「引き裂かれた白衣」

                             
赤星直也:作

第1話 借金

 「お疲れ様。後は私がやります」白衣を着た女性達が、引継を済ますと更衣室に入
って着替えていく。
「奈美、今夜は一緒にどう?」
「遠慮するわ。今はオケラなの」
「何だ、オケラか。給料日はまだ先なのに、大丈夫なの?」
「何とかなるわよ」笑顔で返事をし、更衣室を出て病院を後にした。

 病院から、アパートまでは、歩いて5分ほどしか離れておらず、程なくアパートに
着いた。
女性がドアを開けると、床に催促状が落ちている。
「困ったわ。また催促だわ」女性は岡田奈美といい、明和病院の看護婦をしている。
奈美は、サラ金から借りた金が返せない、いわゆる、自己破産予備軍だ。
サラ金には、利息が溜まり積もって300万の借金があり、給料が25万程度だから、
並大抵のことでは、返せるはずがない。

 「返したいのは山々なんだけど…」書かれている連絡先に電話を掛けた。
「もしもし、岡田ですが…」相手に、支払いを待って貰おうと、頼み込んでいる。
「そこを何とかお願いします…。わかりました、明日伺います」受話器を置くと溜息
を付く。

 「会って、話すしかないわね」呟くように言いながら、浴室のバルブをひねった。
蛇口から勢いよく、お湯が噴き出し、温度を調節して服を脱いでいく。
「とにかく、明日だわ。でも、何と言ったらいいのかしら?」不安を抱えながら脱ぐ
と、淡いブルーの下着が見えてきた。

腰のゴムを両手で掴み、引き下げると下半身が露わになって、付け根の絨毛が見えて
いる。
奈美の絨毛は、団扇のように丸形に生い茂っていた。

 パンティを膝まで引き下げ、背中を丸めて脚を上げていくと、絨毛の中にある、淫
裂が一瞬見えた。
更に、別な片足も上げて、下半身を覆っていた布が、両手に残されている。
まだ、温もりもあり、縮こまった布を、洗濯機に入れて、両手を背中に回した。
ホックを外すと、ブラジャーが緩んで、白い乳房が飛び出て、揺れている。

 肩に絡まった紐を引き下げ、腕も下げると、乳房を覆っていたブラジャーが、手首
にある。
その布も、手首から外して洗濯機に入れ、浴槽に入った。
浴槽の中は、まだ、半分しかお湯が貯まっておらず、それでも体を折り曲げ、お湯に
浸かる。

 「ふー!」溜息を付き、お湯を乳房にかけて、揉んでいく。
「もっと、大きくならないかしら。久恵はCカップなのに…」両乳房を揉んでいく。
乳房をマッサージすると、石鹸を泡立て体に塗った。
「ここは丁寧に…」立ち上がり、石鹸の付いた手で撫でていき、指は肉襞も摘み、丁
寧に、石鹸を塗って膣の中も洗った。

 体を洗い終えると、シャワーで汚れを洗い落とし、浴槽から出て体を拭いていく。
今まで白かった肌が桜色に染まり、それに、白い乳房も桜色をしている。
「明日は、どれにしようかな?」体を拭き終えると、全裸のまま浴室から出て、下着
を選んでいる。
「これがいいわ。久恵には負けたくないし…」ピンクの下着を選んだ。

 まず、ブラジャーを着けるが、カップからは、乳房の膨らみが、はみ出している。
「これだと、オッパイも大きく見えるわねね」1サイズ下のブラジャーを着けた。
その後は、同じ色のパンティを履き「疲れたわ、今日の病院は混んでいたし…」冷蔵
庫から缶ビールを取り、一気に飲み干してベッドに横になると、奈美は次第に意識が
薄れて、眠りについた。  

 翌日、奈美は勤務開け後に、サラ金業者の元へと向かった。
対応に出たのは社長で「あんたね、返す気があるの?」貸す時は、打って変わった態
度だ。
「勿論あります。でも、今はこの通りです…」頭を下げるしかない。
「困りましたね。それでしたら、アルバイトでもしたらいいのに…」

 「アルバイトですか?」
「そうです。それがイヤなら、あなたの下着を売るんですよ」
「下着を買う人なんか、いますか?」
「いますよ。何なら、私が5万で、ブラとパンツを買いますよ」耳元でそっと言う。
「5万ですか?」
「はい。そうすれば、今回の返済は無事済みますよ」
「売ります。でも、ここで脱ぐのはいやです…」
「更衣室がありますから、そこで脱いで下さい。こちらです」丁寧に、奈美を案内し
ていく。

