『官能の国~Shy Land』あやの巻
 
                    Shyrock:作

第4話

 鈍い音が鳴り響く。

(ヴィィィィィ~~~ン・・・ヴォォォォォ~~~ン・・・)

 ディルドだけではなく、乗り物自体も上下に揺れているため、相乗効果となって、
想像以上に激しい振動があやの内部を駆け巡った。

 「いやぁん!すごい!あぁん、どうしよう~!はふぅん~、あぁん~」
「ふふふ、ギャラリーがこっちを見ているよ」
「え?ほんとなの?恥ずかしいわ・・・でも、あぁん!」

 あやは揺られながら、外部に目をやった。
外部とボックスとの間にそこそこの高さの壁はあるものの、あやの上体が上昇した時
には、壁の上から外部にいる人たちの顔が見えた。

 身体が揺れているため、はっきりと顔を確認することはできなかったが、おぼろげ
に輪郭がうかがえた。

 向うもこっちを見ている。
(見られている・・・)
あやは羞恥に悶えた。

 幸いにも首から下が見えないため、あやが何をしているのかは分からないはずだ。
ただ、あやの表情から、淫らな行為を行っていることは容易に想像ができる。
「は、恥ずかしい・・・あぁん、でも、あぁん~・・・あああっ、どうしよう~・・
・」

 (ヴィィィィィ~~~ン・・・)

若いカップルがあやを見て、笑顔で何か語り合っている。
振動による肉体的快感と、見られることによる羞恥心・・・
ふたつが奇妙に絡み合って、快楽がさらに増幅していく。

 そればかりか、国田の指までが“あや責め”に加わり、乳房を揉みしだく。
あやが上り詰めるのに、多くの時間を要しなかった。
「ああっ、もうだめ!イクッ、イクッ、イクッ・・・」

 (ヴィィィィィ~~~ン・・・)

 「いやぁん!だめっ!イクッイクッ・・・イク~~~~~~~~~~~~~~~・
・・」

 態勢を反り返らせるあやに、後から国田が手を添えた。
あやは悩ましい声とともに、ついに達してしまった。
 
 国田はスイッチを切った。

 「はぁ・・・・・・・・・」
深いため息があやの唇からこぼれた。
ベッドの上なら、快楽の後の余韻に浸りたいところだが、乗り物の上ではそうもいか
ない。

 「あは、いっちゃったぁ・・・」
あやは照れ臭そうに微笑んだ。

 「もしかしたら僕より良かったんじゃないか?」
「あはは、そんなぁ~」
「でもすごく感じてたみたいだよ」
「うん、確かにすごかったわ」

 あやは乗り物から降りながらそうつぶやいた。
「ちょっと妬けるな」
「あはは、メリーゴーランドに妬いたって仕方ないのに」
「それはそうなんだけど。ははは」

 国田は下着をあやに手渡しながら微笑んだ。
あやは衣装の乱れを直したあと、コンパクトミラーを覗いた。
キスのあと口紅が取れてないか確かめるあやのいつもの仕草だ。
国田はその間、ちょっと退屈そうにしている。

 身支度を整え終えたあやはぽつりとつぶやいた。
「お待たせ。じゃあ行きましょうか」
「うん」

 ボックスの扉を開いた。
係員が屈託のない笑みで出迎えた。
何か照れ臭い。
あやも国田も係員と顔を合わさないようにしながら、そそくさとメリーゴーランドを
後にした。

 
                

   この作品は「愛と官能の美学」Shyrock様から投稿していただきました