「正義はどっちだ!」

                     赤星直也:作
第1話 出所

 塀に囲まれた刑務所に、1人の若い男が面会に訪れた。
「ここで待っていなさい」「はい!」刑務に官案内されて面会室に入ると、暫くして、
受刑者が現れた。

 「お父さん!」
「忠行じゃないか。お母さんは一緒じゃないのか?」
「お母さんは、この前亡くなったよ」泣き出す忠行だ。

 「病気だったのか、お母さんは?」
「違うよ、自殺したんだよ。借金が返せなくて…」
「そんな馬鹿な。会社が面倒を見てくれていたんじゃないのか?」
「ううん。何もしてくれないんだ。それで、お母さん働いたんだけど返せなくて…」泣
き声になっている。

 「親戚はどうした。兄貴や、姉さんはどうしたんだ?」
「少しだけ援助してくれたけど、恩着せがましく言っていたんだ。だから、最後は援助
を断ったんだ…」
「そうか。それで、忠行は今何をしているんだ?」

 「働いている。お父さんの事で会社は雇ってくれないから、鳶の見習いをやっている
んだ」
「そうか、会社と親戚は何もしてくれなかったのか…」唇を噛む昭次だった。
「葬式は親方がやってくれたんだ。いい人だよ」

 「そうか、いい人か。そうだ、働いている先を教えてくれないかな?」
「手紙を出すよ、直ぐに」「そうしてくれ」2人は暫く話し合った。
「時間だ。続きはあとにしてくれ」刑務官は素っ気なく言い、秋山を刑務所に連れ戻し
ていく。
「父さん、待っているよ、早くお母さんの墓参りしようね」後ろ姿に声を掛ける息子の
忠行だ。

 秋山昭次は会社の金を横領した罪で服役していた。
しかし、実際は無実で、社長と総務部長の罪を被り服役している。
総会屋対策で多額の現金を渡していたのが発覚しそうになり、それで、社長と総務部長
から罪を被るように頼まれた。

秋山には先代の社長から恩を受けてここまで来たから、その弱みに付け込まれ、息子の
社長から泣き落とされて罪を被る事にした。
しかも、家族の面倒を必ず見るという条件で。

 秋山は万が一を考え、1千万を現金で受け取り、それを姉と兄に預けていた。
妻に預ければ、損害賠償で回収されるのが見え見えだったからだが、その約束が守られ
ず、兄弟はそれを猫ばばしてしまい、冷たくあしらっている。

 会社側も、事件の発覚を恐れて何もしないばかりか、反対に損害賠償を求めた。
自宅を差し押さえられ、家族は貧乏暮らしを強いられてしまい、その暮らしに堪えかね、
妻が自ら命を絶った。
「許せない。あいつらを絶対に許せない!」心に誓う秋山だ。

 それから数週間後「いいな、もう二度と戻るんじゃないぞ!」まだ刑期を残した秋山
は、唯一の出入り口から外に出た。
模範囚として刑期を勤めた秋山に、政府からの恩赦が認められの出所である。

 刑務所を出るとバス停へと歩いていくが、町から離れている刑務所は交通が不便が当
たり前で、バス停だって30分近く歩かなければならない。
「とにかく、町へ行かないと…」真夏の太陽が照らす中、アスファルト道路の上を歩い
ていくと「おや?」秋山の目にワンピースを着ていた女性が目に付いたが、様子がおか
しい。

 「もしかして?」秋山が後を追っていくと、女性は道から逸れると、木立の中に入り
「う、う、う!」泣き声が聞こえる。
「間違いない、死ぬ気だ!」小走りで近寄ると「邪魔しないで。死なせて!」首にロー
プを巻き付け女性が叫んだ。

 「死ぬな。死ぬのは何時でも出来る。死ぬな!」首に掛っかたロープを掴んで緩めて
いく。
「お願い死なせて。生きたくないの。死なせて~!」叫ぶ女性の体を持ち上げ、首から
ロープを外すと「う、う、う!」泣き出す女性だ。

