『放課後の憂鬱』

                               ジャック:作
第6章「スタイリスト・後編」(2)

 真里の手は飽くことなく藍の全身を撫で回し続けた。
抵抗することも、庇うこともできない藍の乳房をこね回し、乳首を摘んだ。
股布をずらされて、晒されたままの秘部を執拗に弄んだ。時には腋の下や脇腹を擽るよ
うにつついてもいた。

 藍はその度に「うっ! あっ!」と小さな声で呻きつづけた。
藍の身体は真里の手の動きにつれ、ビクンビクンと跳ね回り、仰け反り、そして捩れて
いた。
真里の絶え間ない淫弄(いたぶり)に、藍はもはや生気を失ってぐったりとしてきた。

 藍の股間は愛液を溢れさせ、流し続けていた。
それは藍の太ももを伝い、床のフローリングをぐっしょりと濡らし、まるで失禁したか
のようになっていた。
「藍、すごいわ、濡れやすいのねー。こんなになって・・」

 真里が藍の羞恥に、追い打ちをかけるようにそう言ったが、
「み、見ないでください・・あっ・・あぁ・・・・や、やめ・・て・・・」
息も絶え絶えに応えるのがやっとだった。
真里はしばらく藍の股間をまさぐっていた。が、思いついたかのように藍に尋ねた。

 「もしかして藍は・・処女?」
藍は少し意識を取り戻し、答えた。
「・・だったら・・なんですか?」
「処女なの? ちゃんと答えなさい!」
真里の口調が厳しかったので、藍はうつむいて、「・・・はい。」と答えた。

 真里は何かを思いついたように、にこにこしながら言った。
「そうなの! ふーん・・処女なのかぁ・・」
藍は何をされるのか少し怖くなってきて、真里に聞いた。
「な、なに? なんですか?」

 真里は嬉しそうに答えた。
「ふーん、じゃ、ちょっと待ってて! 私が藍の処女を奪ってあげる・・」
そう言うと真里は部屋を出て行こうとした。
「えっ? いや! いやですっ! やめて、やめてぇぇぇ!」
藍は我に帰って叫んだ。しかし真里は部屋から出て行ってしまった。

 (やだ! なにされるの?)
(処女を・・・奪われるって・・・)
藍は両手を拘束され、吊られたままの身体を力いっぱい振って抵抗した。しかし少しも
体勢は変わらなかった。

 真里が何かを持って部屋に戻ってきた。
「・・・・・」
藍が真里を睨んでいると、真里が言った。
「藍、どうしたの? 怖い顔して。せっかく女にしてあげようとしてるのに・・さぁ、
これを見て!」

 真里の手には、太くて黒い光沢を放つグロテスクな物体が握りしめられていた。それ
がバイブであることは藍も知っていた。
「これに藍の処女を奪ってもらうのよ!」
藍は真っ青になり、抵抗した。

 「い、いや。そんなのいやっ・・お願い、お願いします。やめて!・・」
「だめよ。遅れて来たり、お仕事ちゃんとしない罰よ。じゃ、入れるわよ!」
そう言いながら、真里は藍の性器にバイブを押し当てた。
「いや、いやよっ! やめ、やめてぇぇぇ! そんなのいやぁぁぁぁぁ!」

 藍は思い切り股間に力を入れて足を閉じたが、どうしようもなかった。
「いいわね? 入れるわよ?」
「あっ! あっ! あっ! いや、いやあ! ああぁぁぁ!」
目の前の鏡には、バイブの先がほんの少し自分の中に埋め込まれたところが映っていた。
「・・い、やあぁぁっ!、や・・め・・て・・・」
藍はあまりの恐怖に言葉も途切れていた。

 「さぁ、いくわよ・・・」と真里が言いかけたその時、突然電話が鳴った。
「もう、なによ! 邪魔しないでよ・・・」
真里は舌打ちをした。
そのまま電話の音を無視し、バイブを藍に突き入れようとした・・・が、肩をすくめる
とバイブから手を離し、振り返った。

 バイブは一瞬、そこに止まるかのように藍の股間で揺れていたが、やがてコトリと音
を立てて、床に転がった。
真里は電話を取ると、話はじめた。話しながら藍の方をちらちら見て、なにやら悔しそ
うな顔つきになっていた。

 ようやく電話が終わり、真里が藍の所に戻ってきた。
藍は疲れ果てたのか、頭を垂れ、両手を枷に吊られたまま、グッタリとぶら下がってい
た。
真里は暫くそんな藍を見つめていたが「ふふ・・・可愛いコ・・・」と呟いて、藍をし
っかりと抱き締めた。

