「全裸の新体操女王」

                      赤星直也:作

第2話 測定


 翌日、美紀は和田から貰ったメモを頼りに出かけた。
何分、1人で町の中を歩くのは滅多になかったから戸惑って「確か、この辺だけど…」
見回すと、やたらと看板が目に入る。

 「あったわ、あそこだ!」言われた看板をやっと見つけて、中に入った。
中には、白衣を着た女性と男性がおり「小森美紀と申しますが…」声を掛ける。
「伺っています。まずは、測定から行いますから、服を脱いで下さい」

 「えっ、服を脱ぐんですか?」
「当然です。服の上から調べる事は出来ません。こちらで脱いで下さい」女性がカーテ
ンを開けると、美紀はその中に入り、カーテンを閉めて服を脱いでいく。

 「恥ずかしいわ、服を脱ぐなんて」鏡を見ながらスカート、シャツを脱いで、白い下
着姿になると「脱ぎました!」カーテンを開けた。
「全部です。全部脱いで下さい!」

 「そんな~。これ以上脱いだら、フルヌードになってしまいます」
「そうです。体の隅々まで調べますから、当然です」
「わかりました。脱ぎますから、女性だけにして貰えませんか?」顔が赤らんだ。

 「心得ております。フルヌードですから、当然ですよ」それを聞いて、安心したのか
パンティから脱ぎだした。
膝まで引き下げ、背中を丸めると、鏡には黒い絨毛に覆われた股間が写っている。

 美紀は、足を片側ずつ抜いて下半身を剥き出しにした。
両手に残ったパンティもスカートの下に仕舞い込み、背中のホックをに両手で外すと、
カップが緩んで乳房が飛び出し、揺れていく。

 「これで、フルヌードだわ」肩から紐を外して脱ぐと「脱ぎました…」全裸になった
美紀は、恥ずかしさに、手で胸と股間を押さえながら出てきた。
「それでは、計ります!」美紀は、白衣を着た女性に体の隅々まで調べられていく。

 「足を広げて!」言葉に従うと、淫裂にもメジャーが当てられ(イヤ、そこは性器よ。
調べなくていいの!)赤い顔が、さらに赤くなった。
「これから、筋肉を測定します」
「まだ、やるの?」

 「そうです。こちらで、やります」そこには、白いマットが敷かれてある。
「まずは、ブリッジです…」言われるままに仰向けになり、開脚してブリッジをする。
(女性とは言え、性器だけは見られたくない…)そう思っても、淫裂を見られ、太股の
筋肉が調べられ、その後、腕も調べられた。

 「片足倒立して下さい!」右足だけで立ち、左足を頭まで持ってくるが、黒い絨毛の
中では、淫裂がピンクの口を開いている。
「柔らかいですね」淫裂をチラリと眺め太股を触った。
(触らないでよ。そこは関係ないでしょう!)イヤイヤながら、美紀は全裸のままで調
べられた。

 「それにしても、いい体つきね。お願いだから、写真に撮らせて貰えないかしら?」
「イヤよ、ヌードなんてイヤ。そんなの撮られるなら、死んだ方がいいわ!」
「だって、こんなすばらしい体つきよ。撮っておかないなんて、勿体ないわ」美紀の乳
房と淫裂を触り出す。

 「ダメ、そんなのダメ。ヌードを撮ったら、マスコミに流すんでしょう?」
「そんな事はしないわ。学術の為に撮りたいの。このすばらしい筋肉美を…」頭も押さ
えて、見つめ合う。
(この人変だわ。もしかして、レズでは?)急に不安になってきた。

 「イヤならいいわ。今度は、心肺を計るわ」
「服を着させて貰えませんか?」
「ダメ。筋肉の動きを見るからヌードよ。それに誰も来ないから、平気よ」白衣を着た
女性は器具を準備していく。
(誰も来ないから心配なのよ。私には、その気は絶対にないからね)言われた通り、全
裸で体を動かしていった。

 美紀は、昼過ぎまで、全裸のままで測定された。
「もういいです。終わりましたから…」その言葉に、急いでカーテンを開け飛び込んだ。
「やっと終わった。でも、ヌードでだなんて、恥ずかしかった…」息を弾ませながら下
着を着込んでいく。

 服を着込むと、元の仲間が気になるのか、勤務していた諸星産業の体育館へと足が向
いていた。
「すみませんが、見学させて貰えないでしょうか?」監督に尋ねると「オリンピックが
近いんだ。関係者以外は、おことわりだ!」冷たくあしらわれる。

 (無理もないわ。クビになったんだしね…)俯いて体育館から出ていくと、それを、
ニヤニヤしながら紀子が見ており「クビにはなりたくないわね。未練がましくなっちゃ
って!」背中から紀子が声を掛けた。

 「紀子、やめなさいよ!」同僚が制止したが「だって、本当でしょう。ほら、あそこ
にいるわよ」
その声に「酷い、酷いわ!」泣きながら美紀は走って、通い慣れた体育館を後にした。

  それから数日が立って、美紀は和田に元へと向かった。
「体に問題はないみたいだね。取り合えず、リハーサルしてみるか…」
「リハーサルですか…。私、体操着の準備をしてきませんでした…」詫びる美紀に「あ
んたが準備する必要はないさ。こっちで準備するよ」笑顔で話し掛けた。

 「それなら安心です!」
「だったら、これからやろう。スタジオは用意してあるよ、子会社のだけど」
和田は美紀と一緒に、関東テレビから近くにあるスタジオに向かう。

 「見劣りするけど、必要な物は全部揃っているんだ」得意げに説明し「ここで着替え
てくれ」バックを手渡す。
それを受け取り、着替え室に入ると中には大きなな姿見が置かれていた。

 美紀は服を脱ぎ、下着だけになったが「イヤだ。こんなの着たら、下着が見えてしま
うわ…」バックから取りだした体操着は、胸の部分がくり抜かれている。
それに、腰骨が丸出しのVカットだった。

 美紀は下着を見られる訳には行かないから、パンティ、ブラジャーと脱いで行く。
姿見には、絨毛と乳房が露わな美紀が映っている。
「ヘアは、大丈夫かしら?」鏡に写る姿が気になっている。

 それでも、渡された体操着に足を通し、一気に持ち上げて腕を通した。
「イヤだ。オッパイの膨らみが…」胸の膨らみが半分ずつ覗いている。
それに、前は下腹部までくり抜かれ、今にも絨毛が見えそうだ。

 「恥ずかしいわ。こんな姿で、リハーサルだなんて。ヘアが見えないからいいけど」
下半身も丁寧に調べていく。
股間を押さえる布を捲って調べると、絨毛はギリギリで隠れている。

 「よかった。これからは、剃った方がいいかも…」着替えが済むと和田の元へと向か
い「和田さん。こんな姿は、恥ずかしいです…」不満をぶつけた。
「何言っているんだ。これからは、新体操の小森じゃないんだ。タレントの小森なんだ
ぞ!」
「タレントですか?」
「そうだ。意味がわかるよね?」和田の目がギラギラ輝いている。