『恭子さん』

                          二次元世界の調教師:作
第2話 関西なまりの奇妙な隣人

 「山田さーん! いらっしゃるんでしょう、山田さーん!」
こうして真っ昼間から本番に突入してしまいそうなボク達だったけど、その時玄関のチ
ャイムが鳴り、直後にドンドンとドアを叩き不躾な怒鳴り声が聞こえて来た。
全く何と言うタイミングの悪さだ。

 まあ平日の昼下がりからエッチしようなどとは、ボク達もどうかしてると思うけど。
こんな失礼な声の主もわかっている。
隣に住んでいる羽黒と言う男だ。
我が家では以前お互いが二台乗っていた車も、ボクが失職してから一台売ってしまい、
残った軽自動車は恭子さんが通勤に使っている。

 さっき彼女が帰って来たばかりだから羽黒もあんな事を言ってるわけで、居留守を使
うのもかなりバツが悪い。
全裸で睦み合っていたボク達は大いに慌てて、服を着始めた。
「タックン、ごめん、アタシすぐは無理。出て来てくれない? 羽黒さん、しつこいか
ら」
「わかった」

 それはボクも良くわかっている。
だから男のボクが速攻で服を身に付け、羽黒の応対に出るよりなかった。
慌てて玄関の鍵を開けると、回覧板を持って立っていたのはやはり羽黒だった。

 この男、髪が真っ白でかなりの年齢のようだがよくわからない。
牛乳瓶の底のような度の強い眼鏡を掛けた小男で、実は恭子さんには内緒だが見覚えの
ある顔だったので、ここに新居を構えて挨拶に回った時、ボクはアッと驚いた。

 学生時代に良く通った大学の近くにある古本屋の店主だったのである。
なぜ恭子さんにそれを話せないかと言えば、ボクは専ら店の奥にあった中古のエロ本や
エロ漫画、エロビデオなどの購入で通い詰めていたからであり、いくらエッチな彼女で
も言い辛いだろう。

 その店の奥には、ボクには無縁だったが、いかがわしい大人のオモチャ類だの、SM
グッズだの、女性の使用済み下着だのと言ったエッチな商品が豊富に置いてあって、ち
ょっとしたアダルトショップの体を成しており、人付き合いがとても苦手で彼女のいた
事がなかったボクは、大いに興味をそそられムラムラしてしまったものだ。

 本当かどうか知らないが、文教地区にあるその店は近くの中学高校の女子生徒が着用
している衣類を売りに来るブルセラショップなのだと言う噂もあった。

 実際に女子高生の制服や運動着や下着と言った商品が着用者の顔写真付きで売られて
いるコーナーがあったような気がするが、内気なボクはとても足を踏み入れる事が出来
なかった事を覚えている。
ただのエロ本より、それは猥褻でイケない物品だと思えたからだった。

 「はい」
「お、今日学校は休みですかの」
「え? ああ、代休でして」

 ーーくそ、本当は知ってるんだろう、ボクが仕事を辞めた事。トボけやがって

 人見知りする交際下手のボクは、勤務時間が不規則で教員などよりずっと激務である
のに申し訳ないが、近所付き合いを恭子さんに任せている。
この辺りは割と古くからある団地で、ボク達は以前住んでいた人が転住して空き家にな
った家を格安で購入し新居としたのである。

 都会と違って昔から住んでる人が多いせいか近所付き合いも活発で、恭子さんがナー
スでボクが中学校の教員だと言う情報も、瞬く間に知れ渡ったようだった。
そして驚いた事に、この羽黒と言う男町内会長をやっているのである。
今はたいてい家にいるようだから、あのいかがわしい古書店の経営はやめてしまったの
だろうか。

 店舗からはかなり離れた場所だから、案外みんな羽黒の仕事について何も知らず、日
中からヒマそうなこの男に町内会長を押し付けているのではないだろうか。
そもそもあの店自体、まだやってるのかどうかもわからない。
誰か他人に店を任せているか、廃業してしまったか。
いつ潰れてもおかしくなさそうな古書店だったのは確かである。 

「奥さんはいらっしゃいませんかの?」
「あ、今買い物に出掛けてまして」
「それは困りましたな」

 なぜボクでは駄目なんだろう。
明らかに恭子さんが車で帰って来たのを確認してやって来たと思われる羽黒と応対しな
がら、ボクは不思議に思った。
回覧板を回すだけなら誰でも良いではないか。
まさかスッポンポンでエッチな事をしていたから出られないとは言えず、適当にごまか
したボクは、どうしてもこの男に対し嫌悪感を持ってしまう事を禁じ得ない。