 「死ぬのは簡単だ。残された家族を考えろ。それからでも死ぬのは遅くはないさ」秋
山は女性の顔を見た。
すかさず「み、美由紀じゃないか!」思わず声を出し「辛かったろうな、美由紀!」体
を抱きしめて唇を重ね、ワンピースのボタンを外す。

 女性は「やめて、何するのよ、やめて!」当然拒むが「美由紀、欲しい、美由紀の体
が欲しい!」長年たまっていた欲望が一気に燃え上がっている。
「いや、いや!」逃れようとする女性だが、ワンピースが脱がされ、青い下着が露わに
なっている。

 「綺麗だ、美由紀!」ブラジャーを捲り上げ、露わになった乳房に吸い付くと「いや、
いや!」抵抗するが、秋山の欲望はそれを上回っていた。
「やめて、いや!」パンティが引き下げられ「欲しい、美由紀が欲しい!」「美由紀じ
ゃないわ、人違いよ!」脱がされまいと押さえるが股間が露わになって「綺麗だ、美由
紀!」現れた絨毛を撫でていく。

 そして、足首からパンティが脱がされてしまった。
「やめて。お願い、もう、セックスはしたくないの!」叫ぶが秋山は抱き付いて、ブラ
ジャーも外し全裸にするとズボンを引き下げた。
「ダメ、イヤです。やめて!」肉竿が淫裂に押し当てられて「わかったわ。やりたかっ
たら、していいわ。その変わり優しくよ」覚悟したのか秋山の頭を撫でていく。

 秋山が肉竿を押し込んでいくと「うっ!」ピクンと腰が動いた。
「美由紀、欲しいよ」唇を吸いながら更に押し込んで行くと女性は「あ、あ、あ!」呻
き声を上げた。

 「愛しているよ、美由紀!」根本まで入るとピストンが始まり「いいわ。いいわよ…」
あれ程嫌がった女性も、秋山の動きに合わせて腰を振っている。
それに足も限界まで開き深い結合を求めて、淫裂からは淫汁が流れている。

 「限界だ。出したいよ」
「いいわよ。出したかったら出しても」背中を抱きしめ「うー!」放出を始めた。
「とろけそうよ。久しぶりにいいわ」抱きしめたまま動かず「美由紀、良かったよ」ま
た唇を吸っていく。

 「ち、違う。美由紀じゃないわ。美佳よ、井上美佳!」秋山もやっと間違いに気づい
た。
「悪かった、死んだ女房にそっくりだったもんで…」申し訳なさそうな顔をしている。
「奥さん、亡くなったの?」
「ああ、つい最近自殺したんだ。俺と子供を残して…」泣き出す秋山だ。

 「泣いたって困るわ。私だって死にたいのよ…」起きあがりると、ブラジャーを乳房
に押しつけ、その後パンティも履いてワンピースを着込んだ。
「もう邪魔はしないで。私とセックスして満足したでしょう?」美佳は再びロープを掴
んだ。

 「死ぬな、家族が泣くだけだ。俺のように!」再び体を押さえた。
「死なせてよ。生きていたって仕方がないの、死なせて!」
「訳を聞かせてくれ。それからでも遅くはないだろう?」秋山の言葉に美佳も次第に冷
静になってきた。

「騙されていたの。しかも、夫によ。私の名義で散々借金をしておいて、別な女の所に
ドロンよ。残されたのは借金だけ…」
「それだけでの理由で死ぬのか?」
「それだけで、死ぬのかとは失礼ね!」

 「そうだ。そんな理由で死ぬ事はないさ。自己破産や、負債免除だってやれるのに…」
「それだけじゃないわ。その女には子供がいたのよ。結婚する前に生まれた子供が。私
は金を作る道具だったのよ」泣き出す美佳だ。