「いいですか、履いているやつですよ。スペアはダメですからね」
「わかりました」更衣室に入って脱ぎだした。
「下着が、5万で売れるなんて知らなかった…」奈美は、誰もいない更衣室で服を脱
ぎ、下着姿になった。
「でも、これを脱いだら、直に着るしかないわね」パンティを引き下げ「帰るまでだ
から。アパートに戻れば、変わりあるし」膝まで下げ、足を上げてパンティを脱いだ。

 その後は、ブラジャーも脱いで、乳房を丸出しにしている。
「これでいいのね。あら、ヘアがパンティに…」脱いだパンティには、縮れたヘアが
ある。
それを拾い、下着をたたんでから、服を着ていく。

 奈美は知らなかったが、こっそり、隠しカメラが撮っていた。
「小さいけど、形がいいな。ヘアは多めだぞ!」社長は、こっそり全裸写真を撮って
いた。
「これくらい撮ればいいかな」数枚撮って、何食わぬ顔で戻っていく。

 そうとも知らず、奈美は服を着込んでいく。
下着を着けず、直に着るから乳房が揺れ、それに、股間を押さえていた布がないから、
冷たい感じだ。
「変な感じがするわ」鏡を前に、上着のしわを確認すると、折り畳んだ下着を持ち、
更衣室から出て、先程の部屋に戻った。

 「これで、よろしいでしょうか?」折り畳んだ下着を差しだす。
「確かめさせて下さい」奈美の前で広げて「いいですね。出来れば、ヘアが欲しいで
すが…」
「ヘアですか?」
「そうです、性器のヘアです。ここでも出来るでしょう?」
「わかりました。今、抜きます」背中を向けて、スカートの裾を持ち上げ、絨毛を引
いた。
「うっ!」呻き声と共に、指先に数本の絨毛がある。

 「これで、よろしいでしょうか?」抜いた絨毛を手渡す。
「いいですね、これがあなたのオ○ンコの毛ですね…」ジッと眺め臭いを嗅いだ。
(そんな事、やめてよ)自分の絨毛の臭いを嗅ぐ姿に、顔を上げらず、下を向いたま
まだ。
社長はその後、パンティの臭いを嗅ぎだした。

 「いい臭いがしますね。また買いますよ」やっと、しまい込んだ。
「あの~。それを、どうするのですか?」
「オナニーですよ。これを見ながらやるんですよ」笑顔で答える。
(パンティでオナニーするなんて、あなたは変態よ!)奈美は代金を貰うと、支払に
充てて、会社から急いで出た。

その翌日「中村さん、診察室へお入り下さい!」奈美が名前を呼ぶと、見覚えのある
顔の、男性が立ち上がった。
(確か、サラ金の社長では?)ジッと顔を見ていると、相手も気づいて「この前はあ
りがとう。また買いますよ」肩を叩く。
それを、無視して「中へどうぞ…」勤務中だから当然で、中村もそれを知ってか、素
直に診察室に入って行く。
奈美も(黙っていてくれれば、いいけどな…)不安を抱きながら診察室に入った。

 中村は、医師の診察を受け、軽い肝炎と診断されて、注意を受けてから診察室を出
てきた。
「お大事に」見送る奈美に「帰りに寄ってくれ、話がある」そっと耳打ちする。
(そんな、帰りに寄れだなんて…)聞こえない振りをして「石田さん、診察室へお入
り下さい!」名前を読み上げると、中村は、笑いながら廊下を歩き、その後ろ姿を、
奈美は不安を抱きながら見ていた。

 そして、勤務が終わると、中村から言われた通りに、サラ金会社へと向かう。
「お待ちしていました。こちらへどうぞ」今までとは違って、丁寧な言葉で案内して
いく。
それに、今までと違い、豪華な役員室に連れ込まれた。
「あの~。お話って何でしょうか?」
「その前に、これを見て下さい」中村はテーブルに写真を置いた。
それを見るなり「そんな~!」奈美は声を上げ、唇をブルブル震わせている。
 
 写真は、奈美の全裸が写っており、乳房や絨毛もハッキリ写っている。
「お気に召しましたか。それにしても、綺麗なスタイルですね。オッパイもヘアの生
え方もいいですよ」笑顔になっている。
「これを、どうするのですか?」声が震えている。
「私のコレクションですよ。今のところは、何もする気はありませんが、あなた次第
では…」中村は、奈美の隣に座り直して、肩を抱いた。

「触らないで下さい!」
「ですから、あなた次第では、この写真が、雑誌や病院にまかれるんですよ」そう言
われれば、黙るしかない。
「そうです、それでいいんですよ。ちょっとの間だけでも、楽しみましょう」中村の
手が、奈美の胸を撫でだした。
(イヤよ、触らないで下さい)奈美は黙ったまま、首を振った。

