『自衛官の妻』

                          二次元世界の調教師:作

第15話 寝取られ男の幸福

 チャリンと大きな音を立てて、まず帰って来られたのは千恵利様だった。
相変わらず女優と言っても通りそうな完璧な美しさで、絵に描いたような貴婦人ぶり
に卑しい奴隷の俺も僭越ながらウットリと見とれてしまう。

 だがご主人様が細工された、この家の玄関をくぐる度に鳴る金属音を聞かれた瞬間、
千恵利様は貞淑な人妻と言う仮面を脱ぎ捨て、淫らな本能に忠実な女性に変身される。
強力な催眠術でこの家を支配しておられるご主人様は、彼女がその音を聞くと催眠状
態に入るよう条件付けされたのだ。

 「あらタカシ。帰ってたのね」
「わんわんわん」

 この佐々木家に奴隷として飼われている俺は、基本的に日が高い間はビルの清掃や
工事現場の人足として働いているのだが、誰よりも早く帰宅している事が多い。
もし、かつては恐れ多くも俺の妻だった千恵利様が、催眠を解かれた状態で俺を目撃
されたならば、さぞかし驚き気が触れたのかと誤解される事だろう。

 この家の中では着衣を許されていない俺は、リビングの一角に置かれた専用スペー
スの中にほぼ全裸で入り、犬がチンチンするような格好で彼女達の帰りを首を長くし
て待っていたのだから。
俺はさらに、ご家族に対して人間の言葉を話す事を禁じられている。
人間以下の存在である卑しい奴隷なのだからとご主人様に躾けられ、ペットの犬のよ
うにふるまってしまうのだ。

 千恵利様や奈々様と違い、俺だけは一日中ご主人様の催眠術の影響下に置かれてお
り、ごく自然にちんちんポーズで犬のように吠えて、千恵利様のお帰りを歓迎してい
た。

 本当にご主人様の催眠術は素晴らしい。
もし俺が操られていなかったら、下らぬプライドや世間体に縛られて人に支配される
事に最高の歓びを覚えるマゾヒストの本性に気付く事もなく、本当の幸福を味わう事
を知らずに一生を過ごした事であろう。
こうして人間以下の「犬」としてふるまう快感に浸かっている俺は、さらにご家族の
皆様に愛情溢れる扱いを受けているので、こんなに幸福な事はない。

 「着替えるから一寸待っててね」
「わんわん」

 千恵利様は極小メイド服と言うかつての「仕事着」でご主人様を出迎えるのが常だ。
ご主人様は彼女を娶られてから、米兵相手の性サービスは止めさせて、ご家庭内で千
恵利様、そして娘の奈々様とのプレイを独占されているのである。
おまけに俺もー奴隷としての立場だがーそのプレイのおこぼれを授かるのだから、こ
んなに幸福で良いのか疑ってしまうくらいだ。

 ご主人様の眼鏡に適っただけあって、文句の付けようがない素晴らしい肉体の千恵
利様が着替えられる絶景を、俺は舌をハアハアと出して欲望を丸出しに遠慮なくガン
見する。
ほぼ全裸と言ったが、俺の股間には特殊な男性用貞操帯が装着され、尻からは肛門調
教具に繋がった「シッポ」が突き出している。

 尻穴を深々と抉って外れてくれない「シッポ」は一日中静音だが着実なバイブレー
ションを送り込んで来るため、常時浅ましく発情している俺はペニスをガチガチに張
り切らせている。
ところがその嫌らしい肉塊は、貞操帯内部のサックに厳重に収納されて指一本触れる
事も出来ない、と言うオスにとっては最も辛い生殺しの調教を俺は受けているのだ。

 千恵利様もそれを良くご存じなので、あえて俺の目の前で服をどんどん脱ぎ捨て、
豊麗だがその年齢が信じられないほど張りがあってシミ一つない見事な裸身を見せ付
けて下さる。
俺はもう完全に「おあずけ」を喰らっている犬のようなちんちんポーズになり、貞操
帯の中のペニスが膨らみ過ぎて心地良い疼痛を覚えていた。

 その時再び玄関でチャリン音が鳴った。
今はアルバイトを止めた奈々様が部活を終えて帰宅されたのだ。

「もう、ママったら!」
「あら、妬かないのよ、奈々ちゃん。タカシったら、とってもお上手なんだもの……
ああ、ああ~っ! ま、又よ、ママ、又いっちゃうのお~っっ!!」
三回も立て続けに気をやって下さった千恵利様は、ようやく俺の顔から下りると奈々
様に言う。

 以前よく見たやり取りにそっくりだなと記憶をたぐり寄せた俺は、奈々様の反応を
興味深く見守った。
恥ずかしがり屋の奈々様がすぐに顔を赤らめたのは昔のままだ。
しかしすぐさま逃げるように2階に上がってしまうのが常だった頃とは、家庭内での
立場も変わり、奈々様ご自身も変わってしまわれた。
奈々様はかわいらしく頬を染めながらも、逃げ出そうとせず俺の方に向かって来られ
る。

