かって流れ下る。 淫水は、さらに一平の肉棒を伝って、タマ袋に垂れていく。 乳首が、ぷくりと飛び出している。一平は、つまんだ指先で、転がす。 肛門が、きゅううんと締まり、一平を締め上げる。 「おおおっ…」 「ああん…」 「ああ、いきそうだ…」 「んんん…」 「うううっ…いいっ…」そのときだった。 戸口に人影がし、沙智とノブが入ってくる。 沙智は、スツールに腰を下ろす。 脇に立ったノブは、いきり立った肉棒を握り、しごき始める。 由香と一平をじっと見つめている。 由香は、うつろな目で見返す。 「由香、気持ちよさそう」 「ああ、そうだね、すごく、キモチよさそう」由香の陰門を取り巻く襞が、ヒクヒクしている。 肉穴が、まるで呼吸をしているかのように、ぱく、ぱく、と、開いたり、閉じたりを繰り返す。 何かを欲しがっているかのように。 「あああっ!!!」由香の全身を快感が走る。 沙智が、ふくれあがり、むき出しになった由香のクリトリスを、そっと撫でたのだ。 「んんんんんっ!!!!」由香のからだが痙攣し、乳房がぶるぶる震える。 沙智の指が、クリトリスを刺激し続ける。 それから…右手の人差し指と中指をそろえると、由香の蜜つぼに挿しいれた。 あふれ出した蜜が、沙智の手のひらをグッショリと濡らす。 ひくつく由香の肉が、沙智の指を締め付ける。 (こんなに、締まるんだ…)沙智は、手首をねじって指の向きを変える。 指の腹で、直腸のほうを押す。 「ううおおおっ!!」声を上げたのは、一平だ。 沙智は、由香の粘膜越しに、節くれだった一平の男根を感じている。 指をゆっくりと引き、それから、グイと奥まで進める。 「ううううううっ!!!」沙智の指でこすられて、一平は一気に駆け上る。 自分のいちもつをしごきたてていたノブは、沙智の口に押し込むと、沙智の後頭部を抱え込むよ うにして前後させ、一気にほとばしらせる。 ***** 嵐は、夜明け前から、一段と激しくなっている。 台風は、関東地方を直撃するのだろうか。 タツヒロは、空腹感で目が覚める。 わきで、志帆が寝息を立てている。 無邪気な寝顔だ。 タツヒロの気配に、志帆も目を覚ます。 うっすらと開いた志帆の、まだ覚めきらずにぼんやりとしたまなざしが、とても可愛らしい。 「おはよう」一瞬間をおいて「おはよう」寝ぼけまなこの志帆が答える。 志帆の額にキスをする。 ちょっと恥ずかしそうにうつむきながら、タツヒロの胸に顔を寄せる。 タツヒロは、志帆をしっかり抱き寄せた。 勃起が、志帆のおなかに触れる。 志帆は、義弘の胸にキスをした。 クゥ…志帆のおなかがなる。 「ははは、オレも、さっきから、腹ペコだよ」 「うん、志帆も…」起き上がり、パンティをつける志帆の背中に、タツヒロは唇をつけた。 志帆は振り向いて、口づけを返す。 ちゅっ…ちゅっ…ちゅっ…グウゥ…タツヒロの腹が大きくなる。 タツヒロもパンツをはいた。 勃起したペニスが、パンツを突き上げる。 トーストと、ハムエッグと、コーヒーと。 食事を済ませて、後片付けをする。 二人並んで。新婚夫婦のように。 電話が鳴る。タツヒロが出る。義弘だった。 「そっち、どうだ?」 「うん…」 「どした?」 「だいじょうぶだよ」後ろめたさは、どうしようもなかった。 志帆が背中に抱きつく。 「そうか、それならいい。嵐、ひどくなりそうだから、たのんだぞ」 「うん…わかった」 「頼りないなあ」 「大丈夫だって」 義弘に、どう話せばいいんだろう…アニキ、志帆を粗末にしてる…オレ、アニキより、志帆を大 切にする…おまえ、高校生だぞ…!