「人質にされた婦警」

                             赤星直也:作

第1話 誘拐


  「係長、パトロールしてきます」
「頼んだよ、水野君に岩下君」係長に敬礼をして若い婦警はパトロールカーに乗った。
「いくわよ!」「いいわよ、久美さん」パトカーは、港北署から郊外に向かい、行き交
う少ない場所でパトカーを停めた。

 「ここなら、いいわ」「そうね、誰にも見られないし…」2人は周りを確認してから
抱き合った。
「美紀、いいでしょう?」
「いいわよ、久美さん」お互いに唇を求め、手が制服のスカートの中に入り「そこよ、
美紀!」「久美さん、いいわ」パンティの上から股間を撫でている。

 久美と呼ばれた婦警は水野久美といい、美紀と呼ばれたのが岩下美紀で、2人はこの
春から、レズにのめり込んでしまった。
2人は別々な寮に入っているから、夜は楽しめず、勤務中に楽しんでいる。
パンティに入った手は、いつしか胸に伸びて、制服の上から乳房を撫でていく。

 「今日はつけてないの」美紀が言うと「わかる。乳首がほら」指先で撫でた。
「それを、摘んで!」久美は美紀の乳首を摘むと「私のオッパイも揉んで!」美紀も、
久美の乳房を優しく揉んでいく。
「いいわ、いいわ!」2人は、側を通り抜ける車を虚ろな目で眺めながら、喘いでいた。

 そのころ、港北署では「おい、いつまで待たせるんだ!」人相の悪い男が、警官に文
句を言っている。
「うるせえな。てめえらみたいな、屑に言われる覚えはない!」血気盛んな若い警官が
言い返した。

 「いい度胸してるな。俺を知ってのことか?」
「知るわけないだろう。屑なんか!」
「この野郎!」男が警官に飛びかかろうとしたが「やめなさい。ここは警察署よ!」連
れの女性が間に入った。

 「すみません、姉御。ついカットなって…」男は女性に平謝りだ。
姉御と言われた女性は「ねえ、後どれくらい掛かるの?」警官に色目を使っている。
「今日の面会は無理です。まだ、取調中ですからね。弁護士と相談してからにして貰え
ませんか?」

 「だったら、それを先に言え!」また、男が警官に食い下がった。
「やめなさい、石井さん!」
「す、すみません」
「お巡りさんのいう通りだわ、弁護士と相談してから出直すわ」2人は港北署から出て
行った。

 人相の悪い男は暴力団、八幡組のナンバー2で若頭の石井和久と言い、女性は組長の
妻の道代だ。
道代の夫は、八幡泰三で八幡組の組長をしているが、縄張りをめぐって、抗争を起こし
留置された。
その、泰三に面会に行ったが許されず、帰って行く2人だ。

 「私、弁護士と相談してみる」「姉御、お気をつけて下さい」2人は別れ、道代は弁
護士の事務所に行って相談した。
「そうですか、会えませんでしたか。明日私と一緒に行きましょう…」弁護士の言葉に
「そうして下さい」道代は礼を言って事務所を後にした。

 翌日、道代は弁護士を伴って、港北署を再び訪れた。
「会わせて欲しいの。弁護士もいるわよ」
「相談してきます」若い警官は上長と相談し「面倒だな。弁護士がいるんじゃ、押さえ
られないな」

 「そうですよ、係長。下手をすれば、職権乱用で告訴もありえますからね」
「10分だけという事で、会わせてやれ」
「そうします」若い警官は道代を面会室に案内した。

 「いいですね。10分だけですよ」
「わかりました。10分だけでもいいです」面会室に入った道代は、泰三が現れるのを
待った。
暫くして、ガラス窓越しに、泰三が現れた。

 「道代か。ここから、出られるようにしてくれ!」
「わかってるわよ。でも、無理なんだって。法律が改正されて、組長が全責任を取らさ
れるそうなの」
「くそー。早く出たいのに…」
「良い考えがあるわ。こっちも人質を取ればいいかも」
「無理だ、そんな事は…」泰三は落胆の顔だ。

 そこに「時間だ、面会はここまでだ」「わかってるよ」泰三は面会室から拘置場へ連
れて行かれた。
「そうよ。人質を取って、交換すればいいはずだよ」道代は考えめぐらしている。

