『恭子さん』

                          二次元世界の調教師:作
第19話 恭子さん調教計画を強要される


 「仕方ありません。麻里さん、連れて来て下さい」

 ーーゲッ! やっぱりコイツが黒幕だったか。ひでえ事しやがる

 いつの間にか奥の部屋に引っ込んでいた麻里が、呼ばれてもう一人後ろ手錠に全裸姿
の少女の首輪をリードで引いて、部屋に戻って来た。
かわいそうに、エーンエーンと泣きじゃくっているいたいけな少女は、麻里の娘ありさ
さんである。俺は守男に対する怒りが全身に込み上げて来るのを覚えていた。

 「羽黒さん、この子に見覚えがおありでしょう」
「おいボン、やっぱりテメエが噛んでやがったのか」
「何の事ですか」
「トボけるのもええ加減にせえ! よりによって中学生に手え付けるとは……ありささ
んをすぐに離したるんや!」

 「ちょっと待って下さい、反対でしょう。嫌がるこの子をレイプしてしまったのはあ
なただと麻里さんからお聞きしていますが」
「馬鹿野郎、あれは麻里が……」
「オジさん、助けてえ!」

 「これ、ありさ。悪いのはあの町内会長のオジさんよ。あなたをこんなにして売り飛
ばしてしまったのはあの人なの」
「違うもん。オジさんはいい人だもん!」

 「さあ、ありささん。聞き分けのないオクチは塞がないといけないね。ママのように、
私のコレをしゃぶっておくれ」
「嫌だあっ! ママ、許して」
「あらあら、又お仕置きされたいの?」

 「オジさん! オジさんっ!」
「おい、やめんかっ! お前ら、地獄に落ちるで!」
「レイプ犯のあなたが、何をおっしゃいますか。仕方ないな。コレが無理ならテープで
口を塞いでやって下さい。話が混乱しますから」

 よほどボンに大金を積まれたのだろうか。
麻里は嫌がって泣き叫ぶ娘にイラマチオさせようとし、言う事を聞かないと見るやガム
テープで口を塞いでしまう。
ありささんは俺に向かって助けを求めるが、実際に強姦してしまった負い目もあって、
怒鳴りつけてやる事しか出来なかった。

 あんなに嫌がっている口唇奉仕を無理にさせるようなら、力ずくで止めに入ったかも
知れないが。すると俺と同様にいたいけな少女の陵辱を見かねたのか、久美が口を開い
た。
「お願いよ、モリオ君。その子に酷い事はしないで。麻里さんだけで十分でしょう。ま
だ中学生なのよ、ありさちゃんは」

 「姉さんまで勘違いして貰っちゃ困るな。私は年上の女性が好みなんですよ。こんな
コドモに欲情するようなロリコンではないのです。羽黒さんと違ってね」
「何やて! 言わせておけば……」
「失礼しました。少し言葉が滑りましたね。話を整理しましょう。麻里さん、ご説明を」

 「はい。私は守男様の愛人となり、生涯に渡って娘ともども生活の保障をして頂きま
した。深く感謝しておりましたところ、あの人が来られて私を襲い、あまつさえ娘にま
で欲情し縛り付けて処女を奪ってしまったのです」

 「黙れ! ようそないな大嘘が吐けるな」
「ですが、それも守男様のご命令だろうかと思い泣き寝入りする所でした。その上あの
人が、娘も守男様の奴隷に差し出せ、と言われたので、こうして……」

 「娘をヤれ、言うたのはテメエやろうが! この腐れ外道がっっ!!」
「まあまあ、どっちが本当かわかりませんが、羽黒さんがこの子をレイプして、麻里さ
んがこの子も愛人奴隷にして下さい、とありささんを連れて来た。これは事実でしょう。
私は決してこんな子供を愛でる趣味はないし、何も知りませんでした」

 「なら、さっさとその子を逃がしてやらんかい。スッパダカで泣きながら慄えとるや
ないか」
「羽黒さん、あなた未成年者をレイプしたんですよね。警察のご厄介になりたいのです
か」
「な、何い!?」

 一体何と言う茶番劇だろう。
俺はあまりにも強引なボンのやり口に二の句が継げなかった。
ただひ弱な外見でも実は誰も敵わない強い権力を持っている細川守男と言う青年を敵に
回せば、間違いなく人生が終わってしまうであろう事は、十分に理性で納得してしまっ
ていた。
状況は圧倒的に不利である。

 「羽黒さんが頑固だからいけないのですよ。かわいそうだけど、この子を使わせて貰
いましょう。取引しませんか、羽黒さん」
「警察でも何でも突き出せばええやろうが」

 「まあ冷静になって下さい。そうなったら、不幸になるのはあなただけではすみませ
んよ。羽黒さんが恭子さんの調教を承諾して頂くまで、私はこの子を監禁して逃がしま
せん。あなたのようにうまく出来ませんが、クスリでも使って奴隷調教してみましょう」

