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                                   沼 隆:作

おことわり

   この作品はすべて空想で書かれています。

   実在の地名、団体名、個人名とはいっさい関係ありません。

   また、この作品の著作権は沼隆が所有しています。無断転用もお断りします。 

登場人物 

   末次頼子 美容師 29 

   小沼 圭 大学生 21 

プロローグ 

 萬田俊治は、段ボール箱を抱えて、狭い階段を上っていく。

注文しておいた商品が、問屋から届いたのだ。

ランジェリーが詰まった箱である。

軽いけれど、かさばる。

さっさと片づけて、遊びに行きたい。

3階の倉庫に運び上げる。

段ボールを床に下ろして、一息つく。

薄暗い倉庫でも、窓際は明るい。

初夏の青空が見える。

窓際に立って、青空を眺め、通りを見下ろした。

向かいのモエ美容室、きょうは定休日だ。

(おっ)

2階の窓がひとつ、開けはなってある。

部屋の中が、丸見えだ。

女は・・・頼子。

男のほうは・・・圭だ。

素っ裸のふたり。

仰向けに大股開きの頼子。

圭の尻が、ぷりぷりうごめく。

(あいつら、こういう仲だったのか)

(朝っぱらから・・・)

午前10時前である。

月曜日は、モエ美容室の定休日。

モエ先生も、娘の章子も、さっき出かけた。

(なるほどね・・・)

俊治は、ふたりの行為を見つめる。

  

 初夏の心地よい風が、吹き込んでくる。

からだが火照っているから、気持ちがいい。

圭は、ずっと腰を動かし続けている。

頼子は、圭の動きにあわせて、腰を使っている。

「あぅ、あぅ、あぅ」

突かれるたびに、声が出てしまう。

ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ

濡れた性器が、こすれる音。

頼子の部屋の窓は、商店街に面している。

ざわめきが、部屋の中に届く。

  

 圭が、絶頂に向かって、腰の動きを早めていく。

(出すのね、ケイ、いいよ、出して、いいよ)

(きもち、いいっ! ああっ! ケイ、凄く、いいよ!)

頼子は、一瞬、頭の中が真っ白になった。

「あはああああっ!」

からだを振り絞るようにして、頼子は悲鳴を上げていた。

腰が、わなわなと震える。

絶頂に達して、無意識に腰を振り立てているのだ。

腰のあたりが、圭のペニスが埋め込まれているその部分が、激しくうずく。

(どうかなってしまいそう! ケイ、へんよ、へんよ、へんよ!)

またひとしきり、快感が燃え上がる。

頼子は上体をのけぞらせ、無意識に、腰を突き出していた。

ふたりの恥骨が、何度も打ち付けられる。

圭もついにその瞬間を迎えた。

ペニスを、精液が吹き出していく。

びくん、びくん、びくん

ペニスの律動を、頼子は膣で感じ取る。

「ああ、でてる! でてる! でてる!」

圭は、腰を激しく突き出しながら、ほとばしる快感に、うっ、とうめいた。

「ああっ、だして、だして、いっぱい、だして!」

圭の、腰の動きが止まっても、頼子のからだは、震え続ける。

乳房が、ぶるぶる揺れる。

  

 頼子は、目を閉じている。

絶頂の高まりがゆっくりと退いていく。

圭の体の重さが、キモチ、いい。

圭をくわえ込んだ肉穴が、肉棒を確かめるように、時折、ひくつく。

やがて、圭の肉棒が出て行く。

名残を惜しむように、肉穴をちょっと締め付けてやる。

精液が、肉穴から流れ出す。

頼子は、上体を起こして、ティッシュをとった。

淫裂にあてがう。

精液が、流れ出してくる。

後始末は、あとにしたかった。

腰が、ウツウツしている。

圭のそばに横になり、仰向けになった圭の横顔を見る。

圭のほほに、口付けをする。

圭は、目を閉じて、じっとしている。

息が、まだ荒い。

下半身に目をやった。

肉棒がべったりと下腹部に横たわっている。

精液と、頼子の膣液でぐっしょり濡れた圭の分身。

 俊治の携帯が鳴る。

雪絵だ。

俊治は、舌打ちする。

「あんた、なにしてるの! 段ボール、2つ残ってるよ!」

「わかってるよ!」

「早く運んでくれなきゃ、店の中、片づかないんだから!」

「すぐ、行くよ!」

俊治は、もう一度向かいの部屋を見下ろした。

圭のだらりとしたムスコ、頼子の黒々とした陰毛が見える。

「くそっ」

しぶしぶ、階段を下りていく。

狭い店の中に、段オールが2つもあると、足の踏み場がない。

小さな店なのだ。

「なに、してたのよ!」

雪絵がいらだっている。

ご機嫌取りに、目撃したばかりのことをうっかりしゃべりそうになる。

あわてて口をつぐむ。

雪絵の口から、モエに伝わったら、楽しみを奪われてしまう。

ヒミツにしておかなくては。

俊治は、2つめの段ボールを抱えて、階段を上っていく。  

  圭は、頼子を抱き寄せた。

唇を吸う。

生臭い匂いが、下半身からたち上がる。

頼子は、圭の下腹部をなでる。

それから、指を茂みに這わせていき、だらりとしたペニスを手のひらにのせる。

ぬるぬるしている。

頼子は、親指の腹で、亀頭をなでる。

うっ、と、圭がうめく。

握る。

萎んでいるので、親指の先が、人差し指の先に届く。

亀頭の裏側のくぼみにたまっている精液が、頼子の人差し指にべっとりと付着する。

親指の腹で、鈴口にたまっている精液を亀頭に広げていく。

圭が、からだをひくりとさせる。

頼子は、圭の胸に頭をのせた。

亀頭が、ふくらみをまして、赤黒さを増していく。

頼子は、圭の乳首を吸う。

圭が、唇を求めてくる。

舌をからませる。

ふたりのねっとりした唾液が、混じり合う。

頼子は、圭の舌を味わう。

それから、圭の胸に唇を這わせ、みぞおちからへそへ、舌を這わせていく。

その間も、肉棒を握った手を動かし続ける。

手のひら全体で肉棒を握り込むようにして、グイッ、グイッとしごきたてていく。

頭を、圭の腹にのせ、自分の手で膨れあがっていく肉棒を見つめている。

肉棒は、血管が青筋を立て、節くれ立っている。

ペニスを握りこんだ手の、親指の先は、人差し指の先まで届かない。

しっかり、ふくれあがっている。

痛みに変わるぎりぎりのところで握りしめ、頼子は手首を激しく動かす。

どくどくと流れる血潮に、熱を帯びた肉棒が、湿り気を失う。

頼子は上体を起こすと顔を圭の下半身に埋め、勃起した肉棒を口に銜え込んだ。

唇と舌を使って、音を立ててしゃぶる。

ジュボッ、ジュボッ

頼子は、乾ききってはりついている精液を舐めとってしまう。

唾液でベトベトになっている肉棒から唇を離すと、柔らかな指先と手のひら全体でしごく。

「きもち、いい?」

「ああ」

頼子の指が、力を抜いた指が、絶妙に動く。

指の動きが速くなり、圭はイキそうになる。

「まだだめ」

頼子は、ピッチを落とす。

ヌルヌルの肉棒は、頼子の手の中でびくん、びくんと脈打っている。

圭は頼子の手を払いのけて、ヌルヌルをティッシュで拭う。

頼子の唇を激しく吸う。

 チュッ,チュッ

ヌルヌルとした圭の舌が、まるで軟体動物のように絡みつく。

頼子は、圭の舌を舐めまわす。

口の周りは、ふたりの唾液でベトベトだ。

圭の指が、頼子の股間にのびてくる。

ティッシュが挟まったままだ。

圭は、頼子のまたを開きながら、それを取り出した。

蜜壷から、粘っこい液体がドロリと流れ出す。

圭の精液。

栗の花のにおい。

ティッシュで拭い去る。

乳房を吸いながらクリトリスを人差し指で掻きあげると、快感が頼子の全身を駆け抜けて、

アハッ、とも、グフッ、とも聞こえるような呻き声をあげて、頼子は身体を捩る。

堪えきれなくなって、

「して」

と、頼子が小さな悲鳴をあげる。

「して」

「・・・・・・・・・」

「ね、お願い・・・・・・入れて」

「・・・・・・・・・」

「ここに・・・・・・入れて」

  

第1章

  

 頼子は、モエ美容室の美容師だ。

そして、モエ先生こと、沢渡モエは、小沼圭の叔母である。

モエは、娘の章子と頼子と、女3人で、美容室の2階に住んでいる。

駅前商店街は、ほとんどの店が、こういう造りだ。

早良区にあるP大学の一部が、駅の反対側に越してきて、町がにぎやかになった。

古くからある店と、若者向けの店が混在している。

頼子は、モエの夫、浩一の遠縁になる。

長崎の離島から出てきて、美容師になり、いろいろあって、今ここに居る。

浩一が、出て行ったあとも、家族同然である。

 モエ先生は、美容師を数人使っている。

宇田川沙也加、諏訪達平、越智真奈美、渡嘉敷よし乃・・・

みんなは、頼子をチーフと呼んでいる。

頼子がモエ先生の家族同然だからではない。

頼子の腕がよく、惜しみなく技術指導をしてくれるからだ。

  小沼圭は、宮崎の高校から、P大学に進学した。

3月までは、早良区のアパートにいた。

大学が移転したので、自分も引っ越してきたのだ。

圭のアパートから、大学に行く道筋に、駅前商店街があり、モエ美容室がある。

学校の行き帰りに、寄っていく。

晩ご飯を食べていくこともある。

週末には、洗濯物を抱えてやってくる。

圭のアパートに、洗濯機はない。

圭宛ての宅配便の配達先も、この美容室にしてある。

 圭は、感じのいい若者だった。

圭が夕食に加わると、女3人のときより、愉しい。

筋肉質なのは、水泳を続けているからだ。

体育会系のサークルではなく、同好会なのだ、と説明した。

ハードな練習は、高校で卒業したんだよ、と笑った。

  

 圭は、初対面の時から、頼子に惹かれていた。

きれいな女だ。

小振りの頭に、ショートカットが似合う。

メイクアップも、うまい。

身近な場所で、「いい女」に出会ったのだ。

胸のふくらみや、腰のくびれ、尻の曲線も好ましいが、

なにより、頼子の表情が、なまめかしかった。

わずかに、上目遣いに見せるまなざし、

肉感的な、ちょっと厚めの唇、

その唇の右下にある、小さなほくろ、

すっと伸びたうなじ。

細く、しなやかな指。

食事のあとかたづけをしている頼子の後ろ姿に、圭は勃起したのだった。

川並絵里を抱きながら、頼子とのセックスを想像したりもした。

  

 圭は、頼子を映画に誘った。

映画のあと、ラブホテルで、ひとつになった。

月曜日、美容室が休みの日。

圭は、宅配便の受け取りを口実に、モエを訪ねる。

章子は、とっくに出かけている。

男友だちに会いに行くのだ。

10時前に、モエが、出かける。

友人といっしょに、カルチャースクールに通っている。

ショッピングを楽しみ、夕方まで遊んでくる。

圭は、半日、頼子のベッドで過ごせるのだ。

月曜日、圭は学校に行かなくなった。

叔母が外出しない日は、圭のアパートで過ごした。

そういう関係が始まって、2か月近くになる。

   

圭のアパートは、公団住宅を抜けた先、田園が広がるすぐ手前にある。

古い、小さな木造住宅が並んでいる。

お寺や墓地が、すぐそばだ。

街灯が、ほとんどないので、夜は、闇になる。

静かな環境ではある。

築30年の、2階建て木造モルタルという、おんぼろアパートだ。

ここまで来ると、こういう建物が残っている。

都会に残った田園といったところだ。

6畳一間に小さな台所がついている。

トイレは共同である。

銭湯までは、徒歩7,8分か。

家賃が安いのが取り柄なのだ。

月1万5千円。

 

アパートは、ぜんぶで8つの居室があり、色々な人間が棲んでいる。

トラックの運転手夫婦、看護婦、ホステス、スーパーの店員夫婦、郵便局員・・・

圭の部屋は、2階の東南の隅にある。

冬は、日当たり良好、

夏は・・・昼間、ひとがいないときには、通路側のドアを開け放っている。

圭の部屋は、風通しが抜群なのだ。

 

北隣がトラック運転手夫婦、先週、熊本から引っ越してきた。

西隣がホステス、ゆかりさん。年齢不詳。

建物が古いだけでなく、安普請で、壁が薄い。

北側の運転手、谷岡の高らかな放屁の音、たしなめる妻の声、夜のイトナミ、

西隣のホステス、ゆかりさんが昼過ぎに起きだして食事を作る音

1階の看護婦さんが夜勤明けに帰宅して、畳の上にドサリと倒れ込む音

遠慮会釈なく聞こえてくる。

そういう場所である。

 

谷岡夫婦は、越してきたとき、挨拶に来た。

ダンナの鉄夫は、長距離トラックを運転するので、留守が多い。

奥さんは、亜矢美、19歳。

ダンナと、20違い。

キャミソールにホットパンツ、ハデな色遣いの見せブラを着けている。

自分の表情、胸と尻のふくらみが、どれだけ男を惹きつけるか、よく知っている。

深い胸の谷間、くりんと盛り上がって、ホットパンツがはじけそうな尻。

むっちりした太もも。

長い髪は、腰までとどく。

圭は、しっかり観察している。

亜矢美は、公団住宅わきの《さかのフルーツショップ》で働きだした。

 

月曜日、亜矢美は、仕事に出かけようと、階段を下りかけた。

女が上ってくる。

見慣れない顔だ。

ボートネックのノースリーブに、ミニスカート、サンダル。

年より若く見せたいのか。

けれど、色気のある女だ。

亜矢美に会釈した。

女は亜矢美の部屋の隣、圭の部屋をノックした。

ドアがすぐに開き、圭が顔を出して、女が中に消えた。

(カノジョかな・・・年上のカノジョ、か・・・)

 

亜矢美が仕事から帰ってくる。

今夜、鉄夫は、東京だ。

夕食は、食べてきた。

鉄夫がいない夜は、つまらない。

でも、友だちは、まだいない。

裸電球が1つともった薄暗い廊下。

自分の部屋の前に立って、鍵を探す。

うめき声がする。

お隣の学生、小沼の部屋からだ。

明かりは、消えている。

暗い部屋から、廊下にまで漏れてくるうめき声。

「うううん・・・うううんん・・・」

(あっ・・・)

(女の、あのときの、いやらしい声・・・)

(エッチしてるんだ・・・)

鍵を開け、明かりをつけて、部屋にはいる。

「ウ、ウ、ウウゥ・・・ウウウゥーン・・・」

カタカタカタ・・・・・・という、震動の音も伝わってくる。

壁が薄いから、よく聞こえる。

「ああん・・・うぐっ・・・うぐっ・・・うぐっ・・・」

(いやらしいっ!)