 「ママ、手伝うよ」
「ありがと、奈々ちゃん」
「わんわん!」
「ホラ、タカシも喜んでる」

 全裸の千恵利様と、清楚な制服姿の奈々様と言う一見珍妙な取り合わせのお二人は、
協力して俺を「犬」らしく堕として下さった。
専用スペースから出られぬよう首輪とチェーンで壁に繋がれ、手足には大きく柔らか
い肉球グローブが嵌められ自力で外せぬよう手首の部分を縛られる。
親指と、他の4本指をまとめた部分にしか別れていないため四つ足で立つには好都合
だが、人間の手としての機能はあらかた失われてしまうスグレモノだ。

 「さあタカシ! お座り! お手! チンチン!」
千恵利様が服を着ている間、奈々様が相手をして下さった。
そして俺を再び2本足で立たせた奈々様も、俺のすぐ目の前でご自分がご主人様を迎
える支度をするエロティックな眺めを見せ付けて下さる。
多くの人間男性と同様ご主人様も制服女性がお好みのようで、奈々様は高校の制服の
まま下着を外して胸をガッとはだけ、スカートを限界まで上げてしまうスタイルだ。

 「フフッ。タカシ、アタシを見て興奮してるんでしょ」
「くう~ん」
それはノーを意味する鳴き方だったが、途端に奈々様の蹴りが貞操帯の嵌まった股間
に炸裂した。

 「嘘吐くんじゃないわよ、このバカイヌッ!」
これはいつも繰り返されているプレイで、どう返答しても同じなのだ。
スポーツで鍛えた奈々様の長い美脚のキックは強烈で的確に俺を痛め付けて下さる。
しかも勃起し過ぎて苦痛を覚えていた部分に、目の覚めるような一撃を下さるとは。
俺は猛烈な痛みに悶絶しながら危うく射精に導かれそうになっていた。

「奈々ちゃん、少し加減してあげなさい」
「いいんだよ、ママ。だってコイツ、いじめられて喜ぶど変態のマゾなんだから。ほ
ら、こんなに大きくしてるんだよ、ココ」

 奈々様は蹴り上げたソックスの爪先で、そのままグリグリと股間部に圧迫を加えて
来られた。
さっき蹴り上げられた瞬間ヤバかったように、貞操帯内に厳重にしまい込まれている
上からのわずかな刺激でも、俺のペニスは敏感に反応する。
定期的により太く刺激の強いデザインの物に取り替えられている「シッポ」バイブが
俺の尻穴をどんどん開発してしまい、今やその快感がハンパなく凄まじいのだ。

 おかげでペニスの強烈な勃起も一日中治まってくれず、いずれは外部からの刺激で
も射精してしまうかも知れない。
それでは禁欲を強制する貞操帯が無意味となる気もするが、そんな事は調教される立
場の奴隷である俺が気にしなくても良い。
全く気楽な身分だ。

 「お舐めっ!」
そして奈々様が一日はいておられたソックスを口に突っ込まれると、むせるようなキ
ツイ刺激臭に俺は又もやウットリしてしまう。
奈々様はバレーの練習時もはいておられたのだろう、汗がタップリ染み込んだ布地は、
加齢臭の酷いオヤジがはいていたのかと疑われるくらい悪臭紛々たるもので、それが
どMな俺をこよなく陶酔させてくれるのだ。

 清純で潔癖な少女だと思っていた奈々様は、嬉しい事にSの素質があられたようで、
催眠状態に入るとこうして俺をビシビシと責めて下さる。
きっと俺と奈々様は父と娘というギクシャクした関係などでなく、マゾヒストとサデ
ィストとして結ばれるべきだったのだ。
このように隠れていた本当の人間性を回復させて下さる、ご主人様の催眠術の何と素
晴らしい事か。

 「ねえタカシ、アタシのパンツ見て興奮してる?」
「わんわん!」
「ナマイキなんだよっ!」

 再び強烈な金蹴りが決まって、俺はとうとうもんどり打って倒れてしまう。
この痛みもどMな俺には心地良いばかりで、もし貞操帯がなかったら間違いなく射精
に導かれていただろう。
そして犬のように無様な四つん這いになった俺の頭に、奈々様の爪先が置かれた。

 「奈々ちゃん、奈々ちゃん!」
「ママ邪魔しないで。こんなブタ野郎……」
「パパが帰って来たわよ」
車の音でわかったのだ。
すると千恵利様のみならず、奈々様も玄関に向かわれた。この家の主佐々木俊夫様の
お出迎えである。

 「トシ君、お帰り~」
玄関先から千恵利様の明るく弾んだ声が聞こえる。
きっとご主人様にハグしてキスを迫っておられるのだろう。
昔を思い出した俺は、少しだけ感傷に浸った。
あれはあれでそれなりに充実した日々だったような気もする。
もちろんドMな本性に忠実に生きれば良い今の幸福には比べるべくもないのだが。

