『調教家族』

                          二次元世界の調教師:作

第6話 露出調教への誘い

 飲みから帰って真夜中と言うのに、舟山さんはお酒の匂いが全然せず、極めて落ち着
いた口ぶりで信頼できそうに見えた。
話の内容はハッキリ言って常軌を逸していたのだけれど。
「この部屋で話して、外に聞かれることはないだろうか。例えば、お姉さんや妹に」
「まだ起きてるかも知れませんが、2階だから大丈夫でしょう」

 わが家の間取りは、2階にあるのが、女性用の寝室と、亡くなった父さんの書斎兼寝
室で、実は1階で寝起きするのは僕だけなのだ。
舟山さんはそれでも声を抑え、他人には知られぬよう驚くべき話をしてくれた。

 「翔太君もいろいろ混乱してるだろうから、少し話を整理しておこう。私は何も隠さ
ず本当の事を話すつもりだから、出来れば信じてもらえる事を期待しているよ。いいか
な?」
「はい、お願いします」
「君は何も知らず、真由美さんを迎えに来たつもりで、あの現場を覗き見てしまった。
だけど怖くなり、何も見なかったフリをして出直した。それでいいね?」

 「ごめんなさい。その通りです」
「翔太君が謝ることはないんだよ。あんなの見せられてショックを受けない方がおかし
いんだ。犯罪じゃないんだけど、私もあまり他人に知られたくない事をしている自覚は
あるからね。そこで君にも秘密にしてくれるようお願いしたんだけど、大丈夫だろうか」

 「母さんにも秘密ですか」
「いや、それは君の判断に任せるが。真由美さんが気付いていないのは確かだと思うよ」
「じゃあ、黙っておきます」
「その方がいいかも知れないね。もし良かったら、今日あえて君がやって来た本当の理
由を教えてくれるかい」
「あのう……実は姉さんに言われたんです。様子を見て来いって」」
「やっぱりそうか。言いにくいんだけど、お姉さんは真由美さんの料理に疑いを持った
んじゃないかな?」

ーー姉さんの言ってたことは本当だったんだ!

 「料理ですか。味付けが濃くなったとか文句言ってました。僕は…」

ーーどこまでしゃべってもいいんだろう? ムラムラしてオナニーをやり狂い、姉さん
と道を踏み外しそうになった、何て言えるわけないよな……

 「別においしいから、いいんじゃないかって」
「そうか、君の体に異常はないんだね。実は、真由美さんはお姉さんの料理に特殊なク
スリを入れている。健康に問題はないんだけど、少しばかり……すまない、これ以上は
君を巻き込んでしまうかも知れないから、聞かなかった事にしてくれ」
「そんなの無理です。教えて下さい」

 舟山さんには言わなかったが、何しろ僕もクスリを盛られたのである。ここはどうし
ても譲れない。
「本当に、知らなかった方が良かったって事になるよ。悪い事は言わないから」
「警察に言いますよ。いろいろマズいんじゃないですか?」
う~んと残り少ない髪の毛をかきむしった舟山さんは、意を決してくれたようだ。

 「仕方ないな。その代わり絶対に秘密だぞ」
「はい。お願いします」
「少し長い話になるが、いいかな?」

 舟山さんは母さんとこうなった経緯から過去に遡って話してくれた。
彼と亡くなった父さん上田塔太は学生時代「ミステリ研究会」で知り合い、SM小説好
きと言う共通の性癖がわかって無二の親友となった。

 そして小説で良くあるような、若い女性の拉致監禁を2人で実行に移したと言う。
そのターゲットが、制服を着た大人しそうな女子高生だった母さん、真由美だった。
つまり「SM倉庫2」の「M美の調教」そのままだ。

 「いやもちろん、あのサイトの内容はかなり妄想が加わってるから実話ではない。
「M美の調教」は文才のあった君のお父さんが書いたフィクションだよ。実際は拉致じ
ゃなくて強引なナンパで、無理に家の中に連れ込んだんだ。