水道の蛇口をひねり、水を飲む。

「ア、ア、ア、突いて、突いて、突いてェ・・・・・・」

女が、遠慮して押さえていた声も、我慢できなくなって叫び声になる。

「いい、いい、いいっ!」

(なによ! そんなに、いいのっ?)

亜矢美は、上着を脱いで、下着姿になる。

「ア、ア、ア、イク、イク、イクぅ・・・・・・」

そのとき、ガタガタガタ、という震動がして、ウォッ、という男の呻き声がして、

ふたりの大きなため息が聞こえる。

(終わった・・・・・・)

亜矢美のパンティが、濡れている。

  

亜矢美は、下着姿のまま、畳に座り込む。

板壁に寄りかかる。

隣のおふたりさんのむつみごえが聞こえる。

はっきりとは、聞こえないけれど、

ときおり、女が、愉しそうに、くすくす笑う。

亜矢美は、両膝を開く。

パンティの上から、くぼみをさする。

じっとり、濡れている。

パンティの中に指を入れる。

割れ目に指を滑り込ませる。

そこは、もう水浸しだ。

くちゅっ

指先が、濡れた襞と擦れる。

(やだっ! こんなに、感じちゃってる!)

亜矢美はゆっくりと指を動かして、肉壷の入り口から指先を少しだけ挿入する。

人差指の第一関節までさしいれる。

そこに快感が走って、おもわずちからが入る。

肉穴が、ぎゅっとすぼまって、自分の指を締めつける。

ハァ・・・・・・

と、ため息が出てしまう。

右手で割れ目をいじくりながら、左手でブラジャーの上から乳房を揉む。

鉄夫はいない。

鉄夫の、節くれ立った指のかわりに、自分の指で揉んでやる。

乳房が、うずいている。

子宮が、欲しがっている。

(お〇ンコが・・・ちんちん、ほしいって、言ってる)

(もお! ガマン、できないっ!)

ドレッサーの引出しから避妊具の入った箱を出す。

箱の中身は、コンドーム、それと、バイブレーター。

鉄夫が買ってきたペニスそっくりのやつ。

亜矢美は、それにコンドームをかぶせると、パンティを脱いで膣にゆっくりと挿入した。

仰向けに寝て両方の膝をたて、大陰唇を開きながら、そろそろと差し込む。

プチュ

先端がつかえるところまで入れると、今度はゆっくり手首を廻しながらこね廻す。

肛門に力を入れると、あの周りの筋肉がキュッ、と締まって、バイブを締める。

異物感がたまらなく、いい。

亜矢美の目は虚ろになり、唇がしまりなく緩んで、甘い吐息を吐く。

バイブのスイッチを入れる。

プーン、という小さなモーター音をたてて奇妙な運動を始める。

亜矢美の膣の中で、くねくねと回転運動をする。

バイブの位置を少しずらして、あの場所、亜矢美が絶頂に達するポイントを探す。

突然その場所が見つかって、クイクイ、とバイブで刺激する。

目の前が真っ赤になって、頭の中が空白になる状態が訪れる。

はあっ・・・・・・

大きなため息が出てしまう。

バイブが挟まっている穴から淫水が流れだし、亜矢美は絶頂に達する。

腰をグ、グッ、と突き上げるようにして絶頂を迎え、肩で大きな息をしながら横たわる。

全身から力が抜ける。顔が火照る。

 

「ケイ、じゃあ帰る」

「ああ」

亜矢美は、壁越しに聞いている。

女が、帰って行くようだ。

亜矢美は、股間に埋め込まれたバイブを引き抜いた。

みたされない。

バイブなんかじゃない。

ほしいのは・・・

抱きしめ、愛撫してくれる男。

(ほしいよぉ! したいよぉ!)

亜矢美は、涙が出てきてしまう。

 

鉄夫が帰ってきた夜。

亜矢美は、積極的に求めた。

隣の部屋に、圭がいるのを承知で、はしたない声を上げた。

鉄夫は、驚き、そして、喜んだ。

(そんなに、待ち遠しかったのか)

(それに、こんなに、でかい声を出すなんて)

(ご近所迷惑かもな・・・えへへ)

「チンポ、ほしいか!」

「うん、ほしい」

「そんなに、ほしいか!」

「うん、ほしいよ、アヤ、ほしい」

「なにが、ほしい!」

「ん・・・・・・」

「なにが、ほしい! 言ってみろ!」

「ちん・・・」

「ああん?」

「ちんちん」

「ばかやろう! ちんちんじゃ、ねえよ!」

「う、うん・・・」

「言え!」

「チンポ、ほしい」

鉄夫は、隣の学生に、聞こえよがしに大声で言う。

「どこに、ほしい! おくちか?」

「あう」

「どこだ?」

「ここ・・・」

「ここじゃあ、わからないだろうが!」

「ここ・・・オマ・・・」

「ああん?」

「お〇ンコに」

「なんだとお!」

「お〇ンコに、ほしい」

「へへ・・・お〇ンコに、ほしいか!」

「うん」

「お〇ンコに、チンポが、ほしいか」

「うん」

「ちゃんと、言え!」

「お〇ンコに、チンポが、ほしい」

「ああ、入れてやる、入れてやるぞ」

「うん」

「ふふ」

「いれてよぉ!」

「こうかっ」

「あふん」

「はいってるか」

「うん、はいってる」

「どうだっ」

「あふん、あふん、あふん、あふん・・・はいってる、はいってる、はいってるよ!」

「こうかっ」

「あふぅ・・・あふぅ・・・あふぅ・・・」

「この、すけべ〇ンコがっ! チンポ、しゃぶりやがるっ!」

鉄夫は、興奮していた。

亜矢美の肉襞が、肉竿にしゃぶりつくようにからんでくるのは、初めてだった。

サオを出し入れするたびに、肉穴から淫水があふれ出る。

スケベ汁が、サオをしたたって、タマ袋を濡らしていく。

亜矢美の乳首が勃起している。

(こいつ、こんなに感じやがって!)

鉄夫は、ますます嬉しくなって、突き続ける。 

 

第2章

  
梅雨の大雨が降っている。
鉄夫が、久しぶりの休みなので、亜矢美も仕事を休んだ。
雨の月曜日。
明け方、ひとハメしたのだった。
紙くずが枕元に散らかっている。
鉄夫は、寝息を立てている。
大粒の雨が激しく降り続く。
地面を打つバシャバシャという音が、聞こえる。
(朝ごはん、作ろうかな)
亜矢美は、汗ばんだからだで、じめっとした空気の中に起きあがる。
パンティをはき、ホットパンツをはき、素肌にTシャツを着る。
トイレットペーパーをつかんで、廊下に出た。
このアパートのトイレは、共同なのである。
おしっこがたくさん出た。
おしっこがほとばしる音は、雨の音が消してくれる。
すっかり目が覚めていないぼんやりとした頭で、股間をぬぐう。
窓の下の、大家さんの庭が見えた。
あじさいが、雨に濡れている。
ぼんやり見ている。
パンティを引き上げる。
ホットパンツのファスナーを引き上げながら、戸を開ける。
ホステスのゆかりさんが立っていた。
「おはよう」
すっぴんのゆかりさんが、言う。
「あっ、おはようございます」
「お隣さん、カノジョが来てるよ」
「え?」
「起こされちゃったよ」
「あ、ああ」
「あんた、仕事、お休み?」
「はい」
「じゃあ、あんたとこも、きょうは、お楽しみね」
そう言って、ゆかりさんは、うふ、と笑みを浮かべた。
 
部屋に戻ると、鉄夫が、起きあがり、壁に耳を押しつけている。
亜矢美は、裸になった。
それから、鉄夫に抱きついた。
鉄夫は、亜矢美を振り向こうともしないで声をひそめて、言った。
「お隣さん、カノジョが来てるよ」
亜矢美は、鉄夫のほほに口付けをする。
ちんちんが、だらりと垂れている。
「きこえる?」
「ああ、よくきこえる」
「だめだよ、盗み聞きなんか、したら」
「盗み聞きなんかじゃ、ねえョ。こうしてるだけで、聞こえてくるんだから」
「月曜日は、いつもだよ」
「ん?」
「月曜日は、カノジョが来る日なの」
「へえ・・・おまえ、いつも聞かされてるのか?」
「カノジョが来てる日はね」
「そか」
「あたしたちのも、聞こえてるよ」
「だな」
「ふふ」
「おたがいさま、だな」
「したあと、ちょっとはずかしいけどね」
「ん?」
「だって、聞かれたと思ったら、ネ」
「なるほど」
(亜矢美が、最近激しくなったのは、お隣のおかげかも)
鉄夫は、そう思った。
 
圭は、頼子の中に2回射精した。
ふたりの汗を吸って、布団が湿っている。
湿った布団の上で、うとうとした。
雨脚が弱まって、外が少し明るくなった。
窓を開けると、ひんやりした風が吹き込んだ。
頼子が小便から戻ってくる。
空腹を、カップ麺で満たす。
北側のトラック運転手夫婦の部屋から、テレビの音が聞こえる。
タモリが笑っている。
 
頼子が来たのは10時前。
すぐに裸になって、布団の上で過ごしたのだ。
降りしきる雨の音にかき消されると安心したのか、
頼子は圭の腕の中で、もだえ、うごめき、ヨガリ続けた。
カップ麺の容器をかたづける頼子を眺める。
美容室で、仕事をしている頼子の姿が好きだった。
お客たちは、「頼子先生」と呼んでいる。
後輩たちは、「チーフ」と。
7つ年上の、美容師が、この、オレの部屋では、オレの牝犬なのだ。
頼子が、廊下に出ようとする。
「どこに行くんだ?」
「おトイレ」
「またかよ」
「だって、したいんだもん」
「うんこか?」
「おしっこだよ」
「じゃあ、ブラジャーも、パンティも、いらないだろ」
「え?」
「脱げよ」
「誰かに、見られるよ」
「裸になれって、言ってない! 下着を脱げって、言ってるんだ!」
「ケイぃ」
「怒らせたいのか」
頼子は、パンティを脱いだ。
こんな恥ずかしいこと、したくないと思う。
下着を着けていないと、素っ裸よりも恥ずかしいくらいだ。
けれど、恥ずかしい行為を圭に無理強いされることが、
無理強いされて、恥ずかしい行為をすることが、
頼子の心の奥底に、《悦び》を与えてくれるのだった。
「おまえがノーパンだなんて、誰も気がつかないよ」
「これで、いい?」
「だめだ! ブラジャーもとれ!」
「ノーブラって、わかってしまうよ」
「はやく、とれよ!」
ブラジャーをはずして、シャツを羽織る。
乳首の影が、クッキリ透ける。
「ケイ、お願い、恥ずかしいよ」
「早く、行ってこい!」
しぶしぶ部屋を出て行く頼子を、圭は呼び止める。
「脱げ!」
「えっ」
「脱げ!」
「裸で、おトイレ、行けないよ」
「いいから、脱げ」
頼子は、シャツとスカートを脱いで、全裸になった。
「これを着て、行け」
それは、圭の無地の白いTシャツだった。
「心配するな、尻は、隠れる」
圭のTシャツは、頼子の尻を隠すほどの丈がある。
頼子は、圭のTシャツ1枚だけを羽織った姿で、廊下に出た。
急ぎ足でトイレにはいって、用を足す。
廊下に出ると、北側の部屋から出てきた男と行き違う。
男は、にやりとした。
きっと、さっきのやりとりを、壁越しに聞いたのだ。
男の視線が、Tシャツの上から頼子のからだを舐めまわす。
乳房のふくらみ、飛び出した乳首、へそのくぼみ、そして、そのしたにあるもの。
男は、恥丘を見つめ、もう一度にやりとした。
頼子の黒い草むらが、影となって、透けている。
急ぎ足で部屋に戻る。
その頼子の後ろ姿を、男の視線がじっと見つめている。
「ふふ」
という男の含み笑いが、頼子にはっきり聞こえた。
 
部屋に戻ると、圭は、ノートパソコンを開いていた。
壁紙には、下着姿の女の画像が貼られている。
強い視線をこちらに向けている、栗色の髪の女。
ナイスバディ。
ニューヨークのランジェリーショップのサイトだ。
「男のひとに見られたよ」
「そか」
「いやらしい目で」
「ふうん」
「ジーッと見るんだもん」
「ほう」
「気味がわるいョ」
圭は、生返事をしながら、パソコンを終了させる。
  
