『陽だまりの座席から愛を込めて』
    
                          とっきーさっきー:作
最終話


 「わぁ、わたし……あなたのことが好きになってたの。そうしたら……胸がつぶれ
そうなほど苦しくて、じっとなんかしていられなくなってたの。ごめんなさい」

 「ううん、謝ったりしたらダメ。さっきも話したでしょ。アナタに愛してもらって、
とってもうれしいんだから」

 「あはぁっ、そんないきなり……んふぅっ」

 そして胸に刺激が走った。
ほっそりとしていて白い肌をした両腕が、右と左から回し込まれて、二つ並んだ膨ら
みが揺らされた。
『白魚のように』という表現は、この人のためにあるの?
そんな指が……指の先が、放置されたままの乳房を包んでは、ヤワヤワと揉みあげて
くれる。

 「はあぁっ、おっぱい……気持ちいい……」

 わたしは想いのままを口にした。
女の子の感度を知り尽くした指使いに、胸の中までキュンキュンさせられる。
こそばゆいような……それなのに、頭の芯までマヒさせられるような……

 「あっ、乳首が勃ってきてるわよ。感じてくれてるんだね」

 「ひぃ、ひうぅぅっっ! や、やだぁ、ソコ……摘ままないでぇ、はあっ! 弾い
ちゃダメぇ……」

 うすっぺらいお乳のお肉が、今頃になって弾んでいた。
人差し指と親指に、胸の先っぽを挟まれて、それからきつめに弄られて、だけどとっ
ても快感なの。
いい気持ちな電気が、ビリビリとしているの。

 「こらぁ、そんなに身体をクネクネさせないの」

 「だってぇ……」

 わたしは甘えていた。
ついでに息を弾ませていた。
その人と目を合わせて、はにかむように逸らせてみせて、胸だけは突き出していた。
陸上選手のフィニィッシュスタイルのように、グッと反らして、おっぱいも乳首も好
きなだけ愛撫して欲しくて。

 ちゅく、ちゅく……じゅく、じゅにゅ……

 「や、やだぁ、アソコのお肉まで……はあぁ、エッチな気分になってぇ……んんっ
……」

 そうしたら、嫉妬したのかな。
下半身のお肉も疼いている。
金縛りしてたみたいに凍りついていた両腕が、ウズウズとして、コンドームを被った
まま膣口に埋まっているリコーダーが、円を描くようにダンスを始めて。
痛いと信じていた膣肌の神経が、慰めるように甘い刺激に置き換わっていく。

 「だけど、本当にいいの? アナタにとっての初体験なんだよ」

 「んふ、ふうっ……いいの……全然後悔なんてしないから……わたし、大好きなあ
なたに捧げようと思ってそれで……」

 言葉は途切れても、わたしの意思は固いの。
それを示そうと、丸い円柱のボディをギュっと握り締めてみせる。
両手をクイクイと持ち上げては、処女膜すれすれまで膣の壁を浸食させて、吊られる
ように強張るほっぺたをぎこちなく緩めてみせる。

 「一生に一度のバージンを……ありがとう……」

 そして、ガラスのように透き通っていた耳元の声が、潤んで聞こえた。
覆ってくれていた身体の密着度が増して、わたしのハートと、その人のハートが、重
なり合って鼓動をひとつにさせる。

 「アナタの想いを手伝わせて……お願い……」

 おっぱいを気持ち良くしてくれた両腕が、スルスルと下降していた。
前屈みなわたしに添うように、その人も腰を折り曲げて、心地よく揃えられた手のひ
らが太腿の肌を撫でてくれる。

 「ふはぁ、んふぅっ……う、うぅ、グスン……グスン……」

 「もしかして、泣いてるの?」

 訊かれて、わたしはコクンと頷いた。

 「だけどもう……ヤメテあげないよ」

 「うん、ヤメないで」

 わたしは堂々とした涙声で返事をした。
また頷いていた。

 「腕に力が入りすぎよ。もっとリラックスして」

 太腿の肉と戯れていた手の指が、ふわっと飛んで、わたしの手に乗せられる。
アドバイスされて緊張を緩めた手の甲をしっかりと包んで、指と指が絡み合っていく。
右と左で10本の指達に、合わせてもう10本の指達が集合して、心のないリコーダ
ーに熱い意識を込めた。

 「愛してます……あなたのことを……」

 「ええ、愛してるわ。アナタの全てを……」

 目を凝らしたって、何も覗けない暗闇の世界。
牧師様も教会だって存在しない、静まり返った教室で、わたしはその人に愛の誓いを
宣言する。
その人も、わたしの誓いをなぞって、無限の愛までオマケしてくれて。

 ズズズ……ズニュ、ズニュ……ズリュ、ズリュ……

 「ング……グゥッ……中までぇ、これでぇ……んん、くふぅぅっっ!」

 漏らして吐いた息遣いをひとつにして、わたしは腕を引いた。
ヒザも曲げて、腰も落として、不安定な身体をその人が支えてくれて……

 痛くないと言えば、きっと嘘だと思う。
だけどそれは幸せな痛みだと思う。

 想いを託して、想いを托されていて。
陽だまりの座席から、こっそりと憧れていた陽陰の座席へと。
身も心も結び合わせた今、わたしは本物の愛を実感していた。


【陽だまりの座席から愛を込めて 完】

                    
       
   この作品は、「羞恥の風」とっきーさっきー様から投稿していただきました。