『放課後の憂鬱』

                               ジャック:作
第4章「狼の目」(3)

 「・・・あぁぁぁぁぁ!・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
藍はその場にしゃがみこむと、濡れて色の変わったブルマーから薄い黄色の液体が染み
出し、コンクリートの冷たい床を湿らせていった。
止まることなく延々と流れ出る液体・・

 「あぁぁぁ・・・」
藍は絶望し床にうつぶせに倒れこんだ。藍のTシャツも液体を吸い込んで黄色くなって
いった。

 その時だった。
突然「ジョワー」という音とともにシャワーからものすごい勢いで水が噴出し、藍を直
撃した。
藍は何がなんだかわからず半狂乱状態になり「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」と大声を上げ
た。
藍は全身がびしょ濡れになっていた。がシャワーの冷たい水は止まらなかった。激しく
藍を打ち続けていた。

 「あぁぁぁぁ! いやぁぁぁぁ! やめてぇぇぇぇ!!」
藍は思わずそう叫んでいた。叫び続けていた。
アッという間に藍の体は襲いかかる水につつまれ、びしょ濡れになった。藍は自分自身
を守ろうとするかのように両手を組み、胸を隠すようにしていた。

 その時、乳房に触れた藍の手は、自分の乳房の固い弾力を感じていた。
藍は思わず手を降ろすと、降りしきる水に視界を遮られながらもふと、自分の胸に目を
やった。
張り付いたTシャツからくっきりと透けた、そして力強く突き出た乳首に、いままでの
藍の意識はうすれ、少しずつ「もう一人の藍」が姿を現し始めていた。

 藍は両方の乳首を思い切り摘んだ。
「うっ!」
藍は小さな声で呻くと、次に摘んだ乳首を力いっぱい引っ張った。

 「うぅ! あぁぁぁぁ!」
藍の体を快感が貫いた。
そして藍の左手はTシャツの上から右胸を激しく揉み、右手はブルマーの中に入ってい
った。

 激しいシャワーの中で、藍に襲いかかる水と音、それに反応するかのように、藍の行
為も激しさを増していった。
藍は胸を昨日以上に激しく揉み、昨日以上に股間をまさぐっていた。

 「あっ、あっ、ああぁぁぁ!」
藍はもう自分を忘れていた。いや「本当の藍」は「もう一人の藍」に支配されていた。
「うぅぅぅ、ああぁぁぁ! いやぁぁぁぁぁ!」
藍は今、「水」に、「音」に犯されている。昨日の行為以上に激しく・・

 「わたしは・・いま・・犯されてる・・・」
 藍は頭の中でそう言い聞かせていた。そうすることで、ますます快感が突き上げてく
るのがよくわかった。
激しいシャワーの中で、ブルマーの中の右手は動く早さを増し、体を仰け反らせていっ
た。

 そして、右手が股間のある場所に触れた時、「ああぁぁぁぁ!」と大きな声を上げ、
大きく目を開いた。
「いっ、いくっ、いっちゃう・・・・ ああぁぁぁぁぁぁ! 」
ついに絶頂に達した。

 それは昨日以上の、激しい絶頂だった。信じられない、例えようもない快感だった。
その快感の中で、藍は大きな声をあげていた。
藍の絶頂に達したその声は、シャワーの音の中に消されるはずだった。
が、声が終わる前にシャワーの音は止み、同時に藍を打ち続けていた水が止まった。

 静まったシャワー室に、藍の声の余韻だけが残っていた。藍はそのことに、すぐには
気が付かなかった・・・。
(あぁ、またわたし・・)
藍は少し我に返りかけた。が、それをさせないかのように藍を閉じ込めていたドアが開
いた。

 パチパチパチパチ・・・・・
藍がゆっくりと顔をあげると、高科を始め部員全員が藍に拍手していた。
藍は何がなんだかわからず、呆然とそれを見ていた。

 やがて高科が口を発した。
「・・・・さすがだね。藍ちゃん。名演技だったよ。」
「・・・・」
「さすがプロ。ここまでやってくれるとはねぇ! しかも台本どおりに! ただ「高科
先輩!」は余計だったけどね・・」

 藍にはまだ理解できていなかった。が、少しずつ判ってきた。
(やっぱり・・・わたし・・はめられてる・・の?)
藍はおぼろげな動作で、高科が差し出した台本を左手でとり、そのシーンを確認した。

 それは前に藍がもらった台本とは、全く違う内容だった。
そこには閉じ込められ、叫び、放尿し、自慰をする主人公・・いまさっきの藍の姿その
ままが書かれていた。
(・・・あぁ、なんで、こんなことに・・)

 高科は笑いながら続けた。
「藍ちゃん、あんまり良かったんで、このシーンはこのまま使わせてもらうことにする
よ! NGは編集すりゃいいからさっ!」
「・・・えっ? ビデオ、撮ってたの・・・」

 藍には次の答えがわかっていたが、思わずそう聞かずにはいられなかった。
「あぁ。良かったよ、藍ちゃん。芝居とはいえ、よくやってくれたよ、なぁ、みんな!」
 高科の言葉に、部員全員がにやにやしながら何度もうなづいていた。
藍が上を見ると、扉の隙間からビデオカメラのレンズが覗いているのにやっと気づいた。

  藍はうつろな目で高科に言った。
「先輩・・・信じてたのに・・・」
高科はまるでいたずらを仕掛ける少年のような澄んだ、そして獲物を狙う狼のような鋭
い目をして、やさしく藍に囁いた。

 「藍ちゃん。まだ始まったばかりじゃないか。そんな顔してちゃだめだよ。」
その言葉に、藍は自分の中で何かが弾けたような気がした。
そして、藍自身もまた「もう一人の藍」の支配から逃れられなくなっていた。

 「藍ちゃん、今日はここまでだ。明日から次のシーンに行こうね。」
「はい・・・」
藍はすべてを受け入れたかのように、自然に返事をしていた。
そして、自分にこれから何が起こるのか、想像しただけで、濡れていた。

 その時、藍の右手はまだブルマーの中にしっかりと入っていた。


              

    この作品は「ひとみの内緒話」管理人様から投稿していただきました。