 ご主人様はよく俺に言われる。
「お前が羨ましいぜ。余計な事を一切考えないでいいんだからな。俺なんか仕事は辛
いし、家のローンは返さなくちゃならない。千恵利は浮気しないか心配だし、奈々の
進学も不安だ。そうだ、増田。催眠術を解いてやるから俺と交替しねえか?」

 もちろんそんな冗談に心を動かされる事はもうない。
ご主人様がリビングに入って来られると、千恵利様はさっそくひざまづいてご主人様
のズボンを下ろし、生尺奉仕を始める。

「もう。ママったら」
「あら奈々ちゃん、ヤキモチ妬いてるの? でも順番だからね。それにあなた生理中
なんでしょ」
「奈々ちゃん、これでタカシと遊んでおいで」

 ご主人様が奈々様に渡された小さな物体を見て、俺は思わず生唾を呑み込んでいた。
キラリと輝く金属製のカギ。
それは俺を悶々と悩ませている貞操帯を外すキーに違いない。

 「はい、タカシ。シーシーは?」
「わんわんわん!」

 奈々様に聞かれた俺は勢い良く答える。
この貞操帯は外さなくても小用なら可能なのだが、奈々様の手に光るカギを見れば、
禁欲で気の触れそうなくらいズキズキと張り切っている肉塊を解放して下さる事を期
待しないではいられないではないか。

 「ほらタカシ。この中にするのよ」
奈々様は大きな金ダライを床に置くと、ようやく貞操帯の錠を開いて下さった。
本当に用を足すだけで終わってしまう辛い日もあるのだが、今日は大丈夫だろうか?

 ご主人様のお言葉通り奈々様が「遊んで」下さる事を熱望した俺は、浅ましい肉棒
をますます大きくを膨らませる。
そしてとうとうサックの中から欲望の塊を解放して下さった奈々様は、数日間の放置
で凄まじい汚穢に塗れた局部の悪臭に鼻を摘まんで見せた。

 「うわ、くっさー! マジで薄汚いオスブタだね、タカシは。はい、シーシー」
勝手にペニスを弄らないよう四つ足で立たされていた俺は、犬らしく片脚を上げると
金ダライ目掛けて放尿を始める。
許可されなければ肉球グローブの不自由な手でマスターベーションする「ご褒美」に
すらありつく事は出来ないのだ。
「あ、コイツ、外にこぼしやがった。後でお仕置きだね、全くこのバカイヌは」

 「お仕置き」と聞いた俺は甘美な期待で胸を疼かせる。
若く美しいS女性にイジめられるのは、どMな俺には無上の歓びに他ならない。
お仕置きが最も辛い「おあずけ」で終わらない事だけは祈りたいものだが。

 「ウンウンは?」
「わんわん」
「えー、しょーがないなあ……うわ、でっかー」

 奈々様は続いてずっと振動を続けている「シッポ」バイブを抜いて下さったのだが、
それだけで余りの心地良さに俺はハアハア喘いだ口から大量の涎をこぼしてしまう。
「アハハ、今度でっかいペニバンでヒイヒイ泣かせてやるよ。ケツの穴が裂けないよ
うに、しっかり広げとくんだよ。そうしてから当分抜かないでいいように、セーエキ
を搾り取ってやろう」
「わんわんわん!」

 それは想像しただけでも血わき肉躍るような経験になるだろう。
奈々様にアナルを犯されながら精液を抜いて頂くと言うのだから、本当に肛門が裂け
精子の抜き過ぎで再起不能となったとしても本望だ。

 向こうではご主人様と性行為に励んでおられる千恵利様が、俺の祖チンでは決して
得られなかった肉の歓びを大声で叫んでおられた。
彼女は20年近くもこの俺との不満足なセックスで「幸福を感じる」と無理をしてお
られたわけで、それは結局ノーマルな性行為が不能となった俺と同様に不幸な事であ
った。
千恵利様は一生知らずに過ごす所だった性の歓びを、ご主人様の逞しいペニスと卓越
した性戯によって教えられて、ようやく本当の女の幸福を手に入れられたのだ。 

 今や「犬畜生」に堕とされた俺は、恐れ多くも千恵利様と再び身体を合わせたいな
どとは望むべくもないし、恐らく人間の女性との性交自体不可能なインポテンツは一
生治らないだろう。
だが、千恵利様の白魚のように細い指でアナルの奥深くまで抉られて大便の後始末を
されるのは、天にも昇る心地良さだ。
俺はきっとペニスに一指も触れる事なく射精してしまうに違いない。
そしてこれから始まる奈々様の「お仕置き」。俺は人間だ、などと言う下らぬプライ
ドを捨ててしまえば、こんなにも豊穣で奥深い歓びの世界が開けるのだ。

ーーこの世にこんな幸福があったのか。夢なら醒めないで欲しい

 大丈夫。ご主人様が催眠術を掛けていて下さる限り、俺の至福の時は続くのだから。

~おしまい~