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『聖なる日の贈り物』
とっきーさっきー:作
第2話 真っ赤な砂時計 その2
12月18日 火曜日 午後8時20分 二宮佐緒梨
擦り傷が目に付くフローリングの上で、真っ赤な砂がサラサラと落ちていく。
でも、お仕事はまだ始まったばかり。
まだ、円柱のガラスの底が赤く染まっているだけ。
「はあ、はあ、はあ……スカートの中って、息苦しいくらいむっとしているんだね。
メガネが曇っちゃいそうだよ。でも……?!
すぅーっ……はぁーっ……すぅーっ……はぁーっ……はあぁー……いい匂いだ。これ
が、サリーちゃんの、女の子の香りなんだ……」
「だめ。そんなに鼻を鳴らさないでください。サリー、恥ずかしいです。……それ
よりも、お客様。み、見えますか? わたしのアソコ。サリーね。お客様のために、
パ、パンティーを穿いていないんですよ」
足元から聞こえてくる、くぐもった声と喉を震わせたような呼吸の音。
鼻に抜けたような上ずった声をあげながら、床の上であぐらを掻いたおじさんが、上
半身だけをロングスカートの中にすっぽりと隠している。
わたしは、部屋の真ん中でお腹に力を入れて立ち続けていた。
まるで土俵に上がったお相撲さんのように、両足を大きく開いて腰を落として、次第
に荒くなっていく呼吸をなだめるように、両手をおへその上にあてがっている。
いつのまにか、顔からお仕事用の笑顔が消えちゃった。
代わりにあるのは、眉間に深い縦じわを刻んでギュッと口を真一文字に結んだ、サリ
ーじゃない佐緒梨の本心。
でも大丈夫。
誰も見ていないから。
お義母さんだって、お客様のおじさんだって……
「ああ、見える! サリーちゃんの割れ目が、ライトの明かりで……よぉーく見えて
いるよ。サリーちゃんのオマ○コが、丸見えだ」
「……うぅっ、ど、どうですか? サリーのアソコ、きれいですか?」
「ああ、きれいだよ。まるで、男を知らない処女のオマ○コのようだ。はあ、はあ…
…ふふっ。でもこうして見ると、ライトの加減かな? サリーちゃんの割れ目のスリ
ットって、かなり深く切れ込んでいるんだね。それに、ほら……大股開きしているか
ら、赤いお肉が中まで覗いちゃってるよ。くふふっ、女子高生なのに、ここだけはも
う大人なんだね」
「い、いやぁん。そんな言い方……サリー、恥ずかしい……」
無数に折りたたまれたギャザーが、いっぱいにまで引き伸ばされて、下腹部が妊婦
さんのように膨らんでいる。
厚手の生地で作られたスカートの表面が、まるで別の生き物のようにもぞもぞと動い
ている。
わたしは天井を見上げた。
零れ落ちそうになる涙を、まぶたの縁に押しとどめようとした。
褒めては貶すおじさんの言葉に、佐緒梨の女の子が泣いて……
こんな言葉くらい慣れないと、お義母さんに折檻されるのに、やっぱり悲しくて……
この部屋へ入って来た時って、わたしを見て持っていたカバンを落としそうになっ
ていたのに。
わたしと二人きりになった時だって、生唾を飲み込んで緊張をごまかそうとしてたの
に。
なのに……なぜ?
なぜ男の人って、こんなにエッチな人に変身できちゃうの?
なぜ女の子を恥ずかしがらせて、興奮しちゃうの?
「はあ、はあ。こんなにそそられるプレイがあったなんて……ほら、じっとして!
動かないで! おじさんがサリーちゃんのオマ○コを、もっともっと観察してあげる
からね。ふふふ、大丈夫。おじさんに任せておきなさい」
「で、でもぉ。うっぅぅっ、気持ち悪……ううん、く、くすぐったいよぉ」
中に潜り込んでいる頭が動くたびに、おへそにあてた手首をお互いに強く握り締め合
わせた。
おじさんの興奮した熱い息が、ショーツを穿かせてもらえない佐緒梨のアソコに吹き
かけられるたびに、血が滲むくらいくちびるを噛み締めていた。
恥ずかしいよ! こんなの嫌! 絶対にイヤ!
パンツを穿いていない大切な処を下から覗かれて、「ふーっ」てされて、くすぐった
いなんて……
本心じゃない可愛らしい声で、おじさんを騙しているなんて……
「さあ、今度は、クリちゃんはどこかな? 女子高生の感じるお豆ちゃんは、もっ
と上かな?」
「あ、あぁっ、恥ずかしい。サリーのクリトリス、見ないでぇ。見ないでよぉ」
でもわたしは、甘い声を真顔でささやいていた。
顔をしかめたまま、おじさんが悦ぶエッチが好きな女の子を、くちびるだけで演じて
いた。
演じながら、天井にあった視線を床に落としてみる。
うごめくスカートから目を逸らすようにして、砂時計を見つめた。
案の定、後悔した。
おじさんにとって、あっという間の5分。
サリーにとって、地獄の5分。
そしていよいよ後半戦。
わたしはマニュアルどおりにささやいた。
「おじ様に覗かれっぱなしで、サリーのアソコ、変な気分になってきちゃった。だ
からお願い。舐め舐めしてぇ♪♪ サリーの恥ずかしい割れ目に舌を差し込んで、気
持ちよくしてぇ♪♪」
でも、ほんのちょっと本気だったりして。
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