圭の性器は再び勃起して、頼子を求める。
陰裂に指を差し入れると、そこはもう潤っていて、頼子の発情を示している。
頼子も、圭も、しても、しても、したりない。
だが圭は、陰裂のもう少し後ろにある開口部に挿入するつもりだ。
頼子のその場所に,圭はまだ挿しいれてはいなかった。
圭は性器にコンドームを被せ、ローションを塗りつける。
「なんで?」
2度のナマハメのあとに、コンドームとは。
頼子は怪訝な顔をする。
圭は、にやにやしている。
「なんね」
「気にせんでよか」
「だって」
「使ってみたいだけだよ」
ナマハメをしても安全なように、頼子は体温を測っている。
きょうは、安全日なのだ。
(ナマのほうが、いいのに)
「うつぶせになれよ」
「うん」
「バックで、ハメるけん」
「うん」
頼子はうつぶせになった。
頼子は後背位のつもりである。
こうすると、うんと突かれる感じになる。
こっちのほうが好きだ。
圭が、頼子の両足に分け入る。
頼子は尻を突き出すようにした。
圭が、入れやすいように。
うんと、突いてほしくて。
頼子は、圭の本心を知るよしもない。
圭は、両手を頼子の尻に添える。
両手の親指で、淫裂を左右にグッと広げる。
黒ずんだ大陰唇の内側に、赤く充血した小陰唇がぱっくりと口を開ける。
肉棒を欲しがってよだれを垂らしている。
亀頭をそこにあてがった。
受け入れようと、頼子は尻を突き出す。
けれど、肉棒の先端は、つっ、とそれた。
(ケイ、じらさないでよぉ)
おねだりするように、尻を差し出す。
「アっ、そこ、ちがう」
「じっとして」
「いやぁ、だめっ・・・・・・」
圭は、両手の指先で開口部を開く。亀頭を押し入れる。
「いや、いやぁ・・・・・・、そこは、いやぁっ」
「じっとしてろ」
圭は、押し殺した声で言う。
圭は、激しく興奮していた。
亀頭をあてがう。
「ああ・・・・・・あぁぁっ・・・・・・」
圭の腕が、頼子の尻をしっかり押さえ込んでいた。
逃れようと尻をもがいても、圭の亀頭は、はずれない。
冷たいオイル状のものが注がれる。
それが潤滑剤になって、亀頭が埋め込まれる。
さらにローションが注がれる。
肛門から、淫裂に、ぬるぬるした液体が滴る。
ぐぐぐぐぐぐぐぐっ、と力ずくで押し広げられて、肉棒が進入してくる。
「いやぁ、いやぁ、いやぁ」
押し出そうと、頼子は肛門に力を入れる。
わずかに、押し出せそうな感じがしたとき、
頼子の尻は、圭の腰にグイッと引き寄せられて、
肉棒が、直腸にメリメリと、進入していた。
「んぐっ・・・・・・くふっ・・・・・・」
頼子は、悲鳴とも呻きともとれる動物的な泣き声を出して耐えている。
  
圭は、ペニスの3分の1ほどを挿入した。
頼子のすすり泣きは止まなかった。
「お願い、やめて・・・痛いよ」
「だめだ」
頼子の糞の出口に、圭は分身を埋めていた。
そこは、激しい力で締めつけてくる。
糞を排泄するときのように、ペニスを吐き出そうとしている。
圭は、押し返す。
「ああっ」
頼子が逃げようとするのを、圭は抱きかかえるようにして押さえ込む。
肉棒は、深々とさし込まれていた。
圭は、少しピストン運動をしてみる。
頼子は、獣の呻きのような、おぅ、おぅ、という声をあげ続ける。
それが圭をもっと興奮させる。
ピストンを早める。
あはぁ、とも、うはぁ、とも、あるいは、グフゥゥともきこえる声、
というより音をたてながら、頼子は身体をよじる。
圭は、激しく締めつけられて、痛いほどだ。
「ちからを抜いて」
初めて頼子は肛門括約筋を緩めた。
「ねぇ、抜いてぇ・・・・・・、お願い」
頼子が哀願する。
「まだ、出してないよ」
「いやぁ、お願い、はやく出してぇ・・・・・・」
「まだ、これからだよ」
頼子は、いやぁ、を繰り返す。
圭は、頼子の腰を抱えあげる。
尻を突き出しながら、胸を布団に押しつけたままの頼子に、肉棒を根元まで突き刺す。
ゆっくりとピストン運動を繰り返し、やがて果てた。
頼子の肛門から圭のペニスはズルリと押し出される。
圭の精液を蓄えたコンドームが、直腸の中に取り残される。
その終端が、肛門からダラリと垂れ下がっている。
まるで、腸がはみ出しているみたいだ。
圭は、指先でそれを摘まむと、ズルリとひきだす。
糞が付着している。
血も付いていた。
頼子は、肛門を隠すようにして、部屋の隅に行き、汚れをぬぐった。
頼子には、初めてのアナル性交だった。
 
「やるねぇ」
壁に寄りかかって、隣の部屋の性行為を聞いていた鉄夫が、小声で言った。
鉄夫は、トイレから戻ると全裸になり、亜矢美を抱きかかえていた。
隣の部屋で、セックスが始まると、壁に寄りかかるようにしてあぐらをかいて座り、
向こう向きにした亜矢美を背後から抱きかかえるようにして座らせ、
乳房を揉み、陰部をいじくりながら、隣人の性行為を聞いていた。
それは、鉄夫を、亜矢美を刺激した。
鉄夫の肉棒は、すぐに勃起し、亜矢美の淫裂は、蜜をしたたらせている。
隣の声が高まっていくと、鉄夫は我慢ができなくなって、
亜矢美に挿入した。
いきり立った肉棒が亜矢美を突き上げる。
そのとき、頼子が激しく拒む声が聞こえたのだ。
亜矢美が体を硬くし、鉄夫の動きが止まる。
「やるねぇ」
「なに、してるの?」
「わかるだろ?」
「ヨリコさん、いやがってるよ」
「ああ」
「なんで?」
「黙って、聞いてろ」
鉄夫は、亜矢美とつながったまま、動こうとしなかった。
亜矢美の乳房を握り、クリトリスに指を添えたまま、身動きしないで、耳をそばだてる。
「ケツの穴にハメやがった」
「えっ」
「チンポをケツの穴に入れやがった」
「・・・・・・」
「あきれるぜ」
亜矢美のびっくりした横顔を見つめながら、鉄夫は言った。
「できないことは、ないんだろうけどな」
鉄夫は、廊下で出会った女を、オヌマたらいうガキが、後ろから犯している場面を思い描
いている。
「やめて、抜いて」という女の声は、本物だった。
本当にいやがっていた。
(それを、あのガキ!)
(とうとう、やりやがった!)
廊下で出会ったヨリコを思い浮かべる。
男ものの、あのガキの、Tシャツ1枚で、下着も着けないで便所に行った女。
30くらいか。
きっと、お〇ンコも熟れて、いい味をしているだろう。
鉄夫は、亜矢美を背後から抱きかかえたまま起きあがる。
そのまま、亜矢美を四つんばいにさせると、バックで激しく突き上げた。
ムスコを出し入れする肉穴のすぐそばに、ほんのわずか手前に、もう一つ、すぼまった穴
がある。
鉄夫は、それをじっと見下ろしながら、腰を突き出し続ける。
  

第3章

 

 萬田俊治は、頼子の部屋を見下ろしている。

梅雨に入って、雨が降り続いている。

頼子の部屋の窓は閉じたままだ。

部屋の中の人影しか見えない。

このところ、お楽しみを奪われている。

どうやら、頼子は外出する気配だ。

階段を、急いで降りる。

「あんた、どこに行くんね!」

「パチンコたい」

「もお、しょんなかねぇ」

商店街の駐車場に止めた車のなかで、頼子が現れるのを待つ。

からだを、シートに深く沈めて。

まもなく、頼子が傘を差し、小走りに駐車場に入ってくる。

キャミソールに、ミニのタイトスカート。

かかとの高いサンダル。

ほんの数メートル先に、頼子の車が止めてある。

俊治は、頼子に気づかれないよう、じっとしている。

頼子は、車のドアを開ける。

助手席に、コンビニの包みを置くとき、前屈みになった。

すぐ後ろに俊治が隠れているとは思わない。

かがんだとき、スカートの奥が丸見えになった。

股間を、ピンクのパンティが隠していた。

俊治は、頼子の車を、慎重に追う。

 

頼子の車は、住宅団地を抜け、やがて、町はずれに出た。

頼子は、空き地に車を止めた。

古びた木造2階建ての、安アパートの前だった。

そこに、圭が住んでいるのだ。

頼子が、部屋の中にはいったのを確かめて、

俊治は、足音を立てないように気をつけながら、階段をあがっていった。

住人は仕事に出かけたのか、静まりかえっている。

圭の部屋の前にたたずむ。

頼子と、圭の話し声が聞こえる。

やがて、雨音に混じって、頼子の喘ぎ声が聞こえてきた。

(さっそく、はじめやがった)

頼子の喘ぎ声が、しだいに大きくなっていく。

俊治は、覗きたくてたまらない。

廊下の壁を見回したが、中をのぞけるような場所は見つからない。

俊治は、壁に寄りかかって、じっと聞き続ける。

頼子は、低くうめいたかと思うと、すすり泣きにかわり、

子犬のようにくんくん啼いたかと思うと、

やがて、雌獅子のように激しくうめく。

だれも居ないと思っているのか、辺りをはばからず、

ヨガリ声を上げる。

俊治は、肉棒を堅くしていた。

ズボンの上から握る。

先走りが、トランクスにシミを作っている。

頼子の声が、一段と高くなって

「ああっ、ああっ、ああっ、ああっ」

と悲鳴のように聞こえる。

俊治は、肉棒をしごいた。

頼子が、激しくあえぎ、うおっ、という圭のうめき声がして、

ふたりが達したことがわかった。

(オレも、イキたいねえ)

いきり立つムスコをなでさする。

帰って雪絵を抱くわけにもいかない。

(中州に出て、風俗にでも行くか)

かちゃっ

振り向くと、奥の部屋の扉が開いて、寝間着姿の女が顔を出した。

「あんた、そこで、なにしとるん?」

俊治は、頭をかきながら照れ笑いを浮かべて、

「し、新聞の、勧誘で・・・」

と、とっさにウソをついた。

「へへ」

いぶかしそうに見つめる女に軽く頭を下げると、俊治は、階段を足早に下りた。

「スケベオヤジ」

女は、小声で言うと、便所に向かう。

寝間着の裾をたくし上げて、しゃがむ。

股間から、小便が勢いよく吹き出す。

男の顔に見覚えがある。

部屋に戻ろうと廊下に出ると、頼子が圭の部屋から出てきた。

「あんた、トイレに行くのに、いちいち着替えること、なかよ」

ゆかりは、お節介をした。

「面倒くさかろうもん」

「そうね」

「あたしは、寝間着のまま、うろうろさせてもらうけんネ」

ゆかりは、目の前にいる女が、商店街にある美容室の美容師であることに気がついた。

そして、さっきのスケベオヤジが、美容室の向かいにある下着屋のオヤジであることも。

ゆかりの部屋から、男が出てきた。

「オレ、帰るけん」

「うん、今夜、お店に来てね」

「ああ」

後頭部が薄くなった男が階段を下りていく。

「一番奥の部屋は、どんな人が住んでるの?」

「ああ、パン屋の息子」

「ふうん」

「ほら、信用組合の隣の」

ゆかりが教えてくれた。

「朝、早いからね。ここで顔を合わせること、滅多にないよ」

頼子は、立ち話のあいだに膣から精液が流れ出すのを感じている。

ティッシュがパンティで抑えてあるから、大丈夫と思うけど。

「カノジョが、ときどき来ているけど」

頼子が返事に困っている。

「あ、ごめんね。あんたも、お隣さんの、カノジョやもんネ」

「おたがいさまね」

「そうね、だから、遠慮なしにさせてね」

「ええ」

ティッシュは、圭の精液がべっとりと付いていた。

  

月曜日の朝、モエ美容室の順番待ちのソファに、福南信用組合の鶴岡安治が座っている。

モエ美容室の建物を担保に、融資の相談を受けているのだ。

沢渡モエは、モエ美容室2号店を、大橋駅前に出そうと考えている。

その店を頼子に任せよう。

頼子は、前日、仕事が済んだあと、モエから聞かされた。

驚いたし、嬉しくもあった。

美容師は、宇田沙也加と、諏訪達平を連れて行けばいい。

つまり、頼子が信頼している若いふたりをつけてくれるというのだ。

「ヨリちゃん、がんばろうね」

こうして、月曜日は、新しい店の開業準備に忙しく働くことになったのだ。

 

頼子は、圭に会いたくてたまらない。

仕事の責任を果たすこと、モエ先生の期待に応えること

それが、頼子の生活を自信に満ちたものにしている。

でも、圭との時間を犠牲にすることは、つらかった。

手が空いたときに、メールを送る。

圭からの返事が待ち遠しい。

けれど、返事が返ってくるのは、学校の昼休みか、夜寝る前のようだった。

放課後は、部活というのか、課外活動というのか、水泳部で楽しんでいるみたいだし

週に4日は学習塾で数学を教えているというのだった。

だから、週に1度、月曜日にだけ会えたのだ。

その月曜日が、店の準備でつぶれるということになると

仕事の面で飛躍できるといっても、やはりつらいのだった。

「会いたい」

という、頼子のメールに

「頼子に余裕ができたら、会おうね」

「しばらく、ガマンするから」

という返事が返ってくる。

それは、頼子の胸を切なくするのだった。

「先生、外泊させてください」

モエ先生は、頼子をじっと見つめる。

「ヨリちゃん、カレシがおるんなら、ちゃんと紹介してよ」

「はい」

頼子は、圭のアパートに、初めて泊まった。

 

「会いたかった」

「おれも」

キスをする。

初めは軽く、そしてしだいに濃密に。

息が荒くなる。

ブラウスを脱がせる。

圭は、頼子の唇を吸いながら、右の手で乳房を掴むと、指先に徐々に力を加えながら

ボール遊びでもするようにその弾力を楽しんだ。

それは、圭の手の中でゴムまりのように弾んだ。

スカートを脱がせる。

パンティを脱がせる。

つやつやとした茂み。密集していて、それが股間に続いている。

圭は頼子を布団に横たえた。

圭も着ているものを脱いだ。

たっぷり前戯を施して、十分に興奮し、頼子の性器をズブズブに潤してから、圭たちは交

わった。

 