 「なにも、タダとは言いませんよ。お金も払いますから、楽しませて下さい」なお
も手が動き、ボタンを外しだすが、奈美は体を震わせ、されるがままだ。
ボタンを外し終えると、前を広げ「こんな色気の無いのではダメです。もっと色気の
あるのを差し上げますから、着て下さい」ブラジャーのホックを外し、乳房を掴んだ。

 「やめて。お願いです。こんなに小さいから、つまんないです…」すかさず中村の
手を押さえる。
「大きい、小さいは問題ないです。オッパイは、オッパイですよ」掴んだ乳房を揉み
だした。
(やめて。もうやめて下さい!)中村の手を、押さえるだけだ。

 「言ったでしょう、あなた次第だって。おとなしく、手を退けて下さい」
「そんな、おとなしくしろだなんて…」手を退けるしかない。
「そうです、それでいいんです」言い終わると、揉んでいた乳房を、吸いだした。
乳首を吸われた奈美は「あっ!」声を上げ、背中が伸びた。
(気持ちいい…。乳首を吸われると気持ちいい…。本に書いてあった通りだ…)目を
閉じて、中村の頭を抱え込む。

 それに答え、乳首を軽く噛まれ「うっ!」呻き声と共に小刻みに体が震えた。
(いいわ、凄くいい。乳首を噛まれるのも、いいわ…)目を閉じて乳房を愛撫され続
けた。
中村は、乳房を揉んでいた手を、スカートの中に入れた。
「ダメ、そこはイヤです!」足を閉じて、進入を防いでいる。
「触るだけです。しかも、パンツの上からですよ」その言葉に、閉じた足が開き、ス
カートの中に入った手が、縦に伸びた割れ目に沿って、触っていく。

 (性器を触っている…)薄い布越しに淫裂を触られ、太股が震えている。
「ここも、いいですね。今度は素っ裸を見たいですよ」
「イヤです。これっきりに、して下さい」
「そう、おっしゃってもね。あなただって、お金が欲しいでしょう。秘密は守ります
よ」指が淫裂の中に入った。

 「やめて下さい。これでもバージンですから…」その言葉に指の動きが止まった。
暫くして「そうですか、バージンですか。良く守っていましたね」
(バカにしないで。好きで守っていた訳じゃないわ。相手がいなかっただけよ!)唇
を噛む奈美だ。
「楽しみはこれくらいにしましょう。今度は全部見せて下さいね」中村は満足したの
か、触るのをやめて、財布から3万を取りだし奈美に渡す。
(ホステスじゃないわよ!)そう思いながらも、金を受け取り、服を直してサラ金会
社を後にした。

 それから、数日がすぎた。
奈美の勤務が、今週は夜勤に変わり、夕方から勤務となっている。
引継を済ませ、ナースセンターで待機していると、中村が現れた。
「やはり本職は違うね、ソープとは大違いだ!」
「バカにしないで下さい。真面目に仕事をしているんですから…」
「その怒った顔もいいな。それより、勤務明けは何時ですか?」
「9時ですが…」

 「それだったら、明日の9時に迎えに来きます。俺と、デーとしましょう」
「そんな、デートだなんて…」
「何だ、断るのか。それなら、俺にも考えがあるが」強い口調に代わった。
「お付き合いします。ですから、あの写真は、なかったことにして下さい…」
「わかっているよ。明日迎えに来るからな!」中村は帰っていくが「あの人、奈美の
彼氏なの?」同僚の久恵が冷やかしてきた。

「まあ、そんなとこかな…」
「へー。奈美にも彼氏がいたんだ!」同僚達が声を上げた。
「いるわよ。私に彼氏の1人ぐらいは…」やはり、同僚には負けたくないから、強が
りを言う。
「で、エッチはやったの?」

 「そんな事、してないわ。清い交際なんだからね!」
「早くやったほうがいいわよ、あっという間に通り過ぎちゃうから、体を張って引き
止めるのよ」自分をさておいて、忠告された。
(本当のことは言えないしな。彼氏と言うことに、しておいた方がいいわ)誰にも言
わないことにした。

そして翌朝、奈美が引継を済ませ、病院から出ると中村が待っていた。
「奈美、彼氏よ。早くエッチするのよ!」そう言って、同僚が通り過ぎて行き、残さ
れた奈美は、中村の元へと歩み寄っていく。
「行こう、そこに停めてあるんだ!」指さす先に車があり、2人はそれに乗ると走り
だした。