「ありさ ミラホスタの夢(改)」
 
                    Shyrock:作

第4話 三か月ぶりの接吻

 「シャイさん、女の子が脱ぐシーンってワクワクするって言ってたでしょう?☆★☆だから、ありさ、沢山着替えてシャイさんに喜んでもらおうと思っていっぱい持ってきたの~☆★☆」

 「おいおい、そんな話をここでしなくたって。ベルさんに聞こえちゃうじゃん」
聞こえていないふりをしているベルガールだが、懸命に笑いを堪えているのが分かる。

 「すみませんね。変な話を聞かせてしまって」
「とんでもございません。微笑ましい光景を見せていただいて、こちらまでが楽しくなってきます」
「さすが一流ホテルのホテリエさん、対応も一流だね」
「いいえ、そんなことは」

 ホテルミラホスタの建物は横に長く、エントランスやエレベーターから客室までかなり距離がある。
ホテルの随所にディズニーキャラクターの装飾が施され、ずっと眺めていたくなる。

 ありさたちが客室へと向かう廊下の壁にも、ミッキーやドナルドたちが描かれていて、まるで彼らを出迎えてくれているような気分にさせてくれる。
中世のヨーロッパを思わせる瀟洒なたたずまいが、キャラクターたちと見事なまでに融合していた。

 「シャイさん、見て見てえ~☆★☆ミニーちゃんすっごくかわいい~☆★☆」
壁に描かれたディズニーの絵画が相当気に入ったようで、ありさは立ち止まって見入っていた。
瞳はキラキラと輝きまるで少女の頃に戻ったかのようであった。

 シャイはそんなありさの横顔を微笑ましく見つめていた。
キャラクターを見つめていたありさは、ふと我に帰りシャイに微笑みを投げかけた。

 「行こう☆★☆」
「すごく気に入ったようだね」
「うん、ありさねぇ小さい時からミニーちゃん大好きなの☆★☆」
「帰りにグッズ買おうか」
「うん!嬉しいよ~☆★☆」

 エレベーターに乗るとベルガールがボタンを押した。
ありさたちの部屋は4階だ。
どんな部屋なのかありさは期待でワクワクしているようだ。
エレベーターが開くとエレベーターホールにはまたもやディズニーキャラクターが迎えてくれる。
ベルガールに導かれ再び長い廊下を歩く二人。

 「こちらの部屋でございます」
どんな部屋だろう。ありさが期待に胸を膨らませる。
ベルガールがカードキーを差し込み扉を開ける。
「わっ、かわいいカードキー~☆★☆」

 カードキーにはミッキーが描かれている。
ネーム入りだし、使用後は持ち帰りできるから記念品としても最適だ。
玄関ドアが開いた瞬間、感動したありさは思わず歓喜の声をあげた。
「きゃぁ~~~~~!すっごく素敵な部屋~~~!☆★☆シャイさん、ありがとう~~~~~!☆★☆」

 ありさは満面の笑みを浮かべ小躍りして喜んでいる。
「本当に素敵な部屋だね。想像以上だよ」
「お気に召してくださったようで私どもも大変嬉しいです。バルコニーからポルト・パラディーゾの港の全景をご覧いただくことができます」
「わぁ~、本当だ!港が見えるよ~!シャイさん~!☆★☆」

 ありさは窓際に駆け寄った。
「わっ、本当だ、港が一望できるね。船もいっぱいだね」
ベルガールがにこりと微笑んで部屋の案内を始めた。

 「ベッドはレギュラーベッド二台のほかに、自由に引き出してお使いいただける『トランドルベッド』も付いてございます。でもお二人なので必要ございませんね」
「へえ~、ツインベッドのほかに、もう一つベッドがあるんだ」
「隠しベッドってこと?☆★☆」

 「隠している訳ではないんですが、言い換えればそう言うことになりますね」
ベルガールは、部屋内の案内をした後、ホテルからシーへ通じるミラホスタゲートの説明を行い退室した。

 その直後先手を打ったのはありさだった。
ベルガールが退室するやいなや、ありさはシャイに飛びついた。
いきなり飛びつかれてバランスを失ったシャイはありさと共にベッドに倒れ込む。

 ありさがシャイを押し倒した形になった。
しかし形勢はここから逆転する。
下になったシャイは半回転してありさの上になった。

 「やっと会えたね」
「会いたくて会いたくて、ありさ、すごく辛かったぁ……★☆★」
「ごめんね、ありさちゃん」
遠距離恋愛は切ないもの。

 特に女性は会いたい気持ちで胸がいっぱいになってしまう。
電話やメールでは明るくふるまっていてもそれは表面だけ。
電話を切った後、泣き崩れたこともあったありさ。
五五〇キロの隔たりを恨めしく思うありさ。

 やっと会えた時はその分思い切り甘えよう。
そう心に誓ったありさは、シャイの胸で顔をうずめ声を詰まらせてしまった。
「ありさちゃん……好きだよ……」
シャイはありさに唇を寄せる。
久しぶりのキス。甘く切ない味がする。
 
 「シャイさん……大好き☆★☆」
お互いに一言だけ交わすとまたキスする。
どちらかともなく舌が口の中に滑り込む。

 「ん……はぁ……☆★☆」

 ベッドでディープキスすると力が抜けてしまって、まるで身体が浮いたようになる。
夢中で唇を求めあう二人。
舌と舌が激しく絡み合う。
感情が高ぶりキスがどんどんと濃厚になっていく。


                

   この作品は「愛と官能の美学」Shyrock様から投稿していただきました