 通い詰めていた自分を棚に上げるのも何だが、いかがわしいアダルトグッズに囲まれ
て店奥のレジに座っていたイメージのせいでもある。
実際羽黒のやっていた古書店は男性客ばかりで、女子学生は明らかに嫌って他の店を利
用していたと思う。

 が、それよりこの度の強い黒縁眼鏡を掛けた小男から滲み出ている独特の、何と言っ
たらよいだろうか、人間性の卑しさみたいなものが嫌なのだ。
コイツより頭一つ以上背が高く美形の恭子さんを、好色な目で見ているんだろうな、と
思っただけでたまらない。

 「実は今度の日曜に、大事な町内会の会議がありますねん。出欠を聞こう思たんやが、
旦那さんじゃようおわかりにならへんやろ?」
「そうですね」
「そいじゃ奥さんが戻られたら、お伝え願いませんやろうか? 今度の日曜の午後4時
から、場所は集会所でおます。出席出来るかどうか、すぐに連絡して頂いたら助かりま
すな。あ、そうそう、議題は親睦旅行について、ですわ」

 羽黒は関西出身らしくそのなまりと馴れ馴れしい口調もボクは苦手である。
それは偏見であり、自分も羽黒の店に通っていたくせに勝手過ぎるのはよくわかってい
るのだが、生理的に嫌悪感を覚えてしまうのはどうしようもない。
そして羽黒は関西人らしく、用件は終わってもベラベラと話し掛けて来た。

 これも人付き合いが苦手なボクには苦痛なのだが。
「ところで旦那さんは、健康のために車をやめて歩いて通勤しとられるそうですな」
「え、ええ。運動不足の解消にと思いまして」  
「そら、えらいわあ。わてもね、最近下腹が出っ張って来たんで運動せなあかん、思う
てんねんけど、車の便利さに慣れてもうたら、あきまへんなあ」

 どうやら恭子さんが適当に取り繕って、ボクが失職してしまった事を隠してくれてる
らしい。
まあ真相を知っていて話を合わせているのなら、羽黒は相当な腹黒と言う事になるのだ
が、ボクはそんな可能性を考えたくもなかった。

 羽黒は恐らく身長160センチにも満たず見るからに貧相な体付きであるが、なるほ
どステテコ一丁に腹巻きを巻いた下腹部だけがポッコリと膨らんでいる。
滅多に口を利く事もないのだけど、コイツはボクの事を覚えているだろうか? 大学を
卒業し就職して一年過ぎてから結婚したのだから、まだ3年も経っていない。

 男ばかりの理系学部でまるで女っ気のなかった学生時代、内気なボクは周囲に誰もい
ない事を確認してから、安い中古のエロ本をコイツが座っているレジに持って行き購入
する常連だったのだ。
羽黒の方はそんな素振りも全く見せないが、少なくともボクの方はこうして良く覚えて
いるのである。

 牛乳瓶の底みたいな度の強い黒縁眼鏡に完全な白髪、そして枯木のような貧相な体付
きの小男、と言う特徴的な外見は見紛いようもない。
まあ、ボクみたいな内気な貧乏学生はたくさんいただろうから、忘れてしまっている事
を祈りたいのだが。

「そんじゃま、奥さんによろしゅう頼んまっせ。出来りゃ今日中に出欠を知りたいんで」
「わかりました。戻ったらすぐ伝えときます」

 羽黒は大事な会議と言ったが、回覧板を持って出て行った。在宅の家は直接出欠を聞
いているのだろう。うまく時間をごまかして、恭子さんに連絡を取って貰った方が良い
だろう。そう思って家の中に戻り、リビングに入るととんでもない光景が目に飛び込ん
で来た。

 「恭子さん!」
「タックン、ごめんね~。でも用事は全部聞いてたから。アンッッ!!」
「……」
 
 ボクはあまりの事に言葉を失って入口で固まってしまい、恐らく目がテンになってた
だろう。
あれだけの時間しゃべっていたと言うのに、恭子さんは全裸のまま、そしてアンアンと
悩ましく悶えながら、せわしなくオナニーに耽ってたのだ。

 いや、それだけならスーパーえっちな恭子さんなら想定内だが、床にへたり込んで大
きくマタを広げた彼女は、隣の台所から取って来たらしい野菜をアソコに出し入れして、
気持ち良さそうに悶えていたのである。

