「全裸の新体操女王」

                      赤星直也:作

第4話 合宿所

 「イヤよ。ヌードだなんて、絶対にいや!」
「イヤなら仕方ない。マスコミに流すだけだ。日本代表のヘアヌードだから、高く売れ
るよ」
「お願いですから、そんな事は、やめて下さい!」必死に頼み込む。

 「それなら、プライベートの収録に付き合って貰いたいな。タダとは言わないから」
「タダではないって、言いますと?」
「いつまでも、テレビの体操では食っていけないぞ。体操教室でも開いて、安定した収
入を稼がないと困るだろう?」

 (そうよ、その通りよ。たった一本の番組では、食べていけないわ…)黙って和田の
言葉を聞いている。
「撮らせてくれたなら、お礼に、大学の新体操部のコーチを紹介してやるよ」

 「でも、ヌードを撮ったら、体まで奪うつもりでしょう?」
「それはどうかな。とにかく、裸になって貰うからね」和田は一方的に言い、それを黙
って聞く美紀だが(ヌードにはなりたくない…。でも、コーチの就職口があるなら我慢
して、ヌードになった方がいいのかも…)悩んでいる。

 それから数日が立ったある日、美紀のアパートの前にワゴン車が停まった。
「行くしかないわ。あの写真がある以上は行かないと…」美紀は小さなバックを持って
迎えに来たワゴン車に乗り込んで行く。

 すると「あら、お久しぶりですね」見覚えのある女性から、声が掛けられた。
「確か、体力測定の時にお世話になった方では?」
「あら、覚えていたんだ。遠山顕子というの。よろしくね」

 「何だ、顕子と顔見知りだったのか。気が楽になったよ」遠山も乗っていた。
「あなたが悪いのよ。小森さんと言えば素直に承知したのに。でも嬉しいわ、小森さん
となら」

 「小森君、紹介するよ、これ、僕の家内の顕子だ。スポーツドクターをやっていてね」
遠山は顕子を紹介し「話はそこまで。とにかく行こう」ワゴン車は美紀を乗せると走り
出した。

 4人が乗ったワゴン車は東京を走り抜け、海岸線に沿って走っていくと、家並みも少
なくなり寂しい感じがする。
「もうすぐですから」顕子が、心配そうな顔をする美紀の肩を抱きしめた。
「わかっています…」抱き付く顕子から、離れようとする美紀にニヤニヤする遠山だ。

 「ところで、和田さんの奥さん。大丈夫でしょうね?」
「うまくやっているよ。合宿所も借りられたそうだ」和田は車を走らせて、数時間も走
ると、大きな建物が見えてきた。

 「あそこよ、あそこなの」
和田は「わかったよ」と顕子の指示する通りに走らせ、敷地の中に入ると駐車場に車が
停まっている。
「久子さんの車ね」
「そうみたいだ。とにかく行こう」和田を先頭に建物に向かと、女性が気づいたのか、
こちらに向かってくる。

 女性は美紀を見るなり「あら、以外と綺麗な方ね。新体操選手とは思えないわ」と言
い出す。
「最近まではそうだけど、今はタレントよ」顕子も美紀を妖しい目で見つめた。

 「久子、それより中の方はいいのか?」
「勿論よ、掃除も済ませて置いたわ」
「ありがとう、助かるよ」礼を言って中に入ったが、そこは関東体育大学の合宿所だ。

 合宿所からは女性の声が聞こえ、一行は声の方に向かう。
「やっているわね。元気な声だわ」
「元気なのは声だけよ。いい指導者がいないから、入賞なんて無理なのに…」久子と顕
子は意味ありげな事を言って歩いている。

 正面にはドアがあり、開けて中に入ると、5人の女性が体操着を着て練習している。
「あら、元日本代表の小森さんよ!」1人が気が付くと、皆が駆け寄り美紀を取り囲む。
「ほらほら、練習をさぼっていいの?」
「だって、こんな事したって、出られるかどうかわからないし…」

 「わからないって、新体操部員でしょう?」
「だって、監督とコーチがいないの。そんなのが、出られるわけないでしょう」
「それは自業自得よ。あなた達が、あんな事したから辞めたんでしょう!」
「仕方ないでしょう。我慢出来なかったのよ」顕子と久子が部員とやり合っている。

 「とにかく、練習だ。その間に小森君は準備して!」和田は撮影用の準備を始めたが
「和田さん、ここでですか。部員がいます…」美紀は部員達が気になっている。
「部員ね、気にしなくていいわよ。いずれわかるから」怯える美紀を後目に、顕子は笑
顔になっている。

 美紀は顕子に連れられて、小さな部屋に入った。
「脱いで。フルヌードよ」
「わかっています。でも、フルヌードになるなんて恥ずかしいです…」強ばった顔にな
った。

 「仕方ないわね。私も脱ぐからあなたも脱ぐのよ。2人がフルヌードなら、平気でし
ょう?」言い終わらない内に、顕子は服を脱ぎ始め、あれよあれよと脱いで、全裸にな
ってしまった。

 「どう、これが私の全てよ」乳房と絨毛を露わにしたままだ。
乳房はまだ弛みが無く、乳首もピンと上を向き、絨毛は綺麗に手入れしてあり、淫裂が
覗いている。
(私も脱がないと…)美紀も覚悟を決め脱ぎだした。

 「あら、白なの。これからはもっと、いいのを着た方がいいわよ」白い下着に顕子が
水を差すが、動じることなく脱いで全裸になると「相変わらず綺麗ね」顕子が抱き付い
た。
「ダメ、ダメです!」拒むが、強引に乳房を握られた。

 「顕子さん、抜け駆けはダメよ。私がいるのを忘れないで!」そこに久子が入って来
た。
「遊びよ。少し遊んだだけ」悪びれた様子がない。
「噂通りに綺麗な体ね。夫がヌードを撮りたがっているのがわかるわ」久子も潤んだ顔
をして、美紀の体を触りだす。

 「ダメ、ダメです!」それには慌てて胸と股間を押さえた。
「でも、どうして顕子さんがヌードに?」
「美紀さん、1人でヌードになるのはイヤだって言うのよ。それでお付き合いなの」
「何だ、だったら、私も付き合うわよ」久子も服を脱ぎだした。

 服を脱ぐとスケスケの下着が現れ、乳房と絨毛が丸見えになっている。
(オッパイと、ヘアを丸出しにする下着だわ…)顕子に言われた言葉が気になったのか、
食い入るように見つめている。

 「うふふ、下着が気になるのね。今度あなたにプレゼントするわよ」顕子が見抜いた
のか言う。
「そんな、気になるだなんて…」美紀の顔が赤らんでいく。
「可愛いわね。これなら、私もヌードになった甲斐があるわ」久子も下着を脱いで全裸
になった。

 「久子さん、準備はいいわね?」
「いいわよ、行きましょうか!」2人は恥ずかしがる様子もなく、乳房と淫裂を晒した
まま部屋から出た。

 だが(ヌードを見られたらどうしよう…)美紀は両手で胸と股間をしっかりと押さえ
ながら後を歩いている。