「OL哀歌~加奈子編」

                               赤星直也:作

第1話 彩子の決意


 三友商事の会議室では、商品の販売をめぐっての会議が行われている。
三友商事は、この夏の水着でライバル会社との差を縮める計画を立てていた。
「今度こそは日商から奪い取るんだ!」課長の大泉が檄を飛ばすが「課長。それには
それ相当の目玉がないと勝てません!」係長の木村が言い出す。

 「目玉か。雪江君、何かないか?」
「それは薄さと軽さです。空気力学上これは傑作ですが…」雪江は言い切る。
「そんなの目玉にならない。あんた、現場のこと考えてるの?」木村は雪江に食いつ
く。
「傑作だと言ってるでしょう。これを着れば記録更新のラッシュが間違いなしよ!」
雪江も言い返している。
「ともかく、これが売れん事には、日商にまた差を付けられる。売りまくるんだ!」

 会議は終わったが、出席していた加奈子には、むなしさだけが感じられる。
「木村さん、私にはとても売れるとは思えないの…」
「加奈子君もそう思うか。やっぱり、売れないな」2人は並んで廊下を歩き(加奈子
の奴、いちゃいちゃして!)それを好ましく思ってない彩子が見ていた。

 彩子は木村が好きだが、なかなか言い出せない。
それで、後ろから歩いていく。いつもそうだった。
加奈子の後ろを歩く上長の彩子は(いつか、仕返しをしてやる!)それを心に言い聞
かせながら、俯いて歩いていた。

 会議室から戻ると、加奈子は机の上に置かれた書類を片付けていく。
「主任、印鑑をお願いします」加奈子は彩子に書類を差し出したが「間違ってるわ。
書き直しよ!」彩子は先ほどの憂さを晴らすように、渡された書類を突き返す。

 「主任、どこが間違ってますか?」
「あんた、何年この会社にいるのよ。人の名前と会社名を間違えるなんて、最低の事
よ!」
加奈子がよく見ると、確かに取引先の責任者の名前が誤字で「すみませんでした!」
加奈子は自分の席に戻ると、書き直しを始めた。

 すると「手伝おうか?」木村大作が書類を見ている。
「いいです、自分でやりますから」加奈子は奪いとるようにして直していく。
それを見て(今がチャンスだわ)「木村さん。今夜付き合って欲しいの」木村に声を
掛けると「嬉しいな。喜んでお付き合いしますよ」彩子の誘いに木村も乗った。

 そして、退社の時間になったが、加奈子はまだ終わってない。
「それじゃあ、加奈子さん。お願いしますよ」彩子は見せびらかすかのように腕を組
ん出て行く。
それを見て「何で、私が残らされるのよ!」香奈子はブツブツ言いながら1人残され
て書き直しをしていく。

 一方、彩子と木村は大きなレストランで食事をしている。
勿論、三友商事の接待費として経費扱いで「今日は木村さんとお話ししたくて!」彩
子は自分の意志を伝えたかったが、うまく言えない。
(どうしよう、言おうかな?)彩は迷っているが、そんな事を知らない木村は「彩子
さん、おいしいですよ。このワイン!」
「そう、私も頂くわ」彩子は木村にワインを注がれて「本当においしい!」彩子は木
村の顔を見ながら言うと、木村は「でしょう、これはうまいですよ!」自慢げに言う。
 
 2人は遅くまで楽しみ、レストランを出た時には11時を回っていた。
「木村さん、送ってくれない?」
「当然ですよ。女性1人を深夜歩かせるわけには行きませんからね」木村は少し酔っ
ているが、意識だけはまともだった。

 (チャンスよ、今日こそ抱かれないと!)彩子が思案しているとマンションのドア
まで来た。
「それじゃあ、僕はこれで!」
「まって、帰らないで。せめて、お茶でも飲んでいって下さい!」彩子は木村を自分
の部屋に導いた。
 
 彩子はドアを開け「中に入って!」部屋の中に木村を迎え入れた。
「おじゃまします」木村が部屋の中に入ると彩子はドアに鍵を掛け(そうよ。今日こ
そ木村さんに抱かれるチャンスよ!)「決めたわ!」彩子は施錠を確認すると笑顔で
木村を居間に案内する。

 「綺麗な部屋ですね。僕の部屋なんかゴミだらけですから!」周りを見回しながら
木村が言う。
「うふふ。だって、女性は綺麗好きでないと、お嫁の行き手がないわよ」笑顔で木村
の顔を見ている。
「そうだよな。綺麗好きな女性となら結婚してもいいしな」それには彩子は笑ってい
る。
 
 「木村さん、疲れたでしょう。上着を脱いだら?」彩子はお茶をいれた茶碗を差し
出しながら、木村の顔を見た。
(木村さん、私を奪って欲しいの…)彩子の目が妖しく光っている。
「綺麗だ。彩子さんの顔が綺麗だよ」
「あら、綺麗なのは顔だけなの?」えくぼを作って木村を見つめた。

 お茶を飲んでいた木村は「全部です、全部が綺麗です!」むせながら「ゴホ、ゴホ
!」咳をしている。
(チャンスよ。彩子。今がチャンスよ!)「私の全部を見たことがないのに、どうし
て綺麗と分かるの?」彩子は木村の背中を撫でながら言う。
「想像ですよ。彩子さんのヌードを想像して言ってるんです…」

 「そうなんだ。ヌードを想像して言ったのね?」
「ええ、ヌード姿を想像して、オッパイの形とか、股間とか…」
(どうしよう、ヌードになろうかしら?)彩子は迷ったが「木村さん、私のヌード見
てみない?」彩子はヌードを木村に見せる決意をした。
 
 彩子はスーツのボタンを外しだすと、上着が開いてピンクのブラウスが見える。
ボタンを外し終えると、上着をクローゼットにしまい込み、ブラウスのボタンを外し
だす。
ブラウスは胸元が開いて彩子の乳房の膨らみが見えてきた。
(もしかして、ノーブラ?)木村は息を止めて乳房を見つめている。
ボタンが全て外されると、彩子の乳房が揺れて(見られている…。もう逃げれない…)
顔が赤らみ緊張している。