頼子が上体を起こしてきて、コンドームを剥がし、精液に濡れた男根を舐める。

しょっぱい味らしいのだが、頼子は性交の後始末をこうしてする。

精液をすっかり舐めとってしまった頼子は、自分の始末もする。

蜜が、股間をずぶぬれにしているのだ。

真夜中。

アパートの中は、静まりかえっている。

ゆかりさんが帰宅するのは、まだ先だ。

亜矢美さんは、もう眠っているのか。

ビールを口移しで飲ませあっているうちに欲望が鎌首をもたげる。

頼子の性器に指を挿し入れる。

「グチョグチョだよ、頼子」

「いやぁ、そんなこと云っちゃぁ」

「だって、こんなだよ、触ってみろよ」

「もおぉ」

頼子の指を、パンティの中に導く。

気恥ずかしさからか、ちょっと抵抗を見せるが、圭の導くままに指を挿し入れて、

自分の性器に指を浸す。

「オナニー、してみせろよ」

「いやだよ」

「見せろって」

「恥ずかしいよぉ」

圭の表情が険しくなった。

頼子は、パンティの中の指先を静かに動かしはじめた。

ヘアの部分から、次第に指先がおりていって、溝を辿りはじめる。

パンティのなかで、頼子の指がうごめく。

パンティを脱がす。

頼子はそこを丸見えにさせられて、恥ずかしがった。

だが、次第にオナニーの快感に身を委ねていった。

圭が少し膝を立ててやると、頼子は左手で陰唇を左右に開き、

右手の中指を陰裂の襞にそって、そおっと、いたわるように、

いつくしむように動かしはじめた。

圭は、頼子の足先のほうからその行為を覗き込む。

襞の一つ一つに悦びを与えようとするかのように、

頼子は丁寧に自分の性器を愛撫している。

時々強い快感が走るのか、腰を突き上げて、身体を弓なりに反らす。

足の爪先も反り返る。

このとき、クウゥッ、という、ためいきを漏らす。

指はやがてクリトリスのほうへ這い上がっていく。

クリトリスは小指の第一関節から先の大きさに膨れあがっていて、

包皮がめくれ、充血している。

熟して、ぴんと張った粘膜は、つやつやと赤紫色に輝いている。

頼子の最も敏感な場所のひとつ。

ほんのひと擦りしてやるだけで、からだをひくつかせる。

強い快感をあふれさせる場所。

密集する茂みのすぐしたから始まる肉の裂け目の、その鳥羽口にある肉芽。

普段は、ピーナツほどの肉芽が、今は、小指の先端の大きさだ。

食いちぎりたくなる。

頼子は、それを指先でこすり続ける。

圭の存在を忘れてしまったかのように、この行為に夢中になっている。

圭は、かくしておいたバイブレーターを取り出す。

男根に似せてこしらえた黒いシリコン製のディルドー。

頼子の穴にぶち込まれるのを待っている。

頼子は、とうとう自分の指で登りつめた。

上体をのけぞらせ、腰をひくつかせて。

乳首が、堅くつきだしている。

圭が軽く噛んでやるだけで、激しくよがり声を上げた。

頼子の目から隠すようにして、バイブレーターにコンドームをかぶせる。

左手の指先で、頼子の淫裂を左右に広げる。

目の前に、蜜をしたたらせた肉つぼが口を広げている。

圭はバイブをズンッ、とさしこんだ。

「あぁぁぁ……」

頼子は思わぬ攻撃に一瞬ひるんだが、体内に差し込まれたものを自分の肉襞で感じて、

力を入れたり緩めたりして、そのものを確かめるかのようにしていたが、

すぐに快感に変わり、肉の穴をきゅっ、きゅっ、と伸縮させる。

「これ、なに?」

「きもち、いいだろ?」

「うん・・・」

「きにいったか?」

朦朧とした目つきで圭を身ながら、ほんの少しだけ頷いて、気に入ったことを示す。

「バイブだよ」

「え?」

「バイブレーターだって」

圭は、頼子の乳首を口に含んだ。

「あふっ」

乳首を甘く噛む。

弾力を味わうように。

乳房を吸いながら、右手に掴んだバイブを細かく動かして、

頼子の悶絶する点を探そうとしている。

頼子の膝が、わなわなと震える。

目は朦朧としたままで、唇は半開きになっている。

オナニーに続く快感に、頼子は絶頂にいるのだろうか。

圭が手首をグイッ、とねじる。

バイブを身体の芯をぶち抜け、とばかりに差し込んだとき、

頼子は、おう、おう、と獣の叫びのような声を上げて腰を振り立てた。

圭の指先に、グリグリとした感触が伝わってきて、子宮の入り口を突き上げているのがわ

かった。

頼子が、快感のあまり身体を捩ったとき、バイブが、また別の場所を刺激して、

頼子の身体を痙攣させる。

「うぉっ、うぉっ、うぉっ」

頼子ののどが、獣の声を出す。

体の芯からほとばしる、低いうめき声。

目は焦点を失い、鼻孔をふくらませ、開いた口から生臭い息を吐き出して、

頼子はうめき続ける。

額に、脂汗がにじむ。

「あぐぅ、あぐぅ、あぐっ、んぐっ、んぐっ。んぐっ」

頼子は、腰を激しく動かした。

「はふ、はふ、はふ、はふ、はふ」

頼子の肉鞘が、バイブを締め上げ、しごきたてるのが、圭の指に伝わってくる。

ねじ込むようにして、ぐぐぐぐぐぃつとさし込んだとき

ぐぅぇぇぇぇっ

と、低く大きくうめいて、全身をけいれんさせたのだった。

 

バイブを抜く。

頼子は、かすかなヒィィ、という声とも息ともつかぬ音を出しながら、

身体の芯を走る喜悦に身体を小刻みに振るわせていた。

頼子の肉鞘の締めつげが激しかったせいで、コンドームは裂け、

シリコン製のバイブはグニャリとゆがんでいた。

 

 

第4章

   

圭は、夏休みのあいだ、アルバイトを見つけた。

お盆までという期限付きだったが。

住宅団地わきの《さかのフルーツショップ》である。

《アルバイト募集》の貼紙を見たタイミングがよかったのだろう。

店のマダムは、モエ美容室のお客でもある。

「ケイくん、モエ先生の、甥っ子なの」

「そうか、じゃあ、安心して任せられるね」

その場で採用された。

接客が終わった谷岡亜矢美が

「小沼さん、うちのお隣なんですよ」

と、口を挟む。

「じゃあ、さっそく、明日から、頼むよ」

 

「乗れよ」

「えっ?」

「店まで、乗っけてあげるよ」

「いいの?」

「オレ、亜矢美さんと同じ店で、働くんだよ」

「そうだね、じゃあ、乗せてもらおっと」

亜矢美は、圭からヘルメットを受け取る。

そして、バイクの後ろにまたがった。

 

「おつかれさまでした」

「ごくろうさん、明日も、よろしく、頼むよ」

店主に見送られて、店を出る。

「ねえ、どこかに、連れてってよ」

「いいよ。どこが、いい?」

「どこでも」

「鷹取山の公園に行こうか」

「うん、まかせるよ」

「夜景が、きれいだよ」

圭の腰に腕を回す。

バイクは、公団住宅を抜け、国道を抜けて、鷹取山に登っていく。

小刻みな振動が、亜矢美の股間を刺激する。

まるで、バイブレーターを押し当てたみたい。

クリトリスを、シートに押しつける。

ため息が、出てしまう。

圭に、しっかり抱きつく。

車の数がめっきり減って、圭はスピードを上げる。

亜矢美は、圭とひとつになっていた。

圭の動きに任せて、左右にからだを傾けた。

  

山頂近くの路肩には、ぽつりぽつりと車が止まっている。

なかで人影がうごめいている。

ベンチで寄り添っているカップルも、何組もいる。

キスしたり、もっとエッチなことをしているカップルもいる。

ふたりは、ヘルメットをはずしながら、ベンチに座った。

「きれいだね」

「気に入った?」

「うん」

「そか、よかった」

目があった。

圭は、亜矢美の唇を吸っていた。

亜矢美は、舌をからませてきた。

抱きしめ、そして、乳房を揉む。

「あふん」

亜矢美が、甘い吐息を漏らす。

ホットパンツをはいて、むき出しになった両足は、夜風に冷たくなっていた。

裾から指をねじ入れる。

「だ、め!」

「だめ?」

「だ、め」

「じゃあ、無理矢理・・・」

「そんなコトしたら、叫んじゃう」

「ええっ、叫んじゃうの?」

「助けてぇ! 犯されるぅ、って」

「ははは、オレ、留置所行きだ」

「ごめんね、だって、圭さん、頼子さんてひとが、いるじゃん」

「あ、わすれてた」

「ひっどぉぃ」

「だって、亜矢美さんとこうしてふたりっきりでいるんだよ」

「・・・・・・」

「亜矢美さんに惹かれないヤツなんて、男じゃないよ」

「ほめられてるのかなあ」

「そうさ」

向こうのベンチから、女のため息が聞こえる。

「あはん、あん、うふん、あっ、いやん」

男の手が、女のシャツのすそから潜り込んで、乳房をまさぐっている。

「妬けるよ」

「うふ」

「はは」

「ねえ、このごろ、頼子さん、来てないみたいだけど」

「そうなんだ、仕事、忙しいからなあ」

「そか・・・うちのダンナも・・・」

「なんか、寂しい話になったね」

「うふ」

 

「マンゴ、食べていかない?」

「ん? どうしたの?」

「宮崎の実家から、おくってきたんだ」

「農家なの?」

「親戚が、マンゴを栽培してる」

「そうなんだ」

「宮崎の、完熟マンゴだよ」

「あ、お店においてあるヤツだよね、あれ、すっごく、高いよ」

「そう、あれ」

「匂い、すっごく、いいよね」

「とっても、甘いよ」

「じゃあ、食べてく」

 

「すごく、いい匂いだね」

圭の狭い部屋に、マンゴの芳香が広がる。

圭は、ペティナイフで削いだ果肉を、亜矢美の口元に差し出す。

「・・・・・・! おいしい、すっごく、おししい!」

もう一切れ、口に入れてやる。

「・・・・・・! すごいよ、ほんとに、すごい!」

「全部食べていいよ」

「ケイくんも、食べなよ」

 

亜矢美の唇が、マンゴの果汁に濡れている。

圭は、果汁でべとべとになった手を洗う。

唇を重ねる。

とろけるように甘いキス。

ふたりの舌には、ねっとりした果汁が残っている。

圭は、亜矢美を押し倒した。

乳房をすわぶる。

「あふん」

パンティは、じっとり湿っている。

窮屈だ。

圭は、ホットパンツの下腹のフックに指をかける。

「あふん」

フックをはずす。

ファスナーを下ろす。

ホットパンツは、亜矢美の尻に、股間に、ぴったりはりついている。

亜矢美の腰に手を回し、パンティごと、引き下ろす。

「うふん」

ぬるぬるした割れ目に指を這わせる。

「あふん、あふん、あふん」

ねっとりした蜜が、指に絡まる。

クリトリスを、こすりあげる。

亜矢美は、圭の胸に顔を埋める。

押し殺すように、うめき声を上げる。

「ぐふぅ、ぐふぅ、ぐふぅ」

ぷりぷりした乳房を揉みながら、吸い続ける。

もう一方の手は、クリトリスをこすり続ける。

乳房と、クリトリスと、同時に刺激されて、亜矢美のからだをしびれるような快感が流れ

ていく。

指を2本、さし込む。

ちゅぷ

「あふん」

肉サヤが、指を締め付ける。

ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ

圭の指を確かめるように。

肉棒が、ジーンズのなかで、いきり立っている。

圭は、尻を浮かせて、ジーンズを引き下ろす。

いきり立った肉棒が、さらされる。

ぐっ、と上向きにつきだしている。

圭は、亜矢美を抱き起こす。

腰を抱え上げ、そのまま、肉棒を肉穴にさし込んだ。

「あぐぅ」

亜矢美のからだの重みで、肉棒は亜矢美の体の奥まで一気に埋め込まれる。

亀頭が、子宮を突き上げた。

「ひーっ、ひーっ。ひーっ」

亜矢美ののどの奥から、息がもれる。

押し広げられ、差し貫かれ、突き上げられて、

亜矢美は、動けなくなっている。

そのとき、着信音が鳴る。

亜矢美は、からだを硬くする。

亜矢美のポシェットの携帯にかけてきたのは、鉄夫だった。

亜矢美は、圭から離れようとしなかった。

つながったまま、受信ボタンを押す。

「なにしてる?」

「これから、寝るとこ」

「そか」

「いま、どこ?」

「これから、八王子を出る」

「気をつけてね」

「ああ」

鉄夫の声が、圭の耳にも届く。

圭は、腰を突き上げる。

「あふん」

突き上げられて、亜矢美は小さくあえぐ。

「どうした?」

「ううん、何でもないョ」

亜矢美は、膣をすぼめて、圭の肉棒を締め付ける。

「んん」

それは、亜矢美自身にも、快感を引き起こす。

「どした?」

「ごめん、鉄夫、ちょっと・・・ひとり・・・エッチ・・・」

「はは、そうか、そうか」

「あふん・・・うん・・・そう・・・ああん」

圭は、亜矢美を抱きかかえたまま、倒れ込む。

「あふん、あふん、あふん」

「そんなに、キモチ、いいか、亜矢美」

「うん・・・いい・・・あふん・・・あふん・・・いいっ」

「バイブか」

「うん、うん、ああ・・・ああ・・・あああ・・・ああ・・・あ・・・いいっ」

「亜矢美、オレ、運転中だ、おまえの声、聞いていたいけど」

「あふん、あふん、あふん・・・」

圭が突くたびに、亜矢美は喘ぎ声を出す。

圭は、突き続ける。

亜矢美のほほは、紅潮している。

すっかり興奮していた。

男に抱かれて、すっごく感じている。

夫は、知らない。

圭のちんちんに、燃えているあたしを。

「亜矢美、やばい、切るぞ」

「ああん! 気をつけてね、鉄夫。あああん」

亜矢美は、携帯を放り出す。

それから、圭にしがみつく。

「あふん、あふん、あふん、あふん」

壁越しに聞き慣れた、愛らしいヨガリ声を上げて、亜矢美は腰をぐいぐい動かす。

「ああん、すごい、すごい、すごい、すごい」

はっ、はっ、はっ。はっ、はっ。はっ

亜矢美の息が、だんだん早くなっていく。

「ね、ね、ね、ね、イキそう、イキそう、イキそう」

亜矢美の膣が、肉棒をグググググッ、と締め上げる。

「いぐうっ!」

亜矢美は、全身を硬直させた。

「あはああああっ」

圭は、耐える。

膣がゆるむ。

圭は、肉棒を抜く。

コンドームを取り出す。

装着する圭の手元を、亜矢美がぼんやり見上げている。

 

そのころ、鉄夫はサービスエリアのトイレの個室で、チンポをしごいていた。

 