義弘の怒りの表情が目に浮かぶ。 オレには、優しいアニキ…でも、オレ、志帆を愛してる…アニキより、ずっと、愛してる… ***** 義弘は、朝の販売会議を終えて、デスクに戻る。 夕べの、りん子との性交を思い出して、デスクの下でペニスを硬くしている。 激しい雨音と吹きすさぶ風の音をBGMに、体位を変えながら、3度交わったのだ。 2度目の騎乗位では、子宮を突き上げられる快感に、りん子は、何度も達し、流れ出した淫水で、 ペニスの付け根、タマ袋がべとべとに濡れた。 3度目のバックからの挿入に、りん子は激しく反応した。 義弘が突き出すたびに、ああ、ああ、と悲鳴のようなあえぎ声を出す。 腰を引く義弘を追いかけるように尻を突き出す。 肉棒と肉襞がこすれて、ぶちゅぶちゅと音を立てる。 「ついてっ! ついてぇ!」義弘は額に汗を浮かべながら、りん子を突きまくる。 少し角度を変えたとき、「ああああっ!!! そこ、そこ、そこっ!!! いい、いい、いいっ !!!」肉棒をくわえ込んでいる陰唇が、まるで好物をすわぶる唇のようにヒクつきながら、肉 棒をしゃぶる。 「あはぁ、あはぁ、あはぁ…イキそう、イキそう、ねえ、イキそう…」 「ああ、オレも…」 「イク、イク、イク、イクうううっ!!!!」 「榊原さん、顔が赤いよ、熱があるんじゃない?」向かいの席の、女子社員の声で、義弘は我に 返る。 「あ、ああ…ちょっとね…」ペニスの先端から滲み出したヌルヌルで、パンツが湿っている。 ギンギンにふくれ上がったペニスで、ズボンの前がピンとテント状に持ち上がっている。 いま、課長に呼ばれたら、やばいぞ…苦笑する。りん子とのセックスは、すばらしかった。 オスとメスが、肉の喜びを求めて、交わった。 りん子は、あたりをはばからず大きなよがり声をあげた。 義弘も、射精のときに、大きなうめき声を上げていた。 のどから無意識にほとばしり出た。最高の瞬間だった。 「もっと、したいよ」 「うん、したい」 「りん子となら、何回でもできそうだ」 「うふ、うれしい」 「いろんなこと、できそうだし」 「して…義弘がしたいこと、全部していいよ」営業部の部屋を出て、自販機コーナーに向かう。 りん子に携帯メールを送る。 [今夜、いいかな?] [うれしい]義弘は、今夜も帰れないと、志帆に電話した。 トイレに入る。 ポケットからりん子がはいていたパンティを取り出して、顔に近づける。 股布の中心部分に、りん子の秘穴の場所を示す染み。 鼻先に持っていく。 りん子の匂い。今夜が、待ち遠しい。 (19) 土曜日の朝、青空が広がった。 暴風が、町の汚れを洗い流してくれたようだ。 緑もみずみずしい。 義弘を送り出した後、タツヒロと志帆で朝食の後片付けをする。 「今夜、話すよ」タツヒロは決心していた。 義弘に、志帆を愛していると告げることを。ゆうべ、義弘が帰宅したら、話すつもりでいた。 けれど、深夜帰宅した義弘は、酔っていた。パジャマに着替えると、そのままベッドで眠り込ん だ。すぐに、いびきをかき始めた。 義弘と志帆が夫婦の寝室で一緒に寝ることは、タツヒロにはつらかった。 義弘を無理やり起こして話そうかと思った。 志帆が、足音を忍ばせて、入ってくる。抱き合うふたり。 「こわい」タツヒロは、志帆をしっかり抱きしめた。 夫婦の寝室のドアが開く。志帆のからだが、びくりとする。 