「恥辱の投薬ミス」

                    赤星直也:作

第1話 記入ミス 

 「いい、薬を出しておくから、必ず飲むのよ」
「ありがとうございました」初老の男性が診察室から出て行った。
「次の人!」まだ若い女医は、カルテに記入しながら、看護婦に言う。
「はい、先生!」看護婦は診察室から出て「鈴木さん中へどうぞ!」と声を上げた。

 すると、若い男性がイスから立ち上がり、診察室に入ってきた。
「どうなさいました?」女医が尋ねると「熱が下がらないんです…」と答える。
「呼吸は、苦しくない?」若い女医は次々と質問していく。

 若い女医の名前は、川島直美で28才と独身だ。
美人でスタイルがよく、人当たりがいいので、誰からも好かれている。
当然、見合いの話も相次いだが「まだ、一人でいたいから!」と断っており、皆が見
合いさせるのは諦めていた。

 「先生、終わりました!」
「そう、終わりなのね…」直美は緊張が解け、背伸びをしていく。
「先生、今度おいしいお店を教えてあげるね」香奈はコーヒーを入れて、運んできた。
「先生もどうぞ」「ありがとう」2人が雑談をしながらコーヒーを飲んでいると「川
島先生、ちょっといいですか?」それは、この病院の院長である小泉孝弘だった。
「先生、お先に失礼します」香奈は気を使って診察室から出て行き、直美と孝弘の2
人が残された。

 「あの話なら、お断りしたはずですが…」
「わかってるが、もう一度考え直してもらえないかな。君しかいないんだ」
「私よりも、お似合いの人がたくさんいますから…」孝弘は、息子の孝一と直美の見
合いをさせようとしていた。

 2人は同じ小泉病院で勤務しているが、直美は内科で孝一は外科だから、一緒にな
ることは滅多にない。
そこで、孝弘は孝一と見合いをさせようとしていたが、直美はそんな気がもうとうな
いので断っていた。

 「そうか、しかたないな…」孝弘は諦めて、診察室から出て行った。
「困ったわ。その気がないのに」天井を見つめる直美だった。
一人考えている直美だが、いい考えなど浮かばない。

 そこに「せ、先生。201号室の有田さんの容態が変です。来て下さい!」看護婦
の香奈が診察室に走り込んできた。
「わかった、行くわ!」香奈と直美は廊下を走って、入院患者のいる病棟に向かった。

 階段を昇り「201」と書かれた病室に飛び込むと、看護婦の真澄が酸素マスクを
押し当てていた。
「先生、急に容態態が変わったんです!」真澄が事情を説明していく。

 「脈拍はどうなの?」
「30に落ちてます!」
「香奈ちゃん、注射の準備をして。マクロライドよ!」
「はい、直ぐ取りかかります!」香奈が走って行った。

 その間、直美は脈を取り、有田の妻が心配そうな顔で直美達の様子を見ている。
「先生、用意ができました!」
「直ぐに、マクロライド打って!
「はい!」香奈が腕に注射をすると、患者の呼吸が落ち着いてきた。
「何とか、間に合った…」「そのようです」グッタリしていく3人だ。

 患者の有田は65才だ。
肺炎を起こして入院していたが、感染性のウィルス菌での発病だ。
ペニシリンでは効果が期待されず、直美は副作用のある、マクロライドを使用した。

 「先生、ありがとうございます」有田の妻は直美に礼を言う。
「奥さんも疲れたでしょうから、お休みになったら?」直美は気遣っている。
「また、容態が変わったら教えて」そう言って直美は病室から出た。

 すると「川島先生!」声が掛けられた。
振り向くと、院長の息子である孝一で「あら、孝一さん!」笑顔で返事をしていく。
「今夜、一緒に食事しませんか?」
「すみませんけど、用事があってこの次ぎの機会に…」直美は別れてロッカー室に向
かった。

 ドアを開け、中に入ると、看護婦達が着替えていた。
「先生、お帰りですか?」
「そう、今日はこれで終わりだから」直美は着ていた白衣を脱いでいく。
「先生、綺麗なラインね。オッパイといい、腰のくびれといい申し分ないわ」
「ホントよ。私が男だったら、黙っていないわ」看護婦達は直美のスタイルを誉めて
いる。

