『放課後の憂鬱』

                               ジャック:作
第4章「狼の目」(2)

 Tシャツから硬く勃った乳首が、ツンと突き出していた。
藍の手は、まだ意思とは反して、その勃った乳首を摘もうとしていた。が、辛うじて思
いとどまった。
(もう・・行かなきゃ・・)

 ますます顔を赤らめ、興奮が冷めぬまま更衣室を後にした。
部室の扉に手をかけて、藍はハッとなった。
(あ、あたし・・・なんて格好してんの・・・)

 藍の目は自分の胸に落ちた。先程の興奮のまま、乳首がはっきりと突き出ていた。本
当の藍が、意識を取り戻しかけたのだ・・・。
(えっ、なんで?・・・やだ、着替えなくっちゃ)

 更衣室に戻ろうと後ろを向いたその時だった。部室の扉が音を立てて開くと、みんな
が出てきた。
「藍ちゃん、遅かったね。どしたの? OKでたから、早速行くよ。」
思わず両手で胸を覆っていた藍に、後ろから高科がポンと肩を叩いた。その瞬間、藍の
胸はドキンと高鳴り、着替えに行こうとしたことを忘れてしまった。

 藍が振り返ると、高科の顔が目の前にあった。その顔が、急に心配そうな色を浮かべ
た。
「あれっ? ちょっと顔が赤いけど・・・だいじょうぶ?」
「あ、あの・・はい、だいじょうぶです」
藍はそう答えると、ますます胸の高まりを覚えるのだった。

プールに到着すると、吉田が入り口の鍵を開けた。塩素の臭いが僅かに残っている。
みんなは入口から奥へと入ってゆくと、やがて重そうな鉄の扉の前で足を止めた。
「さぁ、ここだ。」

 そこは薄暗く、四方をコンクリートで固められた狭いシャワー室だった。一部屋しか
なく、鉄の重たい扉がある。
無理やりシャワーが取り付けられた、不自然な部屋だった。
扉の上はかなり開いているが、人が通れるほどではない。下には僅かな隙間がある。そ
れ以外は扉を閉めてしまえば密室となる。

 その鉄の扉も、外に鍵らしきものがついている。どうやら元は、小さな物置だったら
しい。
いつもの藍なら、そこに何か危険なモノを感じただろう。
しかし今は、みんなといられる、仲間として扱ってもらえることの嬉しさ、そしてなに
より高科への仄かな思いが、不安を感じさせる心を押さえ込んでいた。

 「上からライトだな。暗すぎる。あと水出ると困るから元栓閉じてくれ。」
高科がてきぱきとそう言うと、部員たちがセッティングを始めた。
「元栓、OKです。ひねってみて下さい!」
伊藤がそう言うと、高科がシャワーを全開した。水はちょろっと少しだけ出たと思うと
すぐに止まった。

 「よーし、OKだな。藍ちゃん、ここに入ってくれる?」
高科が藍にそう言うと、藍は少し不安だったがすぐに従って薄暗いシャワー室の中に入
った。
「じゃあ、ドア閉めるよ。」
高科がいい終わらないうちに、ガチャンと大きな音とを立てて鉄の扉が閉じられた。

 (えっ? うそっ!)
藍が慌てて振り返るのと同時に、明るすぎるほどのライトが点灯した。
(あっ、まぶしいっ!)
藍は外に向かって「ちょ、ちょっとまぶしいんですけど・・」と声をあげた。が、誰の
返事もない。

 「ねぇ! まぶしいからライト少し落として!」
狭い部屋に自分の声だけが響いた。藍は慌ててドアノブをひねり、外に出ようとした。
(あっ、開かないっ!)
藍はやっと閉じ込められたことに気づいた。血の気が引く音がしたのが自分でわかった。

 「ねぇ! 出してっ! ここから出してよぉ!」
「いやっ! だれか! お願いっ! ドアをあけてぇ!」
藍はドンドンと鉄の扉を叩き、必死に叫びつづけた。
しかしドアが開くどころか、人のいる気配すらなかった。

 「あぁ、いや! 私をどうするつもりなのぉぉぉ!」
藍はしばらく叫んでいたがやはりあたりは静まり返り、藍の声だけが響いていた。
藍は叫び疲れて、黙ってしゃがみこんでしまった。と、その時、自分の体の変調に気づ
いた。

 藍を強烈な尿意が襲い始めたのだ。それは普通の生理現象ではない。いままでに感じ
た事のない、凶暴すぎる尿意だった。
さっき部室で藍に出された紅茶には、利尿剤が含まれていたのだ。

 「えっ? うそっ? あっ、あぁっ、あぁぁぁっ・・」
藍は下腹部に力を入れ我慢をした。我慢しようとした・・・が、それは逆効果だった。
変に力を入れると尿意はなお高まるのだった。こんな感じも初めてだった。

 「あぁ! お、おしっこ! おしっこがぁっ・・・」
藍は普段では恥ずかしくて口に出せない、そんな言葉を口に出してしまっていた。
もはや藍の頭は冷静を保つことなど出来なくなっていた。

 「い、いやぁ! 漏れちゃう! おしっこ漏れちゃうよぉ!・・」
「誰か! 誰か助けてぇぇぇぇ! 出して、ここから出してよぉ!」
「トイレに行かせてっ! おしっこがぁ・・も、漏れちゃうぅぅぅ!」

 藍は必死に我慢し、必死に叫んだ。
誰からも返事がない。でも叫ぶしかなかった。
「先輩っ! 高科先輩ぃっ!・・・」
「お願いっ! 出して。ここから出してぇぇぇ!」
藍の尿意は限界に達していた。
そして次の瞬間、藍は絶望の声を上げていた。

 「あぁ! いっいや! 出ちゃう! 出ちゃうぅぅぅぅ!」
「あぁぁぁぁぁぁっっっ・・」
藍は急いでブルマーを下ろそうと手をかけた。が、遅かった。
もはや自分で排泄を制御できる状態ではなくなっていた。
藍のブルマーの中に、藍自身の暖かい液体が止めどもなく充満していった。


              

    この作品は「ひとみの内緒話」管理人様から投稿していただきました。