タツヒロも、からだがこわばった。のどが渇いたのか、義弘は、台所に行き、水を飲む。 志帆はそっと、部屋に戻る。 そうして、朝を迎えたのだった。 義弘に、本当のことを話すしかない。義弘の怒りを買おうとも。 ***** 杉沢琢磨は、使い捨てカメラで盗撮した写真を見つめている。 タツヒロが明智大学の教室で麻丘奈々を抱き寄せている写真である。 写真はぼやけているが、予備校の廊下でじっと観察した奈々を思い出す。 ぼんやりした画像に、奈々の鮮明なイメージが重なる。 色白の、可愛らしい女の子だ。 あの、クソ榊原に微笑む表情が、自分に向けてのものだったら。 絶対、オレに微笑ませてやる!何度も見ているうちに、そう思うようになっていた。 ベッドに横たわって性器をいじる志帆の写真、志帆とタツヒロの交接写真、見つめながら何度も ヌイた琢磨だが、ちょっとわがままそうで、でもおとなしそうな奈々に、言うことをきかせたい、 と思うようになった。 それも、無理やり言うことをきかせたい、と。麻丘奈々は、2間目の古典の授業を終えて、廊下 に出た。 タツヒロを誘って、昼ごはんを食べようと思っている。 おいしいスパゲティ屋があるのだ。 一緒に食べたいな…それに、明日の日曜日には、タツヒロの志望大学を見学に行く約束だった。 東横線の始発駅、渋谷で待ち合わせるのだが、タツヒロが渋谷を知っているかどうか、心配して いる。 きっと、埼京線で出てくるだろうし…ハチ公広場かな… 「麻丘さん!」見知らぬ学生に声をかけられる。 「オレ、杉沢といいます」人気の少ない教室の隅で、杉沢が見せたのは、1枚の写真だった。 信号待ちの交差点で、奈々がタツヒロに軽く口づけをしている。 奈々は、おびえた。 この、杉沢って子、何なんだろう…杉沢が差し出した2枚目の写真には、明智大学に入っていく、 奈々とタツヒロ後姿が写っている。 杉沢は、にんまりした。 奈々、怖がってる…ふふ…奈々の色白の頬が血の気を失っていく。 ふふ…ふふふ…琢磨は、うれしさが内側から込み上げて、踊りだしたくなるほどだ。 ふふふ…ふふ、ふふふ… 「これ、なんなの?」奈々の声は震えている。 「なにって…麻丘さんの写真だよ」 「…」 「よく撮れてるだろ? ふふ」 「…」 「怖がらなくていいよ」 「…」 「オレの言うとおりにしてくれたら、それでいいから」 「…」「言うこと聞いてくれたら、写真、みんなあげるよ。ネガもね」 「言うことって?」 「写真、撮らせてくれよ」 「い、いやよ」 「ふうん…いや、か…」奈々の唇が震えている。 「いや、ねえ…そんなこと、言わないほうがいいと思うけど」 「…」 「言うこと聞いてくれなかったら、この写真、ばらまくよ」そういいながら、3枚目の写真を見 せられた。 タツヒロの背中に腕を回し、胸に顔をうずめている奈々の写真。 タツヒロの手は、明らかに奈々の下腹部に触れている。 「別に、エッチなところ写ってないから、恥ずかしくないのかもしれないけど」机に隠れて写っ てはいないけど、タツヒロの指が、パンティに進入し、あの場所を触っている写真。 奈々は羞恥に赤くなる。 「これ、あげるよ。たくさんプリントしてあるから」奈々は、琢磨の冷ややかな視線に、震え上 がる。 手には、見せられたばかりの写真が、何枚も握られていたから。 「何をしたらいいの?」奈々は、怖くてたまらなかった。 「麻丘さんの写真、撮らせてよ」 「えっ…」 「あんたの写真を撮らせてくれって頼んでるんだよ」 予備校の建物を出たところでタクシーを止め、奈々を押し込み、琢磨が乗り込む。 