 「辛いかい?」
「辛いわよ。死にたいくらいよ」
「でも死んだら負けだ。生きて、そいつを見返してやればいいじゃないか!」美佳も落
ち着いて、もう冷静になっている。

「所で、あんた、奥さんが死んだって言っていたわね?」
「そうだ、殺されたようなもんだ」
「聞かせて、今度はあなたの番よ」

 「分かった、聞いてくれ」秋山は今までの事を話し始めた。
会社や親戚に裏切られた事、刑務所から出所した事、そして、復讐をする事も話すと美
佳は驚いた様子だ。

 「あなたも辛かったのね…」
「そうさ。俺以上に妻が苦しい思いをしたんだ。絶対に許せない!」
「あんた、悪い人じゃないわね。私の家で暫く休んで。差し押さえられた家だけど…」
「迷惑じゃないかな?」
「平気よ。どうせ、一度は死んだ体だし…」

 「ありがとう。それにしても、美由紀そっくりだ。まるで、生き写しみたいだ!」
「そんなに似ている?」
「ああ。ほら、これが美由紀だ」大事そうにポケットから写真を撮りだした。
「ホントだわ。私そっくりだ!」

「だから、欲しくなって押さえが効かなかったんだ。謝るよ、体を汚して…」
「わかるわ、その気持ち。私の事は気にしないで。妊娠できない体にされたし…」
「どういう事だい?」

 「売春をやらされていたのよ。酷い夫でしょう。あげくが性病よ。病気は治ったけど、
不妊になっちゃったの」また泣きだした。
「だったら仕返ししてやれよ。俺も手伝うぞ」
「ありがとう、お願いするわ」2人は美紀の車に乗って走りだした。

 車は狭い道路から幹線道路に出て、町に入ると住宅街が並んでいる。
「ここよ、ここが私の家なの。ただし、今夜限りだけど」車を停めて家の中に入ってい
く。
「ねえ、お風呂に入った方がいいわよね」
「そうして貰えれば助かるよ」

 「だったら、こっちよ」浴室に案内して、蛇口をひねるとお湯が噴き出していく。
「着替えを用意するわ。夫のだけだど」美紀は着替えを取りに行き、秋山は服を脱いで
お湯で体を洗ってから浴槽に浸った。

 お湯に浸った秋山は、今までの事を振り返って「許さない、絶対に!」美由紀の顔が
思い浮かんでいく。
そこに「着替え用意したわ。ついでだから、背中流してあげる!」
「いいのかい?」「いいわよ。死んだ体だし」美佳が入ってきたが「み、美佳さん!」
驚きの声をあげた。

 一糸まとわぬ姿で秋山の前に現れ「私も洗わないと。いくら妊娠しないといっても性
器は汚れているし…」乳房と股間を露わにしている。。
「いいのかい。また犯すかも知れないぞ?」
「構わないわ。あなたが欲しかったら、何時でもしていいわよ。ほら、上がって!」美
佳も笑顔になっている。

 「こんな気持ちは、何年ぶりかな。あんな事さえなかったら妻も、俺も一緒に暮らせ
たのにな…」背中を擦られながら呟くように言う。
「奥さんを愛していたのね?」
「当然だよ。でも、兄弟から裏切られるなんて情けないな…」泣き出す秋山だ。

 「泣かないで。それより、お腹も空いているんでしょう?」
「ああ、それにゆっくり休みたい」
「上がったら、直ぐ作るから」美佳は秋山に親近感を覚えている。
似たような境遇だったから、なおさらだ。

 「今度は、僕が洗ってあげる!」秋山が美佳の体を洗っていく。
「気持ちいいわ。そこが痒いの!」背中を擦られると「お願い、前も洗って!」美佳が
振り向いた。
「いいんだね?」「いいわ。あなたとなら…」恥ずかしそうに目を伏せた。

 「わかった!」秋山は首から洗いだし(そこよ。そこにして!)首から手が降りて、
乳房を掴み撫でていく。
「ん、ん、ん!」美佳の呼吸が速まり、乳首も堅くなっていく。

 (だめ、もっとして!)乳房から手が退けられると、美佳は秋山の肉竿を掴んだ。
「私も洗ってあげるから、あなたもしてね…」恥ずかしさを堪えて、やっと言えた。
「ホントに、いいんだね?」
「お願い、して欲しいの…」
「わかった!」秋山の手が淫裂を触りだした。