 「ゴーヤって気持ちいい~っ! ね、ねえ、タックン、手伝ってえ!」
「どうやって」
「キョンタンのクリちゃん、舐めて! 凄いのが、来ちゃいそうなのおっ!
見ると、側にはキュウリ、ニンジン、ナスビ、ダイコンなんかが転がってたけど、恐ら
く恭子さんが引っ掛けたとおぼしき液体で濡れており使用済みのようだった。

 ーーダイコンはないでしょ、恭子さん。ボクの出る幕がないよ

 あんな太いのと比べられてはたまらないが、さっきまでは声を押し殺していたらしい
恭子さんは、もうはばかりなく大声でよがり始め、高速でゴーヤをズポズポ出し入れさ
せていた。
どうやら凸凹の具合が良いのだろうか。

 すっかりエキサイトしてしまった恭子さんは、やめるどころかボクにクリ舐めの加勢
を頼む。
かわいい妻の頼みだから仕方ない、と言うのはウソで、ボクも野菜に感じまくる恭子さ
んが新鮮でムラムラと興奮が込み上げて来るのを感じていた。

 咄嗟にある行為を思い付いたボクは転がっていた愛液で濡れ光るニンジンを手にする
と、ゴーヤがピストン運動している股間に顔を伏せ尖った先端をアナルの方に突っ込ん
だ。
「タックン! 凄いっ! オシリい~っっ!!」
「もう、恭子さんはヘンタイなんだから」

 アナルだって開発されている恭子さんはすんなりニンジンを受け入れると、二穴を埋
められた快感を絶叫する。
でも欲張りな彼女はイボイボのゴーヤを動かす手は止めないので、ボクもニンジンを少
し動かしながらもう包皮からハミ出ているピンクの肉豆をチロチロと舌を尖らせて舐め
てあげた。

 間もなく強烈な大声で、イクウ~ッッ!! と絶頂を告げた恭子さんは、その瞬間ブ
ワッとおしっこのようなラブジュースをまき散らしてしまい、ボクの顔や手までベトベ
トになってしまった。
全く困ったエロ奥さんである。

 でも、仕事もせず昼間からビールを飲んでエロビ鑑賞していたボクに、夜勤明けの恭
子さんを非難する資格はもちろんない。
だが、ボクのせいで決して裕福ではない我が家にとって、食べ物を粗末にするのは一寸
問題だ。 

 「野菜がビチョビチョになっちゃったね。もったいないなあ」
「大丈夫、ちゃんと洗って料理に使うから。今夜はタックンの好きな、ゴーヤ入りクリ
ームシチューだよ。キョンタンのお○んこ汁付いちゃったけど、いいよね?」
「ニンジンはやめとこうよ」
「洗って煮込めば大丈夫、同じだよ」

 ううむ。大丈夫とは思えないのだが、よほど気持ち良かったのか、ウットリと野菜達
を見つめてそんな事を言う恭子さんにはもう脱帽するしかない。
「野菜って気持ちいいの?」
「うん。特にゴーヤはやばいわ。あのゴツゴツ、もうクセになりそうよ」

 ゴーヤなんかがクセになられてはマジでやばい。
ボクはいつの間にか股間がすっかり回復して痛いほど勃起しているのを感じながら、間
違いなく求められる今夜が勝負だな、と気を引き締めようと思った。

 「ところで、ダイコンなんか入ったの?」
「心配しないで。途中まで入れて見たけど、マズイと思って引き返したから」

 ーー入れたんかい! どう考えたって無理だろ、ダイコンは

 「タックンが羽黒さんと玄関で話してたでしょ。キョンタン、ハダカなのに今あの人
が家の中に上がって来たら、って思ったら、すっごく興奮して来ちゃってえ。お買い物
の話してたから、今日買って来たお野菜を調べたりして、そしたらだんだん変な気分に
なって来て」

 夜勤明けの恭子さんは、欲求不満のカタマリなのである。
だが、その責任の一端はボクにあるのだから、こんなヘンタイな奥さんを責めたり出来
やしない。そう、ボクさえしっかりしていれば…… 

 「タックン、残ったビール飲まないの?」
「……」
「あー、ごめんねえ。もう気が抜けちゃってるよね? キョンタンが車で新しいの買っ
て来たげよっか?」
「いや、いいよ。飲む」
「遠慮しなくたっていいのに。おいしくないでしょ」