琢磨が運転手に告げた行き先は、ラブホテルが立ち並ぶ町なのだが、奈々は知らない。 しかし、タクシーを降ろされて、どういう場所なのか、奈々にもわかった。 「いやよ」 「はは…教室で撮影会、開けるはずないだろ!」 「こんなの、いや」 「怖がることないって…」通行人に見られているのに気づいて、奈々は足がすくむ。 「みっともないこと、するなよ」逃げ出すこともできなくて、琢磨に腕をつかまれたまま、ホテ ルに入った。 「ねえ、そんな顔しないでよ」カウチに座った奈々にレンズを向けながら、琢磨が言う。 奈々は、琢磨が期待した表情をしてくれない。 榊原と一緒に、あんなに楽しそうにしてるのに…クソッ!カメラに向かって、にっこりしてくれ るはずもないのだが、琢磨は、奈々の笑顔を撮りたかったのだ。 「わかったよ」琢磨の冷たい声に、奈々は震え上がる。 「脱げよ」 「え?」 「聞こえただろ? 脱げって言ったんだよ」 「いや」 「ふうん、いやなの、じゃあ、オレが脱がしてやるよ」 「やめてよ」 「やだね」 「あ、なにするのっ!」 琢磨は、奈々をどうやって脱がせるか、しっかりイメージトレーニングをしてきた。 素直にエッチさせる場面など、考えようともしなかった。 無理やり、ヤルんだ!《犯す!》奈々を平手打ちにしてベッドに押し倒すと、うつぶせにして、 スカートを捲り上げ、抵抗する奈々の腕をねじ上げながら、パンティを引き摺り下ろす。 「麻丘さんのおマンコだあ」 「いやっ! やめてっ!」琢磨は、淫裂に指をねじ込んだ。 「あああっ!!!」 「麻丘さん、抵抗するんなら、ひどい目にあわせるよ」奈々は、怖かった。 この杉沢という男の子は、ごく普通のおとなしい男の子と思った。 教室で、あの写真を見せたときから、次第に変わっていった。 表情も、声の調子も。 指が乱暴に突き立てられたとき、痛みが走ったが、乱暴なおこないに恐ろしさが増すばかりであ った。 いや…こんなこと、いや…興奮のあまり、入り口で射精した琢磨は、みっともなさに、腹が立っ た。 琢磨は、初めてだった。 ベッドに顔をうずめている奈々が、あざ笑っているような気がして、憎しみすら感じた。 惨めさは、ペニスを萎縮させていた。 くそっ…!思い知らせてやる!上着を剥ぎ取り、ブラジャーを毟り取る。 備え付けの寝巻きの紐で奈々の手首を縛り上げる。 それから、ベッドに横たわる奈々の裸身をカメラに収めた。 奈々のからだの向きを何度も何度も変えながら。ペニスはうなだれたまま、ブランと垂れ下がっ ている。 (20) 麻丘奈々は、呆然としていた。 琢磨の指示にすぐに応えられないでいると、容赦なく平手打ちが飛んできた。 シャッターの音、閃光…琢磨は、飽きることなく写真を撮り続ける。 執拗に…後ろ手に縛り上げられた奈々の口元に、ピンク色をした細長いものが突き出される。 「咥えて」 「……」 「くわえろって、言ってるんだよ!」 「いや」ぱしっ!ほほを打たれて、奈々はバイブレーターを口に含む。 「麻丘さん、ぶたれるの、好きなんだ」 「……」 「オレの言うとおりにしたら、ちっとも痛い目みないのに」忌まわしい道具を口に咥えると、恥 ずかしいことに、唾液が出てきて、唇からほほを伝って、シーツを濡らす。 琢磨は、涙を浮かべる奈々の表情を、撮り続ける。 「今度は、ここに入れてあげるよ」琢磨は、バイブレーターを奈々の陰唇にあてがった。 