「買われた親子」

                     赤星直也:作
第10話 智恵の虐め

 自宅に戻った2人は黙ったままだ。
(どうしよう、黒川さんのことを言ったらいいのかしら。美幸に妻になれなんて言えな
いし…)(お母さんに言った方がいいのかしら、結婚を迫られているのを…)お互いに
言い出せない。

 そんな2人だが、追い打ちを掛けるように智恵が香織を訪ねてきた。
「久しぶりに同級生と会うから、あなたも付き合ってね。ただし、ヌードでよ」
「いやです。どうして、ヌードにならないといけないのよ!」

 「あら、私の言うことが聞けないんだ。だったら、これを近所にばらまいてもいいの
ね」それは香織の全裸写真で、足を広げ淫裂を晒した写真だ。
それに、店で踊っている美幸の全裸写真もある。

 「わ、私が、そんなに憎いの?」途切れ途切れに言うと「当然よ。あなたには恥を掻
いて、消えて貰いたいのよ」答える。
「今後、同級の前には出ないと誓います。ですから、ヌードは許して下さい」

 「信用出来ないわ。ほら着替えなさい!」智恵は乱暴にも香織の服を脱がしていく。
「こんなの要らないの。素っ裸になるんだから」ショーツ、ブラジャーと剥ぎ取り「い
いわね。そのパイパンを見たら驚くわよ」手入れされた無毛の淫裂が露わになった。
「許して下さい。お願いです!」泣きながら詫びても、聞き入れられない。

 「これを着て。着ないなら、素っ裸で外に行くわよ」薄手のワンピースを放った。
香織は全裸で外に出たくないから、それを拾い着ていくが「オッパイが見えそうです。
もっと厚手の物を…」「どうせ、脱ぐんだからそれでいいの。ほら行くわよ!」腕を掴
まれ車に乗せられた。

 香織が乗ると車は走り出し、住宅街を走り続け、1時間程で家の前に停まった。
「着いたわ。降りるわよ」言われるまま降りて玄関に立ち、チャイムを押すと、暫くし
て、ドアが開き懐かしい顔が現れた。

 「香織に、智恵じゃないのよ。待っていたわ、早く上がって!」2人を中に案内して
いくと「京子じゃないのよ。それに夏子も」智恵も笑顔になっている。
「久しぶりね、元気でよかったわね」「私はね。それより、香織には事情があるのよ」
そっと耳打ちした。

 「嘘でしょう?」3人の同級生は驚いた顔になると「本当なのよ。香織さん、脱いで
もいいわよ!」智恵は香織を睨んだ。
(脱ぐしかない…。私はともかく、娘の写真は見せる訳には行かないし…)震える指で
ボタンを外した。

 そして、肩から引き下ろすとワンピースは支えが無くし、一気に足下へと落ち、代わ
って、香織の生まれたままの姿が現れ「へ、ヘアがない!」声が上がる。
「香織は裸になりたがる病気なの。だから、このままにさせましょう」
「聞いたことある。露出症という病気があるそうよ」香織の全裸を見ながら話していく。

 それに香織を変態と信じて、白い目で見ているが(病気じゃないわ。脅されてやって
いるのよ!)香織は反論もできず,黙ったままだ。
「旦那を亡くしてからこうなのよ。それに、あれもするの」

 「あれって?」
「旦那が恋しくて、指であそこを弄くるのよ。やってみなさいよ。見てあげるから!」
(イヤ。オナニーなんてイヤよ!)智恵を見つめると(やるのよ。やらないなら写真を
ここでばらまくからね)と威圧した目をしている。

 (やるしかない…)香織は乳房を撫でだし、淫裂に指を入れて「ん、ん、ん!」声を
上げていく。
「よっほど旦那さんが恋しいのね。持ち物がよかったのかしら?」

 「イヤだわ、京子ったら。あなただって、毎晩やったんでしょう?」
「そんな、毎晩何てしてないわ。1日置きよ」
「凄いわね。内は週2回しかやってくれなかったわ」香織のオナニーを見ながら話して
いる。

 だが香織は(もういや。こんな恥ずかしい思いはしたくない…)項垂れて指を動かし
続けた。
(そうよ、それでいいの。これで、香織は同級会には来られないわよ)ニヤニヤしなが
ら智恵は見つめていた。

 だが、智恵の虐めはこれだけではなかった。
車をデパートの駐車場に停めると、香織に服を脱ぐよう言う。
「イヤです。いくら何でも、大勢います!」

 「やらないなら、この写真がどうなってもいいのね」決まり文句を言われれば従うし
かなく、狭い車の中でワンピースを脱ぎ、全裸になった。
「行くわよ。あなたのオッパイにあったブラジャーをプレゼントしてあげる」腕を掴ん
で店内に向かう。

 「イヤ。裸です、行きたくありません!」
「写真がどうなってもいいのね?」
それには「う、う、う!」泣きながら付いて行くしかない。

 当然店内は「キャー!」いきなり全裸で現れた香織に騒然となった。
「変態よ。素っ裸だなんて!」指差し眺めており(脅されてやっているの。仕方なく…)
香織は下を向いて歩いている。

 「変態よ。ヘアまで剃って性器を見せるなんて!」若い女性が乳房を掴んだ。
「痛い!」悲鳴を上げ、その手を振り払い、智恵の後を歩いてく。
(悔しいわ。どうして、智恵からこんな酷い目仕打ちを受けなければいけないのよ!)
涙が足下に落ちていく。

 香織は買い物客や店員に白い目で見られながら下着売り場にきたが「そ、そんな!」
店員は全裸で現れた香織に驚いている。
「ブラジャーが欲しいの。こんなオッパイだから…」智恵は揺さぶった。

 「ど、どのような物がお望みで?」
「エッチ系よ。どうせなら、見えるやつがいいわ」
「それでしたら、こちらでは…」店員は並べていくが、全裸の香織を客が取り囲んでい
る。

 「見てよ、あの性器。かなり使い込んだわよ」
「ホントね。綺麗なら見せたい気持ちがわかるけど、あんな黒いんじゃね」ヒソヒソ話
し合っており、それには唇を噛んで堪えるしかない。

 その一方で「これがいいわ。サイズは…」智恵が勝手に注文した。
「お包みします」
「そのままでいいわ、ここで着るから」店員は値札を取り、香織に手渡すと、乳房に押
しつけ、背中を止めた。

 (スケスケだわ。乳首まで丸見えよ)うっすらと黒みを帯びたナイロンが乳房を包ん
でいる。
「お似合いよ。よかったわね」智恵は代金を払うと戻って行き、後を香織が歩いて行くと「何のつもりかしら。オッパイが透けているのよ」背中からは客の声が聞こえている。