開け放った窓から、朝の冷気が流れ込む。

左腕に、亜矢美の頭を抱いている。

顔をこちらに向けて、唇を少し開いて、寝息を立てている。

オレンジほどの乳房。

ぷっくり盛り上がった尻。

朝ダチが、うずいている。

淫裂をさする。

「ん」

亜矢美が、かすかにうめく。

湿っている。

いじっているうちに、じっとりと潤ってくる。

亜矢美は、半睡状態である。

しかし、性器が、ひくり、ひくりと反応しだす。

「ううん」

うっすらと目を開け、圭に微笑むと、また目を閉じる。

圭の指に、性器を押しつけてくる。

誘うように。

催促するように。

圭は、右の指を小刻みに動かす。

膣口から淫水を掻きだし、濡らした指で、クリトリスをつま弾く。

圭の微妙な指使いは、亜矢美の肉欲をよみがえらせていく。

圭の腕のなかで、亜矢美はもだえ、あえぎ、うめく。

目を開いて、圭を見つめている。

「あふ、あふ、あふ」

圭は、起きあがり、コンドームを装着する。

うつぶせになって、ぷっくりと盛り上がった亜矢美の尻。

真夜中、バックから突き上げているうちに、

亜矢美の膣のある一点を突き上げて、

そのスポットが、亜矢美の全身に凄まじい快感を呼び起こし、

亜矢美は凄まじい悲鳴を上げて、イキまくったのだ。

そこを、もう一度・・・

亜矢美の下腹部を抱きかかえるように持ち上げて、ブッスリと挿入する。

「いやっ」

亜矢美が、からだをよじって、逃げようとする。

「だめっ」

必死の様子に、圭は驚く。

「どうした?」

「お、おしっこ、もれちゃうよ」

「たまってるのか」

「うん」

圭の肉棒が、膀胱を突き上げたのだ。

亜矢美は、シャツを羽織り、パンティをはく。

ホットパンツをはこうとする。

「まだ、5時前だよ、みんな眠ってる。パンツ、はくこと、ないよ」

「うん」

おしっこをすませて、圭の部屋の前まで戻ってきたとき、

奥の部屋のドアが半開きになって、ゆかりが顔をのぞかせた。

「おやおや、なんてひと」

ゆかりの鋭い視線を受けながら、亜矢美は圭の部屋に入った。

明け方の薄明かりのなかで、亜矢美は圭の肉棒に突かれるままに

はしたないヨガリ声を上げ、イキまくる。

 

第5章

 

頼子は、開店準備に追われた。

仕事は、山ほどあった。

月曜日、圭といっしょにいる時間がなくなった。

できるだけ、圭といっしょにいられる時間を作りたかった。

日曜日の夜を、圭の部屋や、ラブホテルで過ごした。

こうして、ふたりの肉の関係が続く。

モエ美容室から、大橋の店まで通うのは、大変だ。

頼子は、大橋の店に近いアパートを借りた。

9月になった。

引っ越しが、近づいた。

 

月曜日、圭は、宅配便を受け取りに、モエ美容室を訪ねた。

モエも、章子も留守だと知っている。

頼子は自分の部屋に圭を引き入れた。

「来週は、引っ越しだね」

「うん」

「この部屋で、するの、最後だね」

窓から、秋の風が吹き込んでくる。

「忙しくなるね」

「うん、がんばる」

「ああ」

「応援してね」

「応援、ね・・・ああ、応援するよ」

頼子は生理が近づいている。

乳房が張ってくるから、わかるのだ。

それに、男がとても欲しくなる。

頼子は積極的に圭を求めた。

ベッドが、ギシギシと、激しくきしんだ。

 

頼子が素っ裸のまま、トイレに立った。

圭は、宅配便の箱を開ける。

SMショップに注文しておいた道具の数々。

ビニール袋に包まれた、黒い革製の拘緊ベルト。

緋色の緊縛用ロープ。

真っ赤なローソク。

ベッドの下に隠す。

戻ってきた頼子を、抱き寄せる。

開いた宅配便の空き箱を見て、頼子が尋ねる。

「なに?」

「コスチューム」

「えっ? なんなの?」

「頼子、似合うといいけどな」

「なんなのよぉ」

「似合う、きっと似合う」

「見せてよぉ」

頼子をベッドに押し倒す。

「あはは、なによぉ」

「ふふ」

「なあにぃ、いやらしい笑いかたしてぇ」

「ふふふ」

「あ! エッチな下着でしょ!」

「まあ、そんなところかな」

「見せて!見せて!」

「頼子、きょうは、頼子に罰を与えようと思うんだ」

「えっ」

「お仕置きをするよ、頼子」

「なんで?」

「先週も、先々週も、オレの誘いを断ったからね」

「だって・・・だって・・・先週は、生理だし・・・」

「近ごろ、オレの言うこと、聞かないからね」

「だって、圭、わかってくれてるって・・・」

「うるさいっ!」

「あっ! いやっ!」

圭は頼子の右腕をねじ上げる。

頼子のからだがうつぶせになった。

頼子の右手首に、手枷が着けられた。

「なにっ?・・・あっ・・・これって・・・」

左腕をグイッと引っ張られて、頼子のからだはさらによじれる。

「いたいっ!」

左手首に手枷が着けられて、両手首が鎖でつながった。

「こんなふうに、使うんだ」

「ケイ・・・」

両腕を背中に回されて、頼子は背筋をそらし、胸をつんと突き出している。

頼子のからだを転がす。

うつぶせになった両足首に、足かせを取り付ける。

鎖が、両足首をつなぐ。

「似合ってるよ、頼子」

「変態・・・」

「ふふ」

「サディスト」

「ふふふ」

首輪を着けた。

「いやぁ! もおっ!」

「オレの、牝犬」

「ああん」

「だろ? 頼子。おまえは、オレの牝犬」

首輪のリードを引っ張る。

「げふっ、げふっ、げふっ」

頼子は、顔をのけぞらせて、咳き込んだ。

「苦しいよ、ケイ」

圭は、もう一度リードを引いた。

「ぐぉ、ぐぉ、ぐぉ、ぐぉ」

「そんなに、苦しいか」

「やめてよぉ、変態」

「うれしいよ、頼子、おまえの悪態は、オレにはほめ言葉だ」

後ろ手に縛られ、頼子は思うように身動きできない。

圭は、淫裂に手を伸ばす。

「おやおや・・・驚いたなあ」

「・・・・・・」

「頼子、ここ、びしょびしょだ」

「うっ」

「頼子の、ドスケベお〇ンコ、びしょびしょだ」

「あうっ」

圭は、リードを思いっきり引っ張った。

「がふっ、がふっ、がふっ」

「苦しいか」

「あぐっ」

それから、激しく咳き込んだ。

「大げさなヤツだなあ、おまえというヤツは」

膣から流れ出した淫水が、ふさふさとした陰毛を濡らす。

シーツに染みを広げてゆく。

指を2本そろえて、膣に突き刺す。

頼子の尻が、パコパコと痙攣する。

圭は、グイッと手首をねじる。

「あぐうううっ」

頼子が、うめいたときだった。

圭の指の先端のあたりから、どびゅっと生暖かい液体が噴き出した。

それは、圭の手のひらをずぶ濡れにし、シーツにしたたりおちて、

まるで寝小便でもしたかのように、シーツをぐっしょり濡らしたのである。

「・・・・・・もっと」

頼子が、言った。

「・・・・・・もっと、きつく、して」

  

圭は、頼子の首を締めながら多量に射精した。

ドビュ・・・ドビュ・・・ドビュ・・・

けはいを感じて部屋の入り口を振り返った。

章子が、呆然と立ち尽くしていた。

見てはならないものを見た、そしてそれが信じられない光景だった。

頼子の首に黒い革ベルトが巻きつけられ、両手首、足首にも同じものが結ばれている。

玄関の上がり口で聞いたあの悲鳴とも呻きともつかぬ奇妙な声は、頼子のヨガリ声だった。

頼子の身体から離れて立ち上がった圭の局所を見たとき、

章子はギョッとして、思わず悲鳴を漏らしそうになった。

精液と頼子の淫水に濡れてテラテラと光っている圭の亀頭は、

章子の男のものよりもずっと大きい。

20センチあまりの陰茎は、天井に向かって勢いよく反り返っていて、

まるで生き物のように、ピクリピクリと息づいている。

頼子が悪びれる様子もなくゆっくりからだを起こして、章子をにらみ付ける。

頼子の股間が、目にはいる。

黒々とした柔毛に縁取られて、黒ずんだ大陰唇が口を広げ、

その内側にあるサクラ色の花びらは、いやらしく濡れている。

凄まじい光景に、章子はただ立ちつくしている。

  

章子は、圭と同じ21歳だ。

短大をでて、コンパニオンをしている。

ひとよりちょっと美しいと、うぬぼれている。

男たちにちやほやされて、美容師の道をいやがった。

あんなきつい仕事なんか、いやだ、とはっきり言った。

モエ先生は、あきらめた。

 

頼子は性行為を見られたことに悪びれる様子はない。

圭は、全裸のまま、さげすむように章子を見つめる。

「ボケッとつっ立ってないで、はいれよ」

逃げ出そうとする章子を、圭は追いかける。

「いやよ・・・やめて・・・」

「こっちへ来い」

後ろから羽交い絞めにして、部屋に引き釣り込む。

「いや・・・やめて・・・やめてよ・・・」

手足を激しくばたつかせるのを、床に押し倒し、腕をねじ上げる。

「いたいっ・・・なにするの・・・やめて・・・」

圭は、章子を床に押し倒す。

「ケイ・・・」

頼子の呼びかけに、応えなかった。

「ケイ・・・」

圭はひと言も口をきかずに、章子のスカートを剥ぎ取る。

黒いパンティに包まれた尻が、むき出しになる。

「やめて、ケイ!」

頼子が、叫ぶ。

頼子は、起きあがろうとした。

拘緊ベルトで足首をとられ、重心を崩し、ベッドに倒れ込む。

ベッドの上で、もがいている。

「ケイ、だめよ!」

圭は、頼子を見ようともしない。

足下で、スカートをはぎ取られ、はいつくばっている章子をじっと見下ろしている。

起きあがろうとする章子の腰を踏みつけにした。

章子を床に押さえ込みながら、パンティを引きおろす。

「いやっ!」

ケイは、躊躇しなかった。

陰裂に指を挿し込むと、ずぶ濡れになっている。

指を2本挿しいれてかき回す。

「いや・・・やめて・・・お母さんに言いつけるわよ」

バシッ

圭は力いっぱい章子の尻を平手打ちにする。

バシッ、バシッ、バシッ

見る見る赤く染まる。

バシッ、バシッ、バシッ、バシッ

両腕をねじ上げて、手早く皮ひもで後ろ手に縛り上げる。

章子は、両方の目から涙を流しながら、アハァ、アハァ、と泣き声をあげている。

「やめて・・・やめて・・・お願い・・・ケイくん・・・やめて・・・」

後ろ髪をグイッと引っ張りながら、ブラウスを引き剥がす。

ボタンがはじけ飛び、胸が剥き出しになる。

手を突っ込んでブラジャーの中の乳房を絞り上げる。

「いたい・・・いたい・・・」

「おとなしくしてろ。そうしないと、痛い目にあうぞ」

べそをかきながら、章子がうなずく。

圭が、自分を平気でぶちのめすことを思い知った。

 

圭は、緋色のロープで章子の両膝、両足首を縛り上げる。

圭は、章子を見つめたまま、頼子を抱き寄せる。

章子を見つめながら、頼子にほおずりをする。

じゃまな手かせをはずす。

「あっ! ケイ、いやよっ!」

圭が、何をするつもりか、頼子は察した。

圭が、章子の目の前で、何をするつもりなのか。

「ケイ、そんなこと、いやっ!」

圭が、頼子を抱き寄せようとするのを、両手で押し返す。

圭の目は、冷ややかだった。

「そんなこと、いけない、いけないよ、ケイ!」

はずしたばかりの手かせを、圭は手にする。

頼子はもがいたが、圭は容赦しなかった。

頼子の哀願に、一言も応えない。

キッと、くちを結んで、力ずくで頼子の腕を縛る。

「やめて・・・お願い・・・ケイ、やめてよぉ」

圭は、首輪のリードをグイッと引いて、頼子をにらみつける。

「オレに、指図するんじゃない」

「だめだよ、ケイ・・・」

「牝犬のぶんざいで、オレに指図するなっ!」

圭の顔面が、紅潮している。

(ケイ、本気で、怒ってる)

「頼子、おまえが、オレの牝犬だってこと、章子に見せてやる」

「・・・・・・」

「おまえが、いやがっても、オレは、やる」

圭は、ベッドに腰を下ろす。

頼子を、背後から、ひざに抱きかかえた。

頼子は、章子の視線から顔をそらす。

拘束具でつながれた両手首で、顔を隠す。

圭の左腕が、頼子の腹をしっかりと抱え込んでいる。

右手が、頼子のひざにかかる。

「いやっ、いやっ、いやっ」

必死にあらがっても、圭の力には、かなわない。

両膝を、大きく広げられてしまう。

それは、章子に、陰部をさらすことになるのだった。

圭の指が、淫裂を撫でまわす。

それから、人差し指と中指で、淫裂を左右に広げる。

肉の入り口が、びらびらした花びらが、むき出しになる。

圭の右足が、床に転がっている章子を踏みつけた。

「章子、ちゃんと、見てろ!」

 

圭は、章子に見せつけるように、肉棒を頼子の割れ目に、ゆっくりとハメていった。

章子は、呆然と見つめている。

猛々しい男根が、頼子の肉に潜り込んでいく。

圭は頼子の大陰唇を大開きにして、結合部を章子の目に一層はっきり見えるようにした。

章子は、ごくんと生ツバを飲んだ。

圭は、腰を上下させる。

肉棒が、ずるりと潜り込み、ずるりと顔を出す。

ずるり、ずるり、ずるり、ずるり・・・

「んっ」

頼子が、かすかにうめく。

ずんっ、ずんっ、ずんっ、ずんっ・・・

圭の腰の動きは、力強く、しだいに速度を上げてゆく。

ずっ、ずっ、ずっ、ずっ・・・

「んっ、んっ、んっ」

頼子のほほが、赤らんでいる。

目を閉じ、唇をかすかに開いて、息を漏らす。

はっ、はっ、はっ、はっ・・・

圭が突き上げるリズムと同じリズムで。

頼子の手は、乳房をつかんでいる。

肉つぼの快感を、いっそう強めようというのか、

指が、乳房を揉みはじめた。

章子の存在を忘れたのか、それとも・・・

頼子は、自分から腰を動かしている。

肉棒にこすられ、突き上げられる快楽が、頼子をとりこにし、

章子の視線を忘れさせていた。

快楽が、いっそう高まる術を、頼子のからだはよく知っている。

どうすれば、もっと気持ちよくなるのか、

尻をどう動かせば、いいのか、

乳首をつまんでやれば、快感が、燃えさかることも。

 