「いやっ…やめて!」両膝を堅く閉じて奈々は拒もうとした。 琢磨は、寝巻きの紐で奈々のひざをきつく縛り上げる。 それから、奈々の両膝を押し倒し、むき出しになった陰唇に、バイブレーターをねじ込んだ。 「いたいっ!」乱暴にこすられて、激痛が走る。 琢磨は、秘穴を探り当てると、ブッスリと挿し込んだ。 琢磨は、写真を何枚も撮るうちに、ようやく勃起した陰茎をしごきたてる。 今度こそ、ハメてやる…バイブレーターを抜く。 「あ、いやっ!」腰をよじって逃れようとする奈々を押さえ込みながら、陰茎を挿入した。 さっきは、入り口で出してしまった…今度こそ…中出ししてやる…!亀頭を奥に進めるだけでイ キそうになる。 あらがう奈々の尻の動きが、刺激を強める。 くそっ!オナニーで体験したことがなかった強い刺激に、琢磨の精液は、発射寸前である。 熱くぬめった粘膜が陰茎に絡みつき、こすりあげる。 くっ…が、我慢できん…琢磨がもくろんでいたハメ撮りなど、望むべくもなかった。 あせった。奈々が、腰をひねった。 陰茎が肉壷からするりと抜け落ち、そのひょうしに精液が噴き出して、奈々の腰に降り注ぐ。 奈々の尻は、白濁した粘っこい液体に汚されている。 くそっ…くそっ…くそっ…惨めさに打ちひしがれながら、それでも琢磨はシャッターを切り続け た。 オレのザーメンに汚された麻丘さんのお尻…手足を縛っていた紐を解いてやる。 シャワーを使って戻ってきた奈々が、無表情に下着を着ける姿を目で追いながら、琢磨は、撮影 済みのフィルムとカメラをバッグにしまう。 それから、厚みのある封筒を取り出した。 「麻丘さん、見せたいものがあるんだ」 うつろなまなざしを向ける奈々に、琢磨は、封筒から取り出した写真の束を突き出した。 「見なよ」奈々は、じっとして身動きひとつしない。チッ…琢磨は、舌打ちをすると、奈々の前 に写真を広げた。 榊原タツヒロが、見知らぬ女の子と性交中の写真だった。 ふたりは、楽しそうに、いろんな姿態で絡まりあっている。 奈々は、呆然として、それから、目の前に座っている、この不気味な少年をぼんやりと見つめた。 奈々は、琢磨に腕を引っ張られるようにして、ラブホテルを出た。 「写真、きれいにプリントして、麻丘さんにもあげるよ。楽しみにしててね」琢磨の声が背後に 聞こえる。 琢磨が指差した方向に歩き始める。 そちらに、地下鉄の駅があるはずであった。 ***** 堀之内一平は、小野由香の部屋にいた。 土曜日を、いっしょに過ごす。 宅配ピザを平らげた後、2度目のセックスを始めるところだ。 おとといの夜、梶原沙智のマンションで体験したことを、もう一度試したかった。 ローションをたっぷり塗りこめた由香のアヌスに、陰茎をゆっくりと埋め込む。 由香の排泄口が、一平をグイグイと締め付ける。 背後から、由香の乳房を揉みしだく。 由香は、うめき声をもらしながら、身をよじる。 「気持ち、いい?」「うん…」由香は、アナル・ファックがいやだった。 一平が喜んでくれるのなら… 愛する一平が、どうしてもしたい、というので、仕方なく応じている。 痛かったし、異物感がして、いやだった。 それでも、何度も重ねるうちに慣れてきて、一平の陰茎を受け入れやすくなっている。 「ねえ、気持ち、いい?」一平に催促されて、由香は、うなづく。 「じゃあ、これも、入れるよ」一平の手には、バイブレーターが握られている。 