『調教家族』

                          二次元世界の調教師:作

第5話 「SM倉庫」と母の正体


 「遅くなるからと心配して、翔太君が迎えに来てくれたぞ」
「まあ、一体どういう風の吹き回しかしら。こんな珍しい」
「私は飲みがあるから、先に帰っててくれ。翔太君、真由美さんを頼んだよ」

 奥の部屋から新しい父さんである舟山さんに連れられて出て来た母さんは、別に普段
と変わらないように見えた。
地味な色の服装でパンツルックと言う少しも色気のない恰好。背丈も舟山さんと同じく
らいで、初老の似合いの夫婦に見える。
もちろん剥げかかった頭で小太りの風采が上がらない舟山さんより見栄えはするけれど、
姉さんの言うように、服装もお化粧も前より華やかになったとは、僕にはどうしてもわ
からなかった。

 「じゃあ、スーパーでお弁当を買って帰りましょう。翔太、荷物持ってくれる?」
「ああ、もちろん」
「助かるわ」

 ニッコリ笑った母さんと並んで、再婚前にパートで働いていたスーパーに向かう。
僕より頭1つ背が低い母さんとこうして一緒に歩くのも久しぶりで、髪に白いのが混じ
り始めてるためか、ずいぶん老けたなと言う印象だった。
とてもさっき痴態を晒し精液塗れになってた女性と同一人物とは思えない。

 あの奇妙なまでに音声の消えた白昼夢は、僕の幻覚だったんじゃないだろうか。
だがしかし、一旦外に出て頭を冷やしてから戻った時のSM雑誌鑑賞や舟山さんとの会
話は絶対に現実の事だったと確言出来るのだ。

ーー僕が狂ってるんじゃなければ、舟山さんはあのSM会が確かにあったと言ってるん
だよな。帰って、あの名刺に書いてくれたサイトを見れば何かわかるのかも……

 そんな事を考えながらトボトボとスーパーへの道を行ってると、母さんが妙にゆっく
り歩いてる気がして来た。
僕の方が成長したからそう思うだけで、もともとこんな歩きのペースだった気もするん
だけど、スーパーの目前で母さんは慌てたように股間を手で押えると、店内にダッシュ
すると言うはしたない行動を見せた。
「翔太、ごめんなさい。トイレに行って来るわ!」

 どうもトイレを我慢していたらしい。
僕はこの機会にと、舟山さんが土産だと渡してくれた名刺を財布から取り出して見た。
表には、舟山幹生、鍼灸師、そしてマスター施療院の住所や電話番号が印刷された、何
の変哲もない名刺だったが、裏に手書きのメッセージがあった。
「『SM倉庫2』で検索。パスワードはmesubutamayumi。後で話しに行くから、それまで
秘密だよ」

ーー「メスブタマユミ」だって!

 やはりそのいかがわしいサイトに秘密が隠されてるのだと確信した僕だったが、当の
本人がトイレをすませて出て来たので、慌てて名刺をしまわねばならなかった。
それから2人で姉さんや春菜が好みそうなのも含めて4人前の弁当やらインスタントの
味噌汁を買い、僕が持って一緒に帰宅する。

 「受験生なのにありがとうね、翔太。母さん、嬉しいわ」
道すがら、そんな事を言う母さんはいつになくニコニコと嬉しそうで、僕にはやっぱり
普段との違いはわからない。
ただ、家に帰ると急いでトイレに行ってたのは変だったけど。
どうしてこんなにトイレが近いんだろう? もう姉さんも帰っててすぐに様子を聞かれ
たけれど、もちろん本当の事なんか言えやしない。

 適当にウソを付き、春菜も呼んで4人で弁当を食べたが、疑惑は晴れて安全な弁当だ
けに皆残さず食べていた。
全く現金なものだ。
女性陣はテレビを見たり他愛もないおしゃべりを続けていたが、僕は勉強すると言って
早々に自室に引き込む。
本当は例のサイトを見てみたい一心だったけれど。

 部屋に入るとすぐに机に付いて、スマホを取り出し名刺に書いてあったメッセージを
実行。
「SM倉庫2」をすぐに発見し、パスワード入力画面でmesubutamayumiと入力すると、
飾り気のないテキストリンクだけのサイトが出現した。
見ると「M美の調教」「無料ギャラリー」「有料販売」の3種類にカテゴライズされて
おり、「M美」と言うそのものズバリのネーミングに緊張感を覚えざるを得なかった。

 説明らしきものは皆無だったので、「M美の調教」カテゴリのズラリと並んだリンク
を見ると、いきなり「拉致監禁」だったので少し驚いたが、どうやらM美と言う女子高
生に薬物を嗅がせて拉致監禁すると言う内容の小説らしい。
妙に生々しいので、実話風フィクションだろうか。

ーーそりゃ、明らかに犯罪行為だもんな……

 だが、読み進めて拉致監禁の実行犯である大学生2人の名前にギョッとする。
「トウタ」と「カズキ」は、亡くなった父さんと舟山さんのファーストネームではない
か。
これは絶対に偶然の一致なんかではあり得ない。
でも舟山さんと母さんの関係はさっき凄いのを目撃してしまったわけだけど、亡くなっ
た父さん上田塔太も関係があったと言う事なんだろうか?

