『まりあ 19番ホール』 Shyrock:作 第10話 枕元の淡い照明がまりあの美しい肉体を映し出している。 ふくよかな胸の隆起の下に陰影ができている。 陰影は流れるような優美な曲線を描いて下腹部へとつづいている。 下腹部には草むらが生い茂り小高い丘陵地帯を構築している。 車本は丘陵地帯をいとおしむようにやさしく愛撫した。 そしておもむろに顔を寄せる。 例の甘い香りがさらに深みを増し鼻孔をくすぐる。 香りを色に例えるなど珍奇なことかも知れないが、あえて例えるならば『薔薇色』 だろう。 車本は薔薇のめくるめくばかりの重厚な香りを愉しみながら、ゆっくりと唇を近づけ た。 「あぁ……」 車本が最初に唇を寄せたのは大陰唇であった。 女性に長けた男は間違ってもいきなり膣に舌を挿し込んだりはしないもの。 決して逃げたりしないのだから、美味しいものはゆっくりと賞味する。 最も敏感な箇所は最後に廻し、最初はさほど敏感ではない箇所を攻める。 決して急ぐことなく、ゆっくりと焦らしてみる。 女の快感は男のそれとは異なり、ゆっくりと大きなカーブを描いて上昇していく。 焦らすことで一層大きな弧を描くことになる。 焦らされることで女は次のステップへ無意識のうちに大きな期待感を抱く。 ネットリと執拗に性感帯のすぐ横を愛撫する。 「あぁぁぁぁぁ……」 粘着音が部屋に響きわたる。 「あぁ……そこはだめぇ……」 大陰唇の右岸をしばらく舐めると、次は左岸へと移行する。 大陰唇への愛撫の後はやはり小陰唇。 小陰唇をクンニリングスしながら、陰核への愛撫も怠らない。 陰核と小陰唇を交互に往来する。 「こ、光一さん! あぁ! だめ! い、いけないわ!」 まりあが一瞬拒むような言葉を発すると、わざと音を立ててしゃぶりつく。 湧き出てくる蜜を美味しそうに啜る車本。 「あぁ! だ、だめ! あぁ~、す、すごく感じちゃう……ああっ……どうしよう…… ああっ……だめぇ~!」 快楽をさまようまりあは脈絡のない言葉をつぶやきながらシーツを引っ張っている。 「くはぁ~、はふぅ~ん、はぁ~……くぅ~……あああっ!」 蜜はとめどもなく溢れ出る。 すでにまりあの秘所はびっしょりと濡れそぼり、シーツまでも湿らせている。 車本はまりあを愛撫しているうちに自身も高まってきたのか、さりげなくまりあに訴 えた。 「ま、まりあさん……僕のも……」 「僕のも」という車本の一言で、まりあはすぐに察した。 まりあは車本から求められるまでもなく、自身そのつもりであった。 愛されるばかりじゃ嫌、自分からも愛したいと思うタイプ。 ところが先に車本から要望があった。 まりあは「しまった」と思った。 車本から求められる前に自分から行動を起こしたかったのだ。 (でもそんなことはどちらでもいいの。私なりに一生懸命愛すだけ) まりあは、態勢を立て直して車本の下半身に顔を近づけた。 車本はベッドに座った状態だったが、まりあが行いやすいように仰向けに寝転んだ。 すでにギンギンに怒張している。 まりあはそっと唇を寄せた。 「うっ……」 次の瞬間、車本の口からかすかではあったがうめき声が漏れた。 まりあが最初にくちづけしたのは先端ではなく幹の裏側であった。 (すごく硬い……夫よりもずっと……) 比べることは不謹慎だと思いつつ、まりあはつい車本のそれを夫の静雄と比べていた。 (比べてはいけないわ……せっかく大好きな光一さんと愛し合ってるのに……) 静雄は三十四歳、光一は二十九歳、二人にさほどの年齢差はない。 年齢的に差がなくても、男としての硬さは全く違う。 毎晩遅くまで残業し疲弊している肉体と、日頃スポーツで鍛え上げた肉体。 もしかしたらそういった日々の生活環境が二人に差異をもたらしたのかも知れない。 あるいはまりあへの想いの深さによる相違なのかも知れない。 静雄には申し訳ないが、理由はどうあれ女としては『柔らかい』より『硬い』方が良 いに決まってる。 まりあは硬いいちぶつに唇を這わせているうちに、自らも次第に昂ぶりを見せてい た。 先程充分な愛撫を施された女体が、再び燃え上がることなど容易いものであった。 まりあは幹を丹念に愛した後、唇を徐々に先端へと近づけていった。 「うっ……」 車本もかなり昂ぶってきたようだ。 まりあのてのひらの中で、時折まるで魚が飛び跳ねるようにピクンと痙攣する。 そして熱棒と化している。 まりあは先端のエラの張った部分をかぷりと咥えた。 「ううっ……!」 この作品は「愛と官能の美学」Shyrock様から投稿していただきました |