 恭子さんは何て優しいんだろう。
真っ昼間から仕事もせず酒を飲み、AVを見ながらせんずりに励んでいたボクだと言う
のに。
本当はもう気の抜けたビールなど捨ててしまいたかったんだけど、ボクはせめてもの罪
滅ぼしのつもりでまだ半分くらい残ってた缶ビールに口を付けた。

 するとそんなボクの気持ちを見透かしたかのように恭子さんが言う。
「気にしなくていいんだよ。タックンは働き過ぎたんだから」
恭子さんは皮肉で言ってるのではないのだけれど、はるかにハードなナースの仕事に励
んでいる彼女にそんな慰めを掛けられると、毎日ブラブラしているボクは罪悪感で胸が
潰れそうになる。

 ただの苦い水と化した気の抜けたビールの不味さこそこんなボクに相応しいのではな
かろうか。
「今はのんびりする時期なんだよ。だから……頑張ってキョンタンと赤ちゃん作ろうね」
「……もちろん!」

 ハッキリ言われてしまったボクは挫けそうになったけど、せめてもの空元気で力強く
そう答えた。
結婚して2年、こんなエッチ大好きなスケベ奥さんをヨメに貰ったにも関わらず、ボク
達の間にはまだ子供が出来ない。

 大学を卒業して一年目、ボクは目指していた教職に就くための採用試験に通らなかっ
たので、学生時代からやっていた塾講師のアルバイトを続けながら夏にある採用試験に
チャレンジして見事合格。
その吉報を待っていた恭子さんと無事ゴールインして入籍したのだった。

 恭子さんは三十までに結婚したかったようでなるべく早く式を挙げたがったのだけど、
しっかりした仕事に就いていない男と結婚する事はお母さんが許してくれなかったので
ある。
恭子さんは三十路目前だったため、そんな中途半端な時期の結婚となったのだった。

 彼女の年齢が年齢だっただけに、学生時代に入院した病院で担当だったナースの恭子
さんと知り合い仲良くなってから、ボク達は結婚を前提にした交際を続けていた。
こんなどスケベで年上彼女の恭子さんである。
白状すれば挙式の前にエッチをすませるどころか、かなり頻繁にボク達は子作り行為に
励んでいた。

 ずっとそうだけど、全てにおいて積極的で引っ張ってくれるのは5歳も上の恭子さん
だった。
会えば必ず求められ、得意の騎乗位でガンガン腰を振ってよがり狂う恭子さんに、ボク
は少し体重が落ちたのではないかと思うくらい、タップリ精を搾り取られてしまうのが
常だった。

 そして自分から誘ったくせに、事が終わると急にしおらしくなって顔を赤らめ、クチ
ュクチュと口でザーメンの後始末をしてくれながら「結婚式の時、お腹が大きかったら、
どうしよう? 恥ずかしいよう」とのたまう可憐な年上の彼女に、ボクは改めて強い愛
情を覚えたものだ。

 だが幸か不幸か彼女が受胎する事はなく、結婚してからもコウノトリからの吉報は届
かない。
もしや、と思い病院で不妊の検査をしても、お互いの体に何ら問題は発見されなかった。
そして結婚して半年後、念願の中学校に数学教師として赴任したボクは一気に多忙とな
り、仕事が不規則な恭子さんとエッチする回数は激減した。

 それでも週に2回くらいは人が羨むようなラブラブの夫婦生活をこなしていたのに、
彼女が妊娠する気配はまるでなかったのである。
「キョンタンさ、明日も夜勤で遅番なの。だから今夜はたっぷりエッチしてえ、明日は
一緒に映画でも観に行かない?」

 毎日ヒマなボクに異論があろう筈もなく、OKすると、いまだ全裸の恭子さんは「ヤ
ッター、タックンとデートだあ」と子供みたいにはしゃいで見せる。
さっき野菜で楽しんでいた迫力満点の色白ボディーはうっすらと血管が浮いており、体
液に覆われて妖しく光り輝く様はさながらエロスの化身の女神様みたいで、こんなヘタ
レなボクが彼女を独占しても良いのか疑問に思うほどだ。

 だけどボクは恭子さんに対する愛情が込み上げて来るのと同時に、「たっぷりエッチ」
して子作りに挑む事に強いプレッシャーを感じてしまう。
そんな不甲斐ない自分が情けないやら腹立たしいやらで、ふと股間を意識すれば「子作
りと考えただけで、シュンと萎えてしまったようだった。