 僕はついつい読みふけってしまい、処女だった女子高生M美がエッチな性調教でマゾ
に目覚め、超ミニスカで学校に行ってパンチラを見せまくり、授業中にオナニーしてイ
ッテしまう、などと言うストーリーに興奮して、カチカチになってしまったチンポをシ
コシコしてしまっていた。
その時はもちろんM美を母さんと重ね合わせるなど、思いもしなかったのだけれど。
ハッと気付いたらかなりの時間がたってたようで、母さんに呼ばれているのに気付くの
も遅れてしまった。

 「翔太ー。翔太! 早くお風呂に入ってー。お姉ちゃんも上がったからー」

ーーう。出ちまったよ。ヤッベー……

 こういう時に限って無駄に大量の精液に辟易としながらティッシュで処理し、部屋の
ドアを開けるとさっきの服装のままの母さんと、風呂上がりでバスタオル1枚と言う姉
さんが立っていた。

ーー姉さん、その恰好はないよ、さすがに……

 「翔太。どうせ勉強もしないでエッチなサイト見てたんでしょう」
「何言ってんだよ」
「なかなか返事しないところが、怪しい」
「あなたはいいから、早く着替えて来なさい」
「翔太にサービスしても仕方ないか」
「……全く、千秋には困ったものね。一体誰に似たのかしら」

 家の中とは言え、高校生の弟には刺激的な半裸を見せびらかす姉さんに眉をしかめて
見せる母さんは、やはりさっきのマゾ女性やM美とは別人なんじゃないだろうか。
まだ外出時の恰好のままの母さんはいつでも風呂に入るのは最後で、慎ましく落ち着い
た姿しか家族に見せないのだ。
僕は気持ちを落ち着かせようと湯舟に漬かったが、とても女家族には見せられない股間
の欲情ぶりは鎮まる気配がないので、又しても抜いてしまった。

ーー千秋姉さんとは、タオル一枚の裸を見せられるどころか、オナニーの見せ合いなん
てやってしまった。
でも、母さんがもっと凄いことをしてるだなんて……もう女なんて誰も信じられないよ

 風呂を上がってからも、もちろん勉強なんか出来やしない。
部屋にこもって、「SM倉庫2」のM美調教ストーリーを読みふけり、続いて「無料ギ
ャラリー」を呼び出した。
すると、撮影年月日とM美(女子高生)と記してあって大量の画像が出て来たのだけど、
それは「M美の調教」をイメージ化したかのような、1人の女性のSM画像だった。

 初めはM美の制服のスカートめくりパンチラ程度だったのが、手錠で拘束したり縄で
縛ったりされたM美の局部がモロに見えてたり過激になって来た。
パスワードが必要なやばいサイトなわけである。
基本的にM美しか出て来ないが、これもモロの男性器やら責め具などが次第に混じって
いく。

 M美(女子高生)は大人しそうな黒髪ロングの少女で、僕は正直ひどく惹かれてしま
い、彼女が母さんかも知れないにも関わらずシコシコ励んでしまっていた。
色褪せた古い画像だったけど、母さんだと言われれば納得しているだろう。
撮影年月日も大体合っているように思われたが、M美(女子大生)でガラリとイメチェ
ンした彼女の画像を見た瞬間、僕は引っ繰り返りそうになっていた。

ーーこのガングロ女、姉さんじゃないのか?

 撮影年月日を信用するなら、それはあり得ない事だった。
よく見ると全身日に焼けて、顔の造作も区別付かないほど黒いので、そう見えてしまっ
たらしい。
鼻ピアスまでしてるから、姉さんより凄いビッチギャルだ。

 だが、お○んこをクパアと自分の指で広げてペニスをくわえ込み、口にもう一本のペ
ニスを突っ込まれながらピースサインをしてるバカ女は、確かに母さんだった。
イメージが大きく違うけれど、やはり血を分けた母娘で、顔のつくりや背格好、体形な
ど、実は姉さんと母さんはソックリなのだった。

 僕はもう夢中になって時間のたつのも忘れ、どんどん過激で卑猥に変わっていくM美
(女子大生)のギャラリーを漁り、昔の母さんをオカズにせんずり行為に励んだ。
M美(女子大生)編は4年分もあるので、画像も大量だ。
まさかと思ってテキストリンクに戻って確認すると、何と20年以上前から膨大な画像
がストックされているではないか!

 女子大生編から、M美(フリーター)が続き、OLになって結婚したらしいM美は、人
妻編が延々と続く。
もうすっ飛ばして最新のギャラリーの年月日を確認すると何と今年、父さんが亡くなる
前の頃か、と思ったが画像の確認までは出来なかった。
部屋をノックされ、舟山さんの小声が聞こえたのである。

 「翔太君、まだ起きてるかい?」
気が付くともう0時を回っている。
僕は無言でドアを開けたけど、ほとんど口を利く事も出来なかった。
舟山さんが土産をくれた理由も納得だ。
あのサイトを見ていなければ、舟山さんの話はとても信じられなかっただろう。

 「サイトはもう見てくれたかい?」
「はい」
「君のお母さん、真由美さんは……おそらく君がサイトで見たM美が本当の姿なんだ」
「さっき見てしまったのも?」
「ああ。間違いないよ」