頼子は、自分から腰を上下させていた。

次第にその速度を速めていく。

つきだした乳首を、きゅっ、きゅっ、とつまんでやる。

子宮から、うずき、蜜がしたたる。

(もっと、もっと、もっと)

ぼんやりと開いている視界に、章子の顔がはいる。

呆然と、くちを半開きにして見つめている章子。

「ああっ、いいっ、いいっ、ケイ、いいっ!」

からだが、芯から叫んでいた。

「あぐっうううっ・・・・・・」

絶頂に達した。

淫水がぶしゅぶしゅと膣口から流れだし、圭の陰茎を伝って流れる。

圭は、射精をこらえる。

ぐったりと、前のめりになる頼子を、圭は両腕で支える。

肉棒をぬきながら、頼子をベッドに横たえる。

 

頼子の膣から抜き出したペニスを、章子の眼前に突きつける。

「いや、やめて!」

「なにもしないよ。章子」

「だって・・・」

「おれ、おまえに一度でもひどいことしたか?」

頼子は、ベッドに横たわったままだ。

章子は、引き裂かれたブラウスの残骸と、黒いブラジャーを着けているが、下半身は剥き

出しである。

「だめよ!」

頼子が叫ぶ。

圭は、全裸も同然の章子を抱きかかえようとしたからだ。

「うるさい! くちだしするな」

圭は、頼子を床に転がす。

章子をベッドに横たえる。

後ろ手に縛り上げられているので、体をよじるようしている。

「あのときみたいに、やってくれ」

圭は、萎えかかったペニスを章子のくちもとに持っていく。

「いや、そんなことだめよ・・・やめて、ケイ」

頼子が、止めようとして叫ぶ。

「邪魔をするなら、出て行け」

「章子さんとしたいの?」

「手伝うか?」

「いやよ! 章子なんかとしちゃ、いや!」

「うるせえな・・・邪魔をするんなら、こうしてやる」

圭は、髪を引っ張って床に引き倒し、頼子の両腕を捻りあげる。

「おれは、今から章子とやる。おまえは、向こうの部屋にでも、行ってろ」

「・・・・」

「じゃあ、おとなしくしてろ。邪魔するなよ」

頼子はうずくまってじっとしている。

圭は、章子を抱えるようにして、乳首をすする。

「あ・・・いやぁ・・・」

「思い出すだろ・・・章子が、宮崎のおれの実家に遊びにきたとき・・・」

「んっ・・・」

「おれたち、中2で・・・」

「んぐっ・・・」

「おれたち、裏の納屋の2階で遊んでた・・・」

「はぁ・・・んくっ・・・」

「宝さがしをしたんだよな・・・」

「・・・ん・・・ん・・・ん・・・」

「薄暗い納屋の隅っこで、からだが触れて。キスした・・・おれには、初めてのキスだ・・・」

「・・・ん・・・んっ・・・くっ・・・」

「章子、おまえが、暑いから、裸になろうって言った・・・」

「・・・あ・・・いっ・・・」

「おれたちは、裸でだきあった・・・どきどきしながら・・・

気持ちがよくて・・・ビンビンになったチンポをおまえはくわえた・・・」

「・・・いい・・・いい・・・はぁ・・・」

「あっという間にイってしまった・・・」

「・・・あん・・・あん・・・あん・・・」

「それから、今度はおれのばんだと思って、ここにこうやって指をいれた・・・」

「・・・いい・・・いい・・・はぁ・・・んっ・・・んっ・・・いくっ・・・」

目は虚ろに、口からは、はぁ・・はぁ・・・と甘い吐息を漏らし、章子は絶頂に達していた。

「こんどは、おれのばんだ。気持ちよくしてくれよな」

足を縛っていたロープをとく。

両足を割って入り込み、いきり立ったものを蜜でずぶずぶになった肉の壺に挿しいれた。

「・・・ん・・・ん・・・ん・・・」

頼子との交接でだいぶ使ったからか、精液はあまりほとばしり出なかった。

自分で始末しながら、圭は頼子に話した。

「章子のお〇ンコいじってたとき、お袋が、納屋に入ってきた。

 おれたちが何やってたか気がついた。

 その晩、親父に言いつけて、おれはぶちのめされた。

 親父に殺されるかと思ったよ」

「そん時の、仕返しってわけ?」

「・・・ちがうな。初体験、中途半端だったから、仕上げをさせてもらったんだ・・・」

「気がすんだ?」

「ああ」

「2度と章子としないで!」

頼子が、言った。

 

第6章

  

《モエ美容室大橋店》

開店が明日に迫った。

沙也加、達平が帰っていって、ほっと一息ついたところだ。

入り口のドアを、とんとんとノックする音に、目をやった。

村井翔だった。

顔を見るのは、何年ぶりか。

「いよいよ、明日だね、おめでとう」

「ありがとう」

わずか半年の結婚生活の末に別れた、元夫である。

家業の酒屋を継いだが、コンビニに転業した。

美容師の仕事を捨てたくなかった頼子には、家業を手伝うことはできない。

村井の両親は、そんな頼子を快く思わなかった。

諍いが、絶えなくなった。

頼子の若さもあって、結局離婚したのだった。

「頼子の店が、近所にできるなんて」

「おどろいた? モエ先生が、決めたことなの」

「驚いたけど、でも、頼子が自分の店を持つことになって、嬉しいよ」

「ありがとう」

「花輪、贈らせてもらうよ」

「嬉しいな」

頼子は、翔に店の中を案内した。

「仕事、どう?」

「近いうちに、目と鼻の先に、《ホーソン》が進出してくるんだ」

「そうなんだ」

「厳しくなるよ」

「負けないでね」

「ああ・・・ふふふ」

「なに?」

「頼子の店ができるって、あわててる美容室が2軒あるんだよ」

「そうだね」

「がんばるんだよ」

翔は、頼子の額に口付けをした。

「ありがとう」

  

頼子の美容室は、順調にスタートした。

それは、喜ばしいことだ。

しかし、頼子は、圭にゆっくり会えなくなっていった。

仕事が大変だった。

沙也加と達平、ふたりの美容師のほかに、2名雇い入れた。

定休日の月曜日にも、経理や、新人の指導やらで、時間がとれない。

圭の部屋に泊まることなど、無理だった。

月曜日の夜、たまに、夕食をして、ラブホテルで交わるのが、精一杯だった。

圭が、遠のいていくような気がしていた。

 

10月最後の月曜日、休みを取った。

1日だけ、どうしても仕事から解放されたかった。

開店の日から、ずっと休みなしだったのだ。

火曜日の朝、圭のアパートから店に行くつもりだ。

そうしたら、24時間、いっしょにいられる。

着替えを小さなバッグに詰める。

朝早く、圭のアパートに着く。

階段で、若い女とすれ違う。

頼子は、ほとんど見もしないで、軽く会釈をした。

女が鋭い視線を返したのに、気がつかなかった。

 

「どうしたの? この下着」

「ふふ、気に入ってくれた?」

頼子は、ワンピースの下に、きわどい下着を着けていた。

紫色の、レースの下着。

「これって・・・」

「圭が、パソコンの壁紙にしている、あのサイトの・・・」

「へえ・・・」

Tバックの股ヒモが、股間に食い込んでいる。

「気に入った?」

「ああ、きれいだ、似合ってる」

「うれしい」

しかし、その下着はすぐにはぎ取られる。

「圭、浮気、してない?」

「してないよ」

あっさり返事が返ってきた。

「してない。そんな暇、ないよ。卒論、忙しいんだ」

卒論か・・・卒論なんて、頼子には縁のない世界だ。

どんなことなのか、見当もつかない。

「なんで、浮気なんて、言い出すんだ?」

「だって・・・エッチするの、3週間ぶりだよ。ずっと、ガマンできてた?」

「マス、かいてる」

「え?」

「オナニー、してる」

「ああ」

頼子は、オナニーもしていない。

アパートに帰って、ベッドに潜り込んだら、熟睡してしまう。

「抱いて、強く、抱いて」

 

頼子は、うつぶせにされて、両手首に拘束具を着けられる。

(最初は、ふつうに抱かれたかった、でも、圭がそうしたいなら・・・

 思いっきり、したいようにして・・・)

足首にも、拘束具が着けられる。

鎖の長さ、20センチくらいしか、足が開けない。

「もう、感じてるのか」

「だって」

手かせと、足かせを着けられると、それだけで濡れてくる。

「尻を上げろ」

後ろ手にされているので、苦しい。

けれど、頼子は圭の命令に従う。

あごと胸を布団に押しつけながら、尻を持ち上げる。

「お〇ンコが、よく見えるように」

「・・・・・・どうしたら、いい?」

「自分で考えろ」

「・・・・・・」

「オレに、お〇ンコを見せたいだろ!」

頼子は、そろえていたひざを開く。

「そうだ、もっと、広げろ」

淫裂が少しだけ口を開く。

さくら色の粘膜が、濡れている。

「見て欲しいだろ?」

「・・・・・・」

「オレに、見て欲しいんだろ、頼子」

頼子は、うなずいた。

「見て、欲しい」

「ちゃんと、言え」

「お〇ンコ、見てください」

「ふん、スケベなお〇ンコを見てください、だろうが!」

圭は、押し殺した冷ややかな声で言う。

「スケベな・・・お〇ンコ・・・見てください」

「チンポ好きの、ドスケベ、お〇ンコ、見てください、だろ!」

「・・・・・・チンポ・・・好きの・・・ど・・・すけべ・・・お〇ンコ・・・見て」

圭が、指で大陰唇を左右に広げる。

「よだれ、垂らしてる、頼子」

「・・・・・・」

うつぶせに、顔を布団に押しつけているので、口に唾液があふれてきていた。

頼子は、じゅるっ、と吸いこんだ。

「下のクチも、上のクチも、よだれを垂らしてる」

圭の指が、乳房と布団のあいだに割り込んでくる。

「ぎゃっ」

頼子は、悲鳴を上げた。

乳首に、クリップが噛まされたのだ。

「痛い・・・ケイ、痛い・・・」

「すぐに、よくなる」

「ほんとに、痛いよ」

「がまんしろ」

「お願い・・・ケイ」

頼子は、痛みに身をよじる。

からだがバランスを失い、布団に倒れ込む。

「ぎゃっ」

片方のクリップが、布団にこすられて、はじけ飛ぶ。

圭は、頼子を冷ややかに見下ろしている。

首かせを取り出して、頼子に装着する。

「からだを、起こせ」

リードを引っ張られて、頼子は、のろのろと上体を起こす。

布団の上に、横座りになる。

片方の乳首に残っているクリップが、痛い。

背中で縛られた腕も。

「尻を、突き出せ」

頼子は、上体をじわじわと前に倒していき、うつぶせになった。

ひざとこすれて、クリップが落ちた。

アパートは、静まりかえっている。

圭が、何かをしている。

(なにをしてるの?)

アナルに、ひんやりとした粘っこい液体が塗られる。

「いやぁ・・・そこは・・・いやぁ」

アナルは、好きになれない。

さし込まれたのは、圭の肉棒ではなかった。

冷たく、堅いスティック状のものが、するするとさし込まれていく。

細い、堅いものが。

それから、ジュブッ、という音がして、頼子の腸のなかに、液体が注ぎ込まれた。

「いやっ!」

冷たい液体が、腸のなかに、どんどん広がっていく。

(浣腸・・・浣腸なのね)

液体に冷たさは、すぐに消える。

頼子の体温が、わずかな液体などすぐに温めてしまうのだ。

「あああ・・・いやぁぁぁ」

管が抜かれた。

圭を振り返る。

小さな、長さ4〜5センチほどの器具に、ローションを塗っていた。

見つめている頼子をちらっとも見ないで、それを頼子のアナルにさし込んだ。

「ねえ、頼子」

圭の声は、冷ややかだ。

「浮気してるの、おまえのほうだろ」

「えっ」

「自分が浮気してるから、オレを疑るんだ」

「ケイ、あたし、浮気なんか、してないよっ」

「店がオープンする、前の日のことだけどさ」

「ぐっ」

「効いてきたかな」

下腹部が、グルッ、と鳴る。

「オレ、おまえの店の前まで、行ったんだよ」

グルグル

「晩飯、差し入れするつもりでさ」

ぎゅるぎゅる

「晩飯、いっしょに食うつもりでさ」

「んぐっ」

「店の中に、男がいて、おまえ、うれしそうにしゃべっててさ」

「あううっっ」

「苦しいか?」

頼子は、うんうんとうなずいた。

「おまえら、キスしたよな」

「ち、ちがう・・・」

圭が、下腹部をさする。

ぎゅぎゅぎゅぎゅうう

「ケイ、お願い、やめて」

「あいつと、やってるんだろ!」

「ううん、ううん、してないよ」

全身から血の気が退いていく。

冷や汗が吹き出す。

「トイレに・・・行かせて」

下腹部が痛む。

圭が、下腹部を鷲づかみする。

「いやっ・・・うグッ」

「それに、オレはおまえのアパートに行ったことがない」

「だめぇ・・・もう・・・だめぇ・・・」

冷や汗が吹き出す。

前髪が、濡れた額にはりついている。

それを、圭は掻きあげる。

頼子の潤んだ目を、圭は冷たく見返す。

「あいつと、やってるんだろ?」

ううん、と頼子は顔を左右に振る。

声が、出ない。出せない。漏らしてしまう。

圭が、リードをグイッと引いた。

激しく咳き込み、腹に力が入る。

肛門括約筋を、必死の思いで引き締める。

そこにさし込まれたストッパーが、ぽんと飛び出しそうで、頼子は、いっそう括約筋を絞

る。

「ケイ、トイレに、行かせて」

「がまんしろ!」

「もう・・・だめ・・・」

「がまんできる! それとも、ここにまき散らすか!」

「いや、いや、いや」

血液が、大腸、直腸、肛門に集まってしまって、頼子は青ざめている。

「お願い・・・」

「じゃあ、許してやる、行ってこい」

頼子は、おそるおそるからだを起こす。

一瞬でもゆるめたら、吹き出しそうだ。

「これ、はずして」

足かせを目で示しながら、圭に頼む。

「そのままで、行くんだ」

「えっ」

「オレが、いっしょに行ってやる」

「いやよぉ」

泣き声にかわっている。

「さあ、行こう」

圭は、リードを引き上げる。

頼子は、よろよろと立ち上がる。

足首は、20センチも開かない。

両方の足首が、鎖でつながれているのだ。

廊下に出る扉の前に立つ。

もしも、この姿を、ひとに見られたら。

恐怖のあまり、鳥肌が立つ。

「サンダル、はけ」

足が、すくむ。

「どうした?」

「いや・・・いやよ・・・」

「ん?」

「ひとに・・・見られる・・・」

「だれも、いない!」

圭が、ドアを開けてしまった。

目の前に、奥へ続く廊下。

トイレは、すぐそこ。

「どうする? オレの部屋で、するか?」

「うっ」

首かせと、足かせを着け、手かせで両腕を後ろに縛られた頼子が

からだを隠すものを何一つ着けない姿で

廊下に出た。

わずかしか開かない両足で、よちよちと、トイレに向かう。

圭も、女便所に入る。

個室は和式便所。

圭は、かがんで足かせをはずしてやる。

「見ちゃ、いや」

「しゃがめ」

「見ちゃ、いや」

「何だ、ガマンできるじゃないか」

「お願い、あっちに、行って」

グルグルグルグルグルルルルルルル

頼子が、しゃがみ込む。

圭が、ストッパーを抜いた。

 

