『闇色のセレナーデ』
    
                           とっきーさっきー:作

第12話 女子トイレで色づく、少女の恥肉


 監視役の男を1階のフロアーに残して、千佳と卓造が向かったのはデパートの屋上
である。
その二人を出迎えたのは、開店休業状態の遊具スペースだった。
平日の昼間ということもあり、人気は皆無に等しかった。

 「こっちよ、おじさん」
千佳は堂々と卓造の手を引くと、屋上フロアーの端にあるトイレへと向かった。
まるで母親に連れられるようにして歩く卓造の手には、撮影OFF状態のハンディカ
メラが握られている。

 その千佳の足が不意に止まった。
黒と赤。男女別を示すトイレマークを見上げたまま、黒目を走らせて一応周囲を覗っ
ている。

 そして迷うことなく赤い印がある方のドアを押した。
男である卓造を引き連れて、千佳は女子トイレへと入っていった。
「なにキョロキョロしてんのよ。さ、早く入って!」

 生まれて初めての体験に挙動不審な卓造を、千佳は最奥にある個室へと導いた。
素早くドアを閉めて鍵を掛ける。
「ふう~ぅ」と千佳がほっと息を尽いた。

 一方で卓造は、閉じた便座を見つめて、見るとはなしに黒ビニールが覗く汚物入れ
にまで目を落として、鼻の穴を拡げてありったけの空気を吸い込んでいる。
「おじさんのスケベ」
上目遣いに千佳がジト目で睨んでいる。
卓造は薄い仕切り版に寄り掛かると、気まずそうに頭を掻いてみせた。

 「ふふっ、冗談よ。こんなピチピチの女の子とおトイレで二人っきりだもんね。男
の人なら誰だって普通だと思うよ」
「ごめん、千佳ちゃん」
怒ったのかと思えば、すぐに笑い掛けてくる。

触れ合う人をけっして傷つけたくない。
そんな優しい少女の仕草が滲み出て、卓造は目の前に立つ千佳に天使の面影を重ね合
わせていた。

 「おじさん、カメラを動かしてよ」
その千佳の表情から、すっと笑みが消えた。
怒りが戻ってくることもない。
ただやるせない哀しさだけを漂わせながら、ぶら下げていた校章入りバッグを床に置
いた。

 そして、身に着けたセーラー服を脱ぎ始めたのだった。
(急に、どうして?!)
一瞬訪れた和やかな雰囲気が突然消え去って、卓造の頭に疑問符が薄く浮かんだ。

 しかし、その疑問符が実体化する前に、卓造の右手がビデオカメラを起動させる。
セーラー服の上着を脱ぎ終わり、スカートに手を掛けた千佳を大写しにする。
始まったのだ。兄の和也を満足させる調教が!

 カチッ……スス、ススーッ……ファサッ……
微かに金具の音が鳴り、続けて控えめな衣擦れの音が聞こえて、千佳の下半身から濃
紺のヒダスカートも消えた。
淡い翳りと深く刻まれたスリットが曝け出される瞬間、さっと手のひらの形をした木
の葉が覆う。

 太股も固く閉じ合わせて乙女の恥じらいを意識させると、唯一残されたシャツを器
用に片手で抜き取っていく。
そして、お世辞にも豊かとは言えない小粒な乳房が顔を覗かせて数秒余り。
今度は空いた片腕が真横になって、幼げな双乳を覆い隠していた。

 「おじ様の命令だから……千佳、裸になったけど……やっぱり恥ずかしいよぉ」
初めて目にする千佳の身体は、素直に美しかった。
女性器だけを晒してのセックスでは分からない、瑞々しい肢体に卓造は目を奪われて
いた。

 だから、卓造の呼び名が『おじさん』から『おじ様』に置き換わっていることに気
付かなかった。
キュートで伸びのある声音が、艶っぽくて舌足らずなソレに変わっていることにもで
ある。

 「えっ! そんなぁ……やっぱり見せないとダメなの? 千佳の女の子の処……?」
そんな木偶の坊と化した卓造を相手に、瞳をウルウルとさせた千佳が上目遣いに見上
げた。
何も答えない。

 いや、どうしていいのか思い付かない男を相手に、恥じらいを浮かべた千佳が続き
の言葉を添えた。
「それじゃぁ……見せるね。千佳の……オ・マ・○・コ……」

 1.5メートル四方の密封された空間に、禁忌な単語の余韻が浸透する。
壁に寄り掛かってカメラを構える中年男の前で、超有名私立高校のお嬢様があられも
ない姿を晒そうとしていた。

 (いいのか? 目を逸らせたり、閉じたりしなくて……本当にいいのか?!)
卓造の良心が囁いてくる。続けて……
(彼女が痴態を演じているのは、卓造……お前のためなんかじゃない。撮影された映
像を愉しむ男の……千佳を性奴隷に堕とした和也を満足させるため。そうだろ?)と
も……

 カメラがグラグラと揺れた。
取り落としそうになり、卓造は抱え込んでいた。
その丸いレンズの前で、千佳が便座の上に腰を下ろしている。
楕円形の蓋の真ん中より手前にお尻をひっつけると、小水をもよおすポーズのように
僅かに股を開いていた。

 「ああ、恥ずかしいよぉ……こんなの恥ずかしいけど……でも……」
千佳が卓造を見上げて呟いた。
小悪魔っぽい恥じらいを見せたまま、演技とも本音とも区別が付かない独り言吐き漏
らすと、すぅっと両足を持ち上げていく。

 まるでバレリーナのようにしなやかな動きだった。
きちんと靴を脱いだツマ先が便座の上に乗せられ、ヒザ関節が鋭角になるまで折り曲
げられている。

 (これが千佳ちゃんのアソコ。きれいだ……とってエッチなのに、だけど……)
卓造は脱力したようにしゃがみ込んでいた。
手にしたモノを放り出したい衝動を押さえ込んで、千佳の股間を覗き込んでいた。

 縦長の愛らしいオヘソに、恥丘の半分しか覆い切れていないアンダーヘアー。
その真下で、ぷっくりとした恥肉どうしが押し合うように閉じ合わさったヴィーナス
の割れ目。

 鼻息が届く距離で覗く少女の秘部は、可憐で初々しかった。
和也のモノを受け入れ、卓造のペニスも受け入れたにも関わらずに、処女の面影をし
っかりと残している。

 「な、中も開いて見せるの? はあぁ……ひどいよ、おじ様……」
(まだだ。もう少し! 時間よ、止まれ!)
卓造の願いも虚しく、千佳は独り芝居を続けた。
本気で泣いている?

 目尻に光るモノまで湛えたまま、千佳はヒザ小僧に被せた両手を女の子の部分にス
ライドさせる。
細いとしか表現の見付からない指が左右から伸びてきて、恥肉の合わせ目を掴んだ。
指先をスリットの隙間に沈めると、一気に割り拡げていく。

 「んんっ……見ないで、おじ様……千佳の恥ずかしいお肉を見ちゃイヤぁ……」
頬を滴る涙は、演技なのか?
本心によるものなのか?
視界の上の端でそれを捉えながら、卓造はおぼろげに考えていた。
瞳の中心に、サーモンピンクに輝く花弁を焼き付けたまま。

                
       
 この作品は「羞恥の風」とっきーさっきー様から投稿していただきました。