「全裸の新体操女王」

                      赤星直也:作

第15話 全裸の演技

 美紀が承知すると「今日から下着は着ないで下さい。ラインが映りますから…」下着
を着ないように指示が出された。
「わかりました。我慢します…」3日間は下着を着るのが許されない。
「何だか、性器が寂しいわ。それにオッパイも揺れるし」普段の生活でも戸惑った。

 そして、撮影の日が来て、美紀は生まれたままの姿になり、準備をしている。
「ヘアを手入れします」女性スタッフが美紀の絨毛を綺麗にしていく。
「ここは残します」恥丘の上に少し残して、淫裂の周りは全て剃り上げた。
(性器が撮られるんだ。それを大勢に見られるんだ…)次第に緊張が高まり、乳房も張
っていく。
(乳首が、痛くなっていく…)膨らんでいる乳首が痛く感じられる。

 「あら、綺麗になって!」遠山夫婦と和田夫婦が、立ち会う事になっていたから声を
掛けた。
「恥ずかしいです。これが大勢に見られると思うと…」恥ずかしそうに、淫裂を手で覆
い隠す。

 「大丈夫よ、秘密は絶対に守るから。それよりも、大胆にやってね。恥ずかしがった
ら返っておかしいから」
「頭では、わかっていますが…」
「だったら、そこの手を退けないと」
「はい、そうします」両手を退けて全裸をスタッフ達に見せている。
(恥ずかしい。性器を見て、オチンチンを膨らませているわ…)肉竿を膨らませている
のがわかる。

 「最初はボールです。恥ずかしがらずに堂々と演技してくださいね」美紀は流れる音
楽に合わせて、演技を始めた。
ボールを両手に持ち、マットの上で仰向けになると、それを足下からカメラが狙ってい
る。

 美紀は真っ赤な顔をしながら開脚したまま演技をしていく。
モニター用のテレビには、淫裂がハッキリ映り、膣やクリトリスも映し出された。
そんな事など知るよしもない美紀は、演技を続けていた。

 始まる頃は堅かった顔の表情が、和やかになり、目の腫れも次第に薄くなっていく。
(これで、終わりだわ…)フィニッシュに入り、ジャンプが続いた。
そして「フー!」演技が終わるとマットの上に座り込む。

 「汗を拭きます」スタッフがタオルで体を拭いていく。「ここも拭きます」乳房や股
間も拭かれていく。
「少し休んでから始めましょう。次はリボンです」15分ほど休むとまた撮影が始まっ
た。
撮影は深夜に及び、美紀は夜遅くまで全裸で演技をし、ビデオの撮影は2日間で終わっ
た。

 だが、それで終わりではなかった。その次がヌード写真集の撮影だ。
「ヘアがないから、これを付けましょう」淫裂に付けヘアが張られる。
「恥ずかしいわ。これならヘアのない方がいい!」

 「性器を載せる訳には行きませんからね」カメラマンに言われたポーズを取っていく。
「コリーナよりも綺麗に撮りますから」お世辞を言いながら、ヌードを撮っていく。
こうして、美紀はビデオと写真集の撮影を終えた。

 数か月後、美紀の写真集が出版され、元日本代表のヘアヌード写真は反響を呼んだ。
「小森を永久追放しろ!」写真を見た新体操協会の幹部は激怒して、小森に関東体育大
学の監督辞任を迫っている。

 勿論、これが週刊誌で報じられ、ワイドショーでも取り上げられると、美紀の写真集
が売れて印税が伸びていく。
また、週刊誌からも、ヌード撮影の依頼もあった。

 初めは断っていたが、監督を辞めざるを得ない状況に追い込まれ、新体操協会への抗
議を込めて、ヘアヌードを引き受けた。
美紀のヘアヌード写真が週刊誌に載ると、以外に大受けで次々とヌードの依頼が舞い込
んできた。
おかげで、写真集と雑誌のヌードだけで、3千万の収入があった。