  *  *  *

  

11月の吉日に、章子の結婚式があった。

いとこの圭も、頼子も、家族の席に座っている。

新郎の栗原正伸は、福南信用組合に勤めている。

章子は、圭と目を合わせようとしなかった。

あの日、イッてしまった自分が悔しかった。

圭に辱められることに、奇妙な恍惚が潜んでいたとは。

頼子の目の前で、犯されて、恥ずかしいのに、恥ずかしいことが快感になっていく。

からだが、あの日を思い出してしまう。

章子のからだを撫でまわす圭の指

章子のからだを舐めまわす圭の舌

そして、章子の淫裂に深々進入してきた圭のペニス

頼子の目つき、ののしる言葉

宴のざわめきの中で、それが章子に押し寄せてくる。

章子は、めまいを起こす。

おぞましいセックスをしている圭と頼子の姿が、ちらつく。

家族席に並んで座っている圭と頼子。

愉しそうに飲み食いしているふたりの姿に、章子は腹立たしい。

(変態!)

心の中で、毒ついた。

一瞬、表情が険しくなったのだろう。

 

「だいじょうぶ?」

新郎が気遣った。

お色直しで、式場を出て、章子は一息ついた。

着付師に、幾重にも重なる着物を脱がせてもらう。

着物から、純白のドレスに着替えるのだ。

ついたての影で、和装下着を脱いで、裸になった。

ウエディングドレスの下に着ける下着のケースを開いて、凍りついた。

《ぺぺ》でそろえたブランドの下着は、消えていた。

かわりに入っていたのは、黒い下着。

それも、きわどいレースのブラとTバック。

血の気が退いていく。

しかし、どうしようもなかった。

それを着けるしかなかった。

頼子のしわざに違いなかった。

あの日の復讐。

章子が、イッてしまったことが、頼子を怒らせている。

「お召し替え、お済みですか」

ついたての向こうから、着付師が催促する。

章子は、黒い下着を着けるしかなかった。

黒い下着姿で、大きな姿見の前に立つ。

章子の後ろに立っている着付師の視線が、章子の尻を見つめる。

Tバックをはいたむき出しのお尻。

鏡のなかの着付師をにらみつけると、あわてて視線をそらせた。

着付師たちの好奇の目にさらされながら

屈辱に耐えながら、純白のウエディングドレスを着せてもらう。

(頼子のヤツ!)

着付けがすんだ。

「お父さまですよ」

愛人のもとに走った父親が、この日だけは父親の仕事をしに、呼ばれていた。

「章子、きれいだよ」

純白のドレスに身を包んだ娘に、父親は涙を浮かべて、そう言った。

父親に手を取られて、宴会場に戻る。

「おめでとう」

圭が、椅子から立ち上がって、章子を見つめながら、言った。

それから、耳元で、ささやいた。

「章子、とっても、きれいだよ」

耳に、ふっと息を吹きかけた。

「とっても、きれいだ」

「圭くん、章子さんと並んで」

頼子が、カメラを構える。

圭の腕が、章子の腰を抱く。

圭の指先に、力が入る。

その指が、乳房のほうへはい上がろうとして、ためらい、止まった。

頼子が、こわい目をしている。

父親に手を引かれて、テーブルのあいだを通り抜けていく。

スポットライトに照らし出されて。

「黒い下着の花嫁」

ざわめきのなかから、誰かがそう言った気がして、めまいがしてくる。

しっかり立っていようと、下半身に力が入る。

すると、Tバックが淫裂にくいこんでくるのだった。

章子は、父親に腕をとられて、新婦の席までたどり着く。

「だいじょうぶ?」

「ええ」

優しく気遣う新郎に、章子はうなずいてみせる。

宴は、続く。

章子の友人たちが、お祝いの歌を歌う。

新郎の友人たちが、芸を披露する。

時間が、ゆっくりと過ぎてゆく。

食い込んだTバックが、股間を刺激し続ける。

それは、騒々しい宴とは無縁の、あの日のことを、章子に呼び起こす。

かき消しても、かき消しても、股間の刺激は、あの日、圭が、頼子が、自分がしたことを

思い起こさせるのだった。

圭の視線から、目をそらし続けるしかなかった。

感じていることを、圭に気づかれるのが、シャクだった。

圭の存在が、乳房をうずかせ、子宮をひくつかせ、膣から蜜をしたたらせていた。

宴が終わって、着替えをすませたとき、Tバックの股ヒモは、蜜を吸ってよじれあがって

いた。

新婚の夜、新郎の控えめな性交に、章子は物足りなさを感じ、

軽いいびきを立て始めた新郎の隣で、自分を慰める行為にのめり込むのだが、

思い描いた行為の相手は、圭である。

 

第7章

 

モエ美容室の2階は、住居になっている。

モエ先生の夫、浩一が出て行ったあと、娘の章子、頼子の3人で暮らしてきた。

しかし、夏の終わりに頼子が独立し、11月には章子が結婚して出て行った。

モエ先生のひとり暮らしが始まった。

女のひとり暮らしというのは、物騒な気がして、しょうがない。

じっさい、近所のコンビニに、深夜強盗が入って、不安が現実味を増した。

モエは、頼子が出て行って空いた部屋に住んでくれと、圭に頼んだ。

圭の母親も、電話してくるので、12月のはじめに、引っ越しをしたのである。

部屋代など、いらないと言われれば、断る理由はないのであった。

卒論の締め切りは迫っている。

快適な生活は、大助かりだ。

圭は、しかし、安アパートを解約しなかった。

寝具と、冷蔵庫と、ストーブを残してあるのだ。

母にも、モエにも、そして、頼子にも、秘密のことである。

 

  *  *  *

  

月曜日、店のカウンターで、たまった帳簿整理をしているところだった。

早く終わらせて、待ち合わせの場所に行かなくちゃ。

晩ご飯をごちそうするつもりなのだ。

黒のニットに、真っ赤なレザーのタイトスカート。

圭の好みは、アグレッシブな女。

「本日は、定休日でございます」のプレートを下げた入り口に、人影がたった。

ランジェリーショップ《ぺぺ》の店主、萬田俊治が訪ねてきた。

モエ美容室の向かいの店の店主というわけで、追い返すわけにもいかなかった。

「頼子さん、繁盛してますねえ」

「おかげさまで」

萬田俊治のおかげなど、あるはずもないのだが、社交辞令というものだ。

「カレシと会う暇もないんだろうねえ」

言葉遣いが、いきなりぞんざいになった。

「どういうことですか」

「モエ先生の甥っ子と、お〇ンコする暇もないやろ、言うてるんだわ」

頼子は、眉をしかめる。

ケイくんと親しくしているところを見られたとしても、自然なことだった。

しかし、そのケイくんを、萬田は「カレシ」と呼んでいる。

「最近、あいつと会ってないんだろ?」

「わたしと、圭くんとのことが、あんたにどういう関係があるのよ」

「圭くんねぇ」

頼子は、俊治を見つめる。

「なあ、頼子さん、あんた、チンポしゃぶるの、じょうずやなあ」

怒りで、頼子の顔が朱に染まる。

「あんたがいた部屋、オレのところから、丸見えなんだわ」

(見られていたんだ)

「あんたと、圭のハメハメ、たっぷり見せてもらいました」

俊治が、にやりとする。

「あんたが、引っ越したもんで、楽しみ、なくなってしもうた」

上着の内ポケットから分厚い封筒を取り出す。

「おまえらの、お〇ンコ写真じゃ。まあ、見たりいや」

「こんなこと、してるの?」

「かまわんやろうもん、見せてくれるんや、撮らしてくれるんや。撮って何が悪い!」

「恥ずかしくないの」

「だから、見せてくれるもん、撮って、何が悪い!」

頼子が、封筒を受け取ろうとしない。

俊治は、いらだって、封筒の中身をカウンターに広げた。

「よう、撮れてるやろ」

頼子の部屋で、絡まり合っている、頼子と圭の写真。

性器をさらけ出した、全裸の写真。

フェラチオ、クンニ、さまざまな体位の交接。

おびただしい数だった。

「あんたが、こっちに引っ越したから、撮れんようになってね」

俊治は、1枚を抜き出して、頼子に突きつける。

「ほら、よう、撮れてるやろ。あんた、うまそうに、チンポ、舐めてるがな。

 いい顔、してるなあ、頼子さん。ぺろぺろ、ぺろぺろ、圭のヤツ、

 イキそうな顔してるわ。そやそや、ほんとに、イキやがった、圭。

 ほら、これが、その写真や。圭の、ガンシャや。

 あんたの、お顔、ザーメンまみれや・・・へへへ」

俊治の表情が、険しくなった。

「なあ、頼子、こんな写真も、あるんやで」

圭が、章子を犯している写真。

写真のスミには、頼子の姿が。

手かせ、足かせ、首輪を着けて。

「これ、モエに、見せてやろうか」

俊治は、冷笑を浮かべている。

「おまえらが、章子に何したか、見せてやっても、かまわないんだよ」

「わかってるの! あんたがやってること、犯罪よっ!」

「わからんヤツだなあ、見えるものを撮って、何が犯罪なんだよ」

「どうしろって、言うの」

「そうそう、いい結婚式だったねえ」

俊治は、にやにやしながら、話題をかえた。

「章子、きれいだったねえ」

その章子を、圭が背後から犯している写真。

乳房が圭の手で絞り上げられた写真。

章子の顔は、苦痛にゆがんでいる。

「迫力が、あるねえ」

こういう写真も、あるよ、といって、俊治が見せたのは、結婚式の写真。

純白のウエディングドレス姿の章子を、圭が片腕に抱くようにしている。

圭の指さきが、章子の脇の下に添えられている。

乳房にさわっているみたいだ。

へへっ、と、俊治は冷笑する。

頼子の後ろに回り、頼子の肩をつかむ。

「なあ、ヨリちゃん、よぉ」

「やめてよっ!」

頼子の叫び声に、俊治はひるまなかった。

背後から、スツールに腰掛けた頼子の乳房を、わしづかみにした。

「やめてったら!」

俊治は、頼子から離れる。

頼子の剣幕に、驚いたからではない。

俊治は、冷笑している。

カウンターの上に散らばった写真を手早く集めると、ポケットに押し込んだ。

「わかった、2度と、来ないよ」

 

カウンターの後ろに、両腕をついて立たされた。

俊治の手で、タイトスカートがはぎ取られる。

「洒落たパンティ、はいてるんだね」

圭のために選んだ、真っ赤なTバック。

「エッチだねえ」

「・・・・・・」

「お尻、冷えるよ・・・ん?」

「・・・・・・」

「ああ、きょうは、おデイトか・・・誰とかな?」

「・・・・・・」

「圭のヤツかな、それとも・・・・・・」

「・・・・・・」

「ああ、いい手触りだ・・・ふさふさしていて」

俊治の腕が、ニットのすそから潜り込んでくる。

グイッ、とニットをたくし上げた。

「ああ、おっぱい、いい形、してるねぇ」

俊治の指が、乳房を揉む。

「ブラジャー、はずそうね、ヨリちゃん」

俊治の指先にいじられて、乳首が飛び出す。

「いいねえ、いいねえ、いいねえ」

「いや、やめて、やめてよっ」

頼子は、俊治の腕を払いのける。

「おやおや、頼子、おまえってヤツは、往生際が悪いねえ」

「なんで、あんたみたいな・・・」

「おいおい、おかしなヤツだねえ、頼子。

 おまえが大好きな、圭は、変態じゃねえか。

 え! あいつ、おまえを縛ったり、首を絞めたり」

「やめてっ!」

「ははは、おまえも、変態なんだよな」

「・・・・・・」

「まあ、いい。頼子、おまえらの変態写真、モエに見せてやるからな」

 

「ときどき、寄らしてもらうよ」

と言って、俊治が帰って行った。

太ももを、俊治の精液が流れ落ちていく。

汚された性器を、ビデで洗う。

ソマツな陰茎をさし込んで、俊治はあっという間に果てたのだ。

ほんの数秒だった。

小便をかけられたような屈辱だった。

頼子は、腹を立てていた。

なんで、あんなヤツに・・・・・・

せっかくの下着が、俊治の手で汚された気持ちがして、はけなかった。

下着を取り替えに、アパートによって、それから約束の場所に急ぐ。

圭に会いたかった。

 

萬田は、しつこかった。

「頼子、明日、大橋の駅前で待ってる」

萬田俊治の声。

「明日は、だめよ」

「10時に、待ってるからな」

「税理士と約束があるのよ」

「遅れたら、許さんでぇ」

 

俊治は、車をラブホテルに入れる。

何の悦びもない、おざなりなセックス。

「味気ないヤツだなあ」

(だって、しかたがないでしょ!)