 するとそれに気付いたかのごとく、恭子さんがズボンの前を触って来る。
「ねえねえ、服着るの面倒だし、このままヤっちゃおうか? アレえ? ないよ」
「夜のために残しておこうよ」
「あらら、ポークビッツになっちゃったね。でもホラあ、又おっきくなって来た」

 恭子さんがズボンの中に手を入れて情けなく萎れたムスコを探り握り締めると、すぐ
にムクムクと回復して来た。
全身からお○んこのニオイを発散しているような、フェロモンムンムンの愛する美女が
全裸ですり寄って来てるのもあるが、恭子さんの手と口にはボクだけに効く魔法が掛か
っており、いつでも復活の呪文が使えるのだ。

 でも仮に今ドッキングに成功したとしても、ザーメンの量や濃度には不安が残るから、
ここは彼女に諦めて貰う方が得策だろう。
発情した恭子さんは硬度が戻りつつあるチンポを握り締めてルンルン状態なので、ボク
は話題を変える事にした。

「ところで羽黒さんが言ってた町内会議の事だけど。早く出欠を連絡した方がいいんじ
ゃないかな」
「あ、そうだね。ゴメン、私その日は仕事だよ」
「じゃ欠席と言う事で」
「ダメだよ!」
「痛っ!」

 恭子さんはもうフランクフルトになって来た肉塊を軽くつねった。
ヒマなくせに町内会議になど出るつもりのないボクの気持ちを察知したのである。
「タックンが出てよ」
「気が進まないんだけどな」
「……しゃべんなくてもいいんだよ。顔さえ出しとけば」

 恭子さんは優しい。
人見知りで近所の人達と全く交わろうとしないボクに文句の一つもあるだろうに、言葉
を選び臆病な息子を諭す母親のように説得して来た。
半勃起のペニスを嫌らしく握り締め、シコシコと淫靡な刺激を加えて来るエッチなお母
さんだけど。

 用事があるわけでもないボクが、駄々っ子みたいに断り続けるのは無理だった。
「わかった。一応顔だけ出しとく」
「羽黒さんにはちゃんと挨拶してね。いつもお世話になります、って頭を下げて」
「それはちょっと」
「あの人、とてもいい人なんだよ。タツヤだって吠えないし」
「慣れてるからだろ」
「吠えるのよ、悪い人には!」

 困った事にボクと同じ名前を付けられている「タツヤ」は、うちの飼い犬だ。
本来愛玩犬のシーズーだけど、一応番犬として玄関の前に繋いでいて、知らない人が近
付くとキャンキャン吠えて知らせるのである。

 悪人を察知出来るのなら立派なもんだけど、そんなわけはないので、恭子さんの理屈
には無理がある。
「とにかく、羽黒さん町内会長だし、しょっちゅうお裾分け頂いたり、お世話になって
るんだから」

 ーーそんなにしょっちゅう恭子さんがいる時を見計らって来てるのか? だったら、
ますます嫌だな

 恭子さんには言えないけど、アダルトショップ紛いの店をやってたスケベ親父だと言
う頭があるので、ボクはどうしても羽黒の事を色眼鏡で見てしまう。
彼が恭子さんがいる時を狙い、モデル級美形の妻を鑑賞しにやって来てるのではないか
と、ゲスの勘ぐりをしてしまう、こんなボクの陰湿で人を疑う性格には自分でも嫌にな
ってしまう。

 こんな風に人を信じられず協調性がないから、せっかく就職した教員の仕事を続ける
事も出来なくなったのではないか。
こんな引っ込み思案な自分の性格は変えていかなくてはならない。ボクは恭子さんの愛
情溢れる優しい手コキに癒されて、とうとう完全に勃起が戻ったのを感じながら、気持
ちを奮い立たせた。

 「うん、わかった。ちゃんと羽黒さんに挨拶もしとく」
「よしよし、いい子ね~。でも、もう出しちゃ駄目だよ。後でキョンタンのお○んこの
中に出すんだからね」
「わかってる」
「大丈夫? もっと触ってていい?」
「うん、さっき出したからね。我慢出来るよ」
「わ~い」

 強引に話題を振った甲斐があり、さっき本番を誘ったのを忘れたらしい恭子さんがボ
クの勃起ペニスで遊ぶのを許していると、電話が鳴った。手コキの許可を得て喜んでシ
コシコしてた恭子さんは、その手をボクの股間から離そうとせず器用にもう片手で受話
器を取る。


                

    この作品は「新・SM小説書庫2」管理人様から投稿していただきました。