 だが、収入源はそれだけではなく、秘密のショーの収入もあった。
いつものように、敷かれたマットの上で全裸の演技をしていると、見覚えのある顔があ
る。
(紀子さん、それに監督までもいる!)そこには諸星産業の新体操部員達がいる。
和やかな顔で演技をしていたが、一瞬にして強ばった顔になっている。

 それでも、開脚したままジャンプや、片足倒立などをして淫裂を露わにしていく。
(見ないで。見なくていいのよ!)泣きたい気持ちを堪えて、演技を続けていく。
演技は20分ほどで終わり、控え室に戻り、声を上げて泣いていると誰かが入ってきた。

 「泣いてどうするのよ。この恥さらし!」
「そうよ。そんなに性器を見せたいなら、裸で生活しなさいよ!」昔の仲間が罵声を浴
びせた。

 「仕方ないのよ、体操しか知らない私は、こうやって働くしかないのよ…」泣きなが
ら答えた。
「そんなにお金が欲しかったら、ソープで働きなさいよ。体も売って!」
「そうよ。もう、あんたとは絶交よ」言いたい放題の事を言って帰った。
1人残され「悔しい、あんな事言われるなんて…」泣きじゃくる美紀だった。

 そして、1年経ち、アテネオリンピックも終わり、新体操協会も静けさが戻っている。
だが、その静けさを破る事件が起きた。
日本代表選手が大勢いた諸星産業が負債を抱え倒産したのだ。

 不況のおり、オリンピックが終わった以上、宣伝にも利用出来ない新体操部員を引き
受ける会社はどこにもない。
監督やコーチの口も、体育大学出身者が先に押さえ、実業団出身者が働く場はない。

 そんな中で、美紀を軽蔑していた紀子を、引き受ける企業が無い事が週刊誌に載った。
「あら、紀子も生活に困っているんだわ」コーヒーを飲みながら美紀は週刊誌を見てい
る。
美紀は、秘密の性器ビデオなどで得た収入で、スポーツジムを経営している。

 昼間は主婦層、夕方は幼児を対象とした体操教室、そして、夜は男性相手のダイエッ
ト体操教室を運営している。
特に男性のダイエット体操は人気があった。

 それは美紀が全裸に近い体操着を着ているからだ。
紐のような体操着だけをまとい、模範演技をしていく。
当然、乳房や淫裂が剥き出しになっており、それを目当てに男性が殺到していた。

 「さてと、今度は私が紀子達を侮辱する番だわ」コーヒーを飲み干すと遠山に電話を
掛け、紀子の居場所を教えて貰った。
紀子の住まいを知ると、銀行で金をおろしてから向かう。

 「ここだわ。ずいぶん粗末ね」紀子も収入がない以上は、贅沢が出来ない。
「紀子さん、いるかしら?」
「どちらですか?」
「美紀よ、小森美紀!」
「今開けます」ドアが開いて紀子が現れた。

 「何かご用で?」
「仕事よ、仕事を持ってきたの。中で話をしましょう!」仕事と聞いて、紀子も美紀を
中に入れる。
「どんな仕事かしら?」

 「ショーよ、ショーをやって欲しいの」
「まさか、美紀さんがしたヌードでの新体操では?」
「それもあるわ。でも、今回はビデオを撮りたいのよ。ヘアを剃って性器を見せる体操
をして欲しいのよ。秘密は守るから」

 「バカにしないで。裸を売るような事しないわよ」怒りの顔だ。
「あら残念ね。これ持ってきたのに。それに、私の所で、指導員の口のあったのにね」
銀行からおろしたばかりの札束を見せた。

 「400万はあるのよ。残念ね」呟くように言う。
「待って、少し考えさせて…」嫌がっていたが現金を見ると考えが変わったようだ。
(そうよ、それでいいのよ。私に言った言葉を、そっくりあなたにお返しするからね)
美紀は自信ありげだ。
「やります。ヘアも剃りますから、やらせて下さい…」紀子も生活苦だから、全裸にな
っての新体操を承知した。