『調教家族』

                          二次元世界の調教師:作

第3話 疑惑

 「翔太は舟山さんの事、どう思う?」
「新しいお父さん? 上の名前変えなくっていいって言うし、いい人みたいな気がする
けど」

 舟山さんは先週からこの家で同居している、母さんの再婚相手だ。
おムコさんと言うわけでもないけど、そういうこだわりはないそうで、旧姓を希望した
僕達は上田のままと言うことになり、夫婦別姓なのだ。

 姉さんはともかく、高校生の春菜と僕は名前が変わらないのを歓迎している。
額がかなり後退しているし背が低く太っているので初婚と言うのに納得してしまう風采
の上がらない男だけど、別に普通の人のように見える。
一緒に暮らしして4日になるけど、40代半ばの母さんと年齢的にも釣り合ってるし、
少なくとも僕は悪い印象は持っていない。だが、姉さんと春菜の見立ては違うらしい。

 「あの人見るからにスケベオヤジじゃない? アタシら見る目もイヤらしくて、ちょ
っと嫌なんだ」
「姉さんが薄着だからいけないんじゃない?」
「いや、春菜もあの人苦手だって。制服のスカートの辺りをジロジロ見られるって」
「自意識過剰だよ」

 お前が言うなみたいな露出狂気味の姉さんに文句を言われる舟山さんが気の毒になっ
たけど、品行方正優等生の春菜が言った事は無視出来ないと思った。
女と男じゃ見方が違うのである。

 「まあ、母さんが気に入ってればいいんじゃない? 仲良さそうだし」
「それが不思議なのよねえ。アタシなら絶対にイヤ」
「仲良くしなきゃ」
「子供じゃないし、わかってるわよ。だけど、母さんも随分変わったよね」
「そうかな?」
「アンタ、もしかしてアタシが髪切ったのも気付いてないんでしょ」
「え、そうなの?」

 正直な所、今改めて見てもわからなかった。
相変わらず派手な金髪に大きなピアスがピカピカ輝いてケバイなあ、と思っただけであ
る。
これ以上鼻なんかにピアスが増えない事を祈りたい。

 「こりゃ、彼女出来ないわ。母さん、着るものもお化粧もえらく華やかになったよ」
「そうかもね。一応結婚したばかりだから」

 再婚を機に母さんはそれまで働いてたスーパーのパートをやめ、舟山さんの仕事を手
伝いに行く事になったのである。
マスター施療院とか言う店で鍼灸師と聞いている。
母さんは受付でもやってるんじゃないだろうか。

 「料理の味が濃くなったのは、翔太でもわかるでしょ」。
「父さん血圧が高かったから、減塩にしてたからじゃないの」
「朝から和食で結構豪華だったりする」。
「それは文句ないじゃない。舟山さんのおかげだよ」
「アタシ朝からあんなに食べれないっつうの」

 料理の味付けが濃くなって、朝は各自が食パンを焼きインスタントコーヒーですませ
ていたものが、ご飯と味噌汁に数品おかずが付くようになった。
少なくとも僕は大歓迎だったし、姉さんが無理に文句を付けているだけかと思ったんだ
けど。

 「春菜も、料理で具合が悪くなったって言ってる。ヤバいから残すようにしてるんだ
って」
「そう言やさっき、舟山さんが心配してたね。具合でも悪いのかって」
「冗談抜きで何か変なもの入ってる気がするんだよね」
「考え過ぎでしょ」
「いや、春菜もきっと発情してるんだって」
「発情?」

 そんな言葉を使われてもすぐにはピンと来なかった。
「真っ赤な顔してモジモジしてんだよ。アタシや翔太と同じだって」
さっきお互いのオナニーを見せ合うと言う、普通では考えられない事そしてしまったの
で、「発情」と言われても僕には反論出来なかった。

