『時は巡りて』
    
                           とっきーさっきー:作
第8話 鮮血に染めた顔


 「ちゅぶ、ちゅぷ。はんむぐ……神楽さんの乳房、なんて柔らかいんだ。それに、
尖った乳首も小さくて可愛らしくて……カリッ!」

 「ひゃあぁぁっ、だめぇ淳二さん。ち、乳首は噛まないでぇっ……神楽ぁ、変にな
っちゃうぅ」

 身体の位置をもっと上にずらせて、わたしのおっぱいの下には淳二さんの顔がある。
神楽のふくらみに交互にしゃぶりついては、舌の先っぽで乳首をクルクル回されて転
がされて、わたしの反応を楽しむように前歯を当てられた。

 お父さんがいるのに……
姿を隠して気配まで消しているけど、お父さんが覗いているかもしれないのに……
でも、肩の関節から力が抜けちゃう。
ひじもガクガクして隙間が消滅して、胸のお肉が淳二さんの顔を包みこんじゃう。

 「はあぁんん、いやぁ……おっぱいからぁ電気が流れちゃうぅぅっ。もう……そん
なぁ許してぇっ」

 ハイヒールの音が部屋の前で消えた。
わたしは淳二さんの舌に背中をびくんとさせながら、待機させた霊感に気配を探らせ
る。

 ぴんと張り詰めた空気がわずかに歪み始めている。
この世のものではない異世界の気体が、見えないドアノブを回し見えないドアを開い
て侵入してくる。
まるで、生きているときのように……
ううん、生きていると言い聞かせたくて、幻影のドアを作りだしたのかも?

 「はあ、はんむっ。神楽ちゃん、そろそろ……いいかな?」

 ぎこちなかった淳二さんが甘い声で囁きかけてくる。
いつの間に脱いだのか、ひざのあたりをダイレクトに硬い肉の棒が触れて、それの意
味を教えてくれる。

 「はうぅっ、んあぁっ。いいよぉ、淳二さん。きてぇ、神楽の膣(なか)に入れてぇ
っ」

 わたしは、身体を起こすと仰向けに寝転んだ。
ダブルベッドの上でひざの裏側に両手を差し込んで、足を縮めたカエルのように両足
を広げていた。

 恥ずかしくなんかない。
そうよ。わたしは『輪廻の霊媒術師 春夏秋冬 四巡』のひとり娘、神楽なの。
おっぱいを弄られて大切なトコ、濡れちゃっているけど平気よ。
これがわたしの役目だから……神楽が決めたんだから……
淳二さんとの最初で最後のセックスでも全然気にしないんだから……

 天井で渦を巻いていた邪気が、どんどん立体化している。
鏡を通して見るその姿は……
髪が長くて淳二さんと同じくらいの年齢で、交通事故に会ったと聞いているけど、や
っぱりというか、顔の半分が鮮血で染まっていて……

 「ごくっ、ここが神楽ちゃんの……お、おま○こ?! き、きれいだよ。そう……
だよね。まだ18歳だもんね。恥ずかしい毛だって薄いし、割れ目だってお肉がぷっ
くり膨らんで……ああ、感じていたんだね。ヒダの下からエッチな液が滲み出ちゃっ
ているよ」

 「いやぁ、そんなに見ないでよぉ。神楽、恥ずかしい♪」

 淳二さんは自分のモノを握り締めたまま、身を乗り出すようにして神楽の恥ずかし
いトコを覗き込んでいる。

 あなたの大切な人が近くにいるのに……
あなたはまだ気付いていないかもしれないけど、さっきからベッドを覗き込んでいる
のに……

 でもわたしは、そんな彼女を挑発するように彼に甘えるの。
まだこんな邪気では足りないから、淳二さんの前で神楽の女の子を見せてあげるの。
ちょっと震えて羞恥心に心が押しつぶされそうだから、恨めしそうな淳二さんの彼女
に鼻で笑ってあげるの。

 お父さん、もう少しだからね。
ちゃんと準備しといてよ。

 わたしはもう一度、部屋の端へと視線を送った。
そして、いつまでも覗かれるのは辛いから、膝に当てていた両手を前に突き出した。
手のひらを広げた。

 淳二さん、さあ来て♪ って感じで……

 「神楽ちゃん! か、神楽ぁっ!」

 チュプッ、チュブッ……ズズズッ……ズリュッ……

「あうぅっ……くうぅぅっ……一気にぃっ、きついぃぃっ!」

 おとなしそうな淳二さんが、別人のような形相であたしの上に圧し掛かる。
一息で腰を押し出す。

 カチカチに硬くなったモノが、膣のなかへと挿入される。
濡れてはいるけど、痛くなんかないけど、緊張して強張った肉の壁を強引にこじ開け
られちゃった。

 我を忘れた淳二さんに、一瞬恐怖を感じた。
神楽の脳裏に、ぼやけた守の顔が浮かんでは消える。
でもそれが影響したのか、彼の背中で長い髪の彼女が薄ら笑みを浮かべた。

 いけない! 邪気のパワーが落ちてる!
わたしが苦痛を感じれば感じるほど、彼女の満足感が邪気をパワーダウンさせちゃっ
てる。
つまりこういうこと……
神楽が淳二さんの大切な人になっちゃえばいいの。
憎しみや嫉妬、哀しみが、邪気をパワーアップさせる最高の食材だから。
そうすれば、後のことは輪廻の霊媒術師さんが……

 ズ二ュッ、ズニュ、ズニュ……ズズズ……

 「ああっ、ふうぅっ……淳二のぉ、硬くて熱いよぉ。もっとぉ、もっと突いてぇっ
!」

 いやらしい声で、はしたない言葉を叫んじゃった。
連続で腰を上げ下げしている淳二さんを協力するように、あたしも腰を持ち上げた。
びっしょり濡れている割れ目を上向きにして、もっと深く挿入できるように調節して
あげた。
そして鼻の穴をふくらませて、うっとりした瞳で淳二さんを見つめるの。
あなたの彼って、神楽の身体にゾッコンなのよ♪ って……


                
       
 この作品は「羞恥の風」とっきーさっきー様から投稿していただきました。