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『見果てぬ夢2』
とっきーさっきー:作
第18話 絶望の淵に現れた白馬の王子様
篠塚美里の視点
「は、はあ……はぁ……美里っ……!」
「はうっ……くぅ、の、信人……さん……ふあぁぁっっ」
わたしは無防備なまでにお尻を突き出して、頭を上げ下げしていた。
両手でベッドの端を掴んだまま、アソコに出し入れされるオチ○チンくんの刺激を全
身で受け止めていた。
パン、パン、パンッ、パンッ……パーンッ……
じゅちゅ、じゅちゃっ……じゅちゅ、じゅちゃっ……じゅちゅ、じゅちゃっ……
「ひくっ! ふぅぅ、はぁぁっっ……奥までぇ、届いてぇっ……あ、あぁぁんんっ」
ちょっと落ち着かない。ちょっとケバケバシイホテルの一室で、今夜もわたしは黒
川さんと愛し合っていた。
彼にリードされて、思わず赤面しちゃいそうな恥ずかしい体位でもセックスを経験し
たの。
今だってほら。
美里のウエストが黒川さんの両腕に、ガッシリと掴まれている。
背中で彼の熱い呼吸を感じながら、バックから激しく突いてもらっているの。
黒川さんが腰を押し出すたびに、踏ん張っていないと衝撃で身体が前に押される。
目の下で美里のおっぱいがプルンプルンって揺れて、なんだか恥ずかしい。
でもそれ以上に、美里の割れ目がエッチな水音を立てるのが、もっともっと恥ずかし
い。
「だ、だめぇ……感じちゃうぅぅっ! は、はあぁぁっ、アソコが……しびれるぅ
ぅっっ!」
「んんっ、アソコってどこかな? 教えてよ、美里」
「あうっ、はうんっ……イヤ……はずかしい……んうぅ」
わたしは背中を這い上る快感に紛れさせて、首を振った。
頭が離れるくらい首を振りまわして、それでもって小声でささやいた。
「ふわぁっ、はぁ、お……おま……おま○こ……はあぁぁんんっっ!」
口に出した途端、全身をビリビリした電気が駆け抜けていく。
美里が女の子から女になった気がして、自分からお尻を黒川さんに押し付けていた。
「くぅっ、はぁ……美里……俺は……キミのことが……」
「はあぁ、あぁんんっ……美里も……信人さんが……はぅん……」
何度も挿入されて、セックスに慣れてきた膣が感じ取ってる。
黒川さんのオチ○チンくんが、もう少しで限界だって。
だけど美里も限界かも。
硬くて元気いっぱいなオチ○チンくんに、デリケートな粘膜を擦られて気持ちいいの。
アソコの中がヤケドしそうなくらい熱くなって、開いた口からも熱くてエッチな声が
漏れちゃうの。
パン、パン、パンッ、パンッ……パーンッ……
じゅちゅぅ、じゅちゃっ……じゅちゅぅ、じゅちゃっ……じゅちゅぅ、じゅちゃっ……
「はぁ、あ、あぁ……信人さんの……いいのぉ。お、おぉ、オチ○チン、快感なのぉ
……」
「あ、はぁっ……み、美里ォッ……んぐぅっ!」
勇気を振り絞って口にした恥ずかしい単語。
その声に美里の膣がキュンとなって、黒川さんが深く挿入させたまま、オチ○チンく
んを脈打たせた。
そして……
どぴゅ、どぴゅ、どぴゅ、どぴゅうぅぅっっ……ドク、ドク、ドク……
「あひいぃぃっっ、熱いっ……熱いよぉっ! んんんっっっ! イッちゃうぅぅっっ、
美里もぉっ、飛んじゃうぅぅっっっっ!!」
背中に降り注ぐ熱い液体を感じながら、美里も絶頂しちゃった。
オチ○チンくんが引き抜かれた膣をギュッと痙攣させて、子宮も気持ちよくしてあげ
て、背中を仰け反らせてイッちゃった。
「はあ……はあ……はぁ……ああぁぁぁ……」
背中の肌に感じる黒川さんの精液。
太腿の内側をいつまでも垂れてくる、美里のエッチなお汁。
この人と出会ってから1週間。
わたしたちは申し合わせたように、ふたりで一緒の夜を共にした。
