『見果てぬ夢2』

                           とっきーさっきー:作

第13話 アナタに覗かれながら慰めます その1


 岡本典子の視点

 「おい、なんだその姿勢は! もっと胸を突き出せと言ったろう?」
「はい……申し訳ありません」
私は言われるがままに、背中を反らせてバストを強調させる。
男のOKが出るまで、そのポーズを取り続けた。

 はしたないわよ、典子。
ブラも着けずに、そんなポーズをするなんて。

 「よぉーし。次はケツを振ってみろ。男を誘うようにな」
男は『誘うようにな』のところだけ、下卑た笑いを含ませた。
私は音のない空間で耳をそばだてながら、両手を膝に突く。
前屈みになった姿勢で、典子の大き目のお尻を右、左とゆっくりと揺さぶった。
膝に押し当てた手のひらを支点にして、お尻のお肉で円を描くように回転させる。

 今度はなに?! ショーツも穿かないで、セックスアピールのつもり? 
典子って、ホントに好きモノなのね。

 「ふふふっ、いいぞ。そのままケツの穴を引き締めることを忘れるなよ」
「は、はい……んんっ……」
私は声だけで返事をすると、腰を大きくグラインドさせた。
男に言われたように、アナルをキュッと引き締めてお尻のお肉を上向かせる。

 ここは公園。部屋の中でもこんなポーズは恥ずかしいのに、お外でこんなことをさ
せられるなんて。
いくら真夜中で人の気配がないといったって。

 そう、典子は服を着ていないの。下着も身に着けていないの。生まれたままの姿な
の。
この一週間。男……ううん、河添に呼び出されては、公園の広場でエッチな特訓をさ
せられているの。

 なんのために?
それは教えてもらえない。でも、典子の女の本能が、とっても嫌なモノを感じ取って
いる。

 「よぉーし、ストップ。次は、そこにあるベンチに腰掛けるんだ」
河添が指差したのは、背もたれに広告の記された、どこにでもあるベンチだった。
私は大切な処だけをさり気なく隠して、広場の端へと向かった。逃げるように。

 「……ああ……冷たい」
お尻と背中が、深夜の冷気に慣らされたプラスチックの板に震えさせられる。
4人掛けのベンチをひとり占めにして、記念撮影をするように身体を固めていた。

 「ちっ、露出狂の変態のくせに、なんだ! その上品な座り方は。もっと露出狂ら
しい座り方があるだろう? 俺に命じられる前に、自分のオツムで考えるんだ!」
裸で座らされているから寒いくらいなのに、河添の声に身体の芯が熱を帯びてくる。
ほっぺたが燃えるように熱くなって、私は顔も上げられずに俯いていた。

 だけど、座り直さないと……
河添が次の言葉を吐く前に。
ちょっとってわけじゃない。
女にとって、とっても恥ずかしいポーズだけど、ファイトだよ。典子……

 「……くぅ……はあぁ……」
閉じた唇を声帯が震えさせる。
全身を小さく振動するように震えさせたまま、両足を持ち上げていく。
膝の裏側に手を添えて、足の裏がお尻と水平になるように。
足の裏がペタンと座席部分にひっつくように。

 大切なアソコが無防備なくらいに晒されて、私は実感した。
恥ずかしい割れ目が、外気に触れて典子の情けない姿を思い浮かべていた。

 「露出狂の割には、お利口じゃないか。いや、違うな。露出狂ならではの本能って
やつか。公園のベンチで、オマ○コを晒してM字開脚だからな」
「もう……いや。こんな格好……みないで。恥ずかしすぎます……」
典子を辱めようと、わざと河添は実況解説する。
このくらい、想像すれば当然なのに、典子の女が男を悦ばせる言葉で訴えた。

 案の定、河添の表情がニヤ付いた。
そして、続きの行為を命じた。
「典子、オナニーをするんだ。絶頂するまでな」
「あ、あぁぁ……そんな……ここで……?」

 低音でずしりとした声に、胸が貫かれる。
高鳴っていた心臓が、ショックで止まりそうになる。
オナニー?! 典子は全裸なのに、こんな恥ずかしいポーズで自分を慰めるの?!

 「どうした? 公園で素っ裸になるような変態が、なにを恥じらっている。さっさ
とオマ○コを弄って、感じて見せるんだ。オカズなら何を想像しても構わないぜ。お
っ、そうだ! その木の陰から典子の旦那が覗いているってのは、どうだ? いいズ
リネタになるぜきっと。ははははっ……」

 「ひどい……夫のことは言わないでって、お願いしたのに……」
それでも私の視線は、男に導かれるように真正面に立つ太い幹へと向けられていた。
バックの闇からぼーっと浮き上がる巨木に、隠れるようにして立っている愛する人。
絶対に、いるわけないのに……
あの人は、そんなことをする人ではないのに……

 でも、それでも……
今夜だけは、典子の身勝手を許して。見守っていて欲しいの。
堕ちていく典子を、目を逸らしてでもいいから見ていて。ね、お願い!

 「あぁ……んん……はあぁぁ……」
膝小僧を押さえていた左手がするすると伸びて、おっぱいを覆った。
同じように右手が、典子の大切な処を隠すように覆った。

 そして、10本の指を動かしいていく。
やわやわと乳房を揉んで、早く潤そうと指を割れ目に沈めた。
目の前に立つ男を消滅させて、哀しい瞳で典子を見つめる愛する人を想いながら。
アナタとの夢を……そのためなら……