 「う・・・むん?」
藍が驚いて顔を上げると、真里はそっと藍の頭に手をあてて引き寄せた。
そして優しく頬ずりをしていたが、不意に唇を合わせた。
「ああぁ・・・むむぅぅぅっっ」

 藍が、ビックリしたように大きく目を開いた。
何をされているのか分からないまま、本能的に固く口を閉じていた。
真里は一層力を入れて、藍を抱き締めた。藍の胸は真里に押し付けられ、つぶされ、そ
して擦られていた。

 真里がそっと唇を離した。
そして優しく微笑むと「そんなに怖がらなくていいのよ、いいトコロに連れてってあげ
る・・・」と囁いた。
もう一度、藍の頭に手を当てると、静かに髪を撫でていたが「さ、いらっしゃい・・・」
と引き寄せ、もう一度唇を合わせた。
今度は藍も、抵抗しなかった。

 藍が唇を開くと、真里が舌を差し入れてきた。真里の舌は、藍の口の中で動き回り、
藍の舌を追いかけ、追いつめ、そして絡め取った。
「むふふぅぅぅ・・・」
藍のため息のような息遣いに、甘い響きが混ざっていた。藍の目は、夢見るようにトロ
ンとして、いつしか閉じられていた。

 真里がそっと舌を抜く。そして藍の頬を唇で撫でるようにしながら、首筋に息を吹き
かけた。
藍が薄く目を開けると、真里は唇を藍の耳たぶに当て、そっと咬んだ。
「あ・・はん・・」

 藍のため息が漏れた。身体がビクンと動いた・・・と真里は藍の耳に
「ふふふ・・・残念だけど、今日はこれでおしまい。解放してあげるわよ。」と囁くよ
うに吹き込んだ。
「・・・えっ・・もう・・・どうして・・」と思わず藍は聞いていた。

 そう言ってしまってから
(あっ、いけない・・嬉しがらなきゃ・・)と思った。

 しかし心の片隅には、何か新しい感覚が真里の愛撫で目を覚し、動き始めたのを意識
していた。
真里には、藍の言葉が聞こえなかったようだった。すっかり冷静な顔に戻ると「藍、も
うすぐお迎えがくるってよ」といいながら、手馴れた感じで藍を拘束していた枷を外し
た。

 藍はやっと自由を取り戻した。立っていられなくて、床に座り込んでしまった。それ
でも解放されて、ホッと安堵していた。
しかし、何かが足りなかった。確かに物足りない感じがしていた。安堵する反面、そん
な中途半端な気持ちを覚えるのだった。

 真里は藍に手を遣り立たせると、ゆっくりと水着を脱がし始めた。
「えっ! あっ! じ、自分で・・」
藍が言い終わる前に、真里は手を藍の口にあてた。
藍は黙ってされるがまま、真里の動作を見守った。

 水着が藍の体を離れ、床に落ちた。真里は藍の股間を濡れたタオルで拭きはじめた。
「あ・・ん・・!」
藍が声をだすと、真里が話し始めた。
「藍、岸田には注意しなさいね。あいつはあぶないわよ・・」
「・・・・・」

 藍が黙っていると、真里は藍に服を着せながら続けた。
「私はあなたの味方。いつでも藍を守ってあげるわ。さぁ、着替え終わりっと。もう、
外にお迎えが来る頃よ。早く行きなさい。」

 藍には、真里の言うことがよくわからなかった。
まだ、先程の興奮が冷めずに、頭の中がボーっとしていた。
それでも、真里の言葉に、真剣なものがあるのを感じていた。

 藍は鏡に映る自分の姿を見て、髪を直すと、あやふやなまま真里に言った。
「・・・・はい。じゃあ、また。」
藍が外に出ようとドアノブに手をかけると、真里が呼びとめた。

「藍、今日のことは誰にも言っちゃだめよ。知られてもだめ。約束よ。」
そういいながらウインクする真里に、藍は静かにうなずくと部屋をでて外にいる岸田の
元へ急いだ。

 向こうから岸田が歩いてくるのが見えた。
藍は岸田の元に走った。
走りながら藍は、なぜか真里に惹かれていく自分に気が付いた。それが少しも不思議に
は感じられなかった・・・。


              

    この作品は「ひとみの内緒話」管理人様から投稿していただきました。