「オレの、サオじゃあ、満足できないってことか?」

頼子は、下着を着け終わる。

「毎週呼び出すつもり?」

「いやなら、いやといってくれ」

「・・・・・・」

「頼子、おまえを店に訪ねたとき、帰ろうとしたオレを引き留めたのは、おまえだぞ」

「・・・・・・」

「2度と来ない、と言ったオレを呼び止めたのは、おまえだぞ」

「・・・・・・」

「オレは、おまえを強姦したんじゃない」

「・・・・・・」

「そんなにいやなら、これっきりにしてやるよ」

「まって」

「なんだ」

「写真、ちょうだい」

「いいよ、いくらでもプリントしてやるよ」

「・・・・・・」

「だいじな、エロ写真だ、大切にあつかわせてもらうよ、頼子」

「・・・・・・」

「出るぞ、頼子」

 

  *  *  *

  

「ケイくん」

「章子」

意外な訪問者だった。

といっても、この家は、章子の実家なのだから、意外でも何でもないのだが、

圭の部屋に来るとは、思ってもいなかったのである。

章子は、圭のベッドに腰を下ろす。

「ヨリちゃん、どうしてる?」

「さあね」

「会ってないの?」

「忙しそうだからね」

「ふうん」

圭は、章子をじっと見ている。

章子は、圭の視線を避けるように、自分の指先に視線を落とした。

結婚指輪が、薬指にはまっている。

結婚式から、3週觀たった。

章子は、指を握りしめた。

キッと顔を上げて、圭を見つめる。

「あんたのせいよ」

低い、抑えた声だった。

「おれのせい?」

章子を見つめる。

(あの日のことを、ダンナが知ったのか)

「あんたのせいだよ」

章子は、繰り返した。

「なんのことだよ?」

「あのひと、愛せない」

「え?」

「正伸が、愛せないんだよ」

正伸というのは、章子の夫である。

「なんで、オレと関係があるんだよ」

「正伸に抱かれると、ケイくんが出てくるんだよ」

「おいおい」

「ちゃかさないでよ」

「ちゃかしてなんか、いないけどさ」

「抱いて」

「章子・・・」

「抱いてよ、あんときみたいに」

「よせよ」

章子は、いきなり着ているものを脱いだ。

黒い下着を着けている。

「抱いて」

章子は、圭に抱きつく。

 

新婚初夜、正伸が寝入ったわきでオナニーをした夜、

あの夜からずっと欲しかったもの、

昼間、家事をしている最中に、不意によみがえる、あの日の記憶、

友だちと電話でおしゃべりしている最中にも、突然よみがえるあの日の感覚、

圭の指、圭の舌、圭の肉棒が章子に目覚めさせた肉の悦び、

それが、今、手に入った。

章子は、圭に抱かれている。

いけない、いけない、絶対に、いけない、と

自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、

欲望がつのっていき、とうとうガマンの限度を超えて、

圭の部屋に来てしまったのだ。

圭の口づけが、章子の緊張をたちまち溶かし、

圭の指が、章子を快楽の園に導く。

蜜壷は、熱く煮えたぎっていた。

指をさし込むと、熱い淫水が吹き出してきた。

章子は、圭の腕のなかで、もだえ、あえぐ。

必死に、声を押し殺して。

1階の美容室では、母親が仕事をしているのだ。

聞こえるはずもないのだが、やはりどこか、抑制が働くのだろう。

顔を布団に埋めて、嗚咽を押し殺す。

圭は、起きあがると、コンドームを取り出した。

装着する様子を、潤んだ目が見つめる。

「ねえ、ケイ」

「なに?」

「あの日みたいに、して」

「ん?」

「乱暴にして」

圭は、にやりとする。

「しばって」

「ああ」

 

エピローグ 

  

美容室は、年末、年始は、戦場だ。

モエ美容室も、頼子の大橋店も、猫の手を借りたいほどの忙しさになる。

圭は、イブを頼子と過ごした。

シティホテルでディナーを食べ、仮眠をとりながら、何度もセックスして、

熟睡したところを、ルームサービスに起こされた。

新鮮なオレンジジュース、香り高いコーヒー、

焼きたてのクロワッサン、カリカリに焼いたベーコンを添えた、とろける目玉焼き。

頼子は、9時には店に出なくてはならない。

あわただしい朝食だった。

 

25日の夜は、安アパートの、部屋にいた。

隣室の谷岡鉄夫の妻、亜矢美を抱く。

翌朝、亜矢美をさかのフルーツに送り届ける。

 

年末は、みんな忙しい。

圭も、さかのフルーツでバイトをしている。

 

  *  *  *

  

1月半ばの月曜日、萬田俊治が店にやってきた。

「ヨリちゃん、今年も、よろしくね」

にやにやしながら、ソファーに腰を下ろす。

「ヨリちゃん、おまえ、圭のヤツと、うまくいってるのか?」

いぶかしそうに見返す頼子に、萬田は続けた。

「圭、ひでえ、女たらしだよ」

「なに、言ってんの」

「あいつ、つきあってる女、ヨリちゃんだけじゃないよ」

「ばか、言わないでよ」

「あんた以外に、ハメてる女が、ひとりじゃないよ」

にらみつける頼子を、萬田は、せせら笑う。

「それも、とんでもない相手だよ、頼子」

萬田が、1枚の写真をテーブルに放り出す。

章子の車を、正面から撮ったものだ。

運転席には圭が、助手席には、章子が乗っている。

章子は、圭の横顔を見つめながら、うれしそうに話しかけている。

そして、車の背景に、ラブホテルの出入り口が写っていた。

「あのガキ、章子と、お〇ンコしてるんだよ、あきれるよ、なあ、頼子」

萬田は、薄汚い笑いを浮かべて、ソファから立ち上がる。

「なあ、頼子、こいつら、痛い目に遭わせてやらないか?」

頼子を抱きしめようとする。

「やめてよ、クズ野郎」

「ん?」

「やめなよ、このブタ!」

「なんだと?」

「早漏が!」

「きさまああっ!」

俊治は、頼子につかみかかる。

顔面を真っ赤にして。

カウンターの後ろで、ふたりは、激しくもみ合う。

頼子は、押し倒される。

床を這って逃げる。

背後からのしかかった俊治が、頼子を殴りつけようとしたときだった。

表のドアが、激しくたたかれる。

俊治は、ギョッとして、そちらを振り返る。

若者が、ドアを激しくたたきながら、「開けろ」と叫んでいる。

通行人が、数人、立ち止まっている。

俊治は、うろたえた。

「よ、頼子」

その隙に、頼子はひざで俊治の急所を蹴り上げた。

「うぎゅっ」

崩れ落ちる俊治を腕で押しのけて、頼子は立ち上がる。

 

「警察、呼んだよ」

「えっ」

床にうずくまっている俊治が、飛び上がらんばかりに驚く。

「おっさん、目撃者は、ぼくだけじゃないよ」

「ま、まってくれ、ご、誤解だ」

頼子は、ソファに腰を下ろしている。

ひざと腕をすりむいて、血が流れている。

「おっさん、暴行傷害や」

「ち、ちがうって」

「なにが、ちがうんだよ」

パトカーのサイレンが近づいてくる。

「よ、頼子、頼子さん、な、な、な、なんとか、言ってくれよ」

「出てけ!」

 

章子は、高尾台のマンションにいた。

結婚が決まると同時に、夫の栗原正伸が購入したものだ。

頼子がやってきたので、章子はびっくりした。

リビングに案内する。

ばしっ!

いきなり、平手打ちを食らった。

「なに、すんのよっ!」

すばやかった。

2つめの平手打ちが、章子を見舞う。

「どろぼうねこ!」

頼子の両腕がのびてきて、章子の髪を鷲づかみにする。

章子も、負けなかった。

頼子の髪をつかみ返し、そのまま重なるように、床に転がった。

章子の腹に馬乗りになった頼子は、章子の髪をつかんで、離さない。

激しく揺さぶり、後頭部を床にぶち当てようとする。

章子は、頼子を押しのけようと、腕を突き出す。

その腕で、乳房をつかみ、思いっきり握りつぶす。

頼子は、激痛のあまり、胸をかばうように、床に転がる。

章子の部屋着のすそが裂け、太ももがむき出しになる。

毛根に血糊のついたふたりの毛髪が、床に散らばっている。

頼子のタイトスカートがめくれあがり、尻がむき出しになる。

黒いTバックの股ヒモが、章子の目にはいる。

「あばずれ女!」

章子は、結婚式の、出来事を思い出した。

あの、人生最大の記念の日に、

純白のウエディングドレスの下に、

黒い下着を着けることになった。

あの、屈辱!

{こいつの、頼子のしわざ!}

頼子の背中を踏みつけようと片足をあげる。

頼子は、仰向けになりながら、章子の太ももを蹴り上げる。

章子は、バランスを失って、激しく床に崩れ落ち、ひじをしたたかうちつけた。

頼子の手が、章子の部屋着を引きちぎる。

章子の下半身が、むき出しになる。

章子は、這いつくばって、頼子の手から逃れる。

はあっ、はあっ、はあっ

ふたりの荒い息の音だけが、聞こえる。

肘をさすりながら、章子は起きあがる。

頼子も、起きあがろうと、四つんばいになろうとしたときだった。

章子は、頼子に飛びかかる。

尻に食い込んだTバックの股ヒモをつかむ。

股間に食い込め、とばかりに、引っ張り上げた。

「ぎゃあっ」

頼子の悲鳴。

Tバックの股ヒモが、柔らかい粘膜に食い込み、こすりあげ、引き裂く。

頼子は、下腹を押さえて転げ回る。

「あああああっ」

「いい気味だ!」

「あああ、あああ、ああああっ!」

「ふん!」

「ああああっ、あああああっ、ああああっ!」

「そんなに、いたいの?」

「ああああっ、あああああっ、ああああっ!」

「ヨリちゃん・・・」

出血していた。

章子は、傷薬を塗ってやる。

  

「どうする?」

「どうしよう」

ソファに寄りかかるようにして、床に座り込んでいる。

「ケイくん、うちにいるんじゃない?」

「きょうは、会えないって」

「どうして?」

「さあ・・・ひりひりする」

「ごめん、ヨリちゃん」

傷は、たいしたことはなかった。

場所が、場所なだけのことだった。

頼子は、章子が出してくれたパンティをはく。

「これ、着けるといいよ」

章子が、生理用ナプキンを差し出した。

頼子の唇が切れている。

どこかにぶつけたときにできたのだろう、青アザになっている。

章子も、ほおを張らしている。

脱げば、からだの数カ所にアザがあるかもしれない。

「ケイに会うよ」

頼子が、立ち上がる。

「いっしょに、行く」

章子は、外出着に着替える。

頼子のブラウスも、ぼろクズになっていた。

始末を章子に頼む。

ブラジャーだけの上半身に、じかにコートを羽織った。

「寒くない?」

「だいじょうぶ」

 

圭は、ベッドに横たわっている。

圭の顔面にも、青アザがあった。

左目の周りと、左のあごに。

「どうしたの?」

頼子も、章子も、圭の痛々しい姿に、心配のあまり、叫んでいた。

「うん」

圭が、重い口を開く。

前歯が2本、かけている。

「事故った」

頼子と、章子は、氷のうをつくり、飲み物を準備する。

頼子も、章子も、うきうきしている。

3人とも、顔面を負傷しているのが、なんだか、おかしかった。

 

ふたりは、知らない。

圭の負傷のわけを。

昨夜から、圭は、あの安アパートの部屋にいた。

亜矢美と一晩過ごした。

夜が明けた。

抱き合って、互いのぬくもりを楽しんでいるときだった。

激しくドアがたたかれた。

「開けろ!」

亜矢美のからだが、こわばる。

「開けろ!」

じっとしている。

「きさまらあっ!」

鉄夫が体当たりをすると、薄っぺらなベニヤのドアが、簡単に壊れた。

枕元に、精液まみれのティッシュが散らかって、

閉め切った部屋は、ふたりの汗と精液のにおいが充満していた。

亜矢美は、布団の上に起きあがって、圭に抱きついていた。

すっぱだかで。

鉄夫は、怒りに顔面を真っ赤にしていた。

布団をはぎ取る。

ふたりは、下半身にも、なにも着けていなかった。

鉄夫は、圭を力任せに殴りつけた。

鉄夫のこぶしが、圭を殴り続けたのだった。

 

あとがき

 

頼子も、章子も、事故など、信じていなかった、と思う。

章子は、毎日見舞いに来た。

フェラで、ヌイてくれた。

オレの見舞いだけに、モエ美容室に来ていたのではなかった。

母親のモエと話しあっていたのだ。

まもなく、離婚した。

「性の不一致」が理由だった。

正伸は、世間体があって、苦しんだようだが、章子の決心が固くては、どうしようもない。

オレは、大学を卒業して、九州電鉄観光社に就職した。

会社には、モエ美容室から通った。

毎日、忙しかった。

章子は、美容学校に入学した。

 

オレは、九鉄観光に2年つとめた。

楊麗花と結婚式を挙げたのは、退職直後である。

麗花は、台北から美容研修に来日して、1年、モエ美容室に勤めたのだ。

愛しあい、結婚することになった。

オレは、現在、台湾に住んでいる。

南京西路3段、紅寶石大飯店から徒歩数分の場所に、麗花が働く美容室がある。

麗花の一族が、美容室チェーンを経営しているのだ。

台湾人の同族意識は、オレの想像以上だった。

うるさく感じることもあるが、オレのちからでもある。

オレは、美容室チェーンの経理をしている。

麗花は、妊娠している。

まもなく、父親になる。

浮気の仕方は、一族の男たちが、教えてくれた。

年に1度、宮崎に帰る。

福岡に立ち寄ると、叔母のモエ、章子が、歓待してくれる。

章子と一晩過ごすのも、大きな楽しみだ。

頼子は、東京に行ってしまった。

青山の美容室にいるということだ。

会いたい気もするが、会いに行くことはない。

すばらしい女だった。

幸いなことに、麗花との性の不一致は、ない。

出産後、セックスが解禁になったら、また、うんと楽しむつもりだ。

麗花を快楽の絶頂に導き、

美しいからだをもだえさせ、

愛らしいヨガリ声を上げさせるのが、

オレの、悦びなのだ。

 

(完)

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