「帯を解かれて犯されて」 Shyrock:作
    
第2話

「じゃあ、練習に掛かりますね」
「はい、お願いします」
「衣葡さんは早く資格が欲しいと仰ってますが、洋服に比べて着物は着用
に時間と手間がかかります。ただ一服のお茶をたてるのに流儀や作法があ
るのと同様 に、袋帯・名古屋帯を結ぶのにもそれなりの手順を覚えなけれ
ばなりません。では、もう一度、練習してみましょう。帯を解いてくださ
い」
「はい」

 衣葡は先程の精巧な人形のことが記憶の片隅をよぎったが、まさか着付
けの師範が妙なことはしないだろう、と高をくくり自らの帯に手を掛けた。
 衣葡は艶やかな赤地に扇と花柄の正絹京友禅の衣を解き始めた。
 着物特有の衣擦れの艶めかしい音がひびく。       
 帯揚(おびあげ)、帯枕(おびまくら)、帯締(おびじめ)、腰紐(こ
しひも)等が畳に重なり合って落ちていく。
 その光景を須見は眼鏡越しに見つめている。
 衣葡に緊張が走る。

「帯は胸高に締めない。分かっていますね」
「はい、先生」
「着丈を短くしない」
「はい」
「衿を詰め過ぎない」
「は、はい…」
「それと…」
「はい?」
「ショーツは穿かない」
「ああっ、すみません。今日は会社の帰りだったものでついそのまま…。
すみません。次からはちゃんとします」

「だめです。先程も言ったように作法・手順は守らなければなりません。
すぐに脱ぎなさい」
「でも…」

 衣葡はためらった。
 他の生徒がいるときなら、おそらくそそくさと脱いでいただろう。
 しかし、今は師範と自分二人だけである。
 師範と言っても一人の男である。
 その目前でショーツを脱ぐことをためらうのは当然のことであった。

「何をためらっているのですか。早く脱ぎなさい」

 言葉こそ丁寧なのだが、拒むことのできない威圧感のようなものが須見
にはあった。
 無言のうちに「私に逆らうと免状はどうなるかな?」と圧力をかけてき
ているようにも思えた。
 衣葡としては免状が喉から手が出るほど欲しい。
 だから須見の機嫌を損ねたくはなかった。

 衣葡は仕方なく須見に背を向けて身体を屈めた。
 解けた着物の隙間から真っ白な下着がちらりと見え隠れしている。
 右足を上げてゆっくりとショーツを下ろす衣葡。
 左足を上げようとしたその時、突然須見が後方から襲いかかって来た。

「キャ~~~!先生っ、何をするんですか~!」
「衣葡さん、ちょっとだけいいじゃないですか。君がここに来た時から
私は君のことが好きだったんだ。そう邪険にしなくても」

 須見の左手は衣葡の着物をつかみ、着物の裾から右手をこじ入れようと
していた。
 だが衣葡が激しく抵抗するため、容易に手を差し込めない。

「こんな可愛い娘さんのショーツを脱ぐ場面を見せつけられて、興奮する
なと言う方が無理ですよ。大人しくしなさい!」
「いやっ!やめてください!お願いですから~!」