 「だからさ、さっき部屋を出る時、ローター出して置いて来てあげたの。使っていい
よ、って」
「スッゲー余計なお世話」
「あの子でも使い方わかるよね。ジョシコーセーなんだから。あ、翔太も貸したげよう
か? 男でも気持ちいいらしいよ。アタシ、マイバイブも持ってるんだけど….」
「姉さんって年中発情してるんだね.…」

 結局舟山さんが来て以来、絶対何か変だ、と言い張る姉さんと、それは考え過ぎで季
節の変わり目と新しいお父さんとの同居と言う環境の変化で落ち着かないだけだと言う
僕の主張は平行線をたどり、姉さんは春菜がローター使ったかどうか確かめてやる、と
意味不明の捨てゼリフを残して出て行った。

 僕はやはり姉さんと春菜は舟山さんが気に入らないだけで、時間が解決してくれるだ
ろうと思っていた。
だけど、ケバいとは言え発情した姉さんにオナニーを見せ付けられて、どうしてもまだ
股間がムズムズしてしまう。
もう1回だけだそと自分に言い聞かせて又もせんずらないと、受験勉強に取り組む事は
出来なかった。

 次の日の朝、食卓には姉さんと春菜の姿がなく、両親と僕だけの朝食だった。
2人ともいらないと言ってるらしい。
姉さんが朝を抜くのはよくある事だけど、優等生の春菜にしては珍しい。
父さんが具合でも悪いのかと新聞を読みながら言うと、母さんは夏休みだからと意味不
明な事を口にし、それ以上話題には上らなかった。

 「今日は帰りが遅くなるの。夕食はお弁当買って帰るから」
「私は友達と飲みがある」
「あの子達にも言っといて。まだ寝てるみたいだから」
姉さんと春菜は自分の部屋がなく、二段ベッドの上下に寝ているのだ。僕が仕方なく2
人の部屋を覗くと、何やら言い争っているところだった。

 「違うって!」
「恥ずかしがらなくてもいいのに」
「それ、何だか知らないし」
「お、翔太、いいところに来た」
「私、トイレに言って来る」

 春菜と入れ違いになってしまい、僕は姉さんと床に置かれたその物体を挟んで向き合
った。
昨日話題になったエッチグッズのピンクローターである。
2つの卵型がコードで連結され、コントローラーに繋がっている。僕も実物を見るのは
初めてだ。

 「春菜使ってた癖に、知らん顔するんだよ」
「どうしてわかるの」
「アタシとニオイが違うもの」

--犬かよ

 「それに何かホカホカしてたもの。あれは確かに春菜の○んこのニオイと温もりだと
思う」
「そんな事春菜に言ったの? 何だか知らないって言ってたけど」
「あんなマジメッ子には言えないよ。だけど知ってる筈だよ。アタシ、二段ベッドの下で
使ってるもん。声も結構出てる」
「姉さん……」

 姉さんがスイッチを入れると卵型がジーッと振動を始め、2つが当たってガタガタ鳴
った。振動を止めた姉さんは手に取り、胸と股間に当てがって見せる。
「ホラ、こうやって乳首とクリに当てるの。どんな女の子でも、春菜でもイチコロだよ。
絶対イッチャウ」
「へえ」
「バイブなんか痛かったりするけど、こういう安っぽいのが曲者なの。翔太も貸したげ
ようか。ヤバい朝ごはん食べて、ビンビンみたいだけど」
「朝は勃つんだよ」

 ボクの朝勃ちを手で撫でて確かめた変態姉ちゃんは、ローターを再び動かして言う。
「1つをチンポに当てて、もう1つはオシリに入れるといいみたい。これはマジでヤバ
イって彼氏が言ってた」
「もういいよ!」

 猥談を切り上げた僕が、母さんの帰りが遅くなる事を伝えると、姉さんがそれは怪し
いと言う。
「いい機会だからさ、黙って迎えに行って様子見て来てよ」
「受験生を使うなよ」
「男でしょ!」
もう一度朝勃ちの股間をはたかれた僕は、こうしてとんでもない現場を見てしまうのだ
った。