 港北署から戻った道代は計画を練った。
「仲間が3人必要だわ。有香と百合はいいとして、男がいないと…」考えをめぐらして
いる。

 「そうだ。板井がいいわ。あれなら、きっと手伝ってくれる」一人で考えをめぐらし
ていく。
「人質は警官がいいわね。それも、婦警がいいかも」組事務所で計画を立てていく。

 そして、数日後に、道代の計画が実行された。
「お巡りさん、車が邪魔ででれません!」管轄内をパトロールしている婦警に声が掛け
られた。
婦警は勤務中に、仕事をさぼって、レズを楽しんでいたあの婦警だ。

 「美紀、行ってみよう」「そうね」2人は声を掛けた女性の後に続いた。
2人は港北署の交通課に勤務していて、今日は違法駐車の取り締まりで町をパトロール
していた。
そこに、女性から声が掛けられ、パトカーで細い路地に入っていく。

 「こんなところに停めるなんて。違反切符を切らないとだめだわ」久美と美紀は車に
駆け寄った。
そこに「ちょっと、何するのよ!」道代が連れを伴って現れた。

 「これはあなたの車ね。駐車違反ですよ」久美が言う。
「だから、なんなの?」
「移動して下さい」美紀も言った。

 「うるさいわね。ごちゃごちゃ言わないの!」道代はピストルを久美の胸に押しつけ
た。
「おもちゃじゃないわ。ロシア製のトカレフよ」
「あんた達!」久美の顔が一瞬にして、引き吊っている。

 「有香、あんたも手伝って!」
「わかってるわよ」有香と呼ばれた女性も、ピストルを持って美紀に押しつけた。
「撃たないで。お願いだから!」全身を振るわす美紀だ。

 「ここだと目立つから乗って!」久美と美紀の2人はパトロールカーに乗せられた。
「変なことをしたら、撃つからね」運転席に座った久美に、助手席に座った道代が銃口
を向けている。
「あんたも乗るのよ」美紀も後部座席に乗り、有香も銃口を美紀に向けた

 「走って!」久美はエンジンを掛け走りだし、その後を女性の運転する車が続いてい
く。
「うまくいったみたいよ」後ろで運転している女性は携帯電話で連絡を取った。

 久美の運転するパトカーは郊外へと向かい、 その後をもう1台が離れずに付いて走っ
ている。
パトカーは、人家から遠く離れた建物の中に入り「姉御、うまくやったみたいですね」
人相の悪い男が出てきた。

 「降りるのよ!」銃を久美に向けて道代が降り、久美と美紀が降りていく。
「板井、パトカーを始末して!」「わかりました」パトカーは建物の中に入れらた。
「誘拐よ、ただじゃすまいからね」震える声で久美が言うと「強がり言って!」路地に
連れ込んだ女性が久美の頬を打った。

 「私ね、婦警さんに恨みがあるの。素っ裸にされ、性器まで広げられて取り調べられ
たのよ」
「私も百合と同じ事をされたわ。覚醒剤の容疑だと言って」有香も銃を向けながら美紀
の頬を打ち「痛い!」叫ぶが「ここじゃだめです。姉御、早く中へ!」人相の悪い男が
声を掛けた。

 「そうね、板井の言う通りだわ。入って!」久美と美紀は両手をあげたまま、建物の
中に入った。
「ここが隠れ家なんだ…」
「有香と百合は、初めてだったわね」建物の中は綺麗に内装品で覆われており、道代は
得意げに言う。

 「板井、準備はいいかしら?」
「はい、姉御の言われたように、用意しました」
「そう、ありがとう。早速、始めるわ」
「もう、やるの?」有香や百合も唖然としていると「当然よ、港北署に早くショックを
与えないと」道代は銃口を向けたまま、板井が準備した部屋へ久美と美紀を連れて行く。

 「ここは、なんなの?」そこは、照明が煌々と照らされた部屋だった。
「ここから始まるのよ」道代はニヤリと笑って言う。
「今なら、まだ間に合うわ。黙っているから帰して!」美紀と久美はこれから起こる事
を恐れて、全身が震えている。

 「姉御、セットします」板井はビデオカメラをセットしていくと(ビデオカメラ…。
間違いなく、ヌードにされる…)久美と美紀は怯えている。
「あんたが先輩よね。後輩のこの子のオ○ンコを丸だしにするのよ」道代は久美に命令
を下した。