 (堅くなっていく。オチンチンが膨らんでいく!)美佳の手で擦られた肉竿は使用可
能になっている。
「して、欲しい!」
「後でしようよ。寝る時に…」淫裂と乳房を触りながら言う。
「分かったわ。今夜ね」2人はお湯に浸っていく。

 美佳は浴室から上がると、食事を作りだした。
「凄いね。妻は料理は得意じゃなかったけど、美佳さんは得意のようだね」
「まあね。腕に自信有りってとこかな」笑顔で話す美佳だ。
作られた料理をテーブルに並べ、それを食べると2人はリビングでくつろぎ、寝室へと
向かう。

 「ねえ、ここでいいでしょう。ベッドはここしかないの」それはダブルベットだ。
「俺はベッド要らないよ。美佳さんこそ、ここで寝ないと…」
「ダメ、ここに寝て!」
「申し訳ない。このお礼は必ず返すからね」急いでベッドに潜り込む秋山だ。

 美佳は秋山を寝かすと、後かたづけをしていく。
「今度は、私が恩返しの番だわ。あんないい人なんだから…」美佳は家事を済ますと、
着ていた服を脱ぎだし、パンティ、ブラジャーも脱いで生まれたままの姿になった。
「これを見たら、何て言うかしら?」黒い絨毛と乳房が、薄暗い明かりに浮かび上がっ
ている。

 全裸になると、秋山の元へと向かった。
「寝ているのかしら?」そっと、ドアを開けて覗き込むと「だれだ?」すかさず秋山が
反応し「み、美佳さん!」美佳の全裸に、驚きの声をあげる。

 程良く膨らんだ乳房、黒々とした絨毛に覆われた恥丘と、まだ女性の魅力に満ちてお
り「美佳じゃないわ。美由紀よ、今夜は美由紀と思っていいわ。妊娠しないからしてい
いわよ…」顔を赤らめて秋山の手を掴み、自分の乳房に導いていく。

 秋山は久しぶりに暖かい温もりを感じて「美由紀。何故死んだ!」ベッドに乗せて乳
房を撫でていく。
(私も、美由紀さんのように愛されたかった。でも…)仰向けにされた美佳は、乳房を
撫でられながら、涙を滲ませている。

 「して。あなたに、して欲しい!」意を決めた美佳は、秋山の股間を撫でていく。
「分かった。美由紀!」パジャマとパンツを脱ぎ、美佳に覆い被さった。
「あ、あ、あ!」美佳の淫裂に秋山の肉竿が入り込み「愛している、あなた!」
「俺もだ。美由紀!」2人は唇も重ね合う。

 久しぶりぶりの人肌の温もりに、秋山の肉竿は限界まで膨らんでいる。
「いいわ、あなた。凄くいい!」背中を反らせ、乳房を掴まれて「あん、あん、あん!」
淫裂から淫汁が流れている。
(私も、この人と一緒にいたい…)久しぶりに味わう快感に、美佳は秋山の背中に爪を
立てていく。

 「美由紀。出すよ、出すからね!」
「いいわよ。あなた、一杯出して!!」美佳の膣奥暖かい液体が漂いだした。
「暖かい…。とろけそう…」精液が流れ出ているが、余韻に浸っている。

 暫く2人は唇を重ねて「あなた、もっと欲しいの」美佳が肉竿を撫でだす。
「俺も欲しい。何年ぶりだからな」
「今度は、私にやらさせて!」美佳が秋山の上に馬乗りになった。
「あなた、大部溜まっていたのね。もうカチカチよ!」

 「当然だよ。美由紀としかやらない主義だから!」
「今夜は、私が吸い取ってあげる!」肉竿を淫裂に吸い込んで、腰を振りだした。
「いいわ。あなた、いいわ!」声をあげ、淫裂からも液体が漏れ出ている。
「僕もいいよ。美由紀!」秋山も乳房を撫でて、美佳は3回秋山の射精を受け止めた。