お互いなにも語らずに、お互いの肌を合わせることだけに集中して。
でも、そろそろ潮時かな。
自分の本心を曝け出さずに愛し合うことに、心が悲鳴を上げ続けている。
「信人さん……あ、あの……実は……」
わたしは喉を詰まらせたような声で黒川さんに話しかけていた。
彼が寝そべるベッドに私も這い上って、一緒になって寝転んだ。
自分から呼び掛けておきながら後の言葉が続かなくて、しばらくの間、天井を見つ
めた。
そんな美里を黒川さんは、何も聞き返さずに待ってくれた。
厚い胸板を上下させたまま、視線を天井に向けたまま美里と重ね合わせるようにして。
「ごめんなさい、黒川さん。わたし……アナタのことを利用しようとしてたの。ア
ナタの上司、河添拓也に接近したくて……」
「……」
「その……美里の身体を差し出せば、アナタを……抱き込めると思って。黒川さん
……アナタを騙して恋人のフリをして、河添の情報を聞き出す作戦だったの」
「……」
「黒川さん。わたしね、河添拓也のことで……」
胸に溜まったモノを吐き出すように、わたしは話し続けていた。
お父さんと会社の人が話していた内容がショックで、家を飛び出したこと。
その夜に偶然見てしまった、典子お姉ちゃんと河添の関係。
その時の典子お姉ちゃんが見せた哀しい表情。
わたしと典子お姉ちゃんとの関係も。
自分なりに整理して話したつもり。
でも、この10日間の出来事が衝撃すぎて、せっかくの告白も半分くらいしか伝わっ
ていないかも。
「だけど、もう無理。これ以上わたし……アナタを……う、うぅぅっっ……」
話し終えた途端、胸を熱いモノが込み上げてきた。
天井が滲んで、瞬きをすればするほど溢れる涙に歪みを増していく。
女の子の涙ってずるいよね。
自分だけすっきりなりたくて、身勝手な思いを曝け出すなんて最低な女の子だよね、
美里って。
それなのに、黒川さんは最後まで耳を傾けてくれた。
遮らずに、感情を高ぶらせずに、美里とよく似た黒目がちの瞳を天井に向けて。
それで充分だった。
小悪魔みたいな美里に付き合ってくれて、ありがとう。
そして、本当にごめんなさい。
「し、シャワー……浴びてくるね」
わたしは揺れて波打つ天井を見つめて、そう口にした。
さようなら、信人さん。美里の初恋の人。
だけどきっと、アナタの姿は消えている。美里がバスルームに消えた間に……
「待てよ、美里」
「……」
背中の声なんて聞こえない。歩き続けた。
「美里っ! 俺は……」
「……」
ベッドが軋んで、床に乱暴な音が響いた。
「俺も一緒に、シャワーを浴びてもいいかな? ちょっと狭いけど……」
「……えっ?!」
バスルームに向いた足が止まった。
はにかんだ彼の声に、心臓がドンと鳴って呼吸を止めた。
「あ! あぁ! それって……?」
気の効かない子供になった美里を、暖かい笑い声が包んでいる。
なにも身に着けない素裸の身体が、優しくて力強い肌に抱き包まれている。
「ふふっ、バカだな美里は。でもパカはお互い様かもな。俺もお前も……」
絶望の淵に現れた白馬の王子様。
幼い頃に夢見た世界が、こんな時になって再現されるなんて。
「……だよね、きっと♪」
涙声なのに、わたしは気取って答えていた。
そうしたら、背中の人が豪快に笑った。
美里もお腹の底から笑った。
もっとギュッと抱きしめて欲しくて、自分から背中を押し付けて。
だけど、振り返ったりしない。
だってその瞬間、美里の中で黒川さんが信人に変わったから。
今はそれ以外何も考えられない! 何も思えない!
ただ、ふたりで浴びるシャワーの温度って、熱めがいいの? 温めがいいの?
それだけを思い巡らせていた。
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