 「お前、コドモには興味がないと言ったやないか」
「何、その内大人になります。あと十年もすればね」
「ボン、お前は恐ろしい男や。ホンマもんの鬼畜やで」
「羽黒さんがウンと言って下されば、全ては丸く収まるのですよ。ありささんは解放し
て、もちろん生活の面倒は見ます。あなたにだって十分報酬を弾みますよ。これでいか
がですか」

 頭に血が上っていた俺だが、ここではもう完全に負けを悟っていた。
結局麻里にたぶらかされた時と同じ手口でやられたわけである。
何てこった。俺は気持ちの整理を付けるべく、久美に話し掛けた。

 「なあ久美。オメエはどう思う? 弟が恭子さんを寝取ってしまう事を」
「もちろんいけない事だと思いますわ。でも、恭子さんが今のままで幸せかどうかは、
わかりません。もしかすると弟の言う事にも一理あるのでは、と思います」

 ーー結局コイツは弟の言いなりなんやな

 「わかったで、ボン。せやから早う、その子を許したってくれ」
「わかりました。さ、麻里さん、隣の部屋に行って服を着て親子でお帰りなさい。今日
はもう結構です」
ボンは本当にその気はなかったのかアッサリそう言って三倉母娘を隣室に引っ込ませる
と、フッとため息を付いた。

 「あの子も羽黒さんにレイプされた時は、結局女の歓びに目覚めて最後は自分から腰
を振って楽しんでいたと、麻里さんから聞いたんですがね。私に対しては泣いて嫌がる
ばかりで、どうしても受け入れてくれませんでした」
「そら、当たり前やないか」

 俺はありささんのロストバージンの苦痛を心身ともに和らげてやろうと、長年の調教
師稼業で培ったテクニックを駆使し、時間を掛けてじっくりと、丁寧に優しく性の手ほ
どきをしてやったのだ。

 それにもともと会えば挨拶を交わすだけの仲だったのも大きい。
全く知らないボンのような男がいきなり欲望をぶつけても、いたいけな少女が体を開い
てくれるわけがない。

 「羽黒さん、私とあなたとは物の考え方が違う。ですが、こと女性の調教に関しては
一目を置かざるを得ません。どうか、私に力を貸して頂きたい。姉さんや麻里さんのよ
うに、恭子さんも私のペニスを見ただけでメロメロに欲情して何でも言う事を聞く奴隷
のように仕込んで欲しいのです。私にはそんな芸当は逆立ちしたって無理だ。ありささ
んを調教しようと試みて、あなたの力を思い知らされましたよ」

 今さらではあるが、ボンから褒められて悪い気はしなかった。
だが久美や麻里と違って、本人が同意しているわけでもない人妻を性調教するには問題
が山積している。

 「ところでボン。恭子さんをわてはどうやって調教したらええんや? まさかレイプ
するわけにはいかんで。それこそ、わての人生おしまいやがな」
「ああ、その件に関してはもういろいろと手を打ってあります。後はあなたが、私の計
画通りに動いて下されば」

 そこで明かされた、人妻の恭子さんを罠に嵌めて、守男の愛人奴隷となるよう寝取っ
てしまう計画は、恐ろしく手の込んだ巧妙なものであった。
ほとんど誇大妄想狂のストーカーが描く夢想に近いが、絶大な力を持つ守男は俺の力を
借りて強引に実現しようとしているのである。

 こんな執念深い男に横恋慕されてしまった恭子さん夫婦にとっては災難としか言いよ
うがない。

 ーーボン、お前そこまでして恭子さんを……マジであの女にホの字なんやな

 にわかには信じ難い話だったが、俺が住む町内に守男は既に裏工作を仕組んでいたと
言うのだ。俺がいつの間にか町内会長に推されてなっていたのも、恭子さん夫婦が俺の
家の隣に新居を構えたのも、全てはボンの差し金によるものだと言う。
そしてもともと同じ町内に住む久美や麻里も、恭子さん寝取り計画に大きな役割を担う
のだ。

 「羽黒さんには、町内会長として親睦旅行を企画して頂きたい。姉さんや麻里さんに
も協力して貰いますから、人は集められる筈です。そして恭子さん夫婦にも参加させる
のです」

 「そらまた遠大な計画やなあ。そないなもん企画しても、あの亭主は内気そうやから
絶対参加しそうにないで」
「姉さんは恭子さんの直属の上司ですし、夫とも親しく話せる仲です。必ず夫婦で参加
するよう説得させますから」

 「で、その旅行とやらに夫婦を誘い出して、何を企んどるねん」
「そこで麻里さんに人肌脱いで貰うつもりです。実はあの夫は中学校に勤めていた頃、
ありささんととても親しかったと言う情報があるのです。そこで……」

 こうしていつの間にか守男の奸計にすっぽり嵌まってしまった俺は、ヤツが多大な金
と時間と労力を費やして企んだ「恭子さん寝取り調教計画」に荷担せざるを得なくなっ
てしまったのだった。


               
    この作品は「新・SM小説書庫2」管理人様から投稿していただきました。