 だけど真由美さんは強く出られるとすぐに大人しくなってしまう気弱な女性で、易々
と拘束され乱暴させたな。
「ギャラリー」は全部本物だよ。君のお母さんは初めに縛られてレイプされた時から、
実は歓んでたんだよ。今の言葉で言えばどMだな。翔太君はショックで信じられないか
も知れないけど」

 「いえ、そうなんじゃないかと…」
「昼間の乱交と、サイトのギャラリーで十分だったかな? いつの間にか、私たちは真
由美さんを歓ばせるために苦労して調教してあげるようになっていた。まるで女王様に
仕える下僕みたいにね」

 例のサイトやマスター施療院での凌辱で僕が想像していたのと全く違う。
母さんは自ら調教されるのを望むマゾ女性だというのか。
僕にはまるで理解の及ばない世界だと思ったが、もう少しも疑うことなく舟山さんの話
に耳を傾けていた。

 サイトのギャラリーの撮影日時や母さんのステータスは正確だそうで、それに沿って
話は続く。
会社勤めを経て母さんは結婚するのだが、実情を聞いてとても驚いた。
母さんは、本当は2人共用の性奴隷だったのだが、生活の安定を望んで会社勤めの上田
塔太と結婚したのだと言う。

「私は資格を取って家業を継いだんだけど、いつ潰れてもおかしくない状態で、とても
真由美さんを養ってくようなお金なんかなかったんだ。だけど結婚してからもそれまで
通りの関係は続いた。真由美さんがそれを望んだからだ。でもそれは真由美さんの責任
じゃない。私たちが、欲望に任せて性調教を繰り返し、彼女をそんな女性に育ててしま
ったんだ。君たちが本当はどちらの子なんだか、実のところわからない」
「そんな……」

 その告白は最大のサプライズだった。
舟山さんは、今更父親を名乗る気はなく、この再婚は罪滅ぼしなのだと言う。
そして異常な被虐性癖が治らない母さんの面倒を一生看てやるつもりなのだと。
夕方に見た男達は、会費を払って母さんのSM調教会に参加してくれる有志で、他にも
協力者は多いと言う。

 サイトで有料販売のコーナーがあったが、相当な額の収益は全て上田家のものらしい。
僕が大学を受験出来るのもそのおかげか。
警察に通報するなどとんでもない。
もう僕は舟山さんと秘密を共有し、後戻りは出来ない。

「全ては真由美さんが望んだ事なんだよ。お姉さんの食事にクスリを盛ったのも、彼女
の意思だ」
「何のために?」
「自分と一緒に調教して欲しいと頼まれたよ。何しろお姉さんは、真由美さんの若い頃
にソックリ、瓜二つだからね。サイトで見ただろう?」
「はい」

 「近く決行するが、私の見た限り間違いなくお姉さんは堕ちるな。真由美さんの血が
黙っちゃいないだろう」
「あの、僕は、どうすれば……」」
「君に任せるが、見て見ぬフリをして黙ってて貰うのが、翔太君のためじゃないだろう
か。受験生なんだろう? そんな事はないだろうと信じているが、警察に通報したってい
いんだよ。少なくとも、お姉さんはそれで助かる」

 僕に手を引けと言うことか。
だが、今この時にも腹の皮を突き破らんかの勢いで猛烈に猛り狂うペニスが、僕の冷静
な判断を妨げ、舟山さんのアドバイスに納得してくれなかった。
固まってしまった僕を見た舟山さんは、ヤレヤレと仕方なさそうに言った。

 「真由美さんの血を引いてるのは翔太君も同じか。覚悟が出来るんだったら、今から
散歩に出かけないか。野外露出調教だよ」
「……お願いします」
「用意して来るから、勝手口の方へ来てくれ。そのままの服装でいいよ」
こうして僕は母さんを調教する事になってしまったのだ。