『ティーチャーズペット』

                          二次元世界の調教師:作

第3話 みなみは首輪に操られてファーストキスを奪われる


 「先生、マジでそれ勘違いだって! うふ、大丈夫だよ、柴崎さん。アタシみたいに
痛い思いしないように、優しくエッチをしつけたげるからね」

 田中さんは椅子に縛り付けられている私の耳元に、少しかがんでそんな事を話し掛け
て来たのですが、彼女が首筋に生暖かい息をフーッと吹き掛けて来ると、私はゾクッと
して顔をしかめていました。

 「あらあら、もう感じちゃったのね。カワイーイ!」
「おい、手だけ解いてやれ」
「はーい。ね、柴崎さん。この首輪さ、外そうとしちゃ駄目だよお」
「よし、試しに軽く首輪に触ってみな」
「気を付けて触るのよ」

ーーえ!? この首輪って・・・・・・

「んん~っっ!!」

 田中さんが後ろ手に掛けていた手錠を外してくれたので、その物々しい拘束にゾッと
した私は、恐る恐る指で首輪に軽く触れてみたのですが、途端にその輪がゆっくりと絞
まって来たのです!

 すぐに苦痛と息苦しさを感じた私は思わず呻き声をガムテープの下にくぐもらせ、慌
てて指を離しました。
するとたちまち輪は元に戻り、私は安堵のため息を吐きましたが、それは本当に窒息す
るのではないかと言う恐怖の体験でした。

 「わかったか、柴崎。いや、これからはみなみと呼んでやろう。みなみ、それは俺が
お前をペットとして可愛がってやるための首輪だ、ありがたく受け取るんだぞ。今わか
っただろうが、そいつは俺がこのコントローラでお前をペットとして設定している限り、
外すことは出来ない。まだ死にたくなかったら、無駄な努力はしない事だ」
「ね、私が言った通りでしょ、ペットのみなみちゃん」

 さっき感じた窒息の恐怖は本物で、全身に冷や汗が滴り落ちそうな気分に陥った私は、
もうとてもこの首輪に触れる勇気はありませんでした。

 「ねえねえ、みなみちゃんの調教を始めようよ。もう自由にしたげてもいいんじゃな
い?」
「いやちょっと待て。命令して首輪の力を思い知らせてやろう」
「先生さ、アタシちょっと思ったんだけど、俺の言う事を何でも聞け、って命令しちゃ
えば話が早いんじゃない?」
「そうはいかねえよ! 命令は具体的に、それにこの画面に書けるだけしか出来ねえん
だ」

 先生はPSPみたいなタッチペン付きのコントローラーを見せながら田中さんと話し
てました。
どうやらそのペンで画面に書くものらしいです。

 「ふうん。でもアタシ、先生に刃向かったり、嘘付こうとしたら首輪に絞め殺されそ
うになったんだけど」
「それはお前をペットとして設定したからだ。首輪を外したり、俺に反抗したり、嘘を
付いたりは出来ないようになるんだ」
「そうなんだって、みなみちゃん。いい子にして、先生に飼ってもらうんだよ、絞め殺
されたくなかったらね」
「では命令してやろう」

  一体この2人は何を話してるんだろう? と思った私は、先生がコントローラーに
何か書き始めると、すぐに「命令」の意味がわかってしまいました。
何と私の頭の中にハッキリとその文字が浮かび上がったのです!

 これは首輪の不思議な力に違いありません。
それは『口のガムテープを自分ではがしなさい』と言う命令でした。
しばらくためらっていると、首輪がジワジワと締め付けて来たので、私は急いでベリベ
リとテープを引き剥がしました。
痛かったけど仕方ありません。

 「わかった? みなみちゃん。ご命令が書かれてる間は、それに従わないと絞め殺さ
れちゃうんだよ」
「残念ながらこれを書いてもずっとは続かない。10分もたてば消えてしまう」
「でも書き直せばいいじゃん。先生、これってスゲエ発明だよねえ」

 ここで先生は、ひどく誇らしげに自慢しました。

 「当たり前だ! これは彼女いない歴40年を越えた俺様の、お前ら女に対する恨み
つらみを晴らすための努力の成果なんだ」
「先生って、マジで彼女いなかったんだね」
「そうだ! 生まれてこの方、一度も女に相手してもらった事がねえんだ、俺様は」

 「先生、ブサイクだし、太ってるし、口はクサイし、性格も暗くて、サイアクだもん。
絶対モテねえよ」
「うるさい! どうせ俺は、友達もいないオタクで、女にもてねえからエロゲをやって
せんずってるしかなかったんだ! 教員と言う安定した職に就きながら、何十回見合い
しても全部断られたんだぞ、くそう! だから洋子、お前が初めての女だったんだ」

 「げ~っ! 先生、マジでキモいんだけど」
「おい、みなみっ! どうせ、お前も俺の事を、冬でも汗をかいてる百貫デブのキモい
オヤジで、そばにいられるだけで嫌だと思ってるんだろう? 正直に言えっ!」

 「い、いえ、そんな事は……きゃあっ!」
「みなみちゃん、嘘は付けないって言ったじゃん」
「は、はい、そう思ってます」

ーーそ、そんな……嘘付いたら、ホントに首輪が絞まって……

 一体どうして嘘だとわかるのでしょうか? でも確かに首輪はキリキリと絞まって来
て、本当の事を告白するとスッと緩んでくれたのです。
「キモデブオタクオヤジの夢の実現を思い知ったか、みなみ!」
 先生は、又スラスラとペンを走らせました。

ーー嫌だっ! で、でも、首輪が……ああ~っ!

 私は頭の中に浮かんだ言葉を言わざるを得ませんでした。
「ご主人様。みなみとキスして下さい」
「よおし! かわいいペットのお願いだ、聞いてやるよ」

 そんな勝手な事を言った先生が近寄って来ると、汚物のような体臭とタバコのヤニ臭
いサイアクの口臭で気が変になりそうでしたが、頭の中に『口を開けてじっとしてして
ろ』と命令されたので、私はそのまま唇を奪われるよりありませんでした。

 先生がおぞましいキスで、舌まで差し入れ涎を流し込んで来ても口を閉じる事が出来
ず、ようやく唇を離してくれた時、私はショックでシクシクと泣いていました。
それがファーストキスだったからです。