「いやあん」 「もっと、気持ち、よくなるよ」一平の陰茎が埋め込まれた穴の少し前にあるもうひとつの穴。 濡れそぼつ由香の秘穴に、バイブレーターの先端が挿し込まれる。 「ううっ!」うめいたのは、一平だった。 バイブレーターが、由香のアナルに収まった一平の男根をワギナとアナルを隔てる粘膜越しにこ すり上げたのだ。 「くくっ…いいっ…」一平は、由香のからだの奥深く、バイブレーターを突き刺す。 「ああっ…」 「うううっ…いいだろ? 由香…」膣が満たされる感覚と、肛門の異物感に、由香は目をうつろ に見開いて、あはぁ、あはぁ、とあえぎ声を出す。 2つの穴に挿入されて、由香は、無意識にグイグイ締め付けている。 「くくくぅ…気持ち、いいよ…気持ち、いいっ!」由香の背中にほほを押し当てるように密着さ せて、一平がうめく。 一平は、手首にスナップをきかせて、バイブレーターを出し入れする。 「ああ…いやあ…いやあぁぁぁっ!」由香の括約筋が、活発に動く。 挟まった異物を押し出そうとする肛門の動きと、バイブレーターをしっかりくわえ込もうとする 膣の動きと。 異様な感覚に、由香は額に汗を浮かべている。 一平も興奮していた。 由香の肛門括約筋が追い出そうとする動きに、一平は負けじと押し返す。 ひくつき、ねじれ、しめつける。 一平は、額に玉の汗を浮かべて、腰を突き出し続ける。 突き出す刺激と、バイブレーターを引き出す逆向きの動きで、陰茎がしごきたてられ、とうとう 我慢できなくなり、由香の直腸に射精する。 「こんな、ごつごつしたバイブなんかじゃなくてさあ」 「ん?」後始末が済んで、ベッドに横たわり、腕に抱いた由香に、一平は話しかける。 「バイブじゃなくてさあ…ペニスだったら、どうなんだろ?」 「ええっ?」 「アナルと、おマンコと、両方、ペニスが…」 「いやだよお」 「きっと、すごいだろうな…」 「いやだ、一平……してみたいの?」一平は、由香を見つめる。 「うん、してみたい」一平は、真剣な目つきをしていた。 一平の携帯が鳴る。 ノブこと、御厨孝信からだ。 明日の、梶原沙智の誕生パーティで、ノブが仕組んだことの、準備はできた、という連絡だった。 ノブは、沙智に屈辱を味わわせるつもりでいる。 それは、おととい、沙智がノブに恥をかかせたことへの報復だった。 沙智のフェラチオで頂点に達したノブは、沙智の口の中に射精したのだった。 沙智は、ノブの精液を口に含んだまま、怒りに顔を真っ赤にして、ノブに平手打ちを食わせた。 化粧室に駆け込むと、ゲーゲーいいながら精液を吐き出した。 それから、まるで、ノブの精液が不潔なものであるかのように、しつこくて腹が立つほど口をす すぎ、うがいをした。 それから、怒りの表情のまま、ノブたちのところに戻ってきて、怒りをぶちまけた。 「ばかにしないでよ! あんたのザーメン、あたしが飲むと思ってたの?!」ノブは、怒りに顔 面を紅潮させていた。 沙智の剣幕に、由香は、一平の背中に隠れるようにして、様子を見ていた。 沙智さん、ノブくんのカノジョじゃなかったの…?由香は、一平の精液を飲んであげられる。 おいしくはないけど…由香は、沙智とノブの冷ややかな関係に、驚いていた。 そして、孝信は、一平と由香の前で味わわされた屈辱を、何とかしてそそいでやろう、と思った のだ。 孝信は、沙智の、あまりの高慢さに、うんざりした。思い知らせてやるぞ…
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