「全裸の格闘」

                             赤星直也:作

第2話 借金 

 通夜には太郎の会社関係者が弔問に訪れた。
「これは太郎君の退職金と、通勤途上なので労災扱いですから、お見舞い金です…」
札束の入った袋を差しだした。

 「2千万あります。しかし、相手も死亡しましたからおそらくなくなるでしょう。
任意保険の補償額も少ないし…」と付け加え「そうですね。こちら側に落ち度があり
ますから」雪江も頷いた。

 通夜が終わると、弔問に訪れた人も減って、親族だけが残されている。
「雪江さん、あなたには子供がいないわよね?」太郎の姉が言い「悪いけど、あなた
には相続権がないの」更に言う。
「そんな~。太郎さんは私の夫よ!」雪江は驚いて叫んだ。

 確かに、姉の言うことが正しい。
日本の法律では、子供のいない妻には、相続権がない。
男尊女卑時代に作られ法律はそのまでま、改正されないからだ。
従って、雪江は自分で家事をした分しか配分されない。
太郎側の親族が相続放棄しなければ、家などの資産は太郎の親族が受け取る事になっ
てしまう。

 「お願い、私は妻です!」雪江がいくら泣いても、親族は許さなかった。
「子供がいない以上、相続はあきらめてもらうしかないわ」冷たく言い放つ親族に雪
江が泣き出した。

 その時「誰かいるか!」玄関から声がした。
「は、はい!」雪江は涙を手で拭きながら玄関に向かうと「!」相手の姿を見て驚い
た。
「太郎さんが亡くなったんだってな。俺は太郎に金を貸してあったんだ。返してくれ
よ!」やくざのような格好をした2人連れが言い出す。

 「ここでは何ですから、奧で!」雪江が中に案内していくと、親族も2人の姿に脅
えている。
「俺は黒川という。あんたの旦那に金を貸していたんだ。返して欲しいんだよ!」座
るなり、言い出した。
「いくらですか?」太郎の姉が恐る恐る尋ねた。

 「2千万だ。この家は俺が抵当としてもらう!」
「証文もあるぞ!」コピーを見せると、確かに太郎の筆跡で、印も太郎の実印だ。
「でも、私はこの家を相続する権利がありませんから…」雪江が言う。
法律では、資産を相続した者が、負債も相続しなければならない。

 「私は相続を放棄しますわ。雪江さん、相続して!」黒川と連れの異様な姿に、太
郎の親族は脅えて相続を放棄した。
(やくざと関わったら、何をされるかわからない!)それで皆が放棄した。
「とにかく、葬儀が終わるまでは待って下さい!」雪江が頭を下げると「そうだな。
葬式が終わるまでは待ってやるよ」黒川はそう言い残すと家から出て行く。

 「私、絶対に相続しないからね!」
「俺だってやだよ。雪江さんが一番いいし!」
(ずるいわ、やくざの姿を見たら態度を変えるんだから)雪江は親族に不信感を持っ
た。

 翌日に、告別式が行わた。
斎場は弔問客でごった返している。
喪服姿の雪江は1人、1人にお礼を言い、告別式は読経とともに始まり、焼香、出棺
と無事に終わって、雪江と親族は遺骨を持って自宅に戻ってきた。

 自宅に戻ると、弁護士が訪問してきた。
事前に連絡があって慰謝料を払う約束をしていたからだ。
雪江は被害者の弁護士に、会社から受け取った全額を払い「残りは任意保険から支払
います。時間が掛かるので、待って下さい」と謝っている。
「わかりました。そう伝えます!」弁護士は家から出ていく。

 すると、見計らったかのように、手下を連れて黒川が現れた。
今度は4人で、太郎の親族はそれを見るなり「私、明日用事があるから!」荷物をま
とめて家から出て行く。
「俺も明日早いし!」そして、親族は次々と家から出て行き、残ったのは雪江だけだ。

 「奥さん、金の準備はできたか?」黒川は家に上がるなり言い出す。
「できません。何とかしますから、もう少し待って下さい…」雪江はやくざに土下座
していく。
「ここを売れば、直ぐに金ができるじゃなか!」
「売るのは許して下さい。ここには、夫との思い出がいっぱいあるんです!」

 「ふざけるな。金を返さずに家は売らないだと?」男の声に雪江は震えていく。
元女子レスラーだが、相手が男性の大人となると、力負けするのは分かり切っていた
から、どうしようもない。
「お願いです。この家は残したいのです」雪江は必死に説得をしている。

 やくざ達は顔を見合わせて「しばらくは待ってやるから、こっちの言う事も聞いて
くれよ」言う。
「どんなことですか?」
「ちょっと、オ○ンコをさせてもらうだけですよ」雪江の顔色が一瞬に変わった。

 「いやです!」と叫んだが、4人の男は一斉に遅い掛かって「いや、いや!」暴れ
る雪江だが、畳の上で大の字の抑えられてしまった。
「4人の相手で、40万ので借金が減るんだ!」そう言いながら、黒川は喪服の帯を
解いていく。
「いや。許して!」足をバタバタすると、喪服が開いて、太股が見えていく。

 幾重にも巻かれた帯は遂に解かれ、紐が見えてきた。
男達はこの紐も解いて、喪服の襟は左右に開き、真っ白の襦袢が露になっている。
「これで、見れるかな?」黒川は楽しむように、襦袢を開くと真っ白なブラジャーと
パンティが見えてきた。

 「ほう、白ですか…」男はパンティに手を掛けて下げていき「イヤー。やめて~!」
叫んでも黒川の両手は下げられ、恥丘の真っ黒な絨毛が見えてきた。
雪江は足をバタバタさせるが、パンティを掴んだ手は膝まで下げられ、パックリと割
れた淫裂が見えてきた。

 「オ○ンコが見えるぞ!」雪江の下半身が丸見えになって「いや、見ないで!」雪
江が足を閉じると、返ってパンティが脱げやすくなっている。
「やめて下さい!」パンティは簡単に足から脱がされ、淫裂が男の目に晒されている。
雪江は夫以外に淫裂を見せたことがなく「見ないで!」目を閉じて顔を背けた。

 下半身を見ていた黒川は「今度はオッパイだ!」ブラジャーを脱がせにかかった。
「もう、やめて下さい!」泣きながら手足をバタバタするがどうにもならず、ブラジ
ャーは簡単に外されて、乳房が飛び出している。

 「ほう。思ったよりもいい形をしてますね」連れの男達は、豊満な雪江の乳房を揉
みだし「いや、触らないで!」首を振って叫んだ。
「そうはいかなよ。とりあえず、素っ裸になってもらうからね」両腕にまとわり付い
ている喪服と襦袢を片腕づつ脱がせて、雪江は一糸まとわぬ全裸にされ、男達の目に
晒されている。