 「ありがとう」直美はパンティとブラジャー姿になっていた。
「先生はいつも白ですね」
「私、白しか持ってないの」そう言いながら着込んでいく直美だ。

 着替えを終えた直美は、病院から自分のマンションに向かって歩いてく。
直美の住むマンションは、病院から歩いて5分くらいしか離れてない距離だ。
途中の商店街で、買い物を済ましてからマンションに戻るのが常だった。

 今日も途中で食品を買ってから、マンションに入っていく。
エレベーターで6階まで登り、廊下を歩いて自分の部屋に入った。
「今日は疲れた…」ドアを開け、入るなり、浴室にお湯を入れていく。
その間に、衣服を脱いで直美は下着だけの姿になっている。

 直美はパンティから脱いだ。
股間を薄目の絨毛が覆い、直美は毛深い方ではなかく、少ない方だ。
しかし、淫裂だけは隠すことができるほど生えている。

 下半身が露になると、ブラジャーも脱いでいく。
お椀型でツンと乳首が斜め上を向いていた。
色もピンクで綺麗な色をしている。

 全裸になって浴室に入るとシャワーを浴びていく。
乳房を撫でながら石鹸をこすりつけ、股間の絨毛をも洗う。
「どうして、私のヘアは少ないのかな?」丁寧に淫裂も洗っていく。

 その時「ブル、ブル、プル!」突然電話が鳴った。
「何かしら?」タオルで乳房を押さえ、受話器を取った。
「もしもし、川島ですが?」
「先生、直ぐ来て下さい。また、有田さんの容態が変わりました!」

 「わかった。直ぐ行く!」意受話器を置くと、直美は急いで着込んでいく。
「急がないと…」直美は下着を着けず着込み、病院に向かう。
走るようにして病室に飛び込むと、酸素マスクが当てられている。

 「川島先生、私には手に負えません!」当直医の孝一がおろおろしている。
「抗生物質よ。香奈さん!」直美は孝一を尻目に指示していく。
「はい、先生!」程なくして注射が打たれた。

 「よかったわ。間に合って!」額を拭く直美に「せ、先生。オッパイが!」香奈が
声を上げた。
「いやー!」直美のシャツのボタンが外れて、乳房が飛び出ている。
(綺麗なオッパイだわ…。触ってみたい…)香奈だけでなく、真澄も(直美先生のオ
ッパイを一回でいいから、触ってみたい…)2人は同じ事を考えていた。
「綺麗だ。川島先生の乳房は!」孝一も感激した。

 「恥ずかしい。こんなのを見られるなんて!」顔を赤らめ、慌てて乳房を押し込み、
ボタンを掛けていく。
「とにかく、カルテに書いていくから注射を頼むわ」
「はい、先生!」直美は荒い呼吸をしながら、有田のカルテに処方箋を書いた。

 「これで処置して!」
「わかりました、先生!」直美はカルテを香奈に渡して再び、マンションに戻った。
「疲れた…」その夜は、そのまま寝込んでしまった。

 翌朝、直美が病院に入ると「先生、昨日はご苦労様でした!」外科の孝一が、声を
掛ける。
「当然の事ですから…」直美は避けるように、診察室に入った。
「先生、おはようございます」香奈と真澄が挨拶し「おはよう!」白衣の直美は診察
の準備を始めた。

 それから1週間後、また有田の容態が悪化した。
「先生。来て下さい!」診察室から走って病室に入り、有田の様子を見た。
「呼吸が下がってます。それに脈も!」真澄が悲痛な声で叫ぶ。
「注射は、打っていたいました。毎日2回とも!」香奈も言う。

 「え、2回も打っていたの?」直美は唖然とした。
「だって、カルテに書いてあります」直美は香奈の持っていたカルテを奪うようにし
て見た。
「そ、そんな~!」直美は今にも気絶しそうだった。

 「せ、先生!」香奈は倒れそうな直美を支えた。
「先生、休んで下さい!」直美を気遣って、香奈は直美を看護婦の仮眠室に連れてい
った。

 ベッドの上で横になって休んでいるが、まだ落ち着きがない。
(間違えてしまった…。週の欄と日の欄を、間違えてしまった…